回路設計

分圧回路の抵抗の決め方|E24で選ぶ4ステップと誤差の見積もり

ブレッドボードに直列に挿した2本の水色の抵抗と、その間から出るオレンジの線の写真に、分圧回路の抵抗の決め方・E24で選ぶ4ステップ・Vout=Vin×R2÷(R1+R2)の文字

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています。

お悩み
こんなふうに思っていませんか?
  • 分圧回路の抵抗の決め方がわからない。比は出せたが、何kΩにすればいいのか
  • 計算した値の抵抗が売っていない
  • ±1% と ±5%、どちらを使えばいいのか決められない
この記事でわかること
  • 分圧回路の抵抗を決める4ステップ(比・大きさ・E24・誤差)
  • 12V を 3.3V の ADC で測る計算例と、最低限の確かめ2つ
  • 5V・12V・24V・48V の早見表
  • 負荷をつなぐと電圧が下がる失敗と、その直し方
結論|まず30秒でわかる答え

分圧回路の抵抗は、次の4ステップで決めます。
①比を「ADC の上限 ÷ 測りたい最大の電圧」から、誤差の分だけ小さめに決める
②流す電流と、ADC から見た抵抗で「大きさ」を挟む
③売っている値(E24系列)から組み合わせを選ぶ
④抵抗の誤差で、上限を超えないかを確かめる
12V を 3.3V の ADC で測るなら、R1=33kΩ・R2=10kΩ(±1%)です。値だけ知りたい人は、記事の中ほどの早見表へどうぞ。

この記事に出てくる言葉

わからない言葉が出てきたら、ここに戻ってきてください。本文でも、初めて出たところで言い換えます。

分圧回路抵抗を2本つないで、電圧を小さくして取り出す回路
比(分圧比)出てくる電圧が、入れた電圧の何倍か。R2÷(R1+R2)
ADCマイコンの中の、電圧を数字に変える部分(A/D変換器)
ADC の上限ADC が読める電圧のいちばん上。3.3V のマイコンなら多くは 3.3V
R1∥R2R1 と R2 を並列にしたときの抵抗。ADC から見た「元の強さ」
E24系列売っている抵抗の値の並び(1.0・1.1・1.2・1.3・1.5…)
許容差(±1%)表示の値から、実物がどれだけずれてよいか
最悪値ずれが全部いちばん悪い向きにそろったときの値
入力抵抗つなぐ先の機器の入口が持っている抵抗

分圧回路は、抵抗を2本つなぐだけの、いちばん簡単な回路の1つです。式もかけ算と割り算だけです。

それなのに、実際に部品を選ぶ段になると手が止まります。「比は出たけれど、10kΩ と 100kΩ のどちらで作ればいいの?」「計算した 30.8kΩ という抵抗が売っていない」「±5% の安い抵抗ではだめなの?」と、迷う所がいくつもあるからです。

この記事では、試験の計算ではなく「部品を選ぶ設計」に絞ります。12V の電源の電圧を、3.3V のマイコンの ADC で測る回路を1つ通して、抵抗の値を決めるまでを順番に説明します。

ブレッドボードに直列に挿した2本の水色の抵抗と、その間から出るオレンジの線の写真に、分圧回路の抵抗の決め方・E24で選ぶ4ステップ・Vout=Vin×R2÷(R1+R2)の文字

この記事で作るもの:12Vを3.3VのADCで測る回路

作るのは、12V の電源の電圧を、3.3V で動くマイコンの ADC で測るための分圧回路です。部品は抵抗2本だけです。

マイコンの ADC(電圧を数字に変える部分)は、マイコンの電源の電圧までしか測れません。3.3V で動くマイコンなら、多くは 0〜3.3V です。12V をそのままつなぐと、正しく測れないだけでなく、マイコンを壊すおそれがあります。

そこで、抵抗2本で 12V を約 2.8V まで小さくしてから、ADC に入れます。マイコンは読んだ値を計算で 12V に戻して使います。

部品この記事で使う値役目
R1(上の抵抗)33kΩ・±1%12V 側から電圧を受け持つ
R2(下の抵抗)10kΩ・±1%GND 側。ここの電圧を ADC が読む
マイコン3.3V で動く品種(ADC つき)分圧した電圧を読んで数字にする

つまり、この記事のゴールは「R1=33kΩ・R2=10kΩ」を自分で選び、なぜその値なのかを説明できるようになることです。

完成した回路のイラスト。12V電源の+から上の抵抗R1 33kΩ、下の抵抗R2 10kΩを通ってGNDへ。2本の間の分圧点(約2.79V)からマイコンのADC入力へ。電源の−とマイコンのGNDも同じGNDへ。右に、読み終えるとできること4つ

しくみ:電圧は「抵抗の大きさの比」で分かれる

分圧回路では、2本の抵抗に同じ電流が流れ、電圧は抵抗の大きさの比で分かれます。出てくる電圧は Vout=Vin×R2÷(R1+R2)です。

12V から GND まで、電流の通り道は1本だけです。だから、R1 と R2 には同じ電流が流れます。

電流は、オームの法則で 12V÷(33kΩ+10kΩ)≒0.279mA です。

抵抗にかかる電圧は「電流×抵抗」なので、大きい抵抗ほど大きな電圧を受け持ちます。R2 にかかる電圧は 0.279mA×10kΩ≒2.79V。R1 には残りの 9.21V がかかります。

分圧の式

Vout = Vin × R2 ÷(R1+R2)
= 12V × 10k ÷ 43k ≒ 2.79V

たとえると

12V の高さの坂を、長さ33と長さ10の2本の坂道に分けて下りるようなものです。下りる高さは坂道の長さの割合で決まり、短い方(R2)では全体の 10÷43 だけ下ります。

POINT|大事なのは比

出てくる電圧は比だけで決まります。3.3kΩ+1kΩ でも、330kΩ+100kΩ でも、同じ約 2.79V です。違うのは、流れる電流と、ADC から見た抵抗の大きさです。これが STEP 2 の話になります。

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つまり、分圧回路の設計では「比」と「大きさ」を分けて決めます。比で電圧が、大きさで電流と読みやすさが決まります。

+12VからR1 33kΩとR2 10kΩを通ってGNDへ流れる分圧回路の図。電流は0.279mAで両方の抵抗に同じだけ流れ、R1に9.21V、R2に2.79Vがかかる。出る電圧は比だけで決まり、3.3k+1kでも330k+100kでも同じ

分圧回路の抵抗を決める4ステップ

抵抗は、①比 → ②大きさ → ③E24 → ④誤差 の順に決めます。先に比、次に大きさを決めるのがコツです。

STEP 1 比を決める

ADC の上限 ÷ 測りたい最大の電圧。そこから誤差の分だけ小さくする(例:0.245 以下)

STEP 2 大きさを決める

流す電流(下限)と、ADC から見た抵抗(上限)で、R1+R2 の範囲を挟む(例:12kΩ〜56kΩ)

STEP 3 E24 で選ぶ

R2 をきりのよい値(10kΩ など)に決め、R1 を計算して E24 の値に丸める(例:33kΩ)

STEP 4 誤差を見積もる

抵抗の許容差(±1%・±5%)で比がどれだけずれるかを計算し、上限を超えないか確かめる

順番を逆にすると迷います。たとえば先に「10kΩ と 10kΩ」のように値から決めると、比が合わずに何度も選び直すことになります。

つまり、4ステップの順に1つずつ決めれば、抵抗の値は1つに絞れます。ここから、12V の例で順に見ていきます。

4枚のカード。STEP1 比を決める(3.3÷13.2=0.25、誤差の分を引いて0.245以下)、STEP2 大きさを決める(電流1mA以下で合計12kΩ以上、ADCから見て10kΩ以下で合計56kΩ以下)、STEP3 E24で選ぶ(R2=10kΩ、R1=30.8kΩを大きい側の33kΩに)、STEP4 誤差を見積もる(±1%の最悪で13.2V→3.12V、±5%だと3.31Vで超える)

STEP 1:比は「測りたい最大の電圧」から逆算する

比は「ADC の上限 ÷ 測りたい最大の電圧」で上限が決まります。12V を最大 13.2V まで測るなら 3.3÷13.2=0.25 が上限で、誤差の分を引いて 0.245 以下をねらいます。

12V ではなく、最大の電圧で考える

ここで混乱しやすいのですが、比を決めるのは「ふだんの 12V」ではありません。測りたい電圧の最大です。

12V の電源でも、電源の種類や負荷によって少し高くなることがあります。この記事では例として+10% を見込み、12×1.1=13.2V を最大とします。実際の値は、使う電源の仕様で決めてください。

比の上限

比 ≦ ADC の上限 ÷ 最大の入力
= 3.3V ÷ 13.2V = 0.25

誤差の分だけ、さらに小さくする

比を 0.25 ちょうどにすると、抵抗のわずかなずれで 3.3V を超えてしまいます。±1% の抵抗では、比は最大で約 1.5% ずれます(STEP 4 で計算します)。

そこで、0.25 から約 2% 小さくした 0.245 以下をねらいます。0.25÷1.02≒0.245 です。

注意|3.3V を超えると

ADC の上限を超えた電圧は、いちばん大きい数字に張り付いて、それ以上は読めません。さらに高い電圧がかかると、マイコンを傷めるおそれがあります。どこまでかけてよいかは、マイコンのデータシートの絶対最大定格で確かめます。

つまり、比は「最大の入力でも、ずれても、上限を超えない」大きさにします。この例では 0.245 以下です。

横軸が入力の電圧、縦軸がADCに入る電圧のグラフ。ADCの上限3.3Vの赤い線、比0.25ちょうどの点線、比0.233の青い線と±1%でずれる幅。13.2Vのとき3.07V、最悪でも3.12Vで3.3V以下

STEP 2:抵抗の「大きさ」は、電流とADCの2つで挟む

抵抗の大きさは、小さすぎると電流が多く流れ、大きすぎると ADC が正しく読めません。この例では R1+R2 を 12kΩ〜56kΩ の間にします。

下限:流しっぱなしの電流

分圧回路には、いつも電流が流れています。抵抗が小さいほど、その電流は増えます。

たとえば 3.3kΩ+1kΩ で作ると、12V÷4.3kΩ≒2.8mA が流れ続けます。電池で動く機器では、この電流が電池を減らします。抵抗の発熱も増えます。

この記事では例として「1mA 以下」とし、12V÷1mA=12kΩ 以上にします。

上限:ADC から見た抵抗

反対に、抵抗が大きすぎると、ADC が正しく読めなくなります。理由は次の節で説明します。

目安として、ATmega328P(Arduino Uno のマイコン)のデータシートは「信号源の抵抗が約 10kΩ 以下なら最適」と書いています。ADC から見た抵抗は R1 と R2 の並列なので、この例では R1+R2 が約 56kΩ 以下になります。

上限の計算

ADC から見た抵抗 = R1×R2÷(R1+R2)= 比×(1−比)×(R1+R2)
0.233×0.767×(R1+R2)≦ 10kΩ → R1+R2 ≦ 約56kΩ

組み合わせ流れる電流ADC から見た抵抗判定
3.3kΩ+1kΩ約2.8mA約0.77kΩ電流が多い
33kΩ+10kΩ約0.28mA約7.7kΩちょうどよい
330kΩ+100kΩ約0.028mA約77kΩADC が読みにくい

つまり、大きさは「電流の下限」と「ADC の上限」の窓の中から選びます。比が同じでも、大きさで回路のふるまいが変わります。

横軸がR1+R2の合計の抵抗(対数)の図。12kΩより小さいと電流が多すぎる(3.3k+1kで2.8mA)、56kΩより大きいとADCが正しく読めない(330k+100kでADCから77kΩ)、間がちょうどよい(33k+10kで0.28mA・ADCから7.7kΩ)

なぜ抵抗が大きいとADCが読めないのか

ADC は読む瞬間に、中の小さなコンデンサを充電してから電圧を測ります。外の抵抗が大きいと充電が間に合わず、読みが低く出ることがあります。

多くのマイコンの ADC は、読む瞬間だけスイッチを閉じて、中のコンデンサ(電気をためる部品)に電圧を写し取ります。そのあとスイッチを開いて、写し取った電圧を数字にします。

このとき、コンデンサには外の抵抗を通して電気が流れ込みます。抵抗が大きいと、決められた短い時間ではコンデンサが満タンになりません。その結果、本当より低い値を読みます。

たとえると

細いホースでバケツに水を入れるようなものです。ホースが細い(抵抗が大きい)と、決められた時間では水位が上がりきりません。

ADC から見ると、R1 と R2 は並列

ADC の端子から回路を見ると、R1 は 12V 側へ、R2 は GND 側へつながっています。電源は電気の通り道としては短絡と同じに扱えるので、ADC からは R1 と R2 が並列に見えます。これは「テブナンの定理」の考え方です。

この例では 33k×10k÷43k≒7.7kΩ です。10kΩ 以下なので OK です。

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POINT|大きな抵抗を使いたいとき

電池の機器などで、どうしても大きな抵抗を使いたいときは、ADC の端子と GND の間にコンデンサを足して充電を助ける方法や、読む時間(サンプリング時間)を長くする方法があります。どちらも、マイコンのデータシートの推奨に従って決めます。

つまり、ADC から見た抵抗=R1 と R2 の並列が、マイコンの推奨(ATmega328P なら約 10kΩ)以下になるようにします。

分圧回路の分圧点がADCの端子につながり、マイコンの中(イメージ)では読む瞬間だけ閉じるスイッチと内部のコンデンサがある図。抵抗が大きいと充電が間に合わず読みが低く出る。ATmega328Pは10kΩ以下で最適化

STEP 3:R2を決めて、R1をE24の「大きい側」に丸める

R2 をきりのよい 10kΩ に決め、R1 を計算します。10k×(1÷0.245−1)≒30.8kΩ なので、E24 の大きい側の 33kΩ を選びます。

R1 と R2 の両方を同時に探すと、組み合わせが多すぎて迷います。そこで、先に R2 を 10kΩ のようなよく使う値に決めてしまいます。

R1 の計算

比 = R2 ÷(R1+R2)を R1 について解くと
R1 = R2 ×(1 ÷ 比 − 1)
= 10k ×(1 ÷ 0.245 − 1)≒ 30.8kΩ

30.8kΩ という抵抗は売っていません。売っている抵抗の値は「E24系列」という並びで決まっていて、30kΩ の次は 33kΩ です。

どちらに丸めるか

R1 を大きくすると、比が小さくなり、出てくる電圧が下がります。下がる方向なら、上限の 3.3V を超えません。だから、大きい側の 33kΩ にします。

R1 の選び方比13.2V のとき±1% の最悪判定
小さい側 30kΩ0.2503.30V3.35V上限を超えるおそれ
大きい側 33kΩ0.2333.07V3.12VOK
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つまり、丸める向きは「守りたい方向」で決めます。上限を守りたいので、出力が下がる側(R1 を大きく)へ丸めます。

E24の27k・30k・33k・36kの数直線に、計算した30.8kΩの位置と33kΩへの矢印。小さい側30kΩでは比0.250・最悪3.35Vで3.3Vを超えるおそれ、大きい側33kΩでは比0.233・最悪3.12VでOK

E24の組み合わせの候補を比べる

R2 を 10kΩ 以外にすると、ほかにも使える組み合わせが見つかります。この例では 24k・7.5k、16k・5.1k、12k・3.9k も条件を満たします。

比を 0.25 に近づけるほど、ADC の目盛りを広く使えます。ただ、差はわずかです。部品の種類を減らせる、きりのよい組み合わせを選ぶのがふつうです。

R1R2比12V のとき13.2V・最悪電流ADC から見た抵抗
33kΩ10kΩ0.2332.79V3.12V0.28mA7.7kΩ
24kΩ7.5kΩ0.2382.86V3.19V0.38mA5.7kΩ
16kΩ5.1kΩ0.2422.90V3.24V0.57mA3.9kΩ
12kΩ3.9kΩ0.2452.94V3.29V0.75mA2.9kΩ
30kΩ10kΩ0.2503.00V3.35V(超える)0.30mA7.5kΩ

「13.2V・最悪」は、入力が 13.2V で、2本の抵抗が ±1% のいちばん悪い向きにずれたときの ADC の電圧です。最後の 30kΩ+10kΩ だけが 3.3V を超えます。

つまり、候補はいくつかあっても、確かめる項目は同じです。比・電流・ADC から見た抵抗・最悪の電圧の4つを表にすれば、選んだ理由を説明できます。

E24の組み合わせの表。33k・10kは比0.233・12Vで2.79V・最悪3.12V・0.28mA・7.7kΩ、24k・7.5kは0.238・2.86V・3.19V、16k・5.1kは0.242・2.90V・3.24V、12k・3.9kは0.245・2.94V・3.29V、30k・10kは0.250・3.00V・最悪3.35Vで上限を超える

STEP 4:±1%と±5%、誤差の幅を見積もる

33kΩ・10kΩ の組み合わせで、比のずれは ±1% の抵抗なら約 ±1.5%、±5% なら約 −7.5%〜+7.9% です。±5% では入力 13.2V のとき最悪 3.31V になり、上限を超えます。

抵抗には「許容差」があります。±1% の 10kΩ なら、実物は 9.9kΩ〜10.1kΩ のどこかです。

最悪の組み合わせを考える

出てくる電圧がいちばん高くなるのは、R1 が小さい側に、R2 が大きい側にずれたときです。逆に、R1 が大きく R2 が小さいと、いちばん低くなります。

±1% のときの最悪(高い側)

比 = 10.1k ÷(10.1k + 32.67k)≒ 0.2361
13.2V × 0.2361 ≒ 3.12V → 3.3V 以下で OK

±5% のときの最悪(高い側)

比 = 10.5k ÷(10.5k + 31.35k)≒ 0.2509
13.2V × 0.2509 ≒ 3.31V → 3.3V を超える

ふだんの 12V で比べると、±1% なら 2.75V〜2.83V、±5% なら 2.58V〜3.01V の幅で読みが変わります。ADC の読みから計算で戻した電圧も、同じ割合だけずれます。

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POINT|覚えやすい近似

比のずれは、ほぼ「2 × R1÷(R1+R2)× 許容差」です。この例では 2×0.767×1%≒1.5%。R1 が R2 より大きいほど、ずれは許容差の2倍に近づきます。

つまり、上限ぎりぎりで使う分圧には ±1% の抵抗を使います。±5% を使うなら、比をもっと小さくして余裕をとります。

入力13.2VのときのADCの電圧の幅の比較。±1%の抵抗は3.02〜3.12V、±5%の抵抗は2.84〜3.31VでADCの上限3.3Vを超える。比のずれは±1%で−1.5%〜+1.5%、±5%で−7.5%〜+7.9%

誤差の合成:最悪値と「二乗和」のちがい

上限を守れるかの確かめには最悪値を使います。たくさん作ったときのばらつきの目安には「二乗和」を使い、この例では約 ±1.09% です。

最悪値は、2本の抵抗が同時に、いちばん悪い向きにずれた場合の値です。実際には、そこまでそろってずれることは多くありません。

品質管理では、ばらつきが独立しているとき、合わせたばらつきを「二乗和の平方根」で見積もります。この例では 0.767×√2×1%≒1.09% です。

ばらつきの山は、±1% を 3σ(標準偏差の3倍)とした正規分布を仮定して、2万回計算したイメージです。山のほとんどは、二乗和の線の内側に入ります。

見積もり方12V のときのずれ使いどころ
最悪値約 ±1.5%(2.748〜2.834V)上限を超えないか・安全の確かめ
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ばらつきを合わせると「二乗和の平方根」になる理由を、例題で確かめられる

注意|二乗和で上限を確かめない

二乗和は「ほとんどがこの範囲」という見積もりです。まれに外れるものが出ます。壊れる・危ないにつながる確かめは、最悪値で行います。

つまり、守る確かめは最悪値、ばらつきの見積もりは二乗和。2つを使い分けます。

入力12Vのときの出力のばらつきの山(イメージ)。赤い線が最悪値2.748Vと2.834V(約±1.5%)、緑の点線が二乗和±1.09%。山のほとんどは二乗和の内側

計算例のまとめ:12Vを3.3VのADCで測る

12V(最大 13.2V)を 3.3V の ADC で測る分圧回路は、R1=33kΩ・R2=10kΩ(±1%)です。最低限の確かめは、最悪でも 3.3V 以下か、ADC から見て 10kΩ 以下か、の2つです。

STEP 1 比

3.3÷13.2=0.25。誤差の分を引いて 0.245 以下

STEP 2 大きさ

電流 1mA 以下→12kΩ 以上。ADC から見て 10kΩ 以下→56kΩ 以下

STEP 3 E24

R2=10kΩ。R1=10k×(1÷0.245−1)≒30.8kΩ→33kΩ。比=10÷43≒0.2326

STEP 4 誤差

±1% の最悪で 13.2V×0.2361≒3.12V。3.3V 以下

最低限ここだけ確かめる

確かめ計算判定
① 上限を超えないか13.2V × 0.2361 ≒ 3.12V3.3V 以下で OK
② ADC から見た抵抗33k × 10k ÷ 43k ≒ 7.7kΩ10kΩ 以下で OK

余裕があれば確かめる

確かめ計算判定
流れる電流12V ÷ 43kΩ ≒ 0.28mA1mA 以下で OK
抵抗の消費電力R1:0.279mA × 9.21V ≒ 2.6mW1/8W(125mW)の抵抗で十分
つなぐ先の入力抵抗770kΩ 以上か(7.7kΩ の100倍)下がりが約1% 以内

ADC の読みから元の電圧に戻す

マイコンでは、読んだ電圧に(R1+R2)÷R2=43÷10=4.3 を掛けて、元の電圧に戻します。2.79V を読んだら、2.79×4.3≒12.0V です。

つまり、4ステップで値を決め、2つの確かめで OK を出す。これで分圧回路の抵抗は自信を持って決められます。

R1 33kΩ・R2 10kΩ(±1%)の分圧回路図と計算。比0.2326、12Vで2.79V・0.28mA。確かめ①13.2V×0.2361=3.12V≦3.3V、確かめ②33k×10k÷43k≒7.7kΩ≦10kΩ。元の電圧=読んだ電圧×43÷10

早見表:3.3VのADCで測る分圧(R2=10kΩ・±1%)

3.3V の ADC で 5V・12V・24V・48V を測るときの R1 は、7.5kΩ・33kΩ・75kΩ・160kΩ です(R2=10kΩ・±1%、最大の入力は+10% で計算)。

測る電圧(最大)R1比ふだんの出力最大のときの最悪電流ADC から見た抵抗
5V(5.5V)7.5kΩ0.5712.86V3.17V0.29mA4.3kΩ
12V(13.2V)33kΩ0.2332.79V3.12V0.28mA7.7kΩ
24V(26.4V)75kΩ0.1182.82V3.16V0.28mA8.8kΩ
48V(52.8V)160kΩ0.0592.82V3.16V0.28mA9.4kΩ

作り方は STEP 1〜3 と同じです。比=3.3÷最大の入力÷1.02 を求め、R1=10k×(1÷比−1)を E24 の大きい側に丸めました。表の数字は、すべて計算で確かめています。

注意|48V では抵抗の定格も見る

48V では R1 に約 45V がかかります。抵抗には「かけてよい電圧(最高使用電圧)」と「定格電力」があります。小さなチップ抵抗では足りないことがあるので、品種のデータシートで確かめます。

つまり、R2 を 10kΩ に決めておけば、測る電圧ごとに R1 を1つ選ぶだけで分圧回路が作れます。

早見表。R2=10kΩのとき、5Vは R1 7.5kΩ(比0.571・最悪3.17V)、12Vは33kΩ(0.233・3.12V)、24Vは75kΩ(0.118・3.16V)、48Vは160kΩ(0.059・3.16V)。電流はどれも約0.28mA、ADCから見た抵抗は4.3〜9.4kΩ

ブレッドボードで組んで、テスターで確かめる

組んだら、テスターで分圧点の電圧を測ります。12V のとき約 2.79V なら、計算どおりです。

ブレッドボードは、穴に部品を挿すだけで回路を作れる板です。縦に並んだ5つの穴が、中でつながっています。

1. 電源レール

12V 電源の+を+レールに、−を GND レールにつなぐ。マイコンの GND も同じ GND レールへ

2. R1

33kΩ を、6列と12列の c 行に挿す。6列の a 行から+レールへ線をつなぐ

3. R2

10kΩ を、12列と18列の e 行に挿す。18列の a 行から GND レールへ線をつなぐ

4. ADC へ

12列(分圧点)の b 行から、マイコンの ADC の端子へ線をつなぐ

5. 測る

テスターを直流電圧(DCV)にして、赤を12列、黒を18列(GND の列)に当てる

列の番号は一例です。大事なのは、R1 と R2 が同じ列(この例では12列)でつながり、そこが分圧点になることです。

注意|電源を入れる前に

マイコンの GND と 12V 電源の GND は、必ずつなぎます。つないでいないと、ADC は正しい電圧を読めません。12V の線を、マイコンの端子に直接さわらせないようにも気をつけます。

テスターの値が計算と大きく違うときは、抵抗の挿し間違い(33kΩ と 10kΩ の入れ替わり)をまず疑います。入れ替わると、12V×33÷43≒9.2V が出てしまいます。

つまり、組んだら「分圧点の電圧」を1回測る。計算どおりなら、ADC につないで大丈夫です。

ブレッドボードの配線図。R1 33kΩは6列と12列のc行、R2 10kΩは12列と18列のe行。6列から+12Vレール、18列からGNDレールへ。12列(分圧点)からマイコンのADC入力へ。テスターの赤を12列、黒を18列に当てて2.79Vを表示

よくある失敗:負荷をつなぐと、分圧の電圧が下がる

分圧した電圧を、入力抵抗の小さな回路につなぐと、電圧が下がります。100kΩ・33kΩ の分圧に 100kΩ の負荷をつなぐと、2.98V が 2.39V に、約 20% 下がります。

つなぐ先の機器の入口にも、抵抗(入力抵抗)があります。分圧点につなぐと、その抵抗が R2 と並列に入ります。

33kΩ と 100kΩ の並列は 24.8kΩ です。下の抵抗が小さくなったのと同じなので、出てくる電圧が下がります。

負荷をつないだときの計算

下の抵抗 = 33k × 100k ÷ 133k ≒ 24.8kΩ
Vout = 12V × 24.8k ÷(100k + 24.8k)≒ 2.39V

ADC だけをつなぐ回路では、ふつう ADC の入力は電流をほとんど流さないので、この失敗は起きにくいです。起きやすいのは、分圧した電圧を別の回路(ほかの基板・計測器・コンパレータの入力など)に渡すときです。

つまり、分圧回路は「何もつながない」前提で計算した値です。つなぐ先があるなら、その入力抵抗を計算に入れます。

100kΩと33kΩの分圧回路の比較。何もつながないと出力2.98V、100kΩの負荷をつなぐと33kΩと並列で24.8kΩになり、出力は2.39V(約20%下がる)

つなぐ先の入力抵抗は、R1・R2の並列の100倍以上に

下がる割合は「R1∥R2 ÷(R1∥R2+つなぐ先の入力抵抗)」です。つなぐ先の入力抵抗が R1∥R2 の100倍あれば、下がるのは約 1% です。

つなぐ先の入力抵抗が R1∥R2 の下がる割合
約4倍(100k・33k に 100kΩ)約19.9%
10倍約9.1%
100倍約1.0%
1000倍約0.1%

この記事の回路(R1∥R2=7.7kΩ)に、入力抵抗 1MΩ の回路をつないでも、下がるのは約 0.8% です。

足りないときの直し方

① 抵抗を小さくする

R1・R2 を同じ比のまま小さくする。電流は増えるので、STEP 2 の下限と比べる

② オペアンプで受ける

分圧点を、ボルテージフォロワ(入力抵抗がとても大きいオペアンプの回路)で受けてから渡す

つまり、分圧回路は「ADC から見た抵抗」と「つなぐ先の入力抵抗」の比で使えるかが決まります。100倍を目安にします。

横軸が負荷の入力抵抗÷R1∥R2(倍)、縦軸が出力の下がる割合のグラフ。約4倍で19.9%、10倍で9.1%、100倍で1.0%。この記事の回路(7.7kΩ)に1MΩをつなぐと約0.8%。直し方は抵抗を小さくするか、オペアンプのボルテージフォロワで受ける

よくある質問(FAQ)

Q. 分圧回路の抵抗はどう決める?

A. 比を上限から逆算し、電流とADCから大きさを挟み、E24から選んで、誤差で上限を超えないか確かめます。

Q. 分圧回路の抵抗は何kΩくらいにする?

A. ADCで読むなら、R1とR2の並列がマイコンの推奨(例:10kΩ)以下で、電流が多すぎない値にします。

Q. 分圧の抵抗は±1%と±5%のどちらを使う?

A. 上限ぎりぎりの比で使うなら±1%です。±5%は比が7%以上ずれることがあり、上限を超えやすくなります。

Q. 計算した抵抗値が売っていないときは?

A. E24の近い値に丸めます。上限を守りたいなら、出力が下がる向き(R1を大きく)に丸めます。

Q. 分圧回路に負荷をつなぐと電圧が下がるのはなぜ?

A. 負荷の入力抵抗がR2と並列に入り、下の抵抗が小さくなるからです。入力抵抗は並列抵抗の100倍以上が目安です。

Q. ADCから見た抵抗はどう計算する?

A. R1とR2の並列で、R1×R2÷(R1+R2)です。33kΩと10kΩなら約7.7kΩになります。

まとめ
  • 分圧回路の電圧は比で、電流と読みやすさは大きさで決まる
  • STEP 1:比は「ADC の上限 ÷ 最大の入力」から、誤差の分だけ小さく
  • STEP 2:大きさは、電流(下限)と ADC から見た抵抗(上限)で挟む
  • STEP 3:R2 をきりのよい値に決め、R1 を E24 の「出力が下がる側」へ丸める
  • STEP 4:±1%・±5% の最悪で、上限を超えないかを確かめる
  • つなぐ先がある分圧は、入力抵抗を R1∥R2 の100倍以上に

次の一歩として、手元のマイコンのデータシートで「ADC の入力範囲」と「推奨する信号源の抵抗」を探してみてください。その2つの数字があれば、この記事の4ステップで、どの電圧の分圧回路も決められます。

参考にした資料

法令・規格・資料は改訂されることがあります。実務で使うときは、発行元の最新版で確かめてください。

この記事の理解を深める本と道具
おすすめの道具

回路の電圧や導通を自分の手で確かめるなら、手元にテスターが1台あると便利です。三和電気計器のデジタルマルチメータ(テスター)CD772です。電圧や抵抗などを測れます。

おすすめの道具

回路を実際に組んで、電流や電圧を確かめてみたいときに向いています。サンハヤトのブレッドボード SAD-101です。408個の穴に部品を差し込むだけで、はんだ付けをせずに回路を組めます。

マルツオンライン
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おすすめの本

「分圧回路を組んで確かめる」は、回路シミュレータで電圧や電流の波形を見ながら確かめると理解が深まります。無料の回路シミュレータLTspiceを使って、電子回路を学べる本です(オーム社、渋谷道雄 著)。

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シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

次に読むべき記事

ここまでで、分圧回路の抵抗を4ステップで決められるようになりました。次は、計算の土台のオームの法則と、抵抗器・マイコンのデータシートの読み方を押さえると、部品選びが一段と速くなります。

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