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10kVA の三相200V は、約28.9A。力率0.8なら8kW。
この記事を書いたのは、「kVA kW 換算」で調べる人が多いのに、このブログの皮相電力の記事は定義の説明だけで、換算の表がなかったからです。式は3本。あとは早見表で引けるようにしました。

kVA と kW の違い:皮相電力と有効電力
kVA は皮相電力(電圧×電流の見かけの電力)、kW は有効電力(実際に仕事や熱になる電力)です。2つの比が力率で、力率が1より小さいほど、同じ kVA でも使える kW は少なくなります。
| kVA(キロボルトアンペア) | kW(キロワット) | |
|---|---|---|
| 名前 | 皮相電力 | 有効電力 |
| 意味 | 電圧×電流。電源や電線が背負う大きさ | 実際に仕事や熱になる電力 |
| 使われる所 | 変圧器・発電機・UPS の容量 | モーター・ヒーターの電力、電気料金 |
| 関係 | kW = kVA × 力率 | 力率 = kW ÷ kVA |
ビールのジョッキでたとえると、kVA はジョッキの中身全体、kW は液体の部分、泡が無効電力です。泡の分もジョッキ(電線や変圧器)の場所を取りますが、飲める(仕事になる)のは液体だけ。
UPS メーカーの CyberPower は、力率を「W ÷ VA」と定義し、1000VA/700W の UPS は力率0.7だと説明しています。直流では、W と VA は実質同じです。
有効電力・無効電力・皮相電力の定義と、電力三角形の描き方
力率とは何か。cosθ の意味と、力率が悪いと何が困るか
kVA から電流(A)の早見表:単相・三相
kVA から電流への換算は、単相は kVA×1000÷電圧、三相は kVA×1000÷(√3×電圧)です。三相200V なら1kVA あたり約2.9A、単相200V なら5A、単相100V なら10A が目安になります。
| 容量 | 単相100V[A] | 単相200V[A] | 三相200V[A] | 三相400V[A] |
|---|---|---|---|---|
| 1kVA | 10.0 | 5.0 | 2.9 | 1.4 |
| 2kVA | 20.0 | 10.0 | 5.8 | 2.9 |
| 3kVA | 30.0 | 15.0 | 8.7 | 4.3 |
| 5kVA | 50.0 | 25.0 | 14.4 | 7.2 |
| 7.5kVA | 75.0 | 37.5 | 21.7 | 10.8 |
| 10kVA | 100 | 50.0 | 28.9 | 14.4 |
| 15kVA | 150 | 75.0 | 43.3 | 21.7 |
| 20kVA | 200 | 100 | 57.7 | 28.9 |
| 30kVA | 300 | 150 | 86.6 | 43.3 |
| 50kVA | 500 | 250 | 144 | 72.2 |
| 75kVA | 750 | 375 | 217 | 108 |
| 100kVA | 1,000 | 500 | 289 | 144 |
式(単相 A=kVA×1000÷V、三相 A=kVA×1000÷(√3×V)、√3≒1.732)で計算した値。電流は100A 未満を小数1桁、100A 以上を整数に丸めた。式は Schneider Electric の変圧器の容量の解説と、東京電力の低圧電力の算定式で確かめた。単相3線式の100/200V は、200V の列で読む。
表の値は、式で計算しました。そのうえで、式そのものを2つの資料で照らしています。Schneider Electric の変圧器の表では、208V で175A をまかなう最初の値が208A、つまり75kVA。式に入れると 75,000÷(1.732×208)≒208A で、ぴったり合います。
東京電力の低圧電力の算定式は「定格電流×電圧(200V)×1.732×1/1000」で、例は75A で約26。こちらも同じ式です。ちなみに、この算定式には力率が入っていません。

換算式は3本:力率・単相・三相
kVA・kW・A の換算に使う式は、kW=kVA×力率、単相の I=S÷V、三相の I=S÷(√3×V)の3本です。三相の √3 は、線間の電圧から3相分の電力を出すときに出てくる係数です。
三相の √3 は、電線3本の線間の電圧(200V)と、1相あたりの電圧(200÷√3≒115V)の比から出てきます。1相分の容量(10kVA÷3)を1相の電圧で割っても、同じ28.9A になる。表の値は、この別の求め方でも検算しました。
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三相電力の公式 P=√3VIcosθ の √3 はどこから来るのか、導出の図解

計算例:途中式を1つずつ
三相200V・10kVA の電流は約28.9A、力率0.8なら有効電力は8kW です。kW から電流を出すときは、先に力率で割って kVA にしてから電流にします。
例1:三相200V・10kVA は何 A?
三相なので √3 を使います。10kVA は10,000VA。I=10,000÷(1.732×200)=10,000÷346.4≒28.9A です。
例2:10kVA・力率0.8は何 kW?
kW=kVA×力率=10×0.8=8kW。残りの2kVA 分は、仕事にならない電流(無効電力の分)です。
例3:三相200V で入力10kW・力率0.85の負荷は何 A?
先に kVA にします。10÷0.85≒11.76kVA。電流は 11,765÷(1.732×200)≒34.0A。まとめて書くと、I=10,000÷(1.732×200×0.85)≒34.0A です。力率を掛け忘れると28.9A と出て、約5A 小さく見積もってしまいます。
例4:単相200V・6kVA は何 A?
単相なので √3 は使いません。I=6,000÷200=30A。家の契約でいう6kVA は、200V で30A に当たります。
家の中の家電1台ずつが何Aかは、100Vなら消費電力(W)÷100が目安です。電子レンジやドライヤーなど22品目の早見表はこちら:家電のアンペア一覧|電子レンジ・暖房器具は何A?同時に使える組み合わせ

変圧器・発電機・UPS の容量が kVA で表される理由
変圧器・発電機・UPS の容量が kVA なのは、熱くなる原因が電流と電圧で決まり、つながる負荷の力率に左右されないからです。同じ10kVA でも、力率1の負荷なら10kW、力率0.8なら8kW までしか使えません。
変圧器の巻線は、流れる電流で熱くなります。電流は、負荷の力率が悪いほど大きい。だから作る側は「何 kW の負荷か」ではなく、「電圧×電流でどこまでか」で上限を決めます。それが kVA です。
UPS では、カタログに VA と W の両方が書かれていることがあります。CyberPower の例の1000VA/700W なら、W と VA の両方を超えないように機器をつなぎます。
発電機や UPS で、負荷の力率をいくつで見るかは機器ごとに違います。手元の機器の値は、ここでは言えません。銘板やカタログの「定格出力(kW)」と「定格容量(kVA)」の両方を見てください。
kVA と kW の換算でよくある間違い
kVA・kW・A の換算でよくある間違いは、三相で √3 を忘れる、力率を掛け忘れる、単相3線式の電圧を取り違える、kVA の容量を kW の負荷でそのまま使い切れると思う、の4つです。
| 間違い | 何が起きるか | 正しくは |
|---|---|---|
| 三相で √3 を忘れる(10kVA÷200V=50A) | 電流を約1.73倍に見積もる | 10,000÷(1.732×200)≒28.9A |
| kW から電流を出すとき力率を掛け忘れる | 電流を小さく見積もり、電線やブレーカーが足りない | kW÷力率で kVA にしてから電流へ |
| 単相3線式の容量を100V で割る | 電流を2倍に見積もる | 単相3線式の100/200V は200V で割る |
| 10kVA の発電機で10kW の負荷を動かせると思う | 力率が1未満の負荷では容量が足りない | kVA×力率が負荷の kW 以上か確かめる |
書きながら迷ったのは、電圧を200V で計算するか、210V で計算するかでした。変圧器の2次側の電圧は、200V と少し違う値で書かれていることがあります。筆者は200V で表を作り、違う電圧のときは式に入れ直す読み方を採りました。理由は簡単。表の数字を丸暗記するより、式を1本覚えておく方が、電圧が変わったときに迷わないからです。
計算した電流に合う電線の太さは?IV・VVF・CV・CVT の許容電流の早見表

kVA・kW・A の計算ツール
容量(kVA)・方式(単相・三相)・電圧・力率を入れると、電流(A)と有効電力(kW)を出します。式は本文の I=S÷V(単相)、I=S÷(√3×V)(三相)、kW=kVA×力率です。
計算は目安です。ブレーカーや電線を選ぶときは、起動電流や周囲の温度などの条件も含めて、機器のカタログと規程で確かめてください。

