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- 分圧回路の抵抗の決め方がわからない。比は出せたが、何kΩにすればいいのか
- 計算した値の抵抗が売っていない
- ±1% と ±5%、どちらを使えばいいのか決められない
- 分圧回路の抵抗を決める4ステップ(比・大きさ・E24・誤差)
- 12V を 3.3V の ADC で測る計算例と、最低限の確かめ2つ
- 5V・12V・24V・48V の早見表
- 負荷をつなぐと電圧が下がる失敗と、その直し方
分圧回路の抵抗は、次の4ステップで決めます。
①比を「ADC の上限 ÷ 測りたい最大の電圧」から、誤差の分だけ小さめに決める
②流す電流と、ADC から見た抵抗で「大きさ」を挟む
③売っている値(E24系列)から組み合わせを選ぶ
④抵抗の誤差で、上限を超えないかを確かめる
12V を 3.3V の ADC で測るなら、R1=33kΩ・R2=10kΩ(±1%)です。値だけ知りたい人は、記事の中ほどの早見表へどうぞ。
わからない言葉が出てきたら、ここに戻ってきてください。本文でも、初めて出たところで言い換えます。
| 分圧回路 | 抵抗を2本つないで、電圧を小さくして取り出す回路 |
| 比(分圧比) | 出てくる電圧が、入れた電圧の何倍か。R2÷(R1+R2) |
| ADC | マイコンの中の、電圧を数字に変える部分(A/D変換器) |
| ADC の上限 | ADC が読める電圧のいちばん上。3.3V のマイコンなら多くは 3.3V |
| R1∥R2 | R1 と R2 を並列にしたときの抵抗。ADC から見た「元の強さ」 |
| E24系列 | 売っている抵抗の値の並び(1.0・1.1・1.2・1.3・1.5…) |
| 許容差(±1%) | 表示の値から、実物がどれだけずれてよいか |
| 最悪値 | ずれが全部いちばん悪い向きにそろったときの値 |
| 入力抵抗 | つなぐ先の機器の入口が持っている抵抗 |
分圧回路は、抵抗を2本つなぐだけの、いちばん簡単な回路の1つです。式もかけ算と割り算だけです。
それなのに、実際に部品を選ぶ段になると手が止まります。「比は出たけれど、10kΩ と 100kΩ のどちらで作ればいいの?」「計算した 30.8kΩ という抵抗が売っていない」「±5% の安い抵抗ではだめなの?」と、迷う所がいくつもあるからです。
この記事では、試験の計算ではなく「部品を選ぶ設計」に絞ります。12V の電源の電圧を、3.3V のマイコンの ADC で測る回路を1つ通して、抵抗の値を決めるまでを順番に説明します。

この記事で作るもの:12Vを3.3VのADCで測る回路
作るのは、12V の電源の電圧を、3.3V で動くマイコンの ADC で測るための分圧回路です。部品は抵抗2本だけです。
マイコンの ADC(電圧を数字に変える部分)は、マイコンの電源の電圧までしか測れません。3.3V で動くマイコンなら、多くは 0〜3.3V です。12V をそのままつなぐと、正しく測れないだけでなく、マイコンを壊すおそれがあります。
そこで、抵抗2本で 12V を約 2.8V まで小さくしてから、ADC に入れます。マイコンは読んだ値を計算で 12V に戻して使います。
| 部品 | この記事で使う値 | 役目 |
|---|---|---|
| R1(上の抵抗) | 33kΩ・±1% | 12V 側から電圧を受け持つ |
| R2(下の抵抗) | 10kΩ・±1% | GND 側。ここの電圧を ADC が読む |
| マイコン | 3.3V で動く品種(ADC つき) | 分圧した電圧を読んで数字にする |
つまり、この記事のゴールは「R1=33kΩ・R2=10kΩ」を自分で選び、なぜその値なのかを説明できるようになることです。

しくみ:電圧は「抵抗の大きさの比」で分かれる
分圧回路では、2本の抵抗に同じ電流が流れ、電圧は抵抗の大きさの比で分かれます。出てくる電圧は Vout=Vin×R2÷(R1+R2)です。
12V から GND まで、電流の通り道は1本だけです。だから、R1 と R2 には同じ電流が流れます。
電流は、オームの法則で 12V÷(33kΩ+10kΩ)≒0.279mA です。
抵抗にかかる電圧は「電流×抵抗」なので、大きい抵抗ほど大きな電圧を受け持ちます。R2 にかかる電圧は 0.279mA×10kΩ≒2.79V。R1 には残りの 9.21V がかかります。
Vout = Vin × R2 ÷(R1+R2)
= 12V × 10k ÷ 43k ≒ 2.79V
12V の高さの坂を、長さ33と長さ10の2本の坂道に分けて下りるようなものです。下りる高さは坂道の長さの割合で決まり、短い方(R2)では全体の 10÷43 だけ下ります。
出てくる電圧は比だけで決まります。3.3kΩ+1kΩ でも、330kΩ+100kΩ でも、同じ約 2.79V です。違うのは、流れる電流と、ADC から見た抵抗の大きさです。これが STEP 2 の話になります。
分圧の式の導き方と、試験に出る計算の解き方を例題で確かめられる
つまり、分圧回路の設計では「比」と「大きさ」を分けて決めます。比で電圧が、大きさで電流と読みやすさが決まります。

分圧回路の抵抗を決める4ステップ
抵抗は、①比 → ②大きさ → ③E24 → ④誤差 の順に決めます。先に比、次に大きさを決めるのがコツです。
ADC の上限 ÷ 測りたい最大の電圧。そこから誤差の分だけ小さくする(例:0.245 以下)
流す電流(下限)と、ADC から見た抵抗(上限)で、R1+R2 の範囲を挟む(例:12kΩ〜56kΩ)
R2 をきりのよい値(10kΩ など)に決め、R1 を計算して E24 の値に丸める(例:33kΩ)
抵抗の許容差(±1%・±5%)で比がどれだけずれるかを計算し、上限を超えないか確かめる
順番を逆にすると迷います。たとえば先に「10kΩ と 10kΩ」のように値から決めると、比が合わずに何度も選び直すことになります。
つまり、4ステップの順に1つずつ決めれば、抵抗の値は1つに絞れます。ここから、12V の例で順に見ていきます。

STEP 1:比は「測りたい最大の電圧」から逆算する
比は「ADC の上限 ÷ 測りたい最大の電圧」で上限が決まります。12V を最大 13.2V まで測るなら 3.3÷13.2=0.25 が上限で、誤差の分を引いて 0.245 以下をねらいます。
12V ではなく、最大の電圧で考える
ここで混乱しやすいのですが、比を決めるのは「ふだんの 12V」ではありません。測りたい電圧の最大です。
12V の電源でも、電源の種類や負荷によって少し高くなることがあります。この記事では例として+10% を見込み、12×1.1=13.2V を最大とします。実際の値は、使う電源の仕様で決めてください。
比 ≦ ADC の上限 ÷ 最大の入力
= 3.3V ÷ 13.2V = 0.25
誤差の分だけ、さらに小さくする
比を 0.25 ちょうどにすると、抵抗のわずかなずれで 3.3V を超えてしまいます。±1% の抵抗では、比は最大で約 1.5% ずれます(STEP 4 で計算します)。
そこで、0.25 から約 2% 小さくした 0.245 以下をねらいます。0.25÷1.02≒0.245 です。
ADC の上限を超えた電圧は、いちばん大きい数字に張り付いて、それ以上は読めません。さらに高い電圧がかかると、マイコンを傷めるおそれがあります。どこまでかけてよいかは、マイコンのデータシートの絶対最大定格で確かめます。
つまり、比は「最大の入力でも、ずれても、上限を超えない」大きさにします。この例では 0.245 以下です。

STEP 2:抵抗の「大きさ」は、電流とADCの2つで挟む
抵抗の大きさは、小さすぎると電流が多く流れ、大きすぎると ADC が正しく読めません。この例では R1+R2 を 12kΩ〜56kΩ の間にします。
下限:流しっぱなしの電流
分圧回路には、いつも電流が流れています。抵抗が小さいほど、その電流は増えます。
たとえば 3.3kΩ+1kΩ で作ると、12V÷4.3kΩ≒2.8mA が流れ続けます。電池で動く機器では、この電流が電池を減らします。抵抗の発熱も増えます。
この記事では例として「1mA 以下」とし、12V÷1mA=12kΩ 以上にします。
上限:ADC から見た抵抗
反対に、抵抗が大きすぎると、ADC が正しく読めなくなります。理由は次の節で説明します。
目安として、ATmega328P(Arduino Uno のマイコン)のデータシートは「信号源の抵抗が約 10kΩ 以下なら最適」と書いています。ADC から見た抵抗は R1 と R2 の並列なので、この例では R1+R2 が約 56kΩ 以下になります。
ADC から見た抵抗 = R1×R2÷(R1+R2)= 比×(1−比)×(R1+R2)
0.233×0.767×(R1+R2)≦ 10kΩ → R1+R2 ≦ 約56kΩ
| 組み合わせ | 流れる電流 | ADC から見た抵抗 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 3.3kΩ+1kΩ | 約2.8mA | 約0.77kΩ | 電流が多い |
| 33kΩ+10kΩ | 約0.28mA | 約7.7kΩ | ちょうどよい |
| 330kΩ+100kΩ | 約0.028mA | 約77kΩ | ADC が読みにくい |
つまり、大きさは「電流の下限」と「ADC の上限」の窓の中から選びます。比が同じでも、大きさで回路のふるまいが変わります。

なぜ抵抗が大きいとADCが読めないのか
ADC は読む瞬間に、中の小さなコンデンサを充電してから電圧を測ります。外の抵抗が大きいと充電が間に合わず、読みが低く出ることがあります。
多くのマイコンの ADC は、読む瞬間だけスイッチを閉じて、中のコンデンサ(電気をためる部品)に電圧を写し取ります。そのあとスイッチを開いて、写し取った電圧を数字にします。
このとき、コンデンサには外の抵抗を通して電気が流れ込みます。抵抗が大きいと、決められた短い時間ではコンデンサが満タンになりません。その結果、本当より低い値を読みます。
細いホースでバケツに水を入れるようなものです。ホースが細い(抵抗が大きい)と、決められた時間では水位が上がりきりません。
ADC から見ると、R1 と R2 は並列
ADC の端子から回路を見ると、R1 は 12V 側へ、R2 は GND 側へつながっています。電源は電気の通り道としては短絡と同じに扱えるので、ADC からは R1 と R2 が並列に見えます。これは「テブナンの定理」の考え方です。
この例では 33k×10k÷43k≒7.7kΩ です。10kΩ 以下なので OK です。
「ADC から見た抵抗」を求める考え方を、3ステップと例題で確かめられる
ADC が電圧を数字に変えるしくみ(標本化・量子化)がわかる
電池の機器などで、どうしても大きな抵抗を使いたいときは、ADC の端子と GND の間にコンデンサを足して充電を助ける方法や、読む時間(サンプリング時間)を長くする方法があります。どちらも、マイコンのデータシートの推奨に従って決めます。
つまり、ADC から見た抵抗=R1 と R2 の並列が、マイコンの推奨(ATmega328P なら約 10kΩ)以下になるようにします。

STEP 3:R2を決めて、R1をE24の「大きい側」に丸める
R2 をきりのよい 10kΩ に決め、R1 を計算します。10k×(1÷0.245−1)≒30.8kΩ なので、E24 の大きい側の 33kΩ を選びます。
R1 と R2 の両方を同時に探すと、組み合わせが多すぎて迷います。そこで、先に R2 を 10kΩ のようなよく使う値に決めてしまいます。
比 = R2 ÷(R1+R2)を R1 について解くと
R1 = R2 ×(1 ÷ 比 − 1)
= 10k ×(1 ÷ 0.245 − 1)≒ 30.8kΩ
30.8kΩ という抵抗は売っていません。売っている抵抗の値は「E24系列」という並びで決まっていて、30kΩ の次は 33kΩ です。
どちらに丸めるか
R1 を大きくすると、比が小さくなり、出てくる電圧が下がります。下がる方向なら、上限の 3.3V を超えません。だから、大きい側の 33kΩ にします。
| R1 の選び方 | 比 | 13.2V のとき | ±1% の最悪 | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| 小さい側 30kΩ | 0.250 | 3.30V | 3.35V | 上限を超えるおそれ |
| 大きい側 33kΩ | 0.233 | 3.07V | 3.12V | OK |
E24 の値の一覧と、4.7kΩ・9.1kΩ のような半端な値になる理由がわかる
つまり、丸める向きは「守りたい方向」で決めます。上限を守りたいので、出力が下がる側(R1 を大きく)へ丸めます。

E24の組み合わせの候補を比べる
R2 を 10kΩ 以外にすると、ほかにも使える組み合わせが見つかります。この例では 24k・7.5k、16k・5.1k、12k・3.9k も条件を満たします。
比を 0.25 に近づけるほど、ADC の目盛りを広く使えます。ただ、差はわずかです。部品の種類を減らせる、きりのよい組み合わせを選ぶのがふつうです。
| R1 | R2 | 比 | 12V のとき | 13.2V・最悪 | 電流 | ADC から見た抵抗 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 33kΩ | 10kΩ | 0.233 | 2.79V | 3.12V | 0.28mA | 7.7kΩ |
| 24kΩ | 7.5kΩ | 0.238 | 2.86V | 3.19V | 0.38mA | 5.7kΩ |
| 16kΩ | 5.1kΩ | 0.242 | 2.90V | 3.24V | 0.57mA | 3.9kΩ |
| 12kΩ | 3.9kΩ | 0.245 | 2.94V | 3.29V | 0.75mA | 2.9kΩ |
| 30kΩ | 10kΩ | 0.250 | 3.00V | 3.35V(超える) | 0.30mA | 7.5kΩ |
「13.2V・最悪」は、入力が 13.2V で、2本の抵抗が ±1% のいちばん悪い向きにずれたときの ADC の電圧です。最後の 30kΩ+10kΩ だけが 3.3V を超えます。
つまり、候補はいくつかあっても、確かめる項目は同じです。比・電流・ADC から見た抵抗・最悪の電圧の4つを表にすれば、選んだ理由を説明できます。

STEP 4:±1%と±5%、誤差の幅を見積もる
33kΩ・10kΩ の組み合わせで、比のずれは ±1% の抵抗なら約 ±1.5%、±5% なら約 −7.5%〜+7.9% です。±5% では入力 13.2V のとき最悪 3.31V になり、上限を超えます。
抵抗には「許容差」があります。±1% の 10kΩ なら、実物は 9.9kΩ〜10.1kΩ のどこかです。
最悪の組み合わせを考える
出てくる電圧がいちばん高くなるのは、R1 が小さい側に、R2 が大きい側にずれたときです。逆に、R1 が大きく R2 が小さいと、いちばん低くなります。
比 = 10.1k ÷(10.1k + 32.67k)≒ 0.2361
13.2V × 0.2361 ≒ 3.12V → 3.3V 以下で OK
比 = 10.5k ÷(10.5k + 31.35k)≒ 0.2509
13.2V × 0.2509 ≒ 3.31V → 3.3V を超える
ふだんの 12V で比べると、±1% なら 2.75V〜2.83V、±5% なら 2.58V〜3.01V の幅で読みが変わります。ADC の読みから計算で戻した電圧も、同じ割合だけずれます。
抵抗器のデータシートで、許容差・定格電力・温度による変化をどこで読むかがわかる
比のずれは、ほぼ「2 × R1÷(R1+R2)× 許容差」です。この例では 2×0.767×1%≒1.5%。R1 が R2 より大きいほど、ずれは許容差の2倍に近づきます。
つまり、上限ぎりぎりで使う分圧には ±1% の抵抗を使います。±5% を使うなら、比をもっと小さくして余裕をとります。

誤差の合成:最悪値と「二乗和」のちがい
上限を守れるかの確かめには最悪値を使います。たくさん作ったときのばらつきの目安には「二乗和」を使い、この例では約 ±1.09% です。
最悪値は、2本の抵抗が同時に、いちばん悪い向きにずれた場合の値です。実際には、そこまでそろってずれることは多くありません。
品質管理では、ばらつきが独立しているとき、合わせたばらつきを「二乗和の平方根」で見積もります。この例では 0.767×√2×1%≒1.09% です。
ばらつきの山は、±1% を 3σ(標準偏差の3倍)とした正規分布を仮定して、2万回計算したイメージです。山のほとんどは、二乗和の線の内側に入ります。
| 見積もり方 | 12V のときのずれ | 使いどころ |
|---|---|---|
| 最悪値 | 約 ±1.5%(2.748〜2.834V) | 上限を超えないか・安全の確かめ |
| 二乗和 | 約 ±1.09% | たくさん作ったときのばらつきの目安 |
ばらつきを合わせると「二乗和の平方根」になる理由を、例題で確かめられる
二乗和は「ほとんどがこの範囲」という見積もりです。まれに外れるものが出ます。壊れる・危ないにつながる確かめは、最悪値で行います。
つまり、守る確かめは最悪値、ばらつきの見積もりは二乗和。2つを使い分けます。

計算例のまとめ:12Vを3.3VのADCで測る
12V(最大 13.2V)を 3.3V の ADC で測る分圧回路は、R1=33kΩ・R2=10kΩ(±1%)です。最低限の確かめは、最悪でも 3.3V 以下か、ADC から見て 10kΩ 以下か、の2つです。
3.3÷13.2=0.25。誤差の分を引いて 0.245 以下
電流 1mA 以下→12kΩ 以上。ADC から見て 10kΩ 以下→56kΩ 以下
R2=10kΩ。R1=10k×(1÷0.245−1)≒30.8kΩ→33kΩ。比=10÷43≒0.2326
±1% の最悪で 13.2V×0.2361≒3.12V。3.3V 以下
最低限ここだけ確かめる
| 確かめ | 計算 | 判定 |
|---|---|---|
| ① 上限を超えないか | 13.2V × 0.2361 ≒ 3.12V | 3.3V 以下で OK |
| ② ADC から見た抵抗 | 33k × 10k ÷ 43k ≒ 7.7kΩ | 10kΩ 以下で OK |
余裕があれば確かめる
| 確かめ | 計算 | 判定 |
|---|---|---|
| 流れる電流 | 12V ÷ 43kΩ ≒ 0.28mA | 1mA 以下で OK |
| 抵抗の消費電力 | R1:0.279mA × 9.21V ≒ 2.6mW | 1/8W(125mW)の抵抗で十分 |
| つなぐ先の入力抵抗 | 770kΩ 以上か(7.7kΩ の100倍) | 下がりが約1% 以内 |
ADC の読みから元の電圧に戻す
マイコンでは、読んだ電圧に(R1+R2)÷R2=43÷10=4.3 を掛けて、元の電圧に戻します。2.79V を読んだら、2.79×4.3≒12.0V です。
つまり、4ステップで値を決め、2つの確かめで OK を出す。これで分圧回路の抵抗は自信を持って決められます。

早見表:3.3VのADCで測る分圧(R2=10kΩ・±1%)
3.3V の ADC で 5V・12V・24V・48V を測るときの R1 は、7.5kΩ・33kΩ・75kΩ・160kΩ です(R2=10kΩ・±1%、最大の入力は+10% で計算)。
| 測る電圧(最大) | R1 | 比 | ふだんの出力 | 最大のときの最悪 | 電流 | ADC から見た抵抗 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 5V(5.5V) | 7.5kΩ | 0.571 | 2.86V | 3.17V | 0.29mA | 4.3kΩ |
| 12V(13.2V) | 33kΩ | 0.233 | 2.79V | 3.12V | 0.28mA | 7.7kΩ |
| 24V(26.4V) | 75kΩ | 0.118 | 2.82V | 3.16V | 0.28mA | 8.8kΩ |
| 48V(52.8V) | 160kΩ | 0.059 | 2.82V | 3.16V | 0.28mA | 9.4kΩ |
作り方は STEP 1〜3 と同じです。比=3.3÷最大の入力÷1.02 を求め、R1=10k×(1÷比−1)を E24 の大きい側に丸めました。表の数字は、すべて計算で確かめています。
48V では R1 に約 45V がかかります。抵抗には「かけてよい電圧(最高使用電圧)」と「定格電力」があります。小さなチップ抵抗では足りないことがあるので、品種のデータシートで確かめます。
つまり、R2 を 10kΩ に決めておけば、測る電圧ごとに R1 を1つ選ぶだけで分圧回路が作れます。

ブレッドボードで組んで、テスターで確かめる
組んだら、テスターで分圧点の電圧を測ります。12V のとき約 2.79V なら、計算どおりです。
ブレッドボードは、穴に部品を挿すだけで回路を作れる板です。縦に並んだ5つの穴が、中でつながっています。
12V 電源の+を+レールに、−を GND レールにつなぐ。マイコンの GND も同じ GND レールへ
33kΩ を、6列と12列の c 行に挿す。6列の a 行から+レールへ線をつなぐ
10kΩ を、12列と18列の e 行に挿す。18列の a 行から GND レールへ線をつなぐ
12列(分圧点)の b 行から、マイコンの ADC の端子へ線をつなぐ
テスターを直流電圧(DCV)にして、赤を12列、黒を18列(GND の列)に当てる
列の番号は一例です。大事なのは、R1 と R2 が同じ列(この例では12列)でつながり、そこが分圧点になることです。
マイコンの GND と 12V 電源の GND は、必ずつなぎます。つないでいないと、ADC は正しい電圧を読めません。12V の線を、マイコンの端子に直接さわらせないようにも気をつけます。
テスターの値が計算と大きく違うときは、抵抗の挿し間違い(33kΩ と 10kΩ の入れ替わり)をまず疑います。入れ替わると、12V×33÷43≒9.2V が出てしまいます。
つまり、組んだら「分圧点の電圧」を1回測る。計算どおりなら、ADC につないで大丈夫です。

よくある失敗:負荷をつなぐと、分圧の電圧が下がる
分圧した電圧を、入力抵抗の小さな回路につなぐと、電圧が下がります。100kΩ・33kΩ の分圧に 100kΩ の負荷をつなぐと、2.98V が 2.39V に、約 20% 下がります。
つなぐ先の機器の入口にも、抵抗(入力抵抗)があります。分圧点につなぐと、その抵抗が R2 と並列に入ります。
33kΩ と 100kΩ の並列は 24.8kΩ です。下の抵抗が小さくなったのと同じなので、出てくる電圧が下がります。
下の抵抗 = 33k × 100k ÷ 133k ≒ 24.8kΩ
Vout = 12V × 24.8k ÷(100k + 24.8k)≒ 2.39V
ADC だけをつなぐ回路では、ふつう ADC の入力は電流をほとんど流さないので、この失敗は起きにくいです。起きやすいのは、分圧した電圧を別の回路(ほかの基板・計測器・コンパレータの入力など)に渡すときです。
つまり、分圧回路は「何もつながない」前提で計算した値です。つなぐ先があるなら、その入力抵抗を計算に入れます。

つなぐ先の入力抵抗は、R1・R2の並列の100倍以上に
下がる割合は「R1∥R2 ÷(R1∥R2+つなぐ先の入力抵抗)」です。つなぐ先の入力抵抗が R1∥R2 の100倍あれば、下がるのは約 1% です。
| つなぐ先の入力抵抗が R1∥R2 の | 下がる割合 |
|---|---|
| 約4倍(100k・33k に 100kΩ) | 約19.9% |
| 10倍 | 約9.1% |
| 100倍 | 約1.0% |
| 1000倍 | 約0.1% |
この記事の回路(R1∥R2=7.7kΩ)に、入力抵抗 1MΩ の回路をつないでも、下がるのは約 0.8% です。
足りないときの直し方
R1・R2 を同じ比のまま小さくする。電流は増えるので、STEP 2 の下限と比べる
分圧点を、ボルテージフォロワ(入力抵抗がとても大きいオペアンプの回路)で受けてから渡す
つまり、分圧回路は「ADC から見た抵抗」と「つなぐ先の入力抵抗」の比で使えるかが決まります。100倍を目安にします。

よくある質問(FAQ)
- 分圧回路の電圧は比で、電流と読みやすさは大きさで決まる
- STEP 1:比は「ADC の上限 ÷ 最大の入力」から、誤差の分だけ小さく
- STEP 2:大きさは、電流(下限)と ADC から見た抵抗(上限)で挟む
- STEP 3:R2 をきりのよい値に決め、R1 を E24 の「出力が下がる側」へ丸める
- STEP 4:±1%・±5% の最悪で、上限を超えないかを確かめる
- つなぐ先がある分圧は、入力抵抗を R1∥R2 の100倍以上に
次の一歩として、手元のマイコンのデータシートで「ADC の入力範囲」と「推奨する信号源の抵抗」を探してみてください。その2つの数字があれば、この記事の4ステップで、どの電圧の分圧回路も決められます。
- Microchip(Atmel)「ATmega328P Automotive」データシート(7810D):23.6.1 Analog Input Circuitry の「ADC は出力インピーダンス約 10kΩ 以下の信号に最適化されている」という記述(ADC から見た抵抗の目安)
法令・規格・資料は改訂されることがあります。実務で使うときは、発行元の最新版で確かめてください。
回路の電圧や導通を自分の手で確かめるなら、手元にテスターが1台あると便利です。三和電気計器のデジタルマルチメータ(テスター)CD772です。電圧や抵抗などを測れます。
回路を実際に組んで、電流や電圧を確かめてみたいときに向いています。サンハヤトのブレッドボード SAD-101です。408個の穴に部品を差し込むだけで、はんだ付けをせずに回路を組めます。
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メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。
次に読むべき記事
ここまでで、分圧回路の抵抗を4ステップで決められるようになりました。次は、計算の土台のオームの法則と、抵抗器・マイコンのデータシートの読み方を押さえると、部品選びが一段と速くなります。
テーマ別に、もっと深く学ぶ
気になるところから読んでも大丈夫です。どの記事も、はじめて学ぶ人向けにやさしく書いています。