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- 温度サイクル試験の途中で、チップ部品やBGAが導通不良になった
- 「はんだクラックですね」と言われたが、なぜ割れるのか説明できない
- 何サイクルの試験をすれば、市場で何年もつと言えるのか知りたい
- はんだクラックが起きる仕組み(熱膨張の差と金属疲労)
- はんだにかかるひずみと、試験サイクル数から寿命を見積もる計算
- 割れやすい部品・場所と、設計・製造・試験での対策
はんだクラックは、基板の故障の中でも、市場で時間がたってから起きる代表的なものです。出荷したときは問題なく動き、何年か使ううちに、ある日とつぜん電気がつながらなくなります。
この記事では、なぜはんだが割れるのかを、身近なたとえと具体的な計算で順番に解説します。試験の結果を読むときに見落としやすい点も整理します。
はんだクラックとは、部品と基板の熱膨張(温度で伸び縮みする量)の差によって、温度が上下するたびにはんだ接合部がずらされ、その繰り返しで起きる金属疲労によってはんだに亀裂が入り、やがて電気がつながらなくなる故障です。寿命は、温度変化の幅(ΔT)と繰り返しの回数で決まり、温度変化の幅が大きいほど急激に短くなります。
そもそもはんだクラックとは?
はんだクラックは、部品と基板をつないでいるはんだに、少しずつ亀裂(クラック)が入っていく故障です。亀裂がはんだを横切ってしまうと、部品と基板の電気的なつながりが切れます。
まず押さえたい5つの言葉
| 用語 | かんたんに言うと |
|---|---|
| はんだ接合部 | 部品の電極と基板のランド(銅の足場)を、はんだでつないでいる部分 |
| フィレット | 部品の電極の横に、すそ野のように広がったはんだの斜面 |
| 熱膨張係数(CTE) | 温度が1℃上がったときに、材料がどれだけ伸びるかを表す値。単位はppm/K(100万分のいくつ伸びるか) |
| 金属疲労 | 1回では壊れない小さな力でも、何度も繰り返しかかることで金属に亀裂が入る現象 |
| 温度サイクル | 「低い温度→高い温度→低い温度」の1往復。昼と夜、電源のオンとオフなどで起きる |
クリップの針金を思い浮かべてください。1回曲げただけでは折れませんが、同じところを何十回も曲げ伸ばしすると、ポキッと折れます。はんだクラックも同じで、温度が上下するたびにはんだが少しだけ曲げ伸ばしされ、その積み重ねで割れていきます。
つまり、はんだクラックは「大きな力で一気に壊れる」のではなく、「小さなずれが何千回も繰り返されて壊れる」故障です。だから出荷時には見つからず、使っているうちに起きます。

なぜ割れる?熱膨張の差が生む「ずれ」
はんだが割れるいちばんの原因は、部品と基板で「温度による伸び方」が違うことです。伸び方の違う2つのものを、はんだが間でつなぎとめているため、温度が変わるたびにはんだがずらされます。
材料ごとの熱膨張係数
| 材料 | 熱膨張係数の目安 | 使われている場所 |
|---|---|---|
| シリコン | 約3ppm/K | ICのチップ(半導体そのもの) |
| アルミナ(セラミック) | 約7ppm/K | チップ抵抗の本体 |
| FR-4(一般的な基板) | 約13〜25ppm/K | プリント基板(値は材料や方向で変わる) |
基板は、セラミックの部品やシリコンのチップより、2倍から数倍よく伸びます。具体的な値は、部品や基板材料のデータシートで確認してください。
1サイクルで起きていること
基板は大きく伸び、部品は少ししか伸びません。部品の両端のはんだは、基板側だけ外へ引っぱられ、斜めにゆがみます。この「上下で横にずらされる」変形を、せん断(せんだん)と呼びます。
はんだは融点が低いので、高温では少しやわらかくなり、力がかかったままだとゆっくり形が変わります。この変形を「クリープ」と呼びます。変形した分は、温度が戻っても元に戻りません。
今度は逆向きにずらされます。はんだは、行きと帰りで反対向きに変形させられたことになります。
この往復が何百回、何千回と繰り返されると、はんだの中に小さな亀裂ができ、1サイクルごとに少しずつ伸びていきます。
温度サイクルは、外の気温だけで起きるわけではありません。電源を入れると部品が発熱し、切ると冷えます。これも温度サイクルです。発熱の大きいパワー部品では、電源のオンとオフの繰り返し(パワーサイクル)が、はんだクラックの大きな原因になります。
つまり、「伸び方の違う部品と基板」を「やわらかいはんだ」でつないでいる限り、温度が変わるたびにはんだは必ずずらされます。設計でできるのは、このずれを小さくすることと、ずれに耐えられる回数を増やすことです。
材料ごとの伸び方の違いを、もう一段くわしく知りたいときに

身近なたとえで完全理解:二人三脚のひも
はんだクラックは、歩幅の違う二人が二人三脚を続けたとき、足を結んだひもがすり切れていくのに似ています。
基板の上で起きること
- よく伸びる基板
- あまり伸びない部品
- 両方をつなぐはんだ
- 温度が上下するたびにずらされる
- はんだに亀裂が入って切れる
二人三脚で起きること
- 歩幅の大きい人
- 歩幅の小さい人
- 二人の足を結んだひも
- 一歩ごとにひもが引っぱられる
- ひもがすり切れてほどける
一歩だけなら、ひもは何ともありません。でも、歩幅の差が大きいほど、そして歩く回数が多いほど、ひもは早くすり切れます。
はんだクラックも同じです。熱膨張の差が大きいほど、温度変化の幅が大きいほど、そして繰り返しの回数が多いほど、早く割れます。
二人の距離が離れているほど、ひもは大きく引っぱられます。基板でも、部品が大きいほど(部品の中心から電極までが遠いほど)、はんだは大きくずらされます。大きなチップ部品やBGAの角が割れやすいのはこのためです。
つまり、寿命を決めるのは「歩幅の差(熱膨張の差)」「部品の大きさ」「温度変化の幅」「回数」の4つです。次の計算で、この4つがどう効くかを数字で確かめます。

具体例で計算してみる:ひずみと必要な試験サイクル数
はんだクラックの起きやすさは、はんだが1サイクルでどれだけゆがむか(ひずみ)で決まり、試験と市場の関係は加速係数で表せます。2つの計算で確かめてみましょう。
計算1:チップ抵抗のはんだは、どれだけゆがむ?
はんだのゆがみの大きさは「せん断ひずみ」で表します。せん断ひずみとは、はんだの高さに対して、上下が横に何割ずれたかを示す値です。ざっくり見積もる式は次のとおりです。
せん断ひずみ Δγ ≒ 中立点からの距離 L × 熱膨張係数の差 Δα × 温度差 ΔT ÷ はんだの高さ h
中立点:温度が変わっても動かない部品の中心。そこから電極までの距離がLです。
この式は考え方を示す簡易版で、実際の設計では形状による補正係数などを使います。
3216サイズ(3.2mm×1.6mm)のチップ抵抗とします。中立点から電極までの距離Lは、長さの半分の1.6mm。熱膨張係数の差Δαは、基板16ppm/K−アルミナ7ppm/K=9ppm/K(=0.000009/K)。電極の下のはんだの高さhは0.05mmとします。
−40℃↔125℃の試験では、温度差ΔT=165℃。Δγ=1.6×0.000009×165÷0.05=0.0475。はんだの高さに対して約4.8%、横にずらされています。
0℃↔80℃で使う機器なら、ΔT=80℃。Δγ=1.6×0.000009×80÷0.05≒0.023。約2.3%で、試験の半分以下です。
式を見ると、部品が大きい(Lが大きい)ほど、はんだが薄い(hが小さい)ほど、ひずみが大きくなることがわかります。部品を大きくすると割れやすくなり、はんだに厚みを持たせると割れにくくなる、ということです。
計算2:10年分の試験は何サイクル?
はんだの温度サイクル寿命の加速係数は、温度差・繰り返しの速さ・最高温度の3つで決まります。鉛フリーはんだ(SACはんだ:スズ・銀・銅の合金)でよく使われるのが、Norris-Landzberg(ノリス・ランツバーグ)式です。
加速係数 AF =(試験の温度差÷使う環境の温度差)2.65 ×(使う環境の頻度÷試験の頻度)0.136 × exp[2185×(1/使う環境の最高温度 − 1/試験の最高温度)]
2.65・0.136・2185は、SACはんだについて研究で求められた定数の一例です。温度はすべて絶対温度(℃に273.15を足した値)。頻度は1日あたりのサイクル数です。
試験:−40℃↔125℃(温度差165℃)、1サイクル30分で1日48サイクル。使う環境:0℃↔80℃(温度差80℃)、1日1サイクル。
165÷80=2.0625。これを2.65乗すると、2.06252.65≒6.81。温度差が2倍になると、寿命は約7分の1になる計算です。
1÷48≒0.0208。これを0.136乗すると、0.02080.136≒0.591。試験はサイクルが速く、高温にいる時間が短いぶん、1サイクルあたりのダメージが少し小さくなります。
80℃+273.15=353.15K、125℃+273.15=398.15K。逆数は1÷353.15≒0.002832、1÷398.15≒0.002512。差は0.000320。これに2185をかけると0.699。e0.699≒2.01です。
AF=6.81×0.591×2.01≒8.1。試験の1サイクルは、使う環境の約8サイクル分に当たります。
10年は、1日1サイクルなら365×10=3,650サイクル。3,650÷8.1≒451。この条件なら、試験で約450サイクル耐えれば、10年分に相当する目安になります。
この計算は「平均的に何サイクルもつか」の目安で、ばらつきや安全率は入っていません。実際の試験サイクル数は、製品の規格や客先の要求、使う環境の温度プロファイル(1日に何回、何℃から何℃まで変わるか)に合わせて決めます。定数も、はんだの種類や部品で変わります。
つまり、はんだクラックの寿命にいちばん効くのは温度差です。温度差は2.65乗で効くので、使う環境の温度変化を少し小さくするだけで、寿命は大きく延びます。
温度だけで劣化が進む故障の加速試験と、何が違うかがわかる

クラックはどこから始まり、どう進む?
はんだクラックは、ひずみが集中する「はんだの端」から始まり、部品の電極に沿って、はんだを横切るように進みます。始まる場所と進み方を知っておくと、不良解析で何を見ればいいかがわかります。
始まる場所:金属間化合物の近く
はんだ付けをすると、はんだと銅の境目に、スズと銅が混ざった薄い層ができます。これを「金属間化合物(きんぞくかんかごうぶつ)」と呼びます。この層は、はんだと金属をしっかりつなぐ役割を持つ一方で、硬くてもろい性質があります。
亀裂は、この金属間化合物とはんだの境目付近や、そのすぐ近くのはんだの中から始まることが多いとされています。とくに、ひずみが集中するはんだの端(部品の電極の下の角や、フィレットのすそ)が起点になりやすい場所です。
進み方:経路で寿命が変わる
チップ部品では、亀裂の進む経路が大きく2つに分かれることが研究で報告されています。部品の電極の下を横に進む経路と、フィレットの中を斜めに進む経路です。フィレットの中を進む場合は、寿命が大きく短くなることがあります。はんだの量や形が寿命に効くのは、このためです。
壊れ方:最初は「ときどき切れる」
亀裂がはんだの一部だけなら、残りの部分で電気は流れます。抵抗値もほとんど変わりません。
亀裂がほぼ横切ると、温度で部品がずれたときだけ亀裂が開いて、電気が切れます。常温に戻ると亀裂が閉じて、またつながります。
亀裂が完全に横切り、すき間が広がると、常温でもつながらなくなります。
つまり、はんだクラックは「完全に壊れる前に、ときどき切れる期間がある」故障です。市場で「たまに動かなくなる」「寒い朝だけ動かない」という不具合は、はんだクラックを疑うきっかけになります。

割れやすい部品と場所
はんだクラックが起きやすいのは、「熱膨張の差が大きい」「部品が大きい」「はんだが薄い」「温度変化が大きい」のどれかに当てはまる場所です。計算1の式の、どの項が大きくなるかで考えると整理できます。
| 部品・場所 | 割れやすい理由 |
|---|---|
| 大きなセラミックチップ部品(3216、5025、6432など) | セラミックは伸びにくく、部品が大きいほど電極が中心から遠い |
| BGAの外周、とくに四隅のボール | パッケージの中心から最も遠い |
| QFNなど、足のない薄いパッケージ | 部品と基板のすき間が小さく、はんだが薄い |
| 発熱の大きいパワー部品 | 電源のオンとオフのたびに、部品自身が大きな温度変化を起こす |
| 基板の端、ねじ止めの近く、コネクタの近く | 基板の反りや、組み立て・抜き差しの力が、温度のずれに上乗せされる |
| 大きく重い部品(コイル、大型コンデンサなど) | 振動の力も加わり、温度のずれと合わせて疲労が進みやすい |
同じ部品でも、基板のどこに置くかで寿命が変わります。部品の性能だけを見て選び、置き場所を基板の端やねじの近くにすると、試験で思わぬ早さで割れることがあります。部品選定と部品配置は、セットで考えます。
つまり、設計レビューでは「大きなセラミック部品」「BGAの四隅」「QFN」「パワー部品」「基板の端とねじの近く」の5つを重点的に見ると、はんだクラックのリスクを効率よく洗い出せます。
温度で基板が反ると、はんだにどんな力がかかるかがわかる

設計と製造でできる対策
はんだクラックの対策は、「ずれを小さくする」「ずれに耐えられる回数を増やす」「温度変化そのものを小さくする」の3方向です。
設計でできる対策
| 対策 | 効く項 | 具体的には |
|---|---|---|
| 大きな部品を小さな部品に分ける | L(大きさ) | 大きなチップ抵抗1個を、小さいサイズの直列・並列に置き換える |
| 熱膨張の近い組み合わせを選ぶ | Δα(伸びの差) | 部品と基板材料の熱膨張係数を確認し、差の小さい組み合わせにする |
| 電極に柔軟な層を持つ部品を使う | ずれの吸収 | 電極に樹脂層を入れた「ソフトターミネーション」品などで、ずれを部品側で受け止める |
| BGAにアンダーフィルを入れる | ずれの分散 | 部品と基板のすき間を樹脂で埋め、力をはんだ以外にも分散させる |
| 置き場所を工夫する | 反り・外力 | 大きな部品を、基板の端・ねじ・コネクタから離す |
| 温度変化を小さくする | ΔT(温度差) | 放熱を良くしてパワー部品の温度上昇を抑える。温度差は2.65乗で効くので効果が大きい |
製造でできる対策
| 対策 | 具体的には |
|---|---|
| はんだの量と形を安定させる | メタルマスクの開口と厚みを管理し、はんだの厚みとフィレットの形をそろえる。はんだが薄いとひずみが大きくなる |
| ボイド(はんだの中の空洞)を減らす | 空洞があると、はんだのつながっている面積が減り、亀裂が早く横切る |
| 加熱条件を管理する | 加熱しすぎると金属間化合物が厚くなり、もろい層が増える |
| 組み立てで基板を曲げない | 基板の分割やねじ締めで曲げると、出荷前に微小な亀裂の起点ができることがある |
つまり、設計では「部品を小さく・伸びの差を小さく・置き場所を選ぶ・温度差を小さく」、製造では「はんだの量と形をそろえる・空洞を減らす・曲げない」が基本です。

試験で確かめる方法と、結果の見方
はんだクラックは、温度サイクル試験で温度の上げ下げを繰り返し、導通を見張りながら、決めたサイクル数まで耐えるかで確かめます。試験が終わったら、断面を見て亀裂の進み具合を確認します。
試験条件の例(IPC-9701)
表面実装のはんだ接合部の温度サイクル試験では、IPC-9701という規格の条件がよく参照されます。
| 条件 | 温度範囲 | 温度差 |
|---|---|---|
| TC1(基準) | 0℃↔100℃ | 100℃ |
| TC2 | −25℃↔100℃ | 125℃ |
| TC3 | −40℃↔125℃ | 165℃ |
| TC4 | −55℃↔125℃ | 180℃ |
| TC5 | −55℃↔100℃ | 155℃ |
故障の判定は、はんだ接合部を数珠つなぎにした回路(デイジーチェーン)の抵抗値を連続して測り、抵抗値が初期より20%上がったら故障、とするのが一般的です。実際の条件や判定基準は、製品の規格や客先の要求で決まります。
試験後に亀裂を確かめる方法
| 方法 | わかること |
|---|---|
| 断面観察 | 接合部を樹脂で固めて切断・研磨し、顕微鏡で亀裂の起点・経路・長さを見る。最も確実 |
| 染色浸透(赤インク試験) | 赤い染料をしみこませてから部品をはがし、亀裂の広がった面積を見る。BGAで多く使う |
| X線観察 | ボイドやはんだの形は見やすいが、閉じた細い亀裂は写りにくい |
- 「合格/不合格」だけでなく、合格したサンプルも断面を見て、亀裂がはんだのどこまで進んでいるか(接合長さに対する亀裂の割合)を記録する。余裕がどれだけあるかがわかる。
- 試験の途中(例えば規定サイクルの半分)でもサンプルを抜き取って断面を見ると、亀裂の進み方の傾向がつかめる。
- 故障したサイクル数は、ワイブル分布で整理すると、ばらつきを含めた寿命を推定できる。
- 断面で亀裂が見つかったら、起点と経路を記録する。起点が金属間化合物の付近か、ボイドからか、フィレットのすそからかで、打つべき対策が変わる。

よくある間違い・つまずきポイント
はんだクラックの評価で多い間違いは、試験の見張り方と、加速のさせ方です。現場でよく見る5つの思い込みを整理します。
| よくある思い込み | 実際は |
|---|---|
| 試験後に常温で導通を確認して、つながっていれば合格 | 亀裂は常温で閉じるので、断続故障を見逃します。試験中に連続して見張る必要があります |
| 温度差を大きくするほど、早く結果が出てよい | 基板のガラス転移温度(Tg)を超えるほど高温にすると、基板の伸び方が変わり、市場では起きない壊れ方をすることがあります |
| 高温放置試験の結果(アレニウスモデル)で、温度サイクル寿命も見積もれる | はんだクラックは「温度の高さ」より「温度差と回数」で進む故障です。加速の考え方が違うので、温度サイクル試験で確かめます |
| はんだ付け直後の不良と同じもの | イモハンやブリッジは製造時の初期不良です。はんだクラックは、正しくはんだ付けされた接合部が使ううちに疲労して割れるもので、原因も対策も違います |
| 熱衝撃試験と温度サイクル試験は同じ | 熱衝撃試験は温度の切り替えが非常に速く、急な温度変化に耐えられるかを見る試験です。温度の変わる速さが違うと、壊れ方や加速の度合いも変わります |
市場の不具合品を回収して常温で調べると、「異常なし」になることがあります。はんだクラックの疑いがあるときは、部品を温めたり冷やしたりしながら導通を確認するか、断面を見て判断します。
つまり、はんだクラックの評価では「連続して見張る」「加速しすぎない」「温度差と回数で考える」の3つを守ると、試験結果を市場の寿命に正しくつなげられます。

よくある質問(FAQ)
- はんだクラックは、部品と基板の伸びの差ではんだがずらされ、金属疲労で割れる故障です
- ひずみは「部品の大きさ×伸びの差×温度差÷はんだの高さ」で大きくなります
- 寿命にいちばん効くのは温度差で、2.65乗で効きます。−40↔125℃の試験約450サイクルが、0↔80℃で10年分に当たる計算例もあります
- 亀裂は金属間化合物の近くやはんだの端から始まり、最初は「ときどき切れる」断続故障になります
- 割れやすいのは、大きなセラミック部品、BGAの四隅、QFN、パワー部品、基板の端とねじの近くです
- 試験では連続して導通を見張り、合格品も断面で亀裂の進み具合を確認します
手元の基板で、いちばん大きなセラミックチップ部品を1つ選び、計算1の式でひずみを見積もってみてください。使う環境の温度差を入れるだけで、その部品にどれだけ余裕があるかの感覚がつかめます。

はんだクラックの原因になる温度の変化を、熱設計の基礎から学びたいときに向いています。電子機器の熱設計を、基礎から学べる入門書です(日刊工業新聞社、国峯尚樹 著)。
はんだクラックを防ぐ部品の配置や基板の考え方を、実際の基板設計のテクニックとあわせて身につけたい人に向いています。CQ出版『トランジスタ技術SPECIAL』の、プリント基板設計の実用的なテクニックを集めた号です。
メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。
次に読むべき記事
ここまでで、はんだクラックが「温度差と回数」で進む故障だとわかりました。次は、この視点を設計レビューと部品選びにつなげていきましょう。
テーマ別に、もっと深く学ぶ
気になるところから読んでも大丈夫です。どの記事も、はじめて学ぶ人向けにやさしく書いています。