理論科目の解説

アドミタンスとは?並列回路の計算が10倍ラクになる「逆数」の考え方

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています。

😣 こんな悩みはありませんか?
  • 「並列回路のインピーダンス計算で、分数の嵐に溺れた…」
  • 「アドミタンスYって何?インピーダンスZと何が違うの?」
  • 「コンダクタンスG、サセプタンスB…用語が多すぎて混乱!」
  • 「直列回路はできるのに、並列になると急に手が止まる」
✅ この記事でわかること
  • アドミタンスY=「電流の流れやすさ」で、インピーダンスZの逆数
  • 並列回路でアドミタンスを使うと、分数が消えて足し算だけになる理由
  • コンダクタンスG、サセプタンスBの意味を水道管のたとえで理解
  • 計算例3問で、試験の並列回路問題が確実に解けるようになる
結論|まず30秒でわかる答え

アドミタンスYとは、インピーダンスZの逆数(Y = 1/Z)で、電流の流れやすさを表す量です。単位はジーメンス[S]です。並列回路では各枝のアドミタンスを足すだけで合成できるので、「直列はZ、並列はY」と使い分けると計算が簡単になります。

前回の記事で、インピーダンスZ=直列回路の計算をマスターしましたよね。

でも、試験本番では並列回路もたくさん出てきます。そして並列回路でインピーダンスZのまま計算しようとすると…

😱 こうなります…
Z = 1 / ( 1/Z₁ + 1/Z₂ )
= 1 / ( 1/(R+jXL) + 1/(R−jXC) )
= …分数の中に分数、しかも虚数…

→ 計算ミス続出。試験時間が溶ける。心が折れる。

ここで登場するのが「アドミタンスY」という概念です。

アドミタンスYは、インピーダンスZをひっくり返した(逆数にした)だけのもの。たったこれだけで、並列回路の計算が嘘のようにシンプルになります。

この記事を読み終える頃には、「直列はZ、並列はY」という最強の使い分けが身についているはずです。

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アドミタンスとは?|「電流の流れやすさ」を表す逆数の指標

🚰 水道管のたとえ:「通りにくさ」と「通りやすさ」

インピーダンスZは「電流の通りにくさ」でした。水道管でたとえると、管の細さです。管が細いほど水は流れにくい。

アドミタンスYは、その逆。水道管の太さです。管が太いほど水は流れやすい。

🚰

インピーダンス Z

電流の通りにくさ
(管の細さ)

値が大きい → 電流が流れにくい
単位:Ω(オーム)

🔵

アドミタンス Y

電流の通りやすさ
(管の太さ)

値が大きい → 電流が流れやすい
単位:S(ジーメンス)

📐 アドミタンスの定義

Y =
1
Z
[S(ジーメンス)]

・Y:アドミタンス [S](電流の流れやすさ)
・Z:インピーダンス [Ω](電流の流れにくさ)
・S(ジーメンス):「Ω(オーム)の逆数」の単位。旧記号は℧(モー)。

つまり、Z = 10 Ω なら Y = 1/10 = 0.1 S。Z = 50 Ω なら Y = 1/50 = 0.02 S。

Zが大きい(電流が流れにくい)ほど、Yは小さくなる。当たり前ですが、これが「逆数」の意味です。

🔑 なぜ「逆数」にするとラクなのか?

直流回路を思い出してください。直列回路と並列回路では、抵抗の合成方法が違いましたよね。

回路の種類 抵抗(直流)の合成 交流での扱い
直列 R = R₁ + R₂(足し算) Zを使えば足し算でOK ✅
並列 1/R = 1/R₁ + 1/R₂(逆数の足し算) Yを使えば足し算でOK ✅

直流の並列回路でも、合成抵抗は「逆数を足して、また逆数にする」という面倒な計算でしたよね。

交流の並列回路でも同じことが起きます。しかもZには虚数(j)が含まれるので、分数の中に虚数が入り乱れて地獄になります。

でも、最初から逆数であるY(アドミタンス)で考えれば…

✨ アドミタンスの最大のメリット
並列回路の合成アドミタンスは
Y = Y₁ + Y₂ + Y₃ …

ただの足し算です。分数が消えます。これがアドミタンスを使う理由です。
おすすめの本

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コンダクタンスGとサセプタンスB|アドミタンスの中身を分解する

🧩 インピーダンスの「R, X」に対応するのが「G, B」

インピーダンスの記事で、Zは「抵抗R」と「リアクタンスX」に分解できることを学びましたよね。

同じように、アドミタンスYも2つの要素に分解できます。

インピーダンス Z(通りにくさ) アドミタンス Y(通りやすさ)
全体 Z [Ω] Y = 1/Z [S]
抵抗成分
(エネルギーを消費)
R(抵抗)[Ω] G = 1/R(コンダクタンス)[S]
リアクタンス成分
(エネルギーを蓄える)
X(リアクタンス)[Ω] B = 1/X(サセプタンス)[S]

🚰 水道管のたとえで覚える3兄弟

🟢
コンダクタンス G
G = 1/R [S]

「抵抗Rの管がどれだけ水を通すか」

Rが小さい → Gが大きい
(細い管ほど通しにくい)
🟠
サセプタンス B
B = 1/X [S]

「コイル・コンデンサの管がどれだけ交流を通すか」

Xが小さい → Bが大きい
(リアクタンスが小さいほど通しやすい)
🔵
アドミタンス Y
Y = 1/Z [S]

「回路全体がどれだけ電流を通すか」

G と B を合成した総合的な通りやすさ

📐 アドミタンス三角形|G, B, Y の関係

インピーダンスに「インピーダンス三角形」があったように、アドミタンスにも「アドミタンス三角形」があります。形はまったく同じ直角三角形です。

📐 アドミタンスの公式(ピタゴラスの定理)

Y = √( G² + B² )

・Y:アドミタンス [S](斜辺)
・G:コンダクタンス [S](底辺)= 1/R
・B:サセプタンス [S](高さ)= 1/X
⚠️ 重要な注意:Y ≠ 1/R + 1/X
「Y = G + B じゃないの?」と思いがちですが、GとBは90°ズレた方向なので、ここでも直角三角形による合成(ピタゴラスの定理)が必要です。

ただし、並列回路で各枝路のアドミタンスを足す場合は、同じ方向の成分同士の足し算なので問題ありません。この違いは次の計算例で確認しましょう。

「直列 → Z」「並列 → Y」の使い分け|最強のルール

📏 たった1つのルールを覚えるだけ

交流回路の計算では、次の1つのルールを覚えるだけで、ほとんどの問題に対応できます。

🔗

直列回路

インピーダンス Z で計算

Z = Z₁ + Z₂(足し算)
電流が共通 → 電圧を分配

🔀

並列回路

アドミタンス Y で計算

Y = Y₁ + Y₂(足し算)
電圧が共通 → 電流を分配

なぜこれでうまくいくのか? 理由はシンプルです。

直列回路では各素子に同じ電流が流れ、電圧が分配されます。電圧 = 電流 × インピーダンスなので、インピーダンスを足せば全体の電圧降下が求まる。

並列回路では各枝路に同じ電圧がかかり、電流が分配されます。電流 = 電圧 × アドミタンスなので、アドミタンスを足せば全体の電流が求まる。

💡 交流のオームの法則(2つの形)
① V = I × Z(直列回路で便利)
② I = V × Y(並列回路で便利)

②は①をひっくり返しただけです。本質は同じオームの法則!
📘 関連記事
【電験三種・理論】分圧・分流の法則|電圧と電流の分け方を瞬時に計算 →

直流の分圧・分流を復習しておくと、交流の並列回路もスムーズに理解できます

おすすめの本

電気回路の基本があいまいなときは、入門書で土台を固めておくと理解が進みます。電気回路の基本を、つまずいている人向けにやさしく解説した入門書です(オーム社)。

【計算例①】R と L の並列回路

📝 問題:R=5Ω と XL=5Ω が並列接続

📝 問題
抵抗 R = 5 Ω とコイル XL = 5 Ω が並列に接続された回路に、電圧 V = 10 V の交流を加えた。
(1) 回路全体のアドミタンス Y を求めなさい。
(2) 回路全体に流れる電流 I を求めなさい。
(3) 各枝路に流れる電流 IR、IL を求めなさい。
STEP 1:各枝路のアドミタンスを求める

・抵抗の枝路:G = 1/R = 1/5 = 0.2 S(コンダクタンス)
・コイルの枝路:BL = 1/XL = 1/5 = 0.2 S(サセプタンス)

※ 抵抗の枝路はG成分のみ(B = 0)。コイルの枝路はB成分のみ(G = 0)。

STEP 2:合成アドミタンス Y を求める

GとBは90°方向が違うので、ピタゴラスの定理で合成します。

Y = √( G² + B² )
= √( 0.2² + 0.2² )
= √( 0.04 + 0.04 )
= √0.08
≈ 0.283 S

STEP 3:全体の電流 I を求める

I = V × Y
= 10 × 0.283
≈ 2.83 A

STEP 4:各枝路の電流を求める

並列回路は電圧が共通なので、各枝路の電流もオームの法則で求まります。

・IR = V / R = 10 / 5 = 2 A(抵抗を流れる電流)
・IL = V / XL = 10 / 5 = 2 A(コイルを流れる電流)

※ 検算:I = √(IR² + IL²) = √(4+4) = √8 ≈ 2.83 A ✅

💡 ポイント:IR + IL ≠ I !
IR = 2A、IL = 2A だから I = 4A…とはなりません!
インピーダンスの記事で学んだように、位相がズレているため電流もベクトル合成(ピタゴラスの定理)が必要です。
IR(横方向)と IL(縦方向)は90°ズレているので、I = √(2² + 2²) = 2√2 ≈ 2.83A になります。

【計算例②】R と C の並列回路

📝 問題:R=4Ω と XC=3Ω が並列接続

📝 問題
抵抗 R = 4 Ω とコンデンサ XC = 3 Ω が並列に接続された回路のインピーダンス Z を求めなさい。
STEP 1:各枝路のアドミタンスを求める

・G = 1/R = 1/4 = 0.25 S
・BC = 1/XC = 1/3 ≈ 0.333 S

STEP 2:合成アドミタンス Y を求める

Y = √( G² + BC² )
= √( 0.25² + 0.333² )
= √( 0.0625 + 0.111 )
= √0.1736
≈ 0.417 S

STEP 3:インピーダンス Z に変換する

問題で「Zを求めよ」と言われたら、最後にYをひっくり返すだけ!

Z = 1/Y = 1/0.417 ≈ 2.4 Ω

⚠️ インピーダンスで同じ計算をすると…
Z = 1/(1/Z₁ + 1/Z₂) = (Z₁ × Z₂)/(Z₁ + Z₂) ですが、
Z₁ = R = 4、Z₂ = −jXC = −j3 なので…
Z = (4 × (−j3))/(4 + (−j3)) = −j12/(4−j3)
→ 有理化して… → 分子・分母に共役複素数をかけて… →

見るからに面倒ですよね?
アドミタンスなら足し算とピタゴラスだけで同じ答えが出ます。これが「10倍ラク」の理由です。

【計算例③】R, L, C が並列の回路

📝 問題:R=10Ω、XL=5Ω、XC=20Ω が並列接続

📝 問題
R = 10 Ω、XL = 5 Ω、XC = 20 Ω が並列接続された回路に V = 100V の交流を加えた。
(1) 全体のアドミタンス Y を求めよ。
(2) 全体に流れる電流 I を求めよ。
STEP 1:各成分のアドミタンスを求める

・G = 1/R = 1/10 = 0.1 S
・BL = 1/XL = 1/5 = 0.2 S(コイル:下向き)
・BC = 1/XC = 1/20 = 0.05 S(コンデンサ:上向き)

STEP 2:合成サセプタンス B を求める

BLとBCは逆方向(直列回路のXL−XCと同じ考え方)なので引き算!

B = BL − BC = 0.2 − 0.05 = 0.15 S
(BL > BC なので「誘導性」。電流が遅れる。)

STEP 3:合成アドミタンス Y を求める

Y = √( G² + B² )
= √( 0.1² + 0.15² )
= √( 0.01 + 0.0225 )
= √0.0325
≈ 0.18 S

STEP 4:全体の電流 I を求める

I = V × Y
= 100 × 0.18
= 18 A

💡 直列と並列の「引き算」を比較
・直列回路:X = XL − XC(リアクタンスの引き算)
・並列回路:B = BL − BC(サセプタンスの引き算)

形は同じ!「逆向きのものは打ち消し合う」という原理は、直列でも並列でも変わりません。

まとめ|アドミタンスの公式と使いどころ

お疲れ様でした。この記事の内容を整理しましょう。

①
直列回路?並列回路?
直列 → Z
並列 → Y
→
②
G, B を求めて
引き算&合成
B = BL − BC
Y = √(G²+B²)
→
③
I = V × Y
必要ならZ = 1/Y
オームの法則で
電流や電圧を計算
🎯 この記事の最重要ポイント
  • アドミタンス Y = 1/Z。インピーダンスの逆数で「電流の流れやすさ」を表す
  • 並列回路では Y = Y₁ + Y₂ の足し算だけで合成できる(分数地獄にならない)
  • Yの中身は G(コンダクタンス = 1/R)と B(サセプタンス = 1/X)
  • GとBは90°ズレているので、Y = √(G² + B²) で合成する
  • BL と BC は逆方向 → B = BL − BC(引き算)
  • 最強のルール:「直列 → Z で足し算」「並列 → Y で足し算」
インピーダンス側 アドミタンス側
全体 Z [Ω] Y = 1/Z [S]
抵抗成分 R(抵抗) G = 1/R(コンダクタンス)
リアクタンス成分 X(リアクタンス) B = 1/X(サセプタンス)
合成法則 Z = √(R²+X²) Y = √(G²+B²)
直列で便利 ✅(足し算で合成可能) △
並列で便利 △ ✅(足し算で合成可能)
オームの法則 V = I × Z I = V × Y

インピーダンスとアドミタンスは表裏一体です。どちらか一方だけでは戦えません。「直列はZ、並列はY」の使い分けを体に叩き込んで、試験本番では問題を見た瞬間に「これはYで攻める」と判断できるようになりましょう。

S
シラス
電験三種 / QC検定1級 / パワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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ここまでで、アドミタンスYがインピーダンスZの逆数で、並列回路の計算を簡単にすることがわかりました。次は、交流回路の電力と力率の計算に進みましょう。

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