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キルヒホッフの法則は、分かれ目に入る電流の和=出る電流の和(第1法則・電流則)と、1周したときの起電力の和=電圧降下の和(第2法則・電圧則)の2つです。式の立て方は例題、答えは計算ツールで確かめられます。
結論|まず30秒でわかる答え
キルヒホッフの法則は、どんなに複雑な回路でも使える2つの決まりです。第1法則(電流則):回路の分かれ目(節点)に流れ込む電流の和と、流れ出す電流の和は等しい。第2法則(電圧則):回路を1周したとき、起電力の和と電圧降下の和は等しい。電流の向きを仮に決めて式を立て、連立方程式を解きます。答えがマイナスなら、実際の向きは逆です。
キルヒホッフの法則とは?2つの決まり
オームの法則だけでは、電源が2つある回路や、合成抵抗にまとめられない回路は解けません。そんなときに使うのがキルヒホッフの法則です。どんな直流回路・交流回路にも使える、回路計算の土台です。
| 第1法則(電流則) | 第2法則(電圧則) |
| 見る場所 | 節点(電線の分かれ目・合流点) | 閉回路(ぐるっと1周できる道) |
| 決まり | 流れ込む電流の和 = 流れ出す電流の和 | 1周したときの起電力の和 = 電圧降下の和 |
| 式 | ΣI流入 = ΣI流出 | ΣE = ΣRI |
| たとえ | 川の合流点:入る水の量と出る水の量は同じ | 山道を1周すると、元の高さに戻る |
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電流の向きと符号のルール
キルヒホッフの法則でいちばん迷うのが符号です。次の3つを守れば、まちがえません。
STEP 1
各枝の電流の向きを仮に決めて矢印を書く(本当の向きがわからなくてよい)
STEP 2
閉回路をたどる向き(時計回りなど)を決める
STEP 3
たどる向きと同じ向きの起電力(-から+へ進む)はプラス、同じ向きに流れる電流の電圧降下 RI はプラス。逆向きならマイナス
連立方程式を解いて、電流がマイナスになったら、実際の向きは仮定と逆です。仮定をやり直す必要はありません。
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例題:電源が2つある回路の電流
左の枝に起電力 E1=12V と抵抗 R1=2Ω、右の枝に E2=6V と R2=3Ω、真ん中の枝に R3=6Ω がある回路です(3本の枝が上下2つの節点でつながっています)。
手順1:電流の向きを仮定して、電流則を立てる
左の枝を上向きに I1、右の枝を上向きに I2、真ん中を下向きに I3 と仮定します。上の節点に流れ込むのは I1 と I2、流れ出すのは I3 です。
公式
I3 = I1 + I2
手順2:閉回路ごとに電圧則を立てる
公式
左の閉回路:12 = 2I1 + 6I3
公式
右の閉回路:6 = 3I2 + 6I3
手順3:代入して連立方程式を解く
STEP 1
I3 = I1+I2 を代入:8I1 + 6I2 = 12、6I1 + 9I2 = 6
STEP 2
1つめの式×3 − 2つめの式×2:24I1 − 12I1 = 36 − 12 → I1 = 2 A
STEP 3
8×2 + 6I2 = 12 → I2 = −2/3 A(マイナスなので、実際は下向きに約0.67A)
STEP 4
I3 = 2 + (−2/3) = 4/3 A(約1.33A、下向き)
STEP 5
検算:左 2×2 + 6×4/3 = 12、右 3×(−2/3) + 6×4/3 = 6 で、どちらも合う
E2 の電源は、実際には電流が-から+の向きに押し込まれる(充電される向き)ことがわかります。
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平成25年度 問5・令和8年度上期 問7(再出題)
抵抗 R と抵抗 Rx を並列につなぎ、直流電圧 V を加えたら電流 I が流れた。Rx を表す式は?
STEP 1
R に流れる電流 V/R、Rx に流れる電流 V/Rx(オームの法則)
STEP 2
第1法則:I = V/R + V/Rx
STEP 3
V/Rx = I − V/R = (IR − V)/R
平成27年度 問4
直流電源90Vの回路で、抵抗 R1・R2・R3 の両端の電圧が30V・15V・10Vのとき、各抵抗の値を求める問題です。第2法則でほかの抵抗の電圧を出し、第1法則で枝の電流を足し引きして、R1=40Ω、R2=90Ω、R3=120Ω が答えです。
キルヒホッフの法則は単独の問題だけでなく、テブナンの定理や交流回路の問題でも、式を立てる土台として毎年のように使います。
例題と同じ形の回路(左の枝 E1・R1、真ん中 R3、右の枝 E2・R2、電源はどちらも+が上)で、各枝の電流を求めます。
入れた数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。電源を逆向きにつないだ回路は、起電力をマイナスで入れてください。
キルヒホッフの法則のよくある間違い
| よくある間違い | 正しい考え方 |
| 電流の正しい向きがわかるまで式を立てない | 向きは仮に決めてよい。マイナスなら逆向き |
| 電流則を閉回路に使う | 電流則は節点、電圧則は閉回路 |
| 電圧降下の符号を、たどる向きと関係なく決める | たどる向きと電流が同じ向きならプラス |
| 閉回路の式をいくつも立てすぎる | 必要な式の数は、未知の電流の数だけ |
| マイナスが出たら計算ミスだと思う | 仮定と逆向きという意味。計算はそのまま進める |
よくある質問
Q. キルヒホッフの第1法則とは?
A. 電流則です。回路の節点に流れ込む電流の和と、流れ出す電流の和は等しいという決まりです。
Q. キルヒホッフの第2法則とは?
A. 電圧則です。閉回路を1周したとき、起電力の和と、抵抗による電圧降下の和は等しいという決まりです。
Q. 電流の向きはどう決める?
A. 最初は仮に決めて構いません。計算した電流がマイナスなら、実際の向きは仮定と逆です。
Q. 式はいくつ立てればいい?
A. 求めたい未知の電流の数だけ、独立した式が必要です。電流則と電圧則を組み合わせます。
Q. キルヒホッフの法則は交流でも使える?
A. 使えます。交流では電圧・電流を複素数(ベクトル)で表し、抵抗の代わりにインピーダンスを使います。
まとめ
- 第1法則(電流則):節点で流入の和=流出の和
- 第2法則(電圧則):閉回路で起電力の和=電圧降下の和
- 電流の向きは仮に決める。マイナスなら逆向き
- たどる向きと同じ向きの起電力・電圧降下はプラス
- 未知の電流の数だけ式を立てて連立で解く
この記事の理解を深める本と道具
おすすめの本
「キルヒホッフの法則」を試験の得点につなげるなら、前後の単元とあわせて教科書で押さえておくと安心です。TAC出版『みんなが欲しかった!』シリーズの、電験三種「理論」の教科書と問題集が1冊になった本です。
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電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年
メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。
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