電気のしくみ(暮らしと現場)

電気代の値上げはなぜ11月から?託送料金・燃料費調整額・補助の終わりを1kWhで計算

電気代が11月から上がる理由のアイキャッチ。夜の家の電力量計(スマートメーター)の写真に、300kWh の家で +1,447円 の文字

電気代の値上げは、300kWh 使う家で10月分 9,527円 → 11月分(新しい単価)10,974円。差は +1,447円。

先に答え

11月から電気代が上がる理由は3つです。国の補助(9月使用分 1kWhあたり3.5円)が10月使用分から無くなること、11月1日から託送料金(送配電網の使用料)の見直しが料金に入ること、燃料費調整の値引きが小さくなることです。300kWh・従量電灯B 30A(東京電力・関東)なら、10月分 9,527円 → 新しい単価で 10,974円、+1,447円。そのうち1,050円は補助の終わりの分です。

「電気代 値上げ」の検索は、10月の後半に一気に増えました(Bing の直近4週が前の4.8倍)。上位は料金の比較サイトです。金額の表はあっても、何がいくら効いたかを1kWh まで分けたものは見当たりませんでした。この記事は、電力会社の発表の単価だけを使って、その分解をやります。

前提は東京電力エナジーパートナー(以下、東京電力EP)の関東エリア・規制料金の従量電灯B です。ほかのエリアや自由料金のプランは単価が違います。式と考え方を持ち帰ってください。

電気代の値上げの内訳。300kWh・従量電灯B 30A で10月分 9,527円 から、補助の終わり +1,050円、託送料金の見直し +256円、燃料費調整 +141円 で11月分 10,974円

11月分の電気代はいくら上がる?300kWh で計算

300kWh・30A の電気代は、10月分 9,527円、11月分を新しい単価で1か月分計算すると 10,974円で、+1,447円です。上がった分の約7割の1,050円は、国の補助(3.5円×300kWh)が無くなった分です。

項目10月分(9月使用)11月分(新しい単価)差
基本料金(30A)935.25円1,176.18円+240.93円
電力量料金(3段階)10,128円10,143円+15円
燃料費調整額▲9.30円×300=▲2,790円▲5.33円×300=▲1,599円+1,191円
再エネ賦課金4.18円×300=1,254円1,254円0円
合計9,527円10,974円+1,447円

東京電力EP の単価(税込。2026-09-29 発表)で計算。10月分の燃料費調整 ▲9.30円 は、支援反映前の ▲5.80円 から国の補助 3.50円 を引いた値。電力量料金は 120kWh まで 29.80円(新 29.85円)、120〜300kWh 36.40円(新 36.45円)。円未満は切り捨て。

差の +1,447円 は、次の3つに分かれます。

補助の終わり +1,050円

9月使用分の 3.50円/kWh の値引きが、10月使用分から無くなる。3.50×300=1,050円

託送料金の見直し +256円

基本料金が 30A で +240.93円、電力量料金が 1kWh あたり +0.05円(×300=15円)

燃料費調整 +141円

値引きが ▲5.80円 → ▲5.33円 に縮む。0.47×300=141円

計算は、東京電力EP が発表した平均モデル(30A・260kWh)で先に確かめました。同じ式で 260kWh を入れると、10月分 8,275円、11月分(新)9,561円、差 1,286円。発表の数字と1円単位で一致しました。300kWh の数字も同じ式です。

「11月分」はいつ使った電気?使用月と請求月

電気料金の「11月分」は、10月の検針日から11月の検針日までに使った電気(10月使用分)です。補助は9月使用分(10月分)まで、託送料金の見直しは11月1日からなので、11月分は旧と新の単価を日割りした金額になります。

請求使った期間補助託送料金の見直し
10月分9月使用分3.5円/kWh前
11月分10月使用分なし11月1日をまたぐので日割り
12月分11月使用分なし(冬の補助は未定)1か月まるごと新しい単価

ここで迷ったのが、11月分を日割りで出すか、1か月まるごと新しい単価で出すかでした。検針日は家ごとに違います。だから日割りの割合も家ごとに変わります。この記事は「まるごと新しい単価」で出し、11月分の実際の請求は、旧の単価の 10,718円 と新の単価の 10,974円 の間(300kWh の場合)と読むことにしました。

検針票で見るところ

検針票(Web の明細)の「ご使用期間」と「ご使用量」を見ると、どの月の電気か、何 kWh かが分かります。燃料費調整単価の欄にマイナスの数字があれば、それが値引きです。

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電気料金の使用月と請求月の関係。補助は7月・8月・9月使用分で 3.5円・4.5円・3.5円、10月使用分は補助なし。託送料金の見直しは11月1日からで11月分は日割り

1kWh あたりに分けると:31.76円 → 36.58円

300kWh の電気代を1kWh あたりに直すと、10月分 31.76円、11月分(新しい単価)36.58円で、+4.82円です。いちばん大きいのは、燃料費調整の欄に入っていた補助の 3.50円 が消える分です。

1kWh あたり(300kWh)10月分11月分(新)差
基本料金÷3003.12円3.92円+0.80円
電力量料金(平均)33.76円33.81円+0.05円
燃料費調整▲9.30円▲5.33円+3.97円
再エネ賦課金4.18円4.18円0円
実質の単価31.76円36.58円+4.82円

燃料費調整の差 3.97円 は、補助の終わり 3.50円 と燃料費調整そのものの変化 0.47円 の合計(東京電力EP の発表の「前月分との差 3円97銭」と同じ)。

「電気代は1kWh 31円」という目安を見かけることがありますが、実際の単価は使った量と月で変わります。300kWh の家なら、10月分は補助で約32円。11月分は約37円です。

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1kWh あたりの電気代の内訳。300kWh で10月分 31.76円、11月分 36.58円。基本料金・電力量料金・再エネ賦課金 4.18円 と燃料費調整額の値引き ▲9.30円 → ▲5.33円

託送料金とは?11月1日から上がった理由

託送料金とは、電力会社(小売)が電気を家まで届けるときに、送配電網を持つ一般送配電事業者に払う使用料です。電気代の中に含まれていて、検針票に別の行では出ません。2026年11月1日から、物価・労務費・金利の上昇を理由に見直されました。

東京電力パワーグリッドは2026年7月10日、託送料金のもとになる「収入の見通し」を、5年合計で 7兆6,062億円(現行より 2,516億円 増)とする変更を国に申請しました。理由は、制度が始まった時点では想定できなかった物価・労務費単価の高騰や金利の上昇です。新しい託送料金は11月1日から使われ、東京電力EP はそれを同じ日に電気料金へ反映しました。

託送の見直しは、ほとんどが基本料金に乗った

東京電力EP の単価表を並べると、従量電灯B の基本料金は 30A で 935.25円 → 1,176.18円(+25.8%)、電力量料金は 1kWh あたり +0.05円 だけです。300kWh の家なら、託送の分 +256円 のうち 241円 が基本料金。ほぼ全部です。

使用量(30A)託送の見直しの分請求に対する割合
100kWh+246円6.5%
200kWh+251円3.5%
260kWh+254円2.7%
300kWh+256円2.4%
400kWh+261円1.8%
500kWh+266円1.4%

10月使用分の燃料費調整単価(▲5.33円)で、旧と新の単価の差だけを計算した値。

設計の目線で見ると、これは固定費と変動費の分け方の話です。電線・鉄塔・変圧器のような設備の費用は、その月に何 kWh 流れたかではあまり変わりません。だから使用量に比例する単価ではなく、契約ごとの基本料金で回収する形に寄せた、と読むのが自然です(電力会社がそう説明しているわけではなく、単価表から読んだ筆者の推測です)。結果として、使う量が少ない家ほど上がる率が大きくなります。

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燃料費調整額の計算:11月分は ▲5.33円

燃料費調整単価は、3〜5か月前の燃料価格(原油・LNG・石炭)の平均と基準の価格の差から決まります。11月分は2026年6〜8月の平均燃料価格 57,000円/kl が基準の 86,100円/kl より安いので値引きで、▲5.33円/kWh です。

燃料費調整単価(東京電力EP・低圧)
(平均燃料価格 − 86,100円/kl)× 18.3銭 ÷ 1,000

11月分に当てはめると、(57,000 − 86,100)× 18.3 ÷ 1,000 = −532.53銭。小数点以下を四捨五入して −533銭、つまり ▲5.33円/kWh です。10月分(補助を入れる前)は ▲5.80円 だったので、燃料価格が上がった分だけ値引きが 0.47円 小さくなりました。

マイナスなのに「値上げ」の理由

燃料費調整単価はマイナス(値引き)のままです。値引きの幅が ▲9.30円(補助込み)から ▲5.33円 に縮むので、請求は増えます。検針票の燃料費調整額がマイナスでも、前の月より小さいマイナスなら値上がりです。

燃料価格が電気代に届くまで2〜3か月のずれがあるので、ニュースで燃料が上がったと聞いた月より、少しあとで電気代に出てきます。12月分(7〜9月の燃料価格)の単価は、東京電力EP が10月末に発表します。

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燃料費調整額の計算。6〜8月の平均燃料価格 57,000円/kl と基準燃料価格 86,100円/kl の差に 18.3銭 を掛けて、11月分は ▲5.33円/kWh

電気・ガス料金支援はいつまで?補助の終わり

国の電気・ガス料金支援は、2026年7月使用分〜9月使用分の3か月で、低圧の電気は1kWh あたり 7・9月使用分 3.5円、8月使用分 4.5円 の値引きでした。10月使用分(11月分)からは値引きがありません。

使用月請求値引き(低圧)300kWh の値引き額
7月使用分8月分3.5円/kWh1,050円
8月使用分9月分4.5円/kWh1,350円
9月使用分10月分3.5円/kWh1,050円
10月使用分11月分なし0円

資源エネルギー庁の電気・ガス料金支援の特設サイトと東京電力EP の発表(2026-06-02)。値引きは燃料費調整単価から差し引く形で、申し込みは要らなかった。

冬(2027年1〜3月使用分)の補助は、10月下旬の時点で「政府が検討に入った」と報道されている段階で、決まっていません。ここでは言えません。決まれば資源エネルギー庁の特設サイトに単価が出るので、そこで確かめてください。

使う量ごとの上がり幅:100〜500kWh の早見表

10月分から11月分(新しい単価)への上がり幅は、30A で 100kWh +643円、300kWh +1,447円、500kWh +2,251円 です。上がる額は使う量にほぼ比例し、上がる率は少ない家ほど大きくなります(基本料金の分)。

使用量10月分11月分(新)差率
100kWh3,403円4,046円+643円18.9%
200kWh6,399円7,444円+1,045円16.3%
260kWh8,275円9,561円+1,286円15.5%
300kWh9,527円10,974円+1,447円15.2%
400kWh13,064円14,913円+1,849円14.2%
500kWh16,601円18,852円+2,251円13.6%

東京電力EP・従量電灯B 30A・関東。10月分は補助込み(燃料費調整 ▲9.30円)、11月分は新しい単価・燃料費調整 ▲5.33円 で1か月分。再エネ賦課金は 4.18円/kWh(円未満切り捨て)。

一人暮らしで 100kWh 前後なら +600円台、家族で 400〜500kWh なら +2,000円 前後が目安です。契約が 40A・50A なら、基本料金の上がり幅(40A +321.24円、50A +401.55円)がさらに乗ります。

電気代の値上げの使用量ごとの早見。100kWh +643円、200kWh +1,045円、300kWh +1,447円、400kWh +1,849円、500kWh +2,251円

電気代の値上げの計算ツール(東京電力・従量電灯B)

使用量(kWh)と契約アンペアを入れると、10月分(補助込み)と11月分(新しい単価で1か月分)と、その差を出します。式は本文と同じで、東京電力EP の発表の 260kWh・30A(8,275円 → 9,561円)と一致します。

関東・規制料金(従量電灯B)の単価で計算しています。自由料金のプランや、ほかのエリアは単価が違うので目安として使ってください。11月分の実際の請求は、検針日に応じた日割りになります。

上がった分を打ち消すには何 kWh 減らせばいい?

300kWh の家で +1,447円 を打ち消すには、月に約41kWh 減らす計算です。120〜300kWh の段では、1kWh 減らすと 36.45円 − 5.33円 + 4.18円 = 35.30円 下がるからです。

1,447円 ÷ 35.30円 ≒ 41kWh。1kW の電気ストーブなら約41時間分。1日あたり1時間20分ほどです。基本料金の分は使う量を減らしても下がりません。下げるなら契約アンペアを見直すことになりますが、同時に使う家電の電流の合計が足りるかを先に確かめる必要があります。

数字で判断する順番

① 検針票の使用量と契約アンペアを計算ツールに入れる → ② 差のうち「補助の終わり」がいくらかを見る(使用量×3.5円)→ ③ 減らす kWh の目安=差÷35.30円 → ④ 契約アンペアを下げるなら、同時に使う家電の電流を足し合わせて確かめる。

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11月の電気代でよくある勘違い

11月の値上げでよくある勘違いは、託送料金で1kWh の単価が大きく上がった、11月分から全部が新しい料金、補助は冬も自動で続く、たくさん使う家ほど率が上がる、の4つです。

勘違い実際
託送料金の見直しで 1kWh の単価が大きく上がった電力量料金は +0.05円。上がったのは主に基本料金(30A で +240.93円)
11月分の請求から全部が新しい料金11月分は旧と新の日割り。12月分(11月使用分)から1か月まるごと
補助は冬も自動で続く決まっているのは9月使用分まで(10月下旬時点)
電気をたくさん使う家ほど率が上がる額は使う量に比例、率は少ない家ほど大きい(基本料金の分)
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電力(kW)と電力量(kWh)の違い。検針票の kWh は電力量

11月の電気代の値上げでよくある勘違い4つ。託送料金は主に基本料金、11月分は日割り、補助は9月使用分まで、率は少ない家ほど大きい

よくある質問(FAQ)

Q. 電気代はなぜ11月から上がるのですか?

A. 国の補助が9月使用分で終わり、11月1日から託送料金の見直しが電気料金に入り、燃料費調整の値引きも小さくなるためです。

Q. 託送料金とは何ですか?

A. 送配電網の使用料です。電力会社が一般送配電事業者に払い、検針票の別の行ではなく電気代の中に含まれています。

Q. 11月分の電気代はいつ使った分ですか?

A. 10月の検針日から11月の検針日までに使った電気(10月使用分)です。託送料金の見直しは日割りで入ります。

まとめ:上がる3つの理由と金額

まとめ
  • 300kWh・30A(東京電力・関東)は 10月分 9,527円 → 11月分(新単価)10,974円、+1,447円
  • 内訳は補助の終わり 1,050円・託送料金の見直し 256円・燃料費調整 141円
  • 託送の見直しは主に基本料金(30A で +240.93円)。率は使う量が少ない家ほど大きい
  • 11月分は日割り、12月分から1か月まるごと新しい単価
  • 打ち消すなら月 約41kWh(1kWh あたり 35.30円)

次の一歩は、手元の検針票の使用量と契約アンペアを計算ツールに入れることです。差のうちどれだけが補助の終わりかが分かれば、節約で取り戻す量の目安が立ちます。

参考にした資料

(2026年10月に確認)

法令・規格・資料は改訂されることがあります。実務で使うときは、発行元の最新版で確かめてください。

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シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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