法規科目の解説

低圧幹線の許容電流と過電流遮断器|1.25倍・1.1倍・3倍と55%・35%ルールを過去問で図解|電技解釈第148条

低圧幹線と過電流遮断器を表すアイキャッチ。太いケーブルが入る分電盤の配線用遮断器と電動機

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お悩み
こんなふうに思っていませんか?
  • 1.25倍と1.1倍の使い分けがあいまい
  • 遮断器の3倍と2.5倍のどちらを使うかで迷う
  • 55%・35%・8m・3mの数字が混ざる
この記事でわかること
  • 幹線の許容電流の決め方(第148条)
  • 過電流遮断器の定格電流の上限
  • 遮断器を省略できる55%・35%ルールと分岐回路
  • 過去問の解き方と計算ツール
結論|まず30秒でわかる答え

低圧幹線の許容電流は、つながる機器の定格電流の合計以上にします。ただし電動機等の合計IMが他の機器の合計IHより大きいときは、IMが50A以下なら1.25倍、50Aを超えるなら1.1倍してIHを足します。幹線を守る過電流遮断器の定格電流は、3IM+IH以下、かつ許容電流の2.5倍以下です(電技解釈第148条)。

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低圧幹線とは?分岐回路とのちがい

工場やビルの電気は、引込口から太い電線で分電盤まで運ばれ、そこから細い電線に分かれて機器へ届きます。引込口側の太い電線が低圧幹線、分電盤から機器へ向かう電線が低圧分岐回路です。

低圧幹線低圧分岐回路
役割引込口から分電盤などまで、まとめて電気を運ぶ幹線から分かれて、機器やコンセントへ届ける
決まり電技解釈第148条電技解釈第149条
過電流遮断器電源側に、幹線を保護するものを置く分岐点から3m以下の箇所に置く

どちらも、電線が熱で傷まないように「電線の許容電流」と「過電流遮断器の定格電流」の関係を決めています。

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低圧幹線と分岐回路の図。引込口から分電盤までの太い電線が低圧幹線(第148条)、分電盤から電動機・照明・コンセントへ分かれる細い電線が低圧分岐回路(第149条)

幹線の電線の許容電流の決め方

幹線の電線の許容電流 IA は、つながる機器の定格電流の合計以上にします。電動機は起動電流が大きく、運転中も定格を少し超えることがあるので、電動機等が多いときは割り増します。

条件電線の許容電流 IA
IM ≦ IH(電動機等が少ない)IA ≧ IM + IH
IM > IH で、IM ≦ 50AIA ≧ 1.25 IM + IH
IM > IH で、IM > 50AIA ≧ 1.1 IM + IH

IMは電動機等の定格電流の合計、IHはそれ以外の機器(電熱器や照明など)の定格電流の合計です。需要率や力率がわかっているときは、それで修正した値を使えます。

例題:電動機等40A、その他20A

STEP 1

IM = 40A > IH = 20A なので割り増す

STEP 2

IM = 40A は50A以下なので1.25倍

STEP 3

IA ≧ 1.25 × 40 + 20 = 70 A

幹線の電線の許容電流の判定の図。I_MがI_H以下ならI_M+I_H、I_MがI_Hより大きく50A以下なら1.25I_M+I_H、50Aを超えるなら1.1I_M+I_H

幹線を守る過電流遮断器の定格電流

過電流遮断器の定格電流 IB は、原則として電線の許容電流 IA 以下です。ただし電動機等がつながるときは、起動電流で遮断器が動作しないように、次の上限まで大きくできます。

公式
IB ≦ 3 IM + IH (ただし 2.5 IA を超えるなら 2.5 IA)

つまり、3IM+IH と 2.5IA の小さいほうが上限です。許容電流が100Aを超え、この値がちょうどの標準定格にないときは、直近上位の標準定格にできます。

例題:電動機等40A、その他20A(許容電流70A)

STEP 1

3 × 40 + 20 = 140 A

STEP 2

2.5 × 70 = 175 A

STEP 3

小さいほうをとって IB ≦ 140 A

例題:電動機等80A、その他10A

STEP 1

許容電流:IM = 80A > 50A なので 1.1 × 80 + 10 = 98 A

STEP 2

3 × 80 + 10 = 250 A、2.5 × 98 = 245 A

STEP 3

250A は 245A を超えるので IB ≦ 245 A

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幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の図。3I_M+I_Hと2.5I_Aのどちらか小さいほう以下。例では140Aと175Aで140A以下

過電流遮断器を省略できる場合と分岐回路の3m

太い幹線から細い幹線を分けるとき、細い幹線の電源側にも過電流遮断器を置くのが原則です。ただし、細い幹線が次のどれかに当たれば省略できます(第148条第1項第四号)。

条件細い幹線の許容電流長さ
イ太い幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の55%以上制限なし
ロ同じく35%以上8m以下
ハ(制限なし)3m以下で、負荷側に他の幹線をつながない
ニ通過する最大短絡電流以上電源が太陽電池だけのとき

分岐回路の過電流遮断器も同じ考え方です。原則は分岐点から3m以下に置き、電線の許容電流が幹線の過電流遮断器の55%以上なら3mを超えてもよく、35%以上なら8m以下まで延ばせます(第149条)。

例:幹線の過電流遮断器が200A

STEP 1

55% = 200 × 0.55 = 110 A:許容電流110A以上なら長さに関係なく省略できる

STEP 2

35% = 200 × 0.35 = 70 A:許容電流70A以上なら長さ8m以下で省略できる

STEP 3

許容電流が70A未満なら、長さ3m以下で負荷側に他の幹線をつながないときだけ省略できる

分岐回路の電線の太さ(149-1表)

分岐回路の過電流遮断器軟銅線の太さ
15A以下、15A超20A以下の配線用遮断器直径1.6mm
15A超20A以下(配線用遮断器以外)直径2mm
20A超30A以下直径2.6mm
30A超40A以下断面積8mm²
40A超50A以下断面積14mm²
過電流遮断器を省略できる場合の図。細い幹線の許容電流が太い幹線の遮断器Bの55%以上なら長さ制限なし、35%以上なら8m以下、3m以下なら負荷側に他の幹線をつながない場合に省略できる

電験三種の過去問で確かめる

第148条は、法規で数字の穴埋めとB問題の計算の両方で出ています(平成19年度 問9、平成22年度 問6、平成24年度 問9、平成29年度 問7、令和元年度 問11)。

年度問われたこと答え
平成19年度 問9許容電流の割り増しの条件許容電流・50A・1.25倍
平成22年度 問6遮断器を省略できる条件55%・8m・35%・3m
平成29年度 問7省略できる条件(太陽電池)8m・3m・太陽電池・最大短絡電流

令和元年度 問11(a):許容電流

STEP 1

IM = 48A、IH = 48A:IM > IH ではないので 48 + 48 = 96 A

STEP 2

IM = 49A、IH = 47A:1.25 × 49 + 47 = 108.25 → 109 A

STEP 3

IM = 50A、IH = 46A:50Aは「50A以下」なので 1.25 × 50 + 46 = 108.5 → 109 A

令和元年度 問11(b):遮断器(許容電流88A)

STEP 1

2.5 × 88 = 220 A が上限の候補

STEP 2

IM 60A・IH 20A:3 × 60 + 20 = 200A < 220A → 200 A

STEP 3

IM 70A・IH 10A:3 × 70 + 10 = 220A → 220 A

STEP 4

IM 80A・IH 0A:3 × 80 = 240A > 220A → 220 A

平成24年度 問9:組み合わせ

STEP 1

IM 40A・IH 30A:許容電流 1.25 × 40 + 30 = 80 A、遮断器は 150A と 200A の小さいほう 150 A

STEP 2

IM 20A・IH 50A:割り増しなしで 70 A

STEP 3

IM 60A・IH 0A:許容電流 1.1 × 60 = 66A、遮断器は 180A と 165A の小さいほう 165 A

遮断器は短絡電流も切れること(第33条)

低圧の過電流遮断器は、その場所を通る短絡電流を遮断する能力が必要です。平成21年度 問13では、変圧器の%Zから短絡電流22.5kAを求め、遮断容量25kAの遮断器を選びました。

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低圧幹線の計算ツール

電動機等と、それ以外の機器の定格電流の合計を入れてください。幹線の許容電流と過電流遮断器の定格電流の上限を出します。下の欄では、細い幹線や分岐で過電流遮断器を省略できるかを判定します。

入れた数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。需要率・力率で修正する場合や、太陽電池だけが電源の場合は本文の条文を確かめてください。

低圧幹線のよくある間違い

よくある間違い正しい考え方
電動機があれば必ず1.25倍割り増すのは IM > IH のときだけ
IHまで1.25倍する割り増すのは IM だけ。IH はそのまま足す
IM = 50A は1.1倍「50A以下」なので50Aちょうどは1.25倍
遮断器は3IM+IHで決まり2.5IA と比べて小さいほう
35%なら長さに関係なく省略35%は8m以下のとき。長さ制限なしは55%
分岐の遮断器は8m以内に置けばよい原則は分岐点から3m以下
低圧幹線のよくある間違いの図。割り増すのは電動機等の合計I_Mだけ、50Aちょうどは1.25倍、遮断器は2.5I_Aと比べて小さいほう、35%は8m以下のとき

よくある質問

Q. 低圧幹線の許容電流で1.25倍を使う条件は?

A. 電動機等の定格電流の合計が他の機器より大きく、かつ50A以下のときです。50Aを超えると1.1倍です。

Q. 幹線の過電流遮断器の定格電流の上限は?

A. 電動機等の合計の3倍に他の機器の合計を足した値以下で、許容電流の2.5倍を超えるなら2.5倍以下です。

Q. 幹線の過電流遮断器を省略できる条件は?

A. 許容電流が電源側の遮断器の定格電流の55%以上、8m以下で35%以上、3m以下で先に幹線をつながない場合などです。

Q. 分岐回路の過電流遮断器はどこに置く?

A. 幹線との分岐点から電線の長さ3m以下の箇所です。55%以上や8m以下35%以上なら延ばせます。

Q. 配線用遮断器の動作の決まりは?

A. 定格電流の1倍で動作せず、1.25倍と2倍で決められた時間内に動作します。30A以下なら60分と2分です。

まとめ
  • 幹線の許容電流は定格電流の合計以上(第148条)
  • IM>IHなら、50A以下は1.25倍、超えると1.1倍
  • 遮断器は 3IM+IH と 2.5IA の小さいほう以下
  • 省略できるのは55%以上、8m以下で35%以上、3m以下
  • 分岐回路の遮断器は分岐点から3m以下
低圧幹線のまとめの図。電動機等が50A以下なら1.25倍・超えると1.1倍、遮断器は3I_M+I_Hと2.5I_Aの小さいほう、55%・8m以下35%・3m以下で省略、分岐回路の遮断器は3m以下
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