基板設計

【完全図解】リフロー実装とフロー実装の違い|炉で温める vs はんだ池に通す

😣 こんな経験はありませんか?
  • 設計レビューで先輩が「これリフローで流せる?」と聞いてきたが、リフローが何かわからず黙ってしまった
  • 基板メーカーから「フロー面とリフロー面、どちらに部品を配置しますか?」と聞かれて固まった
  • 表面実装(SMD)と挿入実装(DIP)で、はんだ付け方法が違うことは知ってるけど、具体的にどう違うのか説明できない
  • 「両面実装の場合は工程が複雑」と言われたが、なぜ複雑なのかピンとこない
✅ この記事でわかること
  • リフロー実装=「オーブンで温める」、フロー実装=「はんだ池に通す」というイメージ
  • 表面実装(SMD)はリフロー、挿入実装(DIP)はフローという基本ルール
  • 両面実装で工程が複雑になる理由
  • 設計者が知っておくべき「どちらの工法を選ぶか」の判断基準

基板を設計していると、必ず一度は「リフロー」「フロー」という言葉に出会います。なんとなく「はんだ付けの方法」だとはわかっていても、両者の違いを説明しろと言われると、意外と言葉に詰まりますよね。

結論を先に言います。リフローは「お菓子を焼くオーブン」、フローは「天ぷらの油」のようなものです。この記事では、この2つのイメージを軸に、現場で迷わない判断基準まで一気に解説します。

そもそも「はんだ付け」とは?基板と部品をくっつける接着剤

リフローとフローの話に入る前に、はんだ付けの基本をサクッと押さえておきましょう。はんだ付けとは、金属同士を「はんだ」という低融点合金で電気的・機械的に接続する技術です。

イメージとしては、金属専用の「熱で溶ける接着剤」と思ってください。常温では固体ですが、約220℃前後で溶けて、冷えると再び固まります。この「溶けて固まる」性質を使って、基板と部品をくっつけているのです。

💡 ポイント
はんだ付けで重要なのは「いかに均一に、適切な温度で溶かすか」です。手作業で1個ずつ温めていたら、1枚の基板に何百個もある部品をはんだ付けするのに丸1日かかってしまいます。そこで登場するのが、量産向けの2つの工法「リフロー」と「フロー」です。

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リフロー実装とは?「お菓子を焼くオーブン」のイメージ

リフロー実装は、英語で「Reflow(再び溶かす)」という意味です。あらかじめ基板にペースト状のはんだを塗っておき、その上に部品を載せて、オーブンで丸ごと加熱する方法です。

リフローの3ステップ

🥫
STEP 1
はんだペーストを
基板に塗る
📦
STEP 2
部品を
ペーストの上に載せる
🔥
STEP 3
リフロー炉で
加熱して溶かす

イメージとしてはクッキー作りを思い浮かべてください。生地(=はんだペースト)を天板(=基板)に絞り出し、チョコチップ(=部品)を載せて、オーブン(=リフロー炉)で焼く。これがリフロー実装の流れです。

🔧 現場の声
リフロー炉の中は、ただ熱いだけではありません。「予熱→本加熱→冷却」と温度が階段状に変化する温度プロファイルがあり、これを正しく設定しないと、はんだが溶けきらない・部品が壊れるといった不良が出ます。設計者は「自分の部品がリフロー温度(約240〜260℃)に耐えられるか」をデータシートで必ず確認します。

フロー実装とは?「天ぷら油の池」のイメージ

フロー実装は、別名「噴流はんだ付け」とも呼ばれます。溶けた液体状のはんだが入った"はんだ池"の上を基板の裏面が通過することで、リードがはんだに浸かって接合される方法です。

フローの3ステップ

🔌
STEP 1
部品のリードを
基板の穴に挿す
💧
STEP 2
フラックスを
裏面に塗布
🌊
STEP 3
はんだ池の上を
基板が通過

イメージとしては天ぷら屋さんを思い浮かべてください。串に刺した具材(=部品をリードで固定した基板)を、熱い油(=溶けたはんだ)の上にサッとくぐらせる。基板の裏側に出ているリードだけが「はんだの池」に触れて、接合されるのです。

⚠️ 注意
フロー実装で重要なのは「基板の裏面しかはんだが触れない」という点です。表面に部品が載っていても、基板の表側(部品がある側)ははんだに触れません。だからこそ、リード部品(DIP)の足を裏面まで貫通させる必要があるのです。

リフロー vs フロー|決定的な違いを並べて理解する

ここまでの内容を、2つの工法を並べて比較してみましょう。一番大事な違いは「はんだの状態」と「加熱方法」です。

🔥

リフロー実装

  • イメージ:オーブン
  • はんだ:ペースト状(半固体)
  • 加熱:基板を炉に入れて全体を温める
  • 対象部品:表面実装(SMD)
  • はんだが触れる面:部品が載っている面
🌊

フロー実装

  • イメージ:天ぷら油の池
  • はんだ:液体状(完全に溶けている)
  • 加熱:液体はんだに裏面だけ接触
  • 対象部品:挿入実装(DIP)
  • はんだが触れる面:基板の裏面のみ
比較項目 リフロー フロー
英語 Reflow Soldering Flow Soldering
別名 リフローはんだ付け 噴流はんだ付け
ピーク温度 約240〜260℃ 約250〜260℃
部品が熱を受ける時間 数分間(じっくり) 数秒間(一瞬)
小さな部品 ◎ 得意 △ 苦手
大電流部品 △ 苦手 ◎ 得意

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部品で決まる|SMDはリフロー、DIPはフロー

ここまで来れば、もう「どちらの工法を使うか」は迷いません。使う部品の種類で、ほぼ自動的に決まるからです。

表面実装(SMD)→ リフロー一択

表面実装部品(SMD: Surface Mount Device)は、基板の表面にペタッと載せるタイプの部品です。チップ抵抗・チップコンデンサ・QFN・BGAなど、現代の電子機器のほとんどがこれに該当します。

SMDはリードが基板を貫通しないので、フロー(裏面のはんだ池)にくぐらせても、はんだが部品の電極まで届きません。だからSMDは必ずリフローで実装します。

挿入実装(DIP)→ 基本はフロー

挿入実装部品(DIP: Dual Inline Package)は、基板に空けた穴にリードを挿し込んで使う部品です。電解コンデンサ、大型コネクタ、トランス、リレーなど、機械的強度が必要な部品や大電流部品に多く使われます。

DIP部品はリードが基板の裏側まで貫通するので、フロー(はんだ池)に裏面をくぐらせれば、リードの先端と基板の銅箔が同時にはんだ付けされます。

両面実装はなぜ複雑?「2回オーブンに入れる」という現実

ここで一つ疑問が出てきます。「基板の両面に部品を載せたい場合は、どうするの?」という問題です。

答えは「2回オーブンに入れる」です。クッキーで例えると、片面焼いて、ひっくり返して、もう片面のチョコチップを載せて、また焼く。これと同じことを基板でもやります。

両面リフローの工程

STEP 1

B面(裏側)にはんだペーストを塗り、軽い部品を載せる

STEP 2

1回目のリフロー炉でB面をはんだ付け

STEP 3

基板をひっくり返し、A面(表側)にはんだペーストを塗って部品を載せる

STEP 4

2回目のリフロー炉でA面をはんだ付け(B面の部品は接着剤や表面張力で落ちないようにする)

⚠️ 注意
2回目のリフローでB面のはんだも一緒に再溶融します。重い部品をB面に置くと、自重で落下するリスクがあるため、設計段階で「重い部品をどちらの面に置くか」を決めることが重要です。一般的には軽い部品をB面、重い部品をA面(最後にリフローされる側)に配置します。

SMDとDIPが混在する場合

現実の基板では、SMDとDIPが混在するケースがほとんどです。この場合の標準的な工程はこうなります:

  1. リフローでSMDを実装(A面・B面それぞれ)
  2. DIP部品をリードを穴に挿し込む(手挿入または自動挿入機)
  3. フローでDIPの裏面をはんだ付け

つまり、1枚の基板で「リフロー → リフロー → フロー」と最大3回も加熱工程を通過するということです。だから、両面実装の基板は工程が複雑で、コストも高くなるのです。

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設計者が知っておくべき判断基準

ここまで読めば、設計レビューで「これリフローで流せる?」と聞かれても、もう怖くありません。判断基準は次の3つです。

判断基準①:部品の耐熱温度はリフローに耐えられるか?

SMD部品のデータシートには「リフロープロファイル」という項目があります。ピーク温度260℃に耐えられない部品はリフローできません。耐熱性の低い部品(一部のコネクタ、電解コンデンサなど)は、リフロー後に手はんだで取り付けるか、フローで処理します。

判断基準②:機械的強度は十分か?

コネクタや大型部品など、機械的なストレスがかかる部品は、SMDよりもDIP(フロー)のほうが強度が出ます。基板を貫通するリードがアンカーの役割を果たすからです。USBコネクタなどは、SMDタイプもありますが、抜き差しの多い用途ではDIPタイプが選ばれます。

判断基準③:大電流が流れるか?

パワーエレクトロニクス分野では、大電流が流れる部品(パワー半導体、大型インダクタなど)は、リードを基板に貫通させるDIPタイプが選ばれることが多いです。大きなはんだ量で接合できるフローのほうが、電流容量と放熱の面で有利だからです。

まとめ|オーブンと天ぷら油で覚えれば一生忘れない

最後に、この記事の内容を一行で復習しておきましょう。

📐 結論
リフロー=オーブンで焼く(SMD向け)
フロー=天ぷら油の池に通す(DIP向け)

このイメージさえ持っていれば、現場で「リフロー面」「フロー面」と言われても、頭の中で工程をイメージできます。データシートを見るときも、「あ、これはオーブンに耐えないとダメな部品か」と即座に判断できるようになります。

基板設計は、回路図を書くだけでは終わりません。「この基板はどうやって作られるのか」を理解しているかどうかが、現場で頼られる設計者になれるかの分岐点です。次の記事で、さらに一歩踏み込んだ実装知識を身につけていきましょう。

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