測定技術 電線・ケーブルと配線

テスターの使い方|初心者がやってはいけない5つと電圧・抵抗・導通の測り方

テスターの使い方のアイキャッチ。作業台のデジタルテスターと赤黒のテストリードの写真

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テスターの使い方を教わらないまま、1台を渡された。ダイヤルには V・A・Ω の記号が10個ほど並び、テストリードを挿す穴は3つか4つ。どこに挿して、どこに合わせれば壊さずに測れるのか。最初の1回で迷う所は、だいたい決まっています。

先に答え

テスターの使い方は、黒いテストリードを COM 端子、赤を V・Ω の端子に挿し、測るもの(直流電圧・交流電圧・抵抗・導通)にダイヤルを合わせてから当てることです(デジタルのテスターはデジタルマルチメーター、DMM とも呼びます)。初心者がやってはいけないのは、電流や抵抗のレンジのまま電圧を当てることと、本体の測定カテゴリ(CAT)を超える場所で使うこと。この2つは、メーカーの取扱説明書で「危険」の欄に書かれています。

この記事を書いたのは、「テスター 使い方 初心者」で調べる人が多いと、検索の数字でわかったからです。読み方を覚えるのは、ダイヤルの記号と端子の名前の2つだけ。そこから先は、測るものごとの手順を1つずつ見ていきます。

テスターの使い方のアイキャッチ。作業台のデジタルテスターと赤黒のテストリードの写真

最初に見るのはダイヤルと端子(COM・V・A)

テスターで最初に見るのは、ダイヤルの記号と、テストリードを挿す端子の名前です。黒は必ず COM、赤はふつう V・Ω の端子に挿し、電流を測るときだけ mA や A の端子に挿し替えます。

ダイヤルの表示測るもの例
V と直線(DCV)直流電圧乾電池、マイコンの電源(5V・3.3V)
V と波線(ACV)交流電圧コンセントの100V、200V
Ω抵抗抵抗器、ヒーター、モーターの巻線
スピーカーの記号(・))))導通(つながっているか)断線、配線のつながり、ヒューズ
ダイオードの記号ダイオードの順方向の電圧ダイオード・LED の向き
A・mA・µA電流回路に流れる電流(回路を切って直列に入れる)
端子挿すテストリード使う場面
COM黒(いつもここ)すべての測定
V・Ω(機種により VΩHz など)赤電圧・抵抗・導通・ダイオード
mA・µA赤(挿し替える)小さい電流
A(10A など)赤(挿し替える)大きい電流。上限は機種の表示どおり

COM は common(共通)の略。どの測定でも、黒はここから動かしません。赤だけを、測るものに合わせて挿し替えます。

ダイヤルの表示は、メーカーや機種で少しずつ違います。同じ「V」でも、直線と波線で直流と交流を分ける機種もあれば、1つの V の位置でボタンを押して切り替える機種もあります。手元の取扱説明書の最初のページで、ダイヤルの図を一度見てください。

テスターのダイヤルと端子。直流電圧・交流電圧・抵抗・導通・電流の記号と、黒は COM、赤は VΩ、電流のときは mA・A

初心者がやってはいけない5つ

テスターで初心者がやってはいけないのは、①電流・抵抗レンジのまま電圧を当てる ②本体の測定カテゴリを超える場所で使う ③電気が来ている回路で抵抗・導通を測る ④測定中にダイヤルを回す ⑤傷んだテストリードや濡れた手で使う、の5つです。

やってはいけないこと何が起きるか代わりにすること
電流・抵抗レンジのまま電圧を当てる電流レンジは中がほぼ短絡。大きな電流が流れ、ヒューズが切れるか本体が壊れる当てる前にダイヤルと赤の端子を指差しで確かめる
測定カテゴリ(CAT)を超える場所で使う雷などの瞬間的な高い電圧(インパルス)に耐えられないことがある本体とテストリードの CAT の表示を見る(次の節)
電気が来ている回路で抵抗・導通を測る抵抗レンジにはテスターの電池から電流を流している。外から電圧がかかると壊れるか、値が狂う電源を切り、コンデンサを放電してから測る
測定中にダイヤルを回す途中で電流や抵抗のレンジを通るテストリードを外してから回す
傷んだテストリード・濡れた手で使う感電亀裂や金属の露出があれば使わない。手を乾かす

共立電気計器 MODEL 1110 の取扱説明書(危険・警告の欄)と、三和電気計器 CD772 の取扱説明書(安全の注意)で、両方に書かれていた項目をまとめた。

この表は、共立電気計器と三和電気計器の取扱説明書を読み比べて作りました。2社とも「危険」「警告」の欄に、言い回しは違っても同じことを書いています。いちばん先に書かれていたのが、①のレンジの取り違えでした。

①がなぜ危ないのか。電流を測るとき、テスターは回路の途中に入ります。そのため電流の端子の中は、電流を邪魔しないよう、ほとんど抵抗がありません。そこへコンセントの100V を当てると、ほぼ短絡です。ヒューズが守ってくれる機種でも、ヒューズは切れて交換。

注意|高い電圧の目安

三和電気計器 CD772 の取扱説明書は、交流33V(実効値)・直流70V を超える電圧を測るときに特に注意するよう書いています。さらに「6kVA を超える回路では使わない」とも。コンセントや分電盤は、この範囲を超えます。

測る前のひと手間も、取扱説明書に書かれています。初めに、電圧がわかっている電源(乾電池など)で、正しい値が出るかを確かめること。テスターが壊れていて0V と出たのに「電気は来ていない」と思い込むのが、いちばん怖い間違いだからです。

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測定カテゴリ(CAT II・III・IV)の読み方

測定カテゴリ(CAT)は、テスターを使ってよい場所の区分です。CAT II はコンセントにつなぐ機器、CAT III は分電盤からコンセントまでの配線、CAT IV は引込線から電力量計・分電盤の入口までで、数字が大きいほど瞬間的な高い電圧に耐えます。

区分場所(共立電気計器の取扱説明書)例(Fluke の資料)
CAT IIコンセントに接続する電源コード付機器の電気回路家電、携帯工具
CAT III直接配電盤から電気を取り込む機器の1次側、分岐部からコンセントまで三相の配電、開閉器、固定されたモーター
CAT IV引込み線から電力量計、1次過電流保護装置(配電盤)までの電路電力会社との接続点、屋外の電線、電力量計

区分の定義は IEC 61010-1(JIS C 1010-1)による。場所の書き方は共立電気計器 MODEL 1110 の取扱説明書、例は Fluke「IEC カテゴリ定格」から。電池だけの回路など、商用の電源につながらない所は CAT I や「O」として扱われる。

CAT の後ろの電圧は、その場所で測ってよい電圧の上限です。たとえば三和電気計器の CD772 は「CAT III 600V、CAT II 1000V」。分電盤の200V の回路は CAT III の 600V の範囲に入ります。一方、電力量計や引込口(CAT IV)では使えません。

同じ600V でも、CAT II 600V と CAT III 600V は別物。数字が大きい区分ほど、雷などで入ってくる瞬間的な電圧が大きい場所。CAT III で作られたテスターは、CAT II のものより高いインパルスに耐えるよう設計されています。

書きながら迷ったのは、本体とテストリードの表示が違うときに、どちらで読むかです。共立の取扱説明書には、テストピンのキャップを外すと CAT II、付けると CAT III・IV に対応する、とありました。テストリードの側でも、区分が変わるということ。この記事は、本体とテストリードの低い方の区分と電圧で読む方を採ります。理由は1つ。弱い方が先に壊れるからです。

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直流電圧の測り方:乾電池で練習する

直流電圧は、ダイヤルを直流の V に合わせ、黒を測りたい回路のマイナス(GND)、赤をプラスに当てて読みます。電圧は、測りたい2点の間に並列に当てます。

STEP1

黒を COM、赤を V の端子に挿す。ダイヤルを直流の V に合わせる(手で範囲を選ぶ機種は、予想より大きい範囲から)。

STEP2

黒を乾電池のマイナス、赤をプラスに当てる。

STEP3

表示を読む。新しい単3形の乾電池なら、1.5V 前後が出る。

STEP4

赤と黒を逆に当ててみる。デジタルのテスターは、数字の前に「−」が付くだけで壊れない。

最初の練習は乾電池で。1.5V なら手が触れても危なくないからです。ここで「黒を先に当てて、赤を後に」の順番を体に覚えさせます。

三和電気計器の取扱説明書は、つなぐときは黒(COM)から、外すときは黒を最後に、と書いています。理由までは書かれていません。ただ、基準になる黒を先に固定しておけば、電圧のかかった側に当てるのは赤の1本だけで済みます。

テスターで電圧は2点の間に並列に、電流は回路を切って直列に入れる図。乾電池1.5Vと豆電球の回路

交流電圧の測り方:コンセントの100V を測る

交流電圧は、ダイヤルを交流の V に合わせ、2本のテストリードをコンセントの2つの穴に差し込んで読みます。表示は実効値で、ふつうの家のコンセントなら100V 前後です。

手順は直流とほぼ同じ。違いは、交流には向き(プラス・マイナス)がないので、赤と黒をどちらの穴に入れても同じ値が出ること。ただし手はテストリードのフィンガーガード(指を止めるつば)より後ろに置き、片方ずつゆっくり差し込みます。

コンセントの穴で測るのは、区分の境目です。共立の取扱説明書の書き方では、コンセントまでの配線は CAT III、コンセントにつなぐ機器は CAT II。筆者は境目なら上の区分で読み、CAT III の表示がある機種を使う方をすすめます。分電盤のブレーカーの端子なら、迷わず CAT III です。

表示は実効値です。コンセントの100V は実効値で、波の山の高さ(最大値)は約141V。インバーターの出力のように波形がゆがんだ電圧は、テスターの方式で読み方が変わります。「真の実効値(True RMS)」と書かれた機種はゆがんだ波形でも実効値で読み、書かれていない平均値方式の機種は値がずれます。三和の取扱説明書も、インバーターの出力を測ると誤差が出ることがあると書いています。

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抵抗と導通の測り方:必ず電源を切ってから

抵抗と導通は、必ず回路の電源を切ってから測ります。テスターは自分の電池から小さな電流を流して抵抗を測るので、外から電圧がかかっていると壊れるか、値が狂います。

STEP1

回路の電源を切る。大きなコンデンサがある回路は、放電してから。

STEP2

ダイヤルを Ω(または導通の記号)に合わせる。

STEP3

テストリードの先どうしを当て、0Ω 近く(導通ならブザーが鳴る)になるかを見る。テストリード自体の断線を先に確かめるため。

STEP4

測りたい部品の両端に当てて読む。

回路の中で測ると、小さく出る

回路につながったままの抵抗を測ると、並列につながったほかの部品も一緒に測ってしまいます。たとえば 10kΩ の抵抗に、4.7kΩ の抵抗が並列についていたとします。

並列の抵抗
R = (10 × 4.7) ÷ (10 + 4.7) = 47 ÷ 14.7 ≒ 3.20kΩ

かけ算が 10×4.7=47、足し算が 10+4.7=14.7。割ると約3.20kΩ です。10kΩ のつもりで測った値が、3分の1ほどに出ます。部品の片方の足を基板から外して測れば、本来の 10kΩ が出ます。

導通のブザーは「0Ω」ではない

導通の機能は、抵抗が小さいときにブザーで知らせるものです。共立電気計器の MODEL 1110 は約100Ω 以下で鳴る、と取扱説明書にあります。鳴った=数十Ω以下、という意味で、ぴったり0Ω ではありません。

鳴り始める値は機種で違います。手元にない機種の値は、言えません。100Ω 前後の抵抗が入った回路を「つながっている」と読み違えないよう、気になるときは Ω のレンジで値を読んでください。

ダイオードの記号のレンジもあります。向きを確かめるためのものです。赤をアノード、黒をカソードに当てると、シリコンのダイオードでおよそ0.6V 前後の値が出ます。逆に当てると表示が出ません(OL など)。

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電流の測り方:回路を切って直列に入れる

電流は、回路を1か所切り、そこにテスターを直列に入れて測ります。赤を mA や A の端子に挿し替え、測り終わったら必ず V の端子に戻します。

STEP1

回路の電源を切る。

STEP2

赤を mA または A の端子に挿し替え、ダイヤルを電流に合わせる。値の見当がつかないときは、いちばん大きい範囲から。

STEP3

回路を1か所外し、その切れ目の両側に赤と黒をつなぐ(ワニ口クリップが確実)。

STEP4

電源を入れて読む。読み終わったら電源を切ってから外す。

STEP5

赤を V の端子に戻し、ダイヤルを電圧に戻す。

STEP5 を忘れると、次に電圧を測ろうとした人が、電流の端子のまま電圧を当てることになります。やってはいけないことの①は、たいていこうして起きます。電流を測ったら、赤を戻すまでが1回の測定です。

電流の端子には、ヒューズが入っています。たとえば共立 MODEL 1110 は、速断型の 500mA のヒューズです。測っても0A のままなら、まずヒューズが切れていないかを疑います。

テスターとクランプメーターの使い分け

テスターは電圧・抵抗・導通と、回路を切って入れる小さな電流向き。クランプメーターは、電線をはさむだけで大きな交流の電流を測れるので、回路を切れない設備の電流に使います。

テスター(マルチメーター)クランプメーター
得意なもの電圧・抵抗・導通・ダイオード交流の電流(電線をはさむ)
電流の測り方回路を切って直列に入れる電線を1本はさむ。回路を切らない
電流の大きさmA〜10A 程度(機種による)数百 A〜1000A 程度(機種による)
向く場面基板・試作の回路、乾電池、コンセント分電盤の回路、モーターの電流、動いている設備

注意が1つ。クランプメーターで電線をはさむときは、行きと帰りの2本を一緒にはさまないこと。2本の電流は向きが逆で打ち消し合い、0A に近い値が出ます。漏れ電流をわざと見るとき以外は、1本だけをはさみます。

電流が大きい設備の配線は、電線の太さと許容電流で決まっています。測った電流が電線の許容電流に近いかどうかは、早見表で確かめられます。

テスターとクランプメーターの使い分け。テスターは電圧・抵抗・導通と小さい電流、クランプメーターは電線をはさんで大きい交流の電流

よくある質問(FAQ)

Q. テスターとマルチメーターの違いは?

A. 同じものです。電圧・電流・抵抗を1台で測る計器で、デジタルのものをデジタルマルチメーター(DMM)と呼びます。

Q. テスターでコンセントの電圧を測れますか?

A. 測れます。ダイヤルを交流の V に合わせ、2本をコンセントの穴に差します。CAT III の表示がある機種が安心です。

Q. 導通チェックとは何ですか?

A. 2点の間が電気的につながっているかを、抵抗が小さいときに鳴るブザーで確かめる機能です。電源を切ってから使います。

Q. テスターでやってはいけないことは?

A. 電流や抵抗のレンジのまま電圧を当てること、測定カテゴリを超える場所で使うこと、通電中に抵抗を測ることです。

まとめ:テスターは「挿す・合わせる・当てる」の順

まとめ
  • 黒は必ず COM、赤は V・Ω。電流のときだけ mA・A に挿し替え、終わったら戻す
  • ダイヤルを合わせてから当てる。測定中に回さない
  • 電圧は並列、電流は回路を切って直列、抵抗と導通は電源を切ってから
  • CAT II はコンセントの機器、CAT III は分電盤〜コンセント、CAT IV は引込線〜電力量計。本体とテストリードの低い方で読む
  • 導通のブザーは0Ω ではない。回路の中の抵抗は並列の部品で小さく出る

最初は乾電池の直流電圧から練習してください。黒を先に当てて赤を後に、外すときは赤から。この順番が手になじめば、コンセントの交流電圧も同じ手順で測れます。

参考にした資料

(2026年10月に確認)

法令・規格・資料は改訂されることがあります。実務で使うときは、発行元の最新版で確かめてください。

この記事の理解を深める本と道具
おすすめの道具

回路の電圧や導通を自分の手で確かめるなら、手元にテスターが1台あると便利です。三和電気計器のデジタルマルチメータ(テスター)CD772です。電圧や抵抗などを測れます。

おすすめの道具

流れている電流を、回路を切らずに測りたいときに便利です。電線をはさむだけで交流の電流を測れる、日置電機のACクランプメーター CM3289です。

おすすめの本

テスターで測れるようになったら、制御盤のトラブルの切り分けにどう使うかまで進みたい人に向いています。技術評論社の『[カラー図解]電気エンジニア1年目の教科書 〜電気系設備保全・生産技術の実務のための基本〜』(シマタケ 著)で、目次に「テスタの使い方」と「制御盤内故障診断時のテスタ活用法」の節があります。

S
シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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