法規科目の解説

特殊な場所の電気工事のまとめ|防爆・水中照明・電気さく・移動電線を図解

防爆の電気設備のアイキャッチ。粉じんやガスのある部屋で、金属管と防爆形の照明器具を使う

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防爆の場所の配線は金属管工事かケーブル工事、電気さくは(30V 以上の電源から受けるなら)15mA・0.1秒以下の漏電遮断器、低圧の移動電線は 0.75mm² 以上が基本の数字です(電技解釈)。防爆は防爆の節、電気さくの6つの条件は電気さくの節から読めます。

結論|まず30秒でわかる答え

爆発のおそれがある場所の配線は、金属管工事(薄鋼電線管以上・5山以上のねじ接続)かキャブタイヤケーブル以外のケーブル工事が基本です(電技解釈第175条〜第178条)。水中照明は絶縁変圧器の2次側150V以下、電気浴器は電源装置の2次側10V以下、遊戯用電車は直流60V以下・交流40V以下(第187条・第198条・第189条)、電気さくは30V以上の電源から受け人が容易に立ち入る場所なら15mA以下・0.1秒以下の漏電遮断器を付けます(第192条)。配線器具は充電部分を露出させず(第150条)、低圧の移動電線は断面積0.75mm²以上です(第171条)。

防爆の電気設備のアイキャッチ。粉じんやガスのある部屋で、金属管と防爆形の照明器具を使う
この記事で整理する決まり(早見表)

項目名を押すと、その節へ移ります。

項目覚える数字根拠
防爆の電気設備金属管(薄鋼電線管以上・5山以上)かケーブル工事電技解釈 第175条〜第178条
水中照明・電気浴器・遊戯用電車150V・30V、10V・電極間1m、直流60V・交流40V電技解釈 第187条・第198条・第189条
電気さくの施設30V以上なら15mA以下・0.1秒以下の漏電遮断器電技解釈 第192条・省令第74条
配線器具の施設充電部分を露出させない、接続点に張力をかけない電技解釈 第150条
移動電線の施設低圧0.75mm²以上、高圧はボルト締め電技解釈 第171条

防爆とは?電気の火花が「点火源」になるのを防ぐ

スイッチを入れたり切ったりすると、接点で小さな火花(アーク)が出ます。電動機や照明器具も、使っているうちに表面が熱くなります。ふつうの部屋なら問題ありませんが、空気中に燃えやすいガスや細かい粉じんが漂っている場所では、この火花や熱が爆発のきっかけ(点火源)になります。

そこで、電技省令は次の場所の電気設備について、通常の使い方で点火源にならないように施設することを求めています。

省令場所求めること
第68条粉じんの多い場所粉じんで絶縁性能や導電性能が劣化して、感電や火災が起きないように
第69条 一可燃性のガス又は引火性物質の蒸気が存在し、爆発するおそれがある場所電気設備が点火源となる爆発・火災のおそれがないように
第69条 二粉じんが存在し、爆発するおそれがある場所同上
第69条 三火薬類が存在する場所同上
第69条 四セルロイド・マッチ・石油類などの燃えやすい危険な物質を製造し、又は貯蔵する場所同上
たとえると

ガソリンスタンドで「火気厳禁」と書かれているのと同じ考え方です。マッチの火だけでなく、電気の小さな火花も「火気」になるので、電気設備そのものを火花が外に出ないつくりにします。

防爆の考え方の図。スイッチの火花がガスの点火源になるのを、火花が外に出ないつくりで防ぐ

場所ごとに使える配線工事(電技解釈第175条〜第178条)

電技解釈は、場所の危険の大きさに合わせて、使える配線工事を決めています。爆発の危険が大きい場所ほど、使える工事が少なくなります。

場所(条文)使える屋内配線の工事移動電線
爆燃性粉じん(マグネシウム・アルミニウムなど)・火薬類の粉末(第175条第一号)金属管工事、ケーブル工事3種・4種のキャブタイヤケーブルなど
可燃性ガス・引火性物質の蒸気(第176条)金属管工事、ケーブル工事3種・4種のキャブタイヤケーブルなど(接続点なし)
可燃性粉じん(小麦粉・でん粉など)(第175条第二号)合成樹脂管工事、金属管工事、ケーブル工事1種キャブタイヤケーブル以外
危険物を製造・貯蔵する場所(第177条)合成樹脂管工事、金属管工事、ケーブル工事1種キャブタイヤケーブル以外
火薬庫(第178条)照明器具とその電気設備だけ。金属管工事かケーブル工事、対地電圧150V以下、機器は全閉型-
覚え方

「爆発する(爆燃性粉じん・可燃性ガス)なら、金属管かケーブルの2つだけ。燃える(可燃性粉じん・危険物)なら、合成樹脂管も加えて3つ」と覚えます。

防爆の配線工事の一覧の図。爆燃性粉じんと可燃性ガスの場所は金属管工事とケーブル工事だけ、可燃性粉じんと危険物の場所は合成樹脂管工事も使える

金属管工事とケーブル工事のこまかい決まり

金属管工事

  • 金属管は、薄鋼電線管か、それと同等以上の強さのものを使う
  • 管どうし、管とボックス・電気機械器具は、5山以上ねじ合わせて堅ろうに接続する
  • 電動機につなぐ部分で曲げられる配線が要るところは、防爆型のフレキシブルフィッチングを使う
  • 爆燃性粉じんの場所では、パッキンなどで粉じんが中に入らないようにする

ケーブル工事

  • 電線は、キャブタイヤケーブル以外のケーブルを使う
  • がい装(鉄線などの外装)のあるケーブルやMIケーブル以外は、管などの防護装置に収める
  • 電気機械器具に引き込むときは、引込口で電線が傷つかないようにする
注意|ここで間違えやすい

屋内配線のケーブル工事ではキャブタイヤケーブルは使えませんが、移動電線(機器を動かして使うための電線)では、3種・4種などのキャブタイヤケーブルを使います。「配線」と「移動電線」で決まりが違うので、問題文がどちらの話かを確かめましょう。

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金属管・合成樹脂管・ケーブル工事など、低圧屋内配線の工事の種類がわかります

電験三種の過去問で確かめる

防爆の電気設備は、省令の空欄穴埋めと、解釈の工事例の正誤で出題されています。

年度・問題形式ポイント
令和3年度 問7空欄省令第68条「感電又は火災」、第69条「引火性物質の蒸気」「製造し、又は貯蔵する」
平成27年度 問8不適切なものを選ぶ可燃性ガスの場所の屋内配線で、不適切は「ケーブル工事でキャブタイヤケーブルを使用した」。薄鋼電線管・5山以上のねじ接続・MIケーブル・引込口の保護は適切
注意|ここで間違えやすい

平成27年度 問8では、MIケーブル(無機物で絶縁した、金属の外装をもつケーブル)は適切でした。「キャブタイヤケーブル以外のケーブル」なので、MIケーブルは使えます。

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省令(電技)と解釈(電技解釈)の役割の違いがわかります

防爆の電気設備でよくある間違い

よくある間違い正しい考え方
可燃性ガスの場所で合成樹脂管工事を使う可燃性ガス・爆燃性粉じんの場所は金属管かケーブルだけ
屋内配線にキャブタイヤケーブルを使うケーブル工事はキャブタイヤケーブル以外。キャブタイヤは移動電線で使う
管の接続は3山以上5山以上ねじ合わせる
粉じんの多い場所に特別高圧の設備を置ける特別高圧の電気設備は粉じんの多い場所に施設しない
省令第68条は「短絡又は火災」「感電又は火災」
防爆の電気設備のよくある間違いの図。可燃性ガスの場所は金属管かケーブル、屋内配線はキャブタイヤ以外のケーブル、管は5山以上ねじ合わせ、粉じんの多い場所に特別高圧は施設しない

ここからは、防爆の電気設備とあわせて出る決まりを、1つずつ節にまとめます。どの節も、条文の数字・図・過去問の順に読めます。

水中照明・電気浴器・遊戯用電車|絶縁変圧器150V・30V、電気浴器10V、直流60V・交流40V

要点

水中照明・電気浴器・遊戯用電車は、人が水にぬれたり、電気の通る部分の近くにいたりするので、電技解釈で特別に低い電圧と絶縁変圧器が求められます。水中照明は絶縁変圧器の1次側300V以下・2次側150V以下で、2次側30V以下なら混触防止板にA種接地工事、2次側の電路は非接地で配線は金属管工事です。電気浴器は電源装置の2次側10V以下・電極間1m以上、遊戯用電車は直流60V以下・交流40V以下です。

水や人の近くでは「低い電圧」と「絶縁変圧器」で守る

ぬれた体は電気が流れやすく、ふだんなら問題にならない電圧でも危険になります。そこで、水の中や浴槽、人が乗る遊具では、使う電圧を低くし、さらに絶縁変圧器(1次側と2次側が電気的につながっていない変圧器)で、ふつうの電路から切り離します。

たとえると

絶縁変圧器は、川に橋をかけずに渡し舟で荷物だけ運ぶようなものです。エネルギーは向こう岸へ届きますが、道(電路)はつながっていないので、こちら側の事故がそのまま向こう側に伝わりにくくなります。

施設電技解釈使う電圧の上限変圧器
水中照明灯(プールなど)第187条2次側150V以下絶縁変圧器(1次側300V以下)
電気浴器第198条電源装置の2次側10V以下電気用品安全法の適用を受ける電源装置
遊戯用電車(遊園地の乗り物)第189条直流60V以下・交流40V以下絶縁変圧器(1次側300V以下)
特殊な施設の電圧の比較の図。水中照明は2次側150V以下、電気浴器は2次側10V以下、遊戯用電車は直流60V・交流40V以下、変圧器の1次側は300V以下

水中照明灯の決まり(第187条)

部分決まり
絶縁変圧器1次側の使用電圧300V以下、2次側の使用電圧150V以下。交流5,000Vで1分間の絶縁耐力試験に耐える
混触防止板2次側の使用電圧が30V以下のとき、1次巻線と2次巻線の間に金属製の混触防止板を設け、A種接地工事
2次側の電路非接地。開閉器と過電流遮断器を各極に施設。30Vを超えるときは地絡遮断装置
配線金属管工事
移動電線断面積2mm²以上の多心キャブタイヤケーブル(接続点を設けない)
容器などの金属部分C種接地工事
注意|ここで間違えやすい

混触防止板の接地は「A種」です。B種接地と取りちがえやすいので注意してください。2次側30V以下で地絡遮断装置がいらないのは、電圧がとても低いからです(30Vを超えると地絡遮断装置が必要)。

水中照明の絶縁変圧器の図。1次側300V以下・2次側150V以下、2次側30V以下なら混触防止板にA種接地、2次側は非接地で配線は金属管工事、30Vを超えるときは地絡遮断装置

電気浴器(第198条)と遊戯用電車(第189条)

電気浴器

部分決まり
電源電気用品安全法の適用を受ける電気浴器用電源装置(2次側の使用電圧10V以下)
接地電源装置の金属製外箱と、電線を収める金属管にD種接地工事
置き場所浴室以外の乾燥した場所で、取扱者以外が容易に触れない箇所
浴槽内の電極電極間の距離1m以上、人が容易に触れないように
絶縁抵抗0.1MΩ以上

遊戯用電車

部分決まり
電車に供給する電路直流60V以下、交流40V以下
変成する変圧器絶縁変圧器で、1次側の使用電圧300V以下
電車内の昇圧用変圧器絶縁変圧器で、2次側150V以下
接触電線サードレール式
漏えい電流レールの延長1kmにつき100mA以下
覚え方

数字の覚え方:水中照明は「150・30」、電気浴器は「10V・1m」、遊戯用電車は「直流60・交流40」。変圧器の1次側は、水中照明も遊戯用電車も「300V以下」でそろっています。

電験三種の過去問で確かめる

年度・問題問われたこと答え
令和4年度上期 問7水中照明の絶縁変圧器の(ア)電圧、混触防止板の(イ)種接地、2次側の(ウ)、配線の(エ)工事使用・A・非接地式電路・金属管
令和2年度 問8遊戯用電車の変圧器の1次側、電気浴器の2次側、電気自動車の出力300V・10V・10kW

電気さくの施設|6つの条件と30V・15mA・0.1秒

要点

電気さく(電気柵)とは、屋外に裸電線を張り、その電線に電気を流して使うさくです。電技省令第74条で原則として施設してはならず、電技解釈第192条の条件を満たすものだけが認められます。条件は、①田畑・牧場などで野獣の侵入や家畜の脱出を防ぐ、②危険である旨の表示、③電気さく用電源装置から電気を受ける、④30V以上の電源から受け人が容易に立ち入る場所なら15mA以下・0.1秒以下の漏電遮断器、⑤専用の開閉器、⑥無線設備に障害を与えるおそれのある場所に置かない、の6つです。

電気さくとは?裸電線に電気を流す、例外的な設備

電気の設備は、ふつう人が電線にふれても感電しないように、電線を絶縁物で覆ったり、人の手の届かない高さに置いたりします。電気さくはその逆で、わざと裸電線(覆いのない電線)を人や動物がふれる高さに張り、ふれると電気ショックを受けるようにした設備です。

そのため、電技省令第74条は「電気さくは施設してはならない」を原則にしています。ただし、田畑や牧場で、イノシシやシカなどの野獣の侵入や、家畜の脱出を防ぐために、絶縁性がないことを考えて感電や火災のおそれがないように施設するときに限って、例外として認めています。

たとえると

「原則として立入禁止。ただし、決まった服装と手順を守る人だけ入ってよい」という工場の決まりと同じです。何のために使うか(目的)と、どう安全にするか(電源・遮断器・表示)がそろったときだけ、例外が認められます。

POINT

電気さくの電気は、電気さく用電源装置が、短い時間だけ流れる衝撃電流(パルス)にして送ります。コンセントの100Vをそのまま裸電線につなぐのは、第192条の条件(電気さく用電源装置から受ける)に合わない、危険な施設です。

電気さくの原則と例外の図。電気さくは省令第74条で原則として施設してはならず、田畑・牧場で野獣の侵入や家畜の脱出を防ぐものだけ例外

電技解釈第192条の6つの条件

第192条は、次の6つの号に適合する電気さくだけを施設してよいとしています。

号覚える語内容
第一号目的田畑・牧場など、これに類する場所で、野獣の侵入又は家畜の脱出を防止するためのもの
第二号表示人が見やすいように、適当な間隔で危険である旨の表示をする
第三号電源電気用品安全法の適用を受ける電気さく用電源装置、または出力電流が制限される電気さく用電源装置で、電気用品安全法の適用を受ける直流電源装置や、蓄電池・太陽電池などの直流の電源から電気を受けるもの
第四号漏電遮断器電源装置が使用電圧30V以上の電源から電気を受け、人が容易に立ち入る場所に施設するときは、電流動作型で定格感度電流15mA以下・動作時間0.1秒以下の漏電遮断器を施設する
第五号開閉器電気さくに電気を送る電路には、容易に開閉できる箇所に専用の開閉器を施設する
第六号電波衝撃電流を繰り返し出す電源装置は、無線設備の機能に継続的かつ重大な障害を与えるおそれのある場所に施設しない
覚え方

「目的・表示・電源・漏電遮断器・開閉器・電波」の6語で覚えます。数字が出てくるのは第四号だけで、「30V以上なら、15mA・0.1秒」とセットで覚えましょう。

注意|ここで間違えやすい

漏電遮断器の15mA・0.1秒は、第192条の電気さくのための数字です。住宅などの一般的な漏電遮断器(高感度形の30mA・0.1秒以内のものなど)と混ざらないように注意してください。

電気さくの6つの条件の図。目的は田畑・牧場、危険である旨の表示、電気さく用電源装置、30V以上なら15mA・0.1秒の漏電遮断器、専用の開閉器、無線への障害に注意

漏電遮断器が要るのは、どんなとき?

第四号の漏電遮断器は、すべての電気さくに要るわけではありません。「電源の電圧」と「人が立ち入るかどうか」の2つで決まります。

電気さく用電源装置の電気の受け方人が容易に立ち入る場所漏電遮断器(15mA・0.1秒)
コンセント(交流100V)から受ける立ち入る要る(30V以上の電源)
コンセント(交流100V)から受ける立ち入らない第四号の対象外
12Vの蓄電池から受ける立ち入る第四号の対象外(30V未満)
太陽電池(30V未満のもの)から受ける立ち入る第四号の対象外(30V未満)

直流電源装置を介して電気を受ける場合は、電気さく用電源装置ではなく、直流電源装置が30V以上の電源から受けるかどうかで判断します(第四号のかっこ書き)。

注意|ここで間違えやすい

第四号が対象外になっても、第一号〜第三号・第五号・第六号は守る必要があります。漏電遮断器が要らない電気さくでも、危険の表示と専用の開閉器は要ります。

電験三種の過去問で確かめる

電気さくは、令和5年度下期 問8と平成28年度 問9で、ほぼ同じ空欄穴埋めの問題が出題されています。省令第74条と解釈第192条の両方から空欄がつくられています。

空欄正解まちがいの選択肢
(ア)省令第74条:〇〇のおそれがないように施設する感電又は火災損壊
(イ)第二号:適当な間隔で〇〇である旨の表示危険電気さく
(ウ)第四号:使用電圧〇〇V以上の電源30100
(エ)第四号:定格感度電流〇〇mA以下1510
注意|ここで間違えやすい

「電気さくである旨の表示」は、それらしく見えるまちがいの選択肢です。条文は「危険である旨」です。表示の目的は、そこに電気さくがあることではなく、ふれると危険であることを知らせることだと考えると迷いません。

配線器具の施設|充電部分の露出・張力・防護装置と非包装ヒューズ

要点

配線器具とは、開閉器・点滅器(スイッチ)・接続器(コンセントやプラグ)など、配線の途中で電気をつないだり切ったりする器具のことです。電技解釈第150条で、低圧用の配線器具は①充電部分が露出しないように施設する ②湿気・水気の多い場所では防湿装置を施す ③電線はねじ止めなどで堅ろうに接続し、接続点に張力が加わらないようにする ④屋外で損傷を受けるおそれがあれば堅ろうな防護装置を施す、と決められています。

配線器具とは?配線の途中で「つなぐ・切る」器具

種類身近な例役割
開閉器分電盤の中のスイッチ類回路をまとめて入れたり切ったりする
点滅器壁の照明スイッチ照明などを点けたり消したりする
接続器コンセント・プラグ・差込み接続器機器をつないだり外したりする
その他ヒューズを収めた器具など過電流から回路を守る

配線器具は、人がさわる場所にあることが多く、毎日抜き差しや開け閉めをします。そのため、さわっても感電しない・引っぱられても外れない・壊れにくい、という決まりが必要になります。

配線器具の種類の図。開閉器・点滅器(スイッチ)・接続器(コンセントやプラグ)は、配線の途中でつなぐ・切る器具

第150条の4つの決まり(露出・湿気・張力・損傷)

号決まり例
第一号充電部分が露出しないように施設する(取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所は除く)コンセントやスイッチはカバー付き
第二号湿気の多い場所・水気のある場所では、防湿装置を施す浴室の近くや屋外は防水形・防滴形
第三号ねじ止めなどで堅ろうに、電気的に完全に接続し、接続点に張力が加わらないようにするコードを引っぱっても端子に力がかからない
第四号屋外の開閉器・接続器・点滅器などは、損傷を受けるおそれがあれば、堅ろうな防護装置を施す屋外コンセントの保護カバー
覚え方

4つの号は「露出・湿気・張力・損傷」の4語で覚えます。空欄で迷ったら、「人がさわる→露出」「水→湿気」「引っぱる→張力」「ぶつかる→損傷」と、場面を思いうかべましょう。

注意|ここで間違えやすい

接続点の張力は「加わらないように」です。「張力に耐えるように」ではありません。電線の接続部は、引っぱる力がかからないようにするのが基本です。

電技解釈第150条の4つの決まりの図。充電部分が露出しない、湿気の多い場所は防湿装置、接続点に張力を加えない、屋外で損傷のおそれがあれば防護装置

非包装ヒューズを収める箱(第150条第2項)

非包装ヒューズ(むき出しのヒューズ)は、溶けたときにアーク(火花)が出ます。そのため、不燃性のもので作った箱、または内面全てに不燃性のものを張った箱の中に施設します。

例外になる場合(使用電圧300V以下の低圧配線)中身
極と極の間の隔壁開閉やヒューズの溶断で出るアークが、ほかの極に及ばない絶縁性の隔壁
カバー耐アーク性の合成樹脂で、振動で外れない
完成品の性能JIS C 8308「カバー付きナイフスイッチ」の温度上昇・短絡遮断・耐熱・カバーの強度に適合
または電気用品安全法の適用を受ける器具に収める

電験三種の過去問で確かめる

年度・問題空欄答え
令和6年度上期 問9・令和2年度 問9(同じ問題)(ア)ように施設、接続点に(イ)が加わらない、(ウ)おそれがある場合は防護装置充電部分が露出しない・張力・損傷を受ける
注意|ここで間違えやすい

選択肢の「取扱者以外の者が容易に開けることができない」は、地中箱などのふたの決まりで使われる言い回しです。配線器具の第一号は「充電部分が露出しない」です。

移動電線の施設|0.75mm²・キャブタイヤケーブルの種類と高圧のボルト締め

要点

移動電線とは、電気掃除機や工場の移動式の機械など、動かして使う電気機器につなぐ電線(コード・キャブタイヤケーブル)です。電技解釈第171条で、低圧は断面積0.75mm²以上で171-1表の電線を使い、屋内配線とは差込み接続器でつなぐこと、高圧は高圧用の3種クロロプレンキャブタイヤケーブルなどを使い、機器とはボルト締めなどで堅ろうにつなぎ、専用の開閉器・過電流遮断器と地絡遮断装置を置くこと、特別高圧は屋内の電気集じん装置などを除き施設しないこと、が決められています。

移動電線とは?固定した配線との違い

建物の壁や天井に固定した電線は「配線」です。これに対して、コンセントから電気機器までの、動かすことのある電線が「移動電線」です。移動電線は、引っぱられたり、踏まれたり、曲げられたりするので、配線とは別の決まりがあります。

配線(屋内配線など)移動電線
例壁の中のVVFケーブル、金属管の中の電線掃除機のコード、移動式の溶接機・クレーンのケーブル
つなぎ方ねじ止め・圧着などで固定差込み接続器(プラグとコンセント)などで、抜き差しできる
使う電線絶縁電線・ケーブルコード・キャブタイヤケーブル(曲げに強い、厚い外装のケーブル)
たとえると

家の水道管(配線)と、庭の散水ホース(移動電線)の違いです。ホースは引っぱったり踏んだりするので、やわらかくて丈夫なものを使い、蛇口にはワンタッチでつなぎます。

POINT

省令第56条第2項は、移動電線を電気機械器具とつなぐときに「接続不良による感電又は火災のおそれがないように」施設することを求めています。抜けかけたプラグや、ゆるんだ接続は、発熱や火災の原因になるからです。

配線と移動電線の違いの図。配線は壁に固定してねじ止め、移動電線は動かす機器に差込み接続器でつなぐ

低圧・高圧・特別高圧の移動電線の決まり

低圧(第171条第1項)高圧(第171条第3項)特別高圧(第171条第4項)
電線断面積0.75mm²以上。171-1表のコード・キャブタイヤケーブル高圧用の3種クロロプレンキャブタイヤケーブル又は3種クロロスルホン化ポリエチレンキャブタイヤケーブル屋内の電気集じん応用装置など(第191条)を除き、施設しない
屋内配線などとの接続差込み接続器その他これに類する器具--
機器との接続差込み接続器その他これに類する器具(簡易接触防護措置をした端子へのコードのねじ止めは可)ボルト締めその他の方法で堅ろうに-
電路の保護-専用の開閉器と過電流遮断器を各極に、地絡を自動で遮断する装置-
覚え方

低圧は「0.75mm²・差込み接続器」、高圧は「3種キャブタイヤ・ボルト締め・過電流遮断器・地絡遮断」、特別高圧は「原則施設しない(屋内の電気集じん装置などだけ)」の3段で覚えます。

注意|ここで間違えやすい

低圧の移動電線でも、電気ひげそりなどの軽い家庭用機器の2.5m以下の金糸コード、装飾用電灯器具、エレベータ用ケーブル、溶接用ケーブルは、0.75mm²や171-1表の決まりによらなくてよい例外があります(第171条第1項第三号)。

移動電線の決まりの図。低圧は0.75mm²以上で差込み接続器、高圧は3種キャブタイヤケーブル・ボルト締め・過電流と地絡の遮断、特別高圧は屋内の電気集じん装置などを除き施設しない

171-1表:使える電線の種類

低圧の移動電線に使える電線は、使用電圧と施設場所(屋内・屋側・屋外)で決まります。熱を出す機器には、熱に強い電線を使うのが基本の考え方です。

電線の例171-1表での扱い
ビニルコード乾燥した屋内で、扇風機・電気スタンドなど、電気を熱として使わない機器などに附属する移動電線に限って使える
防湿コード使用電圧300V以下の屋内で使える(屋側は雨露にさらされない場合)
キャブタイヤケーブル類(ゴム・クロロプレンなど)種類によって、屋側・屋外や、使用電圧300Vを超える移動電線にも使える

細かい区分は電技解釈の171-1表で確かめてください。試験では「高圧は3種クロロプレン(又は3種クロロスルホン化ポリエチレン)キャブタイヤケーブル」が最もよく問われます。

電験三種の過去問で確かめる

令和6年度下期 問8は、平成28年度 問4と同じ問題です。省令と解釈の両方から空欄がつくられています。

空欄正解出どころ
(ア)接続不良による感電又は〇〇のおそれ火災省令第56条第2項
(イ)高圧の移動電線に電気を供給する電路の〇〇遮断器過電流省令第66条第1項
(ウ)高圧の移動電線と機器は〇〇その他の方法で堅ろうに接続ボルト締め解釈第171条第3項第二号
(エ)特別高圧の移動電線は、電気集じん応用装置に附属するものを〇〇に施設する場合を除き施設しない屋内解釈第171条第4項
注意|ここで間違えやすい

(イ)の選択肢「地絡」はまちがいです。省令第66条第1項は過電流遮断器で、地絡については第2項で「地絡遮断器の施設その他の適切な措置」を求めています。(ウ)の「差込み接続器使用」は低圧の決まりです。

よくある質問

Q. 防爆の電気設備とは何ですか?

A. 粉じんや可燃性ガスなどがある場所で、電気設備が点火源となって爆発や火災が起きないように施設するものです。

Q. 可燃性ガスのある場所で使える配線工事は?

A. 電技解釈第176条で、金属管工事とケーブル工事です。ケーブルはキャブタイヤケーブル以外のものを使います。

Q. 防爆の場所の金属管の接続は何山以上?

A. 管どうしや、管とボックス・電気機械器具とは、5山以上ねじ合わせる方法などで堅ろうに接続します。

Q. 防爆の場所でキャブタイヤケーブルは使える?

A. 屋内配線のケーブル工事では使えません。移動電線では3種・4種などのキャブタイヤケーブルを使います。

Q. 危険物のある場所で使える工事は?

A. 電技解釈第177条で、合成樹脂管工事・金属管工事・ケーブル工事の3つが使えます。

Q. 水中照明の絶縁変圧器の電圧は?

A. 1次側の使用電圧300V以下、2次側150V以下です。2次側30V以下なら混触防止板にA種接地工事をします。

Q. 電気さくの施設の条件は?

A. 電技解釈第192条の6つで、目的・危険の表示・電源装置・漏電遮断器・専用の開閉器・無線への障害が決められています。

Q. 配線器具とは?

A. 開閉器・点滅器・接続器など、配線の途中で電気をつないだり切ったりする器具のことです。

Q. 移動電線とは何ですか?

A. 掃除機や移動式の機械など、動かして使う電気機器につなぐコードやキャブタイヤケーブルです。固定した配線とは別の決まりがあります。

この記事の要点
  • 防爆の目的は、電気設備が点火源になる爆発・火災を防ぐこと(省令第68条・第69条)
  • 爆燃性粉じん・可燃性ガスの場所は、金属管工事かケーブル工事だけ
  • 可燃性粉じん・危険物の場所は、合成樹脂管工事も使える
  • 金属管は薄鋼電線管以上、5山以上のねじ接続
  • 屋内配線のケーブルはキャブタイヤ以外。移動電線は3種・4種などのキャブタイヤ
  • 水中照明は絶縁変圧器の2次側150V以下、電気浴器は10V以下、遊戯用電車は直流60V・交流40V以下
  • 電気さくは原則禁止で、第192条の6つの条件を満たすものだけ。30V以上の電源なら15mA・0.1秒の漏電遮断器
  • 配線器具は充電部分を露出させず、湿気には防湿装置、接続点に張力をかけない
  • 低圧の移動電線は0.75mm²以上で171-1表の電線、高圧はボルト締めと専用の開閉器・地絡遮断装置
参考にした資料

法令・規格・資料は改訂されることがあります。実務で使うときは、発行元の最新版で確かめてください。

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電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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