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TPM(ティーピーエム、全員参加の生産保全)は設備のロスをなくして効率を最大にする製造現場の活動で(パソコンのセキュリティチップの TPM とは別の言葉です)、成果は設備総合効率(OEE)=時間稼働率×性能稼働率×良品率で測ります。計算は例題と計算ツール、6大ロスとの対応は6大ロスの節へ。

TPMとは?「設備の健康」を全員で守る活動
TPMは、Total Productive Maintenance の頭文字です。日本の製造業で生まれた設備保全の活動で、日本プラントメンテナンス協会(JIPM)が広めてきました。ポイントは「Total(全員)」にあります。
それまでの設備保全は、「設備を使うのは製造の人、直すのは保全の人」と分かれていました。TPMでは、毎日設備にふれている製造の人が、清掃・給油・点検などの日常の手入れを受け持ち、保全の人は専門的な点検や修理、改良に集中します。
つまり、TPMは「設備が止まってから直す」のではなく、「止まらない・不良を出さない設備に、全員で育てていく」活動です。

TPMの8本柱|品質保全もその1つ
TPMの活動は、8つの柱に分けて進めるのが一般的です。柱の名前は本や会社によって少し違いますが、中身はほぼ次のとおりです。
| 柱 | 中身 | 品質管理とのつながり |
|---|---|---|
| 個別改善 | 大きなロスを、テーマを決めて少人数で減らす | QCストーリーやなぜなぜ分析を使う |
| 自主保全 | 製造の人が、清掃・給油・点検などの日常の手入れを行う | 清掃で見つけた異常が、不良の芽を早くつむ |
| 計画保全 | 保全の人が、点検・修理・部品の交換を計画的に行う | 故障率曲線やMTBFで、点検の時期を決める |
| 初期管理 | 新しい製品や設備を、立ち上げからスムーズに動かす | 初期流動管理と同じ考え方 |
| 品質保全 | 不良が出ない設備の条件を決め、その条件を保つ | 4M(人・機械・材料・方法)の管理そのもの |
| 教育訓練 | 設備に強い人を育てる | 作業標準や技能の教育 |
| 管理間接部門の効率化 | 事務などの仕事のロスも減らす | — |
| 安全衛生と環境 | 災害ゼロ・公害ゼロの職場をつくる | — |
設備の変化が品質に影響する「4M変更」の考え方と、管理のやり方がわかります

設備総合効率(OEE)とは?3つの率のかけ算
TPMの成果は、設備総合効率(OEE:Overall Equipment Effectiveness)で測ります。設備が動くはずだった時間のうち、どれだけを「良品をつくる時間」に使えたかを表す数字です。
| 率 | 求め方 | 何がわかる? |
|---|---|---|
| 時間稼働率 | (負荷時間-停止時間)÷負荷時間 | 設備が止まらずに動いた時間の割合 |
| 性能稼働率 | (基準サイクルタイム×加工数量)÷稼働時間 | 動いている間に、本来の速さで作れた割合 |
| 良品率 | (加工数量-不良数量)÷加工数量 | 作ったもののうち、良品の割合 |
負荷時間は「設備を動かす予定の時間」、停止時間は故障や段取りなどで止まった時間、稼働時間は負荷時間から停止時間を引いた時間です。基準サイクルタイムは、1個を作るのにかかる本来の時間(設計どおりの速さ)です。

例題:設備総合効率を計算してみる
ある設備の1日のデータです。負荷時間480分(8時間)、停止時間60分(故障・段取り・立ち上がり)、基準サイクルタイム0.5分/個、加工数量720個、そのうち不良が18個でした。
別の見方で検算する
良品702個を本来の速さで作ると、702×0.5=351分です。予定の480分のうち、良品をつくる正味の時間は351分だったので、351÷480≒0.731。かけ算で求めた値と同じになります。

6大ロスと3つの率の対応|どのロスがどの率を下げる?
設備総合効率を下げる原因を「ロス」と呼びます。設備の代表的なロスは次の6つで、どの率を下げるかが決まっています。
| ロス | 中身 | 下がる率 |
|---|---|---|
| 故障ロス | 設備が壊れて止まる | 時間稼働率 |
| 段取り・調整ロス | 品種の切り替えや、調整のために止める | 時間稼働率 |
| 立ち上がりロス | 始業時や再開時に、安定するまでの時間 | 時間稼働率 |
| チョコ停・空転ロス | 部品の詰まりなどで、短い時間だけ止まる | 性能稼働率 |
| 速度低下ロス | 本来の速さより遅く運転する | 性能稼働率 |
| 不良・手直しロス | 不良を作る、手直しする | 良品率 |
チョコ停は、1回が数秒〜数分と短いので、日報に書かれず見落とされがちです。性能稼働率が低いのに停止の記録が少ないときは、チョコ停が隠れていると考えて、設備のそばで回数を数えてみるのが近道です。
ロスを件数や時間の大きい順に並べ、どこから手をつけるかを決めるパレート図の使い方がわかります

設備総合効率(OEE)の計算ツール
1日分(または1シフト分)の数字を入れると、3つの率と設備総合効率、いちばん低い率を表示します。時間の単位は分にそろえてください。
入れた数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。
TPMと品質管理のつながり|良品率と直行率の違いにも注意
設備総合効率の3つの率のうち、良品率は品質の数字です。良品率を上げる活動は、品質保全の柱と、QC手法による不良対策そのものです。
| TPMの活動 | 使う品質管理の手法 |
|---|---|
| 不良・手直しロスを減らす | パレート図で多い不良を選び、特性要因図となぜなぜ分析で原因を探す |
| 品質保全(不良が出ない条件を守る) | 4M変更の管理、QC工程表で条件と点検の頻度を決める |
| 計画保全(故障を減らす) | 故障率曲線・MTBFで、点検や交換の時期を決める |
| 改善の効果を確かめる | 管理図で、改善のあとも安定しているかを見る |
直行率と歩留まりの違いと、品質の数字の正しい使い分けがわかります

TPM・設備総合効率でよくある間違い
| よくある間違い | 正しい考え方 |
|---|---|
| 設備総合効率は「設備が動いていた時間の割合」 | それは時間稼働率だけ。設備総合効率は、速さと良品率までかけた数字 |
| TPMは保全部門の仕事 | TPMは全員参加。日常の手入れは製造の人が受け持つ(自主保全) |
| 基準サイクルタイムに、今の実際の速さを使う | 基準サイクルタイムは本来の速さ(設計値や最良の実績)。今の速さを使うと、速度低下ロスが見えなくなる |
| 計画した休み(昼休み・計画停止)も停止時間に入れる | 計画した休みは、負荷時間からはじめから除く。停止時間は、動かす予定だったのに止まった時間 |
| ほかの工場や会社の設備総合効率と、数字だけで比べる | 負荷時間や良品の決め方が違うと、数字は比べられない。まず自分の設備の前後で比べる |

よくある質問


