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部品表(BOM、ボム)は、回路図の部品を1行=1品番で書き出した表で、部品番号・品番・メーカー・値・定格・パッケージ・数量・代替品・備考の9列があれば部品を買えます。9列の見本を写して使え、秋月・DigiKey(デジキー)・Mouser(マウザー)・RS の使い分けは通販の節へ。
回路図が描けたら、次は部品を集めます。そのときに作るのが部品表です。「10kΩ の抵抗を3本」と書くだけでは、どの店のどの部品を買えばいいかが決まりません。
この記事では、連載で作ってきた「マイコンの合図で 12V の負荷を ON/OFF する」小さな基板を例に、実在の品番だけで部品表を作り、部品を探して買うところまでを順に見ていきます。

部品表(BOM)の見本:1行=1品番の9列
見本の部品表は5行・9列です。1行に1つの品番を書き、同じ品番の部品は1行にまとめて数量で数を表します。
例にするのは、マイコンの合図で 12V の負荷を ON/OFF する基板です。部品は、MOSFET(Q1)・抵抗2本(R1・R2)・コンデンサ(C1)・コネクタ3個(J1〜J3)の7個です。
| 部品番号 | 品番 | メーカー | 値 | 定格 | パッケージ | 数量 | 代替品 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| C1 | GRM188R71H104KA93D | Murata | 0.1µF | 50V・X7R・±10% | 1608(0603) | 1 | CL10B104KB8NNNC(Samsung) | DigiKey で生産中止品の表示。代替へ |
| R1 | RC0603FR-07220RL | YAGEO | 220Ω | 0.1W・±1% | 1608(0603) | 1 | 同じ値・1608・0.1W 以上 | ゲート抵抗 |
| R2 | RC0603FR-07100KL | YAGEO | 100kΩ | 0.1W・±1% | 1608(0603) | 1 | RK73B1JTTD104J(KOA・±5%) | プルダウン。±5% でよい |
| Q1 | AO3400A | Alpha & Omega | N-ch MOSFET | 30V・5.7A | SOT-23 | 1 | RDS(on) に 2.5V の行がある品 | ゲートは 3.3V |
| J1〜J3 | B2B-XH-A | JST | 2極 | 2.5mm ピッチ | 基板の穴に差す | 3 | なし(相手のハウジングと組で) | 同じ品番は1行にまとめる |
この表の部品は、どれも実在の品番です。C1 の GRM188R71H104KA93D は 0.1µF の定番のチップコンデンサですが、DigiKey で調べると「生産中止品」と表示されていました。そこで、代替品の列に、同じ 0.1µF・50V・X7R・1608 の品番を書いています(くわしくは代替品の節で)。
つまり、部品表は「何を・どれだけ・買えないときはどうするか」を、品番の単位で1枚にまとめたものです。

回路図から部品表へ:部品番号ごとに書き出す
回路図のすべての部品に部品番号(R1・C1 など)をつけ、その番号の順に書き出します。J1・J2・J3 のように同じ品番の部品は、1行にまとめて数量を 3 にします。
部品番号は、部品の種類を表す記号と番号の組み合わせです。抵抗は R、コンデンサは C、トランジスタや MOSFET は Q、IC は U、コネクタは J がよく使われます。
| 記号 | 部品 | この記事の例 |
|---|---|---|
| R | 抵抗 | R1(ゲート抵抗)・R2(プルダウン) |
| C | コンデンサ | C1(12V の線の 0.1µF) |
| Q | トランジスタ・MOSFET | Q1(AO3400A) |
| J | コネクタ | J1(12V の入力)・J2(合図)・J3(負荷へ) |
部品表の部品番号は、回路図と1文字も違わない書き方にします。回路図で「R1」なのに部品表で「R01」と書くと、はんだ付けや検査のときに照らし合わせられなくなります。
つまり、回路図の部品番号が、部品表の行と基板の部品を結ぶ「鍵」です。

部品表の9列:それぞれに何を書くか
左の4列(部品番号・品番・メーカー・値)で「何か」を、次の3列(定格・パッケージ・数量)で「どんな条件で、いくつか」を、右の2列(代替品・備考)で「困ったときの手がかり」を書きます。
| 列 | 書くこと | 見本の例 |
|---|---|---|
| 部品番号 | 回路図の部品の名前 | R1、J1〜J3 |
| 品番 | メーカーの型番(末尾まで全部) | RC0603FR-07220RL |
| メーカー | 作っている会社 | YAGEO |
| 値 | 抵抗値・容量など(単位まで) | 220Ω、0.1µF |
| 定格 | 電圧・電力・許容差など | 0.1W・±1%、50V・X7R |
| パッケージ | 形と大きさ | 1608(0603)、SOT-23 |
| 数量 | 1台あたりの数 | 1、3 |
| 代替品 | 買えないときの候補(確かめた品番) | CL10B104KB8NNNC |
| 備考 | 役目・注意 | ゲート抵抗、プルダウン |
いちばん大事なのは品番です。品番の末尾の文字は、包装(テープかばらか)や特性の違いを表すことが多く、1文字違えば別の部品です。
パッケージは、サイズの書き方に注意します。チップ部品の「0603」は、インチの表し方とミリの表し方の両方にあり、大きさがまったく違います。この記事では「1608(0603)」のように、ミリとインチを両方書いています。
「104」「4k7」「1608」など、部品に書かれた数字の読み方とサイズの表し方
つまり、品番とパッケージは「書き方まで」正確に。値と定格は単位まで書きます。

部品表の作り方:4ステップ
①回路図から書き出す、②値と定格を決める、③品番を決める、④買えるかを確かめる、の4ステップです。④で買えなければ、③に戻って代替品を探します。
STEP 2 の「余裕」は、ディレーティングと呼ばれる考え方です。例えば 12V の線に付けるコンデンサなら、定格 16V ではなく 50V を選んでいます。
部品を定格ぎりぎりで使ってはいけない理由と、余裕のとり方
つまり、上から順に「何を」「どの強さで」「どの品番を」「買えるか」を決めていきます。

部品の探し方:パラメトリック検索の手順
パラメトリック検索は、カテゴリを選び、電気の条件 → 形 → 買えるか の順に条件を足して絞り込む方法です。最後は必ずデータシートで確かめて1つに決めます。
DigiKey や Mouser では、部品のカテゴリを選ぶと、電圧・電流・値・パッケージなどの条件の欄が並びます。欄を選ぶたびに候補が減っていきます。例として、3.3V のマイコンで ON/OFF する MOSFET を探す流れです。
コツは、電気の条件を先に、形と値段を後に選ぶことです。候補が 0 件になったら、条件を1つ外して、どの条件が厳しすぎたかを見ます。
候補のデータシートで、どこから読めばいいか。min・typ・max の意味も
つまり、パラメトリック検索は「条件を足して減らし、最後はデータシートで決める」流れです。

秋月・DigiKey・Mouser・RS の使い分け
初めての試作で少しだけ欲しいなら秋月電子、品番で探して比べるなら DigiKey・Mouser、会社の購買で工具や計測器とまとめるなら RS が向いています。
| 店 | 売り方 | 向いている使い方 | 公式の案内などで確かめたこと |
|---|---|---|---|
| 秋月電子通商 | 通販と店(秋葉原・八潮) | 初めての試作・キット・モジュール | 1個やパック(20個入・40個入・100本入など)の単位 |
| DigiKey | 海外から日本へ発送 | 品番で探す・比べる | 6,000円以上で送料無料(未満は2,000円)、通常3〜4日で届く、日本円で注文できる |
| Mouser | 海外から日本へ発送 | 品番で探す・比べる | 日本円で ¥6,000 を超えるほとんどの注文で送料無料、関税・通関手数料を含む条件 |
| RS | 会社・組織との取引 | 工具・計測器もまとめて買う | 2,500社を超えるメーカーの60万点以上、自社ブランド RS PRO |
秋月電子は、ばらやパックの単位で少しずつ買えるので、初めてブレッドボードで試すときに向いています。そのかわり品ぞろえは、DigiKey・Mouser ほど広くありません。例えば、この記事の AO3400A は、秋月の通販の検索では見つかりませんでした。
DigiKey と Mouser は、たくさんのメーカーの部品を品番で検索でき、パラメトリック検索や在庫・製品ステータスの表示がそろっています。RS は、初回購入の案内で、取引の相手を「所属の会社・組織」としています。会社の購買で、部品と工具をまとめて買うときに向いています。
つまり、まず秋月で手に入るかを見て、なければ DigiKey・Mouser で品番を探す、が初めての人の順番です。

売り方の単位:パック・リール・カットテープ
部品は「売っている単位」で買います。秋月電子は1個やパック、DigiKey はリール(例:3,000個)とカットテープ(リールから切り売り)などです。
チップ部品は、紙やプラスチックのテープに1個ずつ入れて、リールに巻いた形で作られます。工場はリールのまま機械にかけますが、試作では数個しか要りません。
| 店 | 売り方 | 例 |
|---|---|---|
| 秋月電子通商 | パック・袋 | 2N7002 は1パック40個入、2N3904 は1パック20個入、カーボン抵抗は1袋100本入 |
| 秋月電子通商 | 1個 | XH コネクタ B2B-XH-A は1個から(1小箱1000個入もある) |
| DigiKey | テープ&リール | 2N7002-7-F は 3,000個から |
| DigiKey | カットテープ | リールから必要な数だけ切って売る(AO3400A は1個から) |
| DigiKey | Digi-Reel | 好きな数をリールに巻き直す(リールの料金がかかる) |
つまり、1台分の数ではなく、売っている単位を見て「何個買うか」を決めます。パックの余りは次の試作の予備になります。

買う数の計算:5台分+予備を売り方の単位に切り上げる
買う数は、1台の数×台数に予備を足し、売っている単位に切り上げます。見本の基板を5台作るなら、コネクタは 3×5=15個に予備2個で17個です。
予備は、この記事では「1割、ただし最低2個」を目安にします。小さなチップ部品は、はんだ付けのときに飛ばしたり、測って傷めたりしやすいからです。
| 部品 | 1台×台数 | +予備 | 店 | 単位 | 買う数 |
|---|---|---|---|---|---|
| C1 | 1×5=5 | 7 | 秋月 | 20個入 | 20個 |
| R1 | 1×5=5 | 7 | DigiKey | 1個から | 7個 |
| R2 | 1×5=5 | 7 | 秋月 | 100個入 | 100個 |
| Q1 | 1×5=5 | 7 | DigiKey | 1個から | 7個 |
| J1〜J3 | 3×5=15 | 17 | 秋月 | 1個から | 17個 |
C1 は、生産中止の品の代わりに、秋月電子の 0.1µF・100V・X7R・1608 の品(GRM188R72A104KA35D、1パック20個入)で計算しました。7個あれば足りますが、1パックで20個届きます。R2 の 100kΩ も、秋月電子では1パック100個入です。
つまり、計算は「1台の数×台数+予備」。そのあと店の単位で切り上げると、実際に届く数がわかります。

入手性の見方:在庫・リードタイム・最小数量
入手性は、在庫数(今すぐ出せる数)・リードタイム(作られて届くまでの期間)・最小数量(買える最小の数)の3つで見ます。例えば DigiKey の 2N7002-7-F は、メーカーの標準リードタイムが36週間と表示されています。
在庫が多い部品なら、すぐに届きます。在庫が切れると、メーカーが作るまで待つことになり、その期間がリードタイムです。36週間は約8か月です。
最小数量は、売り方の単位と同じ考え方です。リールしかない部品は、試作には向きません。カットテープや1個から買えるかを見ます。
量産で使う部品は、2つ以上の店に在庫があるか、代替品があるかも見ておくと安心です。
つまり、在庫・リードタイム・最小数量の3つは「今」の値です。部品表を作った日と、注文する日の両方で見ます。

ディスコン(生産中止)の見方:製品ステータスを確かめる
製品ステータスは、部品が今も作られているかの表示です。アクティブ → 新規設計非推奨 → 最終購入 → 生産中止 の順に「寿命」が進みます。新しい設計では、アクティブの部品を選びます。
| 表示(英語) | 意味 |
|---|---|
| Active(アクティブ) | 作られて売られている |
| Not Recommended for New Design(新規設計非推奨) | 終わりが近い最初の合図。新しい設計には使わない |
| Last Time Buy(最終購入) | 在庫が限られ、なくなればもう売られない |
| Obsolete(生産中止) | もう作られていない。在庫がなくなれば買えない |
意味は DigiKey のフォーラムの解説(Part Status)によります。このほかに、メーカーは作っていても DigiKey が取り扱いをやめた「Discontinued By DigiKey」もあり、その場合はメーカーのサイトも確かめます。
「ディスコン」は、英語の discontinued(作るのをやめた)を縮めた言い方で、生産中止のことです。昔の部品表や、ネットで見つけた回路の部品表をそのまま使うと、この記事の C1 のように、生産中止の部品が混ざっていることがあります。
つまり、部品表を使い回すときこそ、注文の前に全部の行の製品ステータスを見ます。

代替品の選び方:5つを同じか「上」にそろえる
代替品は、①値が同じ、②定格が同じか上、③パッケージと足の並びが同じ、④特性(温度特性など)が同じか良い、⑤許容差は役目に合う、の5つを確かめて選びます。
| 確かめること | 条件 | 例 |
|---|---|---|
| 値 | 同じ | 0.1µF → 0.1µF |
| 定格(電圧・電力) | 同じか上 | 50V → 100V は OK |
| パッケージ・足の並び | 同じ | 1608 → 1608。SOT-23 は G・S・D の並びまで |
| 特性(温度特性・RDS(on) など) | 同じか良い | X7R → X7R。F 特性は NG |
| 許容差 | 役目で決める | プルダウンなら ±5% でよい |
C1 の例では、DigiKey でアクティブの CL10B104KB8NNNC(Samsung、0.1µF・50V・X7R・1608)が、5つの条件を満たします。秋月電子で買うなら、GRM188R72A104KA35D(0.1µF・100V・X7R・1608)も、定格が上なので使えます。
気をつけたいのは、値だけで選ぶことです。秋月電子の 0.1µF・1608 には、X7R のほかに X8L や F といった温度特性の違う品が並びます。F 特性は、温度で容量が +30〜−80% も変わる区分です。0.1µF と書いてあっても、同じ働きはしません。
X7R・X5R・C0G などの温度特性の記号の意味と、回路での選び方
R2 のプルダウンは、値がだいたい合っていればよいので、許容差 ±1% の品の代わりに ±5% の品(秋月電子の RK73B1JTTD104J)でも構いません。一方、分圧の抵抗のように値の正確さが大事な所では、許容差は同じか小さいものを選びます。
つまり、代替品の列には「5つを確かめた品番」を書き、確かめた所を備考に残します。

同じ名前でも中身が違う:末尾・メーカー・サイズの書き方
品番の末尾が1文字違う、同じ型番でもメーカーが違う、サイズの「0603」がインチかミリか、の3つで、同じに見える部品が別物になります。
部品表に「メーカー」の列があるのは、このためです。品番とメーカーをセットで書けば、別のメーカーの同じ型番を間違って買うことを防げます。
つまり、品番は末尾まで、メーカーは必ず、サイズはミリとインチを両方、が部品表の書き方の基本です。

早見表:部品表の列の書き方とよくある間違い
答えだけ欲しい人向けに、9列の書き方の例と、よくある間違いをまとめました。
| 列 | 書き方の例 | よくある間違い |
|---|---|---|
| 部品番号 | R1、J1〜J3 | 回路図と違う名前(R01 など) |
| 品番 | RC0603FR-07220RL | 末尾を省く(包装・特性が変わる) |
| メーカー | YAGEO | 書かない(同じ型番が別のメーカーにある) |
| 値 | 220Ω、0.1µF | 単位がない・「104」とだけ書く |
| 定格 | 0.1W・±1%、50V・X7R | 電圧の余裕を見ていない |
| パッケージ | 1608(0603) | インチかミリかわからない |
| 数量 | 1台あたりの数 | 台数を掛けた数と混ぜる |
| 代替品 | 確かめた品番 | 「同等品」とだけ書く |
| 備考 | 役目・注意 | 空のまま |
つまり、部品表は「ほかの人が見ても同じ部品を買える」ように書きます。

部品が届いたら:袋のラベルと部品表を照らし合わせる
部品が届いたら、①ラベルの品番が部品表と末尾まで同じか、②数が足りているか、③値(抵抗はテスターで測る)、の3つを確かめてから、はんだ付けします。
最低限ここだけ
余裕があれば
抵抗は、テスターで値を測ります。220Ω・±1% なら、217.8〜222.2Ω に入っていれば合格です。チップ部品はとても小さいので、測った部品は、使う部品と分けておきます。
部品表の備考の列に「届いた・測った」の印をつけておくと、組み立ての途中で迷いません。
つまり、照らし合わせは「品番・数・値」の3つ。はんだ付けの前に済ませると、作り直しが減ります。

よくある失敗4つ:部品表と部品探し
値だけで品番がない・0603 の読み違い・生産中止の部品・予備がない、の4つがよくある失敗です。
1. 値だけで品番がない
「10kΩ の抵抗」とだけ書くと、大きさも電力も決まらず、買えません。品番・メーカー・パッケージまで書きます。
2. 0603 の読み違い
インチの 0603 とミリの 0603 は、大きさがまったく違います。「1608(0603)」のように両方書きます。
3. 生産中止の部品
昔の部品表をそのまま使うと、生産中止の部品が混ざります。注文の前に、全部の行の製品ステータスを見ます。
4. 予備がない
チップ部品を1個飛ばすと、その台が作れません。1割・最低2個を目安に、予備を足して買います。
つまり、部品表は「書き方」と「買う前の確かめ」で失敗のほとんどを防げます。


