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- 電験三種の知識が、回路設計の仕事で役に立つのかわからない
- 電気設計の部署に入ったが、回路図を見ても手が止まる
- 電験の知識を活かして、回路設計を学び始めたい
- 電験三種の理論のうち、回路設計でそのまま使える5つの単元
- 電験だけでは足りない4つのこと(部品・データシート・実物の線・道具)
- 何から始めればいいかの3ステップ
- 連載「回路設計の入門」の読む順番
電験三種の知識は回路設計でそのまま使えます。直流回路・過渡現象・交流・電子回路・電気計測の計算は、設計の毎日の計算の土台です。
足りないのは、①売っている部品の値と定格の選び方、②データシートの読み方、③実物の線とGND、④回路図CADやテスターなどの道具の4つです。
この4つは試験に出ないだけで、むずかしい理論ではありません。順番に足せば、電験の知識はそのまま設計の力になります。
わからない言葉が出てきたら、ここに戻ってきてください。本文でも、初めて出たところで言い換えます。
| 電験三種 | 第三種電気主任技術者試験。電気設備を安全に保つ人の国家資格の試験 |
| 理論 | 電験三種の4科目の1つ。電気の計算の土台(回路・電磁気・電子回路・計測) |
| 過渡現象 | スイッチを入れた直後など、電圧や電流が落ち着くまでの変化 |
| 時定数 τ | R×C で決まる「変化の速さ」。約63%まで変わる時間 |
| フィルタ | 決まった周波数より高い(低い)信号を弱める回路 |
| データシート | 部品メーカーが出す説明書。定格や特性の数字が載っている |
| E24系列 | 売っている抵抗の値の並び(1.0・1.1・1.2・1.3・1.5…) |
| 定格電力 | その部品が熱で傷まずに使える電力の上限 |
| 許容差 | 実物の値のばらつきの幅(±5%など) |
| GND | 回路の電圧の基準(0V)で、電流の帰り道 |
電験三種の知識は回路設計でどう使うのか。資格の勉強を終えた人や、電気設計の部署に入ったばかりの人が、最初に抱く疑問です。
この記事では、電験三種の「理論」の単元ごとに、回路設計で使う場面を図で示します。そのうえで、試験には出ないけれど設計では欠かせない4つを、具体的な数字で説明します。最後に、この連載で何をどの順に読めばいいかをまとめます。

電験三種の理論と回路設計は、どこが重なる?
電験三種の理論と回路設計は、計算の土台が大きく重なります。重ならないのは、電験の電磁気・静電気の多くと、回路設計の「実物」に関する知識です。
電験三種の理論は、電気技術者試験センターの試験概要で「電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測」と決められています。この中身を、回路設計の仕事と並べてみます。
| 分け方 | 中身 | 回路設計での出番 |
|---|---|---|
| 重なる所 | 直流回路・過渡現象・交流・ダイオードやトランジスタ・オペアンプ・電気計測 | 毎日のように使う |
| 電験だけ | 磁界や電界の計算・三相交流 | 少ない(モーターや電源を扱う部署では使う) |
| 設計だけ | 部品の選び方・データシート・実物の線とGND・道具 | 試験に出ないが、欠かせない |
電験の理論は「料理の理屈」、回路設計は「台所で実際に作ること」です。火の通り方の理屈を知っていれば、レシピは早く覚えられます。ただ、包丁や鍋の使い方、売っている材料の量は、台所に立って覚えるしかありません。
つまり、電験の知識は回路設計の入口の半分を開けてくれます。残りの半分が、この連載で足していく「実物」の知識です。

なぜ電験の知識だけでは設計できないのか:目的が違う
電験三種は電気設備を安全に保つ人の試験で、回路設計は部品を選んで動く物を作る仕事です。同じオームの法則を使っても、ゴールが違います。
電験三種は、電圧5万ボルト未満の事業用の電気設備で、保安の監督をする電気主任技術者のための試験です。問題文の部品は「理想の部品」で、抵抗はただの R です。
回路設計では、同じ抵抗でも、売っている値・ばらつき(許容差)・熱で傷まない上限(定格電力)・値段・手に入るかまで考えます。答えは1つではなく、「なぜその部品にしたか」を説明できることが大事です。
| 比べる所 | 電験三種(試験) | 回路設計(仕事) |
|---|---|---|
| 目的 | 電気設備を安全に保つ知識 | 部品を選んで、動く物を作る |
| 部品 | 理想の R・L・C | 許容差・定格・温度のある実物 |
| 答え | 5つの選択肢から1つ | 1つではない。理由を説明する |
つまり、電験で身につけた計算は「答えの候補」を出す道具です。設計では、その候補を実物の部品に置きかえる一手間が加わります。

そのまま使える1:直流回路(オームの法則・分圧・キルヒホッフ)
電験の直流回路の計算は、回路設計でいちばん多く使います。LED の抵抗、信号の電圧を下げる分圧、電源に必要な電流の見積もりは、どれも直流回路の計算です。
電験では、直流回路の計算が毎回出題されます。たとえば令和7年度上期 問7 は、電流の変化から未知の抵抗を求める問題でした。
回路設計では、同じ計算を次のように使います。
| 電験で学ぶ法則 | 回路設計で使う場面 |
|---|---|
| オームの法則 | LED に流す電流を決める抵抗の値 |
| 分圧 | 5V の信号を、3.3V のマイコンが受けられる電圧に下げる |
| キルヒホッフの法則 | 部品ごとの電流を足して、電源の大きさを決める |
| テブナンの定理 | 出力に負荷をつないだとき、電圧がどれだけ下がるかを見積もる |
例:5V の信号を 3.3V のマイコンへ
上に R1=10kΩ、下に R2=20kΩ をつなぐ(分圧回路)
出力=5V × R2 ÷ (R1+R2) = 5 × 20 ÷ 30 ≒ 3.33V
3.3V のマイコンが受けられる電圧になった。ここまでは電験と同じ計算
設計ではこのあと、「分圧の抵抗に流れる電流がむだにならないか」「マイコンの入力につないでも電圧が変わらないか」も確かめます。ここが、連載の「分圧回路の抵抗の選び方」で扱う部分です。
分圧の公式を、例題で1から確かめられる
つまり、直流回路の計算は回路設計の「毎日の道具」です。電験で解けた人は、そのまま使えます。

そのまま使える2:過渡現象(RC回路の時定数)
電験の過渡現象で学ぶ時定数 τ=R×C は、回路設計で「電圧をゆっくり上げたい」ときにそのまま使います。マイコンのリセットを遅らせる回路や、スイッチのばたつきをならす回路です。
電験では、RC回路でスイッチを入れた後の電流や電圧を計算する問題がよく出ます。令和6年度下期 問10、令和5年度下期 問10 がその例です。
例:R=10kΩ・C=1μF のとき
時定数 τ = R × C = 10,000Ω × 0.000001F = 0.01秒 = 10ms
3.3V をかけると、10ms 後のコンデンサの電圧は 3.3 × (1 − e−1) ≒ 2.09V(63.2%)
5τ の 50ms 後には、ほぼ 3.3V(99.3%)になる
回路設計では、この「ゆっくり上がる」性質を使います。電源を入れた直後、電圧が落ち着くまでマイコンを止めておく(リセットを遅らせる)回路が代表です。押しボタンを押した瞬間に接点がばたつく現象(チャタリング)をならすのにも使います。
63.2%がどこから出てくるのか、例題で確かめられる
つまり、τ=R×C は設計でも同じ式です。違うのは、「何ms 待ちたいか」から逆に R と C を決める向きで使うことです。

そのまま使える3:交流(周波数で変わる回路)
電験の交流で学ぶリアクタンスやインピーダンスは、回路設計ではノイズを弱めるフィルタの計算に使います。RC の組み合わせで、ある周波数より高い信号を弱められます。
コンデンサは、周波数が高いほど電流を通しやすくなります。電験の令和6年度下期 問9 は、周波数を変えたときの RC 回路の電流を求める問題でした。
回路設計では、この性質を「ローパスフィルタ」として使います。抵抗のあとにコンデンサを GND へつなぐと、高い周波数の成分はコンデンサを通って GND へ逃げます。
fc(効き始める周波数)= 1 ÷ (2π × R × C)
R=1.6kΩ、C=0.1μF とする
fc = 1 ÷ (2 × 3.14 × 1,600 × 0.0000001) ≒ 995Hz(約1kHz)
1kHz では出力が約0.71倍、10kHz では約0.1倍に弱まる
たとえば、ゆっくり変わる温度センサの電圧に、高い周波数のノイズが乗っているとします。この RC を入れると、センサの電圧はほぼそのまま通り、ノイズだけを弱められます。
つまり、交流の計算は「ノイズを弱める部品の値」を決める計算になります。

そのまま使える4:電子回路(ダイオード・トランジスタ・オペアンプ)
電験の電子理論で学ぶダイオード・トランジスタ・オペアンプの仕組みは、回路設計でもそのまま使えます。変わるのは「何のために使うか」です。
| 部品 | 電験で出る形(出題の例) | 回路設計での使い方 |
|---|---|---|
| ダイオード | 電圧の向きと流れる・流れない(令和7年度下期 問11) | 整流・電源の逆接続の保護・リレーの逆起電力を逃がす |
| トランジスタ | 電流増幅率 hFE の計算(令和7年度上期 問13) | マイコンの合図で LED やリレーを ON/OFF する |
| エミッタフォロワ | 回路の計算(令和7年度上期 問18。試験では「エミッタホロワ」と書く) | 電流を出せない信号を、強くして次の回路へ渡す |
| オペアンプ | 増幅のしかたと計算(令和6年度下期 問18) | センサの小さな電圧を増やす・2つの電圧を比べる |
たとえばトランジスタは、電験では「増幅」の計算が中心です。回路設計では、マイコンの小さな電流で LED やリレーを動かす「スイッチ」として使う場面がとても多くなります。
スイッチとして使うときは、hFE を「データシートの最小値」で計算し、余裕を掛けます。この考え方は、連載の1本目「ベース抵抗の計算」で、足の見分け方から計算・配線・テスターでの確かめ方まで通して説明しています。
仮想短絡と、反転・非反転増幅の計算を復習できる
つまり、部品の仕組みは電験のまま。設計では「スイッチとして使う」「小さな信号を増やす」といった使い方を足します。

そのまま使える5:電気計測(原理を知っていると数字を疑える)
電験の電気計測で学ぶ計器の原理は、回路設計でテスターやオシロスコープを使うときの土台になります。原理を知っていると、測った数字がおかしいときに理由を考えられます。
電験では、計器が動く仕組みや、倍率器・分流器で測れる範囲を広げる計算が出ます。令和7年度上期 問16 は、電流計と電圧計の測定範囲を広げる問題でした。
回路設計では、テスター(電圧・抵抗・導通を測る道具)とオシロスコープ(電圧の変化を波の形で見る道具)を毎日のように使います。
テスターには、実効値で表示するものと、平均値をもとに表示するものがあります。きれいな正弦波ならどちらも同じ数字ですが、ゆがんだ波形では数字が変わります。電験で「実効値・平均値・最大値の違い」を学んだ人は、この食い違いの理由に気づけます。
テスター・オシロ・LCRメータなど、測定器の使い分けを一覧で確かめられる
つまり、電気計測の知識は「測定器の数字を信じすぎない力」になります。

早見表:電験三種の単元と、回路設計での使い道
電験三種の理論の単元ごとに、回路設計での使い道と、この連載で読む記事をまとめました。勉強した単元から読み始めると、つながりがわかりやすくなります。
| 電験の単元 | 回路設計での使い道 | 連載で読む記事(予定) |
|---|---|---|
| 直流回路 | LED の抵抗・分圧・電源の電流 | LEDの抵抗の計算・分圧回路の抵抗の選び方 |
| 過渡現象 | リセットの遅れ・ばたつきをならす | RC時定数の決め方 |
| 交流回路 | ノイズを弱めるフィルタ | RC時定数の決め方・LTspice入門 |
| 電子理論 | スイッチ・増幅・保護 | ベース抵抗の計算・オペアンプ入門 |
| 電気計測 | テスター・オシロで確かめる | 動かないときの切り分け |
| 電磁気 | リレーやコイルの逆起電力 | リレー駆動回路 |
つまり、電験の単元はどれも、連載のどこかの記事の「入口」になっています。

足りない所1:部品の選び方(売っている値・定格・ばらつき)
電験の計算で出た答えは、そのままでは買えないことがほとんどです。売っている値に丸め、定格電力に余裕があるかを確かめ、ばらつきの幅で動くかを見る。この3つが設計で足す手順です。
5V の電源で赤い LED に約20mA 流す、という例で考えます(LED の電圧 2.0V と、トランジスタなどに残る 0.2V は例の値です)。
(5 − 2.0 − 0.2) ÷ 20mA = 2.8V ÷ 0.020A = 140Ω
140Ω の抵抗は売っていない。E24系列の近い値の 150Ω にする(電流を減らす側)。電流は 2.8 ÷ 150 ≒ 18.7mA
抵抗で熱になる電力は 2.8V × 18.7mA ≒ 52mW。よく使う 1/8W(125mW)の抵抗なら約42%で、余裕がある
許容差 ±5%なら、実物は 142.5〜157.5Ω。電流は約17.8〜19.6mA の範囲になり、LED の明るさは少し変わるが問題はない
電験の問題では、この3つは問題文に書かれていないか、考えなくてよいことになっています。設計では、ここまで決めて初めて部品表に書けます。
150Ω や 2.4kΩ のような「売っている値」が、なぜその値なのかがわかる
つまり、設計の答えは「140Ω」ではなく「150Ω・1/8W・±5%」です。

足りない所2:データシートの読み方(数字は「幅」で書いてある)
データシートの数字は、多くが最小・代表・最大の「幅」で書かれています。設計では、いちばん厳しい側の値で計算します。
電験の問題文は「hFE=100 とする」のように、数字を1つだけ決めてくれます。実物の部品は違います。
たとえば、よく使われる小さなトランジスタ 2N3904 のデータシート(onsemi)では、コレクタ電流 10mA のときの hFE が「最小100・最大300」です。同じ型番でも、1個ずつこの範囲のどこかになります。
| データシートの欄 | 読み方 | 設計での使い方 |
|---|---|---|
| min(最小) | これより小さくならないと保証された値 | 足りないと困る数字は最小で計算する(hFE など) |
| typ(代表) | よくある値。保証ではない | 目安にするだけ |
| max(最大) | これより大きくならないと保証された値 | 大きすぎると困る数字は最大で計算する(漏れ電流など) |
typ の値で計算すると、ばらつきの悪い側に当たった部品で動かないことがあります。どちらの向きが困るかを考え、厳しい側の値を選びます。
つまり、データシートは「1つの答え」ではなく「幅」を読む資料です。ここが、電験の問題文との一番の違いです。

足りない所3:実物の線とGND(0V とは限らない)
試験の回路図では、線の抵抗は0で、GND はどこでも 0V です。実物の基板では、電流が流れる線にわずかな抵抗とインダクタンスがあり、GND の場所によって電圧がずれます。
説明のための例で考えます。モーターに 2A 流れる回路で、その帰りの電流が、マイコンと同じ細い GND の配線(例として 0.05Ω)を通るとします。
GND の配線にかかる電圧 = 0.05Ω × 2A = 0.1V
電源の近くは 0V でも、マイコンの近くの GND は 0.1V 上がる
マイコンから見ると、基準の 0V が 0.1V ずれる。センサの小さな電圧を測る回路では、誤差や誤動作の原因になる
電流が急に変わるときは、配線のインダクタンス(電流の変化を妨げる性質)でも電圧が出ます。これがノイズの大きな原因の1つです。電験の交流で学んだ「コイルは電流の変化を妨げる」が、ここでも出てきます。
GND が「0V の線」ではなく「電流の帰り道」である理由を図で確かめられる
つまり、実物では「どこに線を引くか」で回路の動きが変わります。試験にはない、設計ならではの考え方です。

足りない所4:道具(回路図CAD・シミュレーター・ブレッドボード・測定器)
回路設計では、試験では使わない4つの道具を行き来します。回路図を描く、動かす前に試す、組む、測って確かめる、です。
| 道具 | 何をするか | 例 |
|---|---|---|
| 回路図CAD | 回路図を描き、線のつなぎ忘れをソフトに見つけてもらう | KiCad(無料) |
| シミュレーター | 部品を買う前に、計算どおりに動くかを画面で試す | LTspice(無料) |
| ブレッドボード・はんだ付け | 穴に挿すだけで回路を組み、動かしてみる | ブレッドボード |
| 測定器 | 計算どおりの電圧や電流になっているかを実物で測る | テスター・オシロスコープ |
どれも、無料のソフトや手ごろな値段の道具から始められます。電験で計算に慣れている人は、シミュレーターの結果が計算と合うかをすぐ確かめられるので、上達が早くなります。
つまり、設計は「計算→試す→組む→測る→直す」の繰り返しです。電験の計算は、その最初の一歩を担います。

何から始める?電験の知識を回路設計につなぐ3ステップ
始め方は3ステップです。知っている計算を回路に当てはめる、その部品のデータシートを1枚読む、組んで測って計算と比べる。
LED の抵抗のように、オームの法則だけで解ける回路から始める。例:(5 − 2.0 − 0.2) ÷ 20mA = 140Ω
使う抵抗の定格電力や、トランジスタの hFE の最小値を探す。「幅」で書かれていることを確かめる
ブレッドボードで組み、テスターで電圧を測る。150Ω の両端が 2.8V なら、2.8V ÷ 150Ω ≒ 18.7mA 流れている。計算と合わなければ理由を探す
STEP 3 で計算と測った値が食い違ったら、それが一番の学びになります。部品のばらつき、テスターの当て方、配線のまちがい。どれも試験では出会えない経験です。
つまり、電験で解ける計算を1つ選び、実物で確かめるところまでやれば、もう回路設計の入口に立っています。

連載「回路設計の入門」の読む順番
連載は、回路図を読む・測る所から始めて、値を決める、回路を組む、電源と保護、道具と実務の順に進みます。上から読めば、回路図を読む所から基板を作る所までつながります。
1週目から5週目までの5つの段階に分けました。電験の知識がある人は、2週目の「値を決める」から読んでも大丈夫です。
- 電験三種の知識は回路設計でどう使う?(この記事)
- 新人の回路設計者が最初の1年で覚える順番
- 回路図の読み方
- 回路図記号の早見表
- データシートの読み方
- 回路が動かないときの切り分け
- 抵抗値の決め方3つの型
- LEDの抵抗の計算
- 分圧回路の抵抗の選び方
- RC時定数の決め方
- 抵抗・コンデンサの表記の読み方
- 消費電流と電源の見積もり
- 部品表(BOM)と部品の探し方
- ベース抵抗の計算(公開中。下の「次に読むべき記事」から読めます)
- エミッタフォロワ入門
- リレー駆動回路
- オペアンプ入門
- オペアンプの選び方
- オペアンプの電源
- コンパレータのヒステリシス
- LDOとDC-DCの選び方
- 3端子レギュレータの発熱
- マイコンのリセットとクロック
- I2C・SPI・UARTの電気的な違い
- レベル変換(5V↔3.3V)
- ヒューズの選び方
- 逆接続・突入電流からの保護
- マイコン入力のESD対策
- LTspice入門
- LTspiceでトランジスタのスイッチを試す
- KiCadで最初の1枚
- ブレッドボードで動いて基板で動かない理由
- 回路図レビューのチェックリスト
- 部品が壊れる原因と防ぎ方
印のない記事は準備中です。公開したら、この一覧からリンクします。題や順番は変わることがあります。
どの記事も、電子回路をほとんど触ったことがない人が、中学の理科(電流・電圧・オームの法則)だけで最後まで読めるように書いています。最後に、すでにある回路設計の記事(スナバ回路・ゲート駆動・基板設計など)へ進めるようにつないでいます。
つまり、この記事と次の「最初の1年で覚える順番」が入口です。そこから1週目へ進んでください。

よくある誤解2つ
「電験があれば設計できる」と「電験は設計に役立たない」は、どちらも誤解です。電験の知識は土台で、その上に実物の知識を積みます。
誤解1:電験があれば設計できる
計算はできても、売っている値に丸める、定格と余裕を決める、データシートの幅を読む、GND やノイズを考える、といったことは試験に出ません。ここを知らないまま設計すると、計算は合っているのに動かない、すぐ壊れる、という回路になりがちです。
誤解2:電験は設計に役立たない
オームの法則・分圧・時定数・周波数の計算は、設計で毎日のように使います。原理を知っていると、測った数字がおかしいときに「なぜ」を考えられます。資格の勉強は、設計の遠回りではありません。
つまり、電験の知識は「土台」。その上に、この連載で実物の知識を1つずつ積んでいきましょう。

よくある質問(FAQ)
- 電験三種の理論の計算は、回路設計でそのまま使える(直流回路・過渡現象・交流・電子回路・電気計測)
- 足りないのは4つ:部品の選び方・データシートの読み方・実物の線とGND・道具
- 設計の答えは「140Ω」ではなく「150Ω・1/8W・±5%」のように、実物の部品で書く
- データシートの数字は「幅」。厳しい側の値で計算する
- 始め方は3ステップ:知っている計算を当てはめる→データシートを読む→組んで測る
次の一歩として、この記事の LED の例を、手元の抵抗と LED で組んでみてください。計算した電流と、テスターで測った電圧から出した電流が合えば、電験の知識が回路設計の力に変わった瞬間です。
- 一般財団法人 電気技術者試験センター「第三種電気主任技術者の試験概要」:試験の目的(電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物の主任技術者)と、理論の科目の内容(電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測)
- 電験王「電験三種 過去問」:令和5〜7年度の理論の問題の題名(本文の出題の例)
- onsemi「2N3903, 2N3904 General Purpose Transistors NPN Silicon」データシート(Rev. 9):hFE の最小値・最大値(Ic=10mA で 100〜300)
法令・規格・資料は改訂されることがあります。実務で使うときは、発行元の最新版で確かめてください。
「電験三種の知識を回路設計につなぐこと」を試験の得点につなげるなら、前後の単元とあわせて教科書で押さえておくと安心です。TAC出版『みんなが欲しかった!』シリーズの、電験三種「理論」の教科書と問題集が1冊になった本です。
「電験三種の知識を回路設計につなぐこと」は、回路シミュレータで電圧や電流の波形を見ながら確かめると理解が深まります。無料の回路シミュレータLTspiceを使って、電子回路を学べる本です(オーム社、渋谷道雄 著)。
回路を実際に組んで、電流や電圧を確かめてみたいときに向いています。サンハヤトのブレッドボード SAD-101です。408個の穴に部品を差し込むだけで、はんだ付けをせずに回路を組めます。
メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。
次に読むべき記事
ここまでで、電験の知識のどこが回路設計で使えて、何を足せばいいかがわかりました。まずは連載の1本目で、トランジスタのスイッチを1つ、計算から組み立てまで通してみましょう。
テーマ別に、もっと深く学ぶ
気になるところから読んでも大丈夫です。どの記事も、はじめて学ぶ人向けにやさしく書いています。