回路設計

フォトカプラとは?仕組みと使い方、CTRと寿命の設計を図解|抵抗値の計算ツール付き

フォトカプラとは何かを表すアイキャッチ。LEDの光が絶縁されたすき間を渡り、フォトトランジスタに信号を伝える

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お悩み
こんなふうに思っていませんか?
  • 回路図にあるフォトカプラが、何のためにあるのかわからない
  • LED側とトランジスタ側の抵抗を、どう決めればいいかわからない
  • デジタルアイソレータとどちらを使うべきか迷う
この記事でわかること
  • フォトカプラとは何か、なぜ絶縁が必要か
  • 仕組みと種類、使われる3つの場面
  • CTRと寿命を見こんだ抵抗の決め方(計算ツール付き)
  • デジタルアイソレータ・パルストランスとの使い分け
結論|まず30秒でわかる答え

フォトカプラとは、入力側のLEDが光り、その光を出力側の受光素子(フォトトランジスタなど)が受けて信号を伝える部品です。入力と出力のあいだは光だけでつながっていて電気的には切り離されている(絶縁されている)ので、感電の防止や、ノイズ・高電圧から回路を守るために使います。設計では、入力電流に対する出力電流の比であるCTRが、ばらつきや寿命で下がることを見こむのが大切です。

フォトカプラとは何かを表すアイキャッチ。LEDの光が絶縁されたすき間を渡り、フォトトランジスタに信号を伝える

フォトカプラとは?「電気を流さずに信号を渡す」部品

フォトカプラ(フォトカップラ、光結合素子)は、入力側と出力側を電気的に切り離したまま、オン・オフの信号を伝える部品です。

壁で仕切られた隣の部屋に、懐中電灯の光で合図を送るところを思いうかべてください。部屋どうしは電線でつながっていないのに、「光ったらスイッチを入れる」という情報だけは伝わります。フォトカプラの中では、LEDが懐中電灯、受光素子が隣の部屋の人です。

なぜ切り離す(絶縁する)のか

理由中身例
① 感電を防ぐコンセント側の危険な電圧が、人の触れる側に来ないようにするACアダプターの1次側と2次側
② 回路を守る高電圧の回路が壊れても、マイコンなどの弱い回路まで壊れないようにするインバータの制御回路とパワー回路
③ ノイズを断つGNDを分けて、大電流のノイズが信号に乗らないようにする工場の機械とPLCの入出力
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フォトカプラを懐中電灯の合図にたとえた図。壁で仕切られた部屋どうしは電線でつながっていないが、光で合図を送ってスイッチを入れられる

フォトカプラの仕組みと種類

1つのパッケージの中に、赤外LEDと受光素子が向かい合わせに入っていて、そのあいだは透明な絶縁材で仕切られています。

動作の3ステップ

① 入力側(1次側)のLEDに電流 IF を流すと、赤外光が出る
② 光が絶縁材を通って、出力側(2次側)の受光素子に届く
③ 受光素子がONになり、出力側に電流 IC が流れる

出力の種類特徴主な用途
フォトトランジスタ出力いちばん一般的で安い。速さはμs(マイクロ秒)単位電源のフィードバック、一般の入出力
ダーリントン出力CTRが大きく、小さなLED電流で動く。遅い電流を節約したい入力
高速(IC出力)受光側に増幅回路を内蔵。速い通信、ゲートドライバ内蔵品
フォトトライアック出力交流のスイッチ(トライアック)を駆動できるAC負荷のON/OFF、SSR
フォトMOSリレー出力がMOSFET。機械式リレーのかわりになる計測器の切りかえ、信号のON/OFF
フォトカプラの内部構造の図。赤外LEDに電流を流すと光が絶縁材を通り、フォトトランジスタがONして出力に電流が流れる

フォトカプラが使われる3つの場面

① スイッチング電源のフィードバック

ACアダプターでは、2次側の出力電圧を見て、1次側のスイッチの動きを調整します。しかし1次側と2次側は絶縁しなければなりません。そこで、出力電圧が高すぎるとフォトカプラのLEDが強く光り、それを1次側の制御ICに伝える、という形で絶縁したまま電圧の情報を戻します。シャントレギュレータ(TL431など)と組み合わせるのが定番です。

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② マイコンからパワー素子への信号

インバータでは、3.3Vのマイコンが数百Vの回路のMOSFETやIGBTをON/OFFします。マイコンとパワー回路のあいだにフォトカプラ(またはデジタルアイソレータ)を入れ、高電圧側の故障やノイズがマイコンに届かないようにします。ゲートを駆動する部分まで1つにしたフォトカプラ型ゲートドライバもあります。

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③ PLC・産業機器の入出力

工場のセンサーやスイッチは24Vで動き、配線も長いのでノイズや雷サージを受けやすい環境です。PLCの入力回路の多くはフォトカプラで絶縁されていて、外の配線で何かあっても、内部の回路まで被害が及ばないようになっています。

フォトカプラが使われる3つの場面の図。スイッチング電源のフィードバック、マイコンとパワー回路の間、PLCの入出力

CTR(電流伝達率)と寿命を見こんだ設計

フォトカプラの設計でいちばん大事なのが、CTRです。ばらつきと寿命で小さくなっても、確実にONするように抵抗を決めます。

公式

CTR[%]= 出力電流 IC ÷ LED電流 IF × 100

LED電流10mAで出力に5mA流れればCTR=50%。汎用品(例:PC817)は50〜600%と幅が広く、ランクで分けて売られています。

CTRは、同じ型番でも個体差が大きく、温度でも変わり、さらにLEDの光が年々弱くなることで下がっていきます。どれくらい下がるかは、データシートの劣化特性(通電時間とCTRの変化のグラフ)で確かめます。設計の目安としては、寿命の終わりにはCTRが初期の半分くらいまで下がると見て、それでもONする回路にしておくのが一般的です。

例題:3.3Vのマイコンから5Vの回路へ信号を渡す

手順計算
① LED側の抵抗(3.3V − 順電圧1.2V) ÷ 5mA = 420Ω → 430Ω(IF≒4.9mA)
② 寿命の終わりに流せる出力電流4.9mA × CTR最小50% × 寿命0.5 ≒ 1.22mA
③ 出力側の負荷抵抗の下限(5V − 0.4V) ÷ 1.22mA ≒ 3.77kΩ → 3.9kΩ以上(温度の影響も見こむなら4.7kΩ)

負荷抵抗が小さすぎると、寿命の終わりにトランジスタが十分ONせず、出力が中途半端な電圧になります。逆に大きすぎると、OFFに切りかわるのが遅くなります(電圧の立ち上がりがなまる)。下限の少し上を選ぶのがコツです。

入力すると、その場で計算し直します。入力した数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。

フォトカプラのCTRと寿命の図。CTRは出力電流÷LED電流で、使った時間とともに下がる。LED4.9mA×CTR最小50%×寿命0.5で出力1.22mA、負荷抵抗は3.9kΩ以上

フォトカプラ・デジタルアイソレータ・パルストランスの違い

「絶縁したまま信号を渡す」部品は、フォトカプラのほかにもあります。光・電界や磁界・磁気のどれで渡すかがちがいます。

項目フォトカプラデジタルアイソレータパルストランス
渡し方光小さなコンデンサ(電界)か小さなコイル(磁界)トランス(磁気)
速さ遅め(μs単位。高速品もある)速い(ns単位)速い(パルスのみ)
寿命による劣化LEDが弱りCTRが下がるLEDがないので小さいほぼない
直流(ずっとON)伝えられる伝えられる伝えられない
アナログ量伝えられる(電源のフィードバック)基本はデジタル向かない
値段・手軽さ安く、回路がかんたんやや高い。両側に電源が要る大きく、回路の工夫が要る

選び方の目安は、①安くて遅くてよい・電源のフィードバックならフォトカプラ、②速い通信やゲート信号、長く使う機器ならデジタルアイソレータ、③パルスだけでよく、2次側に電源を作りたくないならパルストランス、です。最近のインバータやモーター制御では、デジタルアイソレータに置きかえる例が増えています。

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絶縁して信号を渡す3つの部品の図。フォトカプラは光で渡し安いが遅めで劣化がある、デジタルアイソレータは電界や磁界で渡し速く劣化が小さい、パルストランスは磁気でパルスだけを渡す

フォトカプラでよくある間違い

よくある間違い正しい考え方
CTRの標準値(代表値)で設計する最小値に、温度と寿命による低下を見こむ
LEDに抵抗なしでつなぐLEDは電流で動く。電流を決める抵抗が必ず要る
負荷抵抗は小さいほど確実小さいとONしきれない。大きいと遅い。計算で下限を出して少し上に
1次側と2次側のGNDを基板でつないでしまうつなぐと絶縁の意味がなくなる。パターンも沿面距離をとって分ける
LED電流を大きくするほど安心電流が大きいほどLEDの劣化は早い。必要な分だけ流す
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フォトカプラ設計のよくある間違いの図。CTRは最小値と寿命で、LEDには抵抗が要る、負荷抵抗は下限を計算する、1次と2次のGNDをつながない

よくある質問

Q. フォトカプラとは簡単にいうと?

A. LEDの光で信号を伝え、入力側と出力側を電気的に切り離す部品です。感電やノイズから回路を守ります。

Q. CTRとは何ですか?

A. LEDに流す電流に対して、出力側に流せる電流の割合です。ばらつきや寿命で下がるので、最小値で設計します。

Q. フォトカプラに寿命はある?

A. LEDの光が年々弱くなり、CTRが下がります。データシートの劣化特性を確かめ、余裕をもった設計にします。

Q. デジタルアイソレータとの違いは?

A. デジタルアイソレータは電界や磁界で信号を渡すので、速く、LEDの劣化がありません。フォトカプラは安くて手軽です。

Q. LED側の抵抗はどう決める?

A. (入力電圧−LEDの順電圧)÷ねらいのLED電流で求めます。3.3V・1.2V・5mAなら約420Ωで、430Ωを選びます。

まとめ
  • フォトカプラ=LEDの光で信号を渡し、入力と出力を絶縁する部品
  • 目的は感電防止・回路保護・ノイズ遮断
  • CTR=IC÷IF。最小値と寿命の低下(目安で半分)を見こんで設計
  • LED側の抵抗と、出力側の負荷抵抗の下限を計算で決める
  • 速さや長寿命が必要ならデジタルアイソレータも候補
フォトカプラのまとめの図。光で渡して絶縁する、CTRは出力電流÷LED電流、寿命でCTRが下がる、抵抗は計算で決める
キャリア
設計の経験を、次のキャリアに活かすなら

回路や基板の設計経験は、メーカーをはじめ多くの企業で求められています。今の職場で経験を積むのも、より広く経験を活かせる職場を探すのも、ひとつの道です。エンジニア向けの転職支援サービスでは、経験を棚卸ししながら求人を探せます。

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電験三種 / QC検定1級 / パワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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