理論科目の解説

オームの法則 V=IR とは?電圧・電流・抵抗の関係を「水道管」で図解|例題つき

オームの法則 V=IR とは何か。電圧・電流・抵抗の関係を「水道管」

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています。

夜21時。仕事から帰って、机の上に置いたオーム社「これだけ理論」を開く。
最初のページに書いてあるのは V = IR。
「あぁ、オームの法則ね。中学校でやったやつ」
…そう思って次のページに進んだ瞬間、過去問でこんな問題が出てきます。

📝 過去問の例
抵抗 R₁=2Ω と R₂=3Ω が直列に接続され、回路全体に12Vの電圧が加わっている。R₂の両端の電圧降下はいくらか。

…手が止まりませんか?
「電圧降下って何?」「直列だと電流は同じなんだっけ?」「式、どっちから立てるんだ…?」

大丈夫です。つまずいて当然です。
中学で習った「V=IR」は、実は記号を覚えただけで、その「意味」を教わっていないからです。意味を知らない公式は、応用問題が出た瞬間にフリーズします。

この記事では、目に見えない電気を「水道管」に置き換えて、オームの法則の本質を一生忘れないレベルで脳に刻み込みます。読み終わるころには、上の問題が3秒で解けるようになっているはずです。

😣 こんな経験はありませんか?
  • V=IRは知っているのに、過去問になると式が立てられない
  • 「電圧降下」「電位差」と言われた瞬間に頭が真っ白になる
  • I=V/R と V=IR、どっちを使えばいいか毎回迷う
  • 「電流は電圧に比例する」と言われても、ピンとこない
✅ この記事でわかること
  • オームの法則を「水道管」で完全イメージ化できる
  • 3つの式(V=IR / I=V/R / R=V/I)を瞬時に使い分けられる
  • 電圧降下の意味が直感的にわかる
  • 電験三種で頻出の計算パターンを2問解けるようになる
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結論|まず30秒でわかる答え

オームの法則は、電圧V・電流I・抵抗Rの関係をV=IRで表す法則です。水道にたとえると、電圧は水圧、電流は流れる水の量、抵抗はパイプの細さに当たります。覚える式はV=IRの1つだけで、I=V/R、R=V/Iは式を変形すれば求められます。計算する前に、mAやkΩなどの単位をそろえることが大切です。

そもそも電気回路って何?「水道管とそっくり」と覚えよう

電気回路の話を始める前に、ひとつだけ覚えてほしいことがあります。それは——

電気回路は「水道管」と完全に同じ仕組みで動いている

これだけです。難しい記号や数式が出てきても、頭の中で「これは水道管の話だ」と翻訳すれば、すべて理解できます。

キッチンの蛇口を思い浮かべてください。蛇口をひねると水が出てきますよね。あの「ジャー」と流れる水と、コンセントから流れてくる電気は、原理がほとんど同じなんです。

電気と水道の対応表(これだけ覚えればOK)

電気の世界 水道の世界 役割イメージ
電圧 V
[V] ボルト
🌊
水圧
水を押し出す「強さ」。ポンプのパワー
電流 I
[A] アンペア
💧
水の量
実際に流れている水の量。1秒間に何リットル流れるか
抵抗 R
[Ω] オーム
🚧
パイプの細さ
流れの邪魔をする度合い。パイプが細いほど流れにくい
💡 ポイント
電気の問題で「V」「I」「R」が出てきたら、頭の中で「水圧・水量・パイプの細さ」に翻訳する。これだけで電験三種の理論問題の半分は怖くなくなります。
電気と水道の対応表の図。電圧V[V]は水圧、電流I[A]は水の量、抵抗R[Ω]はパイプの細さ
電圧は水圧、電流は水の量、抵抗はパイプの細さ

電圧V(水圧)とは?「電気を押し出す力」のこと

まず最初の主役、電圧Vから。単位はボルト[V]です。コンセントが「100V」、乾電池が「1.5V」、自動車のバッテリーが「12V」——この数字、聞いたことありますよね。

電圧の正体は、ひとことで言うと「電気を押し出す力の強さ」です。水道で言えば、ポンプの強さ。蛇口の奥にあるポンプが強ければ強いほど、勢いよく水が出てきますよね。それと同じです。

身近な電圧の例

機器 電圧 水道で言うと
乾電池(単三) 1.5V 手押しポンプ
スマホ充電(USB) 5V 家庭の蛇口
自動車バッテリー 12V 家庭用シャワー
家庭コンセント 100V 高圧洗浄機
エアコン用 200V 業務用洗車機
⚠️ よくある誤解
「電圧が高い=電気がたくさん流れる」と思いがちですが、これは半分間違いです。電圧はあくまで「押し出す力」であって、実際にどれだけ流れるかは、次に説明する「抵抗」とのバランスで決まります。
電圧を押し出す力にたとえた図。電圧は電気を回路の中で押し出す力(電位差)で、ポンプが水を押し出す水圧と同じ。1.5Vは押し出す力が小さく、100Vは大きい
電圧は電気を押し出す力

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電流I(水量)とは?「実際に流れている量」のこと

次は電流I。単位はアンペア[A]です。「ブレーカーが20Aだ」「このケーブルは10Aまで流せる」——こちらも聞いたことがあるはず。

電流の正体は「実際に流れている電気の量」。水道で言えば、蛇口から出てくる水の量です。1秒間にコップ1杯流れていれば「電流が小さい」、1秒間にバケツ1杯流れていれば「電流が大きい」というイメージ。

💡 ここが超重要
電流は「結果」です。あなたが直接コントロールするのは「電圧(押す力)」と「抵抗(パイプの細さ)」だけ。その2つのバランスで、結果として電流の大きさが決まります。

「電圧で押し出して、抵抗が邪魔して、最終的に電流が流れる」——この順番が頭に入っていれば、もう電気回路で迷子になりません。

身近な電流の例

家電 流れる電流 イメージ
スマホ充電 約1A ちょろちょろ
ノートPC 約3〜5A 普通の蛇口くらい
電子レンジ 約13A 勢いよくジャー
ドライヤー(強) 約12A 勢いよくジャー
家のブレーカー 30〜60A ここを超えると落ちる
電圧・抵抗・電流の関係の図。電圧Vは押し出す力、抵抗Rは邪魔する度合い、電流Iはその結果として実際に流れる量で、自分で決めるのはVとRだけ
電流は電圧と抵抗で決まる「結果」

抵抗R(パイプの細さ)とは?「電気の流れにくさ」のこと

最後の主役、抵抗R。単位はオーム[Ω]です。「100Ωの抵抗」と言われたら、それは「100Ωだけ電気を流れにくくする部品」という意味。

抵抗の正体は、「電気の流れを邪魔する度合い」。水道で言えば、パイプの細さです。

🚰

抵抗が小さい(パイプが太い)

  • 電気が流れやすい
  • 同じ電圧でも電流がたくさん流れる
  • 例:銅線(ほぼ0Ω)
🚧

抵抗が大きい(パイプが細い)

  • 電気が流れにくい
  • 同じ電圧でも電流は少ししか流れない
  • 例:電気ヒーターの線(数十Ω)
🔧 現場の声
電気ヒーター(ドライヤー、電熱線、IHなど)が熱くなるのは、まさに「抵抗で電気の流れを邪魔している」から。邪魔された電気エネルギーが、熱に変わって出てくるんです。これがジュール熱の正体ですが、それはまた別の記事で。
抵抗と電流の関係をパイプにたとえた図。同じ電圧でも、抵抗が小さい(パイプが太い)と電流が多く、抵抗が大きい(パイプが細い)と電流が少ない
同じ電圧でも抵抗で電流量が変わる

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ついに本題!オームの法則 V=IR の本当の意味

さて、ここまでで V・I・R の3つの正体がわかりました。いよいよオームの法則の登場です。

📐 オームの法則

V = I × R
電圧 = 電流 × 抵抗

この式が言っているのはシンプル。「ある抵抗Rに、電流Iを流したとき、必要な電圧VはI×Rになる」ということです。

具体例で理解しよう

たとえば、抵抗R = 10Ω のところに、電流I = 2A を流したいとします。必要な電圧Vはいくら?

V = I × R = 2 × 10 = 20V

水道で言うと、「細いパイプに、たくさんの水を流したい → 高い水圧が必要」という当たり前の話。これが V=IR の物理的な意味です。

💡 イメージで覚える
・細いパイプ(大きなR)にたくさん水を流したい(大きなI) → ものすごい水圧(大きなV)が必要
・太いパイプ(小さなR)なら、少ない水圧(小さなV)でも水はたくさん流れる

3つの式を覚えるな!「求めたいもの」で式を作れ

オームの法則には、よく「3つの公式」が出てきます。

V = I × R 電圧Vを求めたいとき
I = V ÷ R 電流Iを求めたいとき
R = V ÷ I 抵抗Rを求めたいとき

…でも、これを3つ全部覚える必要はありません。覚えるのは V = IR の1つだけ。あとは中学の数学で式を変形するだけです。

式変形のやり方(中学レベルです)

たとえば、電流Iを求めたい場合:

V = I × R
↓ 両辺をRで割る
V ÷ R = I
∴ I = V ÷ R

抵抗Rを求めたい場合も同じ要領で:

V = I × R
↓ 両辺をIで割る
V ÷ I = R
∴ R = V ÷ I
🎯 覚え方の極意
「V = IR」を1つだけ呪文のように唱えてください。試験中、求めたいものが何かを考えて、その場で式変形すればOK。3つ覚えると、本番で「あれ、どっちがV÷Rで、どっちがI÷Rだっけ…」と混乱する原因になります。

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それでも不安な人へ:オームの法則「魔法の三角形」

「式変形が苦手…」という人のために、有名な裏技を紹介します。オームの法則の三角形です。

V
I × R

三角形の使い方

電圧Vを求めたい

「V」を指で隠す → 残った「I × R」が答え。
V = I × R

電流Iを求めたい

「I」を指で隠す → 残った「V/R」が答え(横線の上が分子、下が分母)。
I = V ÷ R

抵抗Rを求めたい

「R」を指で隠す → 残った「V/I」が答え。
R = V ÷ I

💡 ポイント
本気で電験三種合格を目指すなら、最終的には三角形に頼らず「V=IR」から一瞬で式変形できるようになりましょう。三角形はあくまで「最初の補助輪」です。
オームの法則の魔法の三角形の図。上にV、下にI×Rを並べ、求めたい量を指で隠すとV=I×R、I=V/R、R=V/Iがわかる
オームの法則の三角形:隠して残りで計算

実際に解いてみよう!例題2問

ここまで読んだら、もう実戦できます。手元に紙とペンを用意してください。Excelでもかまいません。

例題1:電流を求める(基本問題)

📝 問題
電圧100V の電源に、抵抗20Ω の電熱線をつないだ。流れる電流は何Aか?

求めたいもの:電流I。
わかっているもの:V = 100V、R = 20Ω。

V = IR を I = V/R に変形
↓
I = V ÷ R = 100 ÷ 20 = 5A

答え:5A。これは家庭用ドライヤー(弱)くらいの電流ですね。

例題2:電圧降下を求める(電験頻出パターン)

📝 問題
ある回路に 3A の電流が流れている。回路の途中に 4Ω の抵抗があるとき、この抵抗の両端の電圧降下は何Vか?

…ここで「電圧降下って何?」と止まった人、安心してください。

📘 電圧降下とは
抵抗を通った瞬間に、電圧が「ガクッと下がる量」のこと。水道で言えば、細い部分を通過するときに水圧が落ちる、あの現象です。

計算自体は、ただのオームの法則 V = IR です。難しい言葉に騙されないでください。

求めたいもの:電圧降下V。
わかっているもの:I = 3A、R = 4Ω。

V = I × R = 3 × 4 = 12V

答え:12V。たったこれだけです。

🔧 現場の声
電験三種・理論の問題は、「電圧降下」「端子電圧」「内部抵抗」など、難しそうな専門用語で出題されますが、計算式の正体はほぼV=IR一択です。用語に怯まず、「結局これV=IRじゃん」と気づければ8割勝ち。

初心者がつまずく3つのポイントと対処法

オームの法則は単純なはずなのに、応用問題でつまずく原因はだいたい以下の3つ。先回りして潰しておきましょう。

つまずき①:単位を確認していない

よくあるミス:問題文に「電流が500mA」と書いてあるのに、そのまま「I=500」で計算してしまう。

⚠️ 単位換算の鉄則
・1mA(ミリアンペア)= 0.001A
・1kΩ(キロオーム)= 1,000Ω
・1MΩ(メガオーム)= 1,000,000Ω

計算前に、必ず「A」「V」「Ω」の基本単位に揃えてから式に代入するクセをつけてください。

つまずき②:「電圧V」と「電位差V」が同じことに気づかない

電験三種では「電圧」「電位差」「端子電圧」「電圧降下」と、いろんな呼び方が出てきます。混乱しますよね。

💡 全部「電圧」で統一OK
細かい違いはありますが、計算上はすべて「単位がV(ボルト)」の同じ仲間。「電位差」と書いてあったら「電圧のことね」と心の中で翻訳してください。

つまずき③:「どの抵抗の話か」を見失う

回路に複数の抵抗があると、「全体の電圧V?それとも、この抵抗だけの電圧V?」と混乱します。

⚠️ 解決策
オームの法則 V=IR は、「ある1つの抵抗」と「その抵抗に流れる電流」と「その抵抗の両端の電圧」の関係を表しています。

複数の抵抗が出てきたら、必ず「どの抵抗の話か」を意識して、その抵抗だけにV=IRを適用してください。これは次の記事「直列回路と並列回路の違い」で詳しく扱います。

まとめ:オームの法則は「水道管の常識」だった

最後に、この記事のポイントをまとめます。

  • 電気回路は水道管と同じ。電圧=水圧、電流=水量、抵抗=パイプの細さ
  • 覚える式はV=IRの1つだけ。あとは中学の式変形で対応
  • 電流Iは「結果」。電圧Vと抵抗Rのバランスで決まる
  • 電圧降下も内部抵抗も、計算式の正体はV=IR。専門用語に怯まない
  • 計算前に単位を揃える。mA, kΩ, MΩは要注意

オームの法則がイメージで掴めれば、この先に出てくる「直列・並列回路」「キルヒホッフの法則」「テブナンの定理」も、すべて水の流れの応用として直感的に理解できます。

電験三種・理論の60点は、ここから始まります。次の記事へ進みましょう。

オームの法則V=I×Rを電気回路と水の流れで対比したまとめの図。電圧Vは水圧、電流Iは水量、抵抗Rは管の細さで、次は直列回路と並列回路へ
V=I×Rを電気回路と水の流れで対比
独学に不安があるなら、通信講座という選び方も

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S
シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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