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- 支線の張力の式でsinθをどこに掛けるのかわからない
- 電線と支線の高さがちがうときの解き方がつかめない
- 安全率を2.5と1.5のどちらにするか迷う
- 支線の決まり(第61条・第62条)
- 力のモーメントで張力を出す手順
- 素線の条数と直径の求め方
- 過去問3問の解き方と計算ツール
支線の張力は、電柱の根元のまわりの力のモーメントのつり合いで求めます。電線の水平張力T×電線の高さh = 支線の張力Tₛ×sinθ×支線の高さH です。素線の条数は、素線1本の引張荷重×条数 ≧ 安全率×Tₛ から求めます。安全率は電技解釈第61条で2.5以上、第62条の支線(高圧の木柱・A種柱の引留めなど)は1.5以上です。

支線とは?電技解釈第61条の決まり
電柱は、電線に横から引っぱられています。電線が片側で終わる場所(引留め)や、電線路が曲がる場所では、引っぱる力がつり合いません。電柱を地面に向かって斜めに引き返す鋼線が支線です。
| 項目 | 第61条の決まり |
|---|---|
| 引張強さ | 10.7kN以上(第62条・第70条第3項の支線は6.46kN以上) |
| 安全率 | 2.5以上(第62条・第70条第3項の支線は1.5以上) |
| より線を使うとき | 素線を3条以上より合わせる。素線は直径2mm以上、引張強さ0.69kN/mm²以上の金属線 |
| 地際の部分 | 木柱の場合を除き、地中と地表上30cmまでは耐食性のあるもの又は亜鉛めっきの鉄棒を使い、根かせに堅ろうに取り付ける |
| 道路を横断する支線 | 路面上5m以上(やむを得ず交通に支障がないとき4.5m、歩行専用の部分は2.5m) |
| がいし | 低圧・高圧の支線で電線と接触するおそれがあるものは、上部にがいしを入れる(低圧で水田などの湿地以外は不要) |
| 支柱 | 同等以上の効力のある支柱で代えられる |
支線で強度を分担させる木柱・鉄筋コンクリート柱・鉄柱は、支線なしで耐えるべき風圧荷重の1/2以上に耐える強さが必要です。鉄塔は支線で強度を分担させてはいけません(第59条第6項・第7項)。
風圧荷重とは

支線を設ける場所(第62条)
高圧・特別高圧の架空電線路で、木柱・A種鉄筋コンクリート柱・A種鉄柱を使うときは、次の場所に支線を設けます。試験の計算問題は、ほとんどがこの第62条の支線です。だから安全率は1.5を使います。
| 場所 | 耐える力 | 支線の方向 |
|---|---|---|
| 全部の電線を引き留める柱(引留め) | 想定最大張力に等しい不平均張力による水平力 | 電線路の方向 |
| 水平角度が5度を超える柱(曲がり角) | 想定最大張力による水平横分力 | 横分力に耐える方向 |
| 水平角度5度以下で、両側の径間の差が大きい柱 | 径間の差による不平均張力の水平力 | 電線路に平行な方向の両側 |
このほか、低圧・高圧の直線路が続いて連鎖的に倒れるおそれがあるときは、必要に応じて16基以下ごとに電線路に平行な方向の両側、5基以下ごとに直角の方向の両側に支線を設けます(第70条第3項)。

支線の張力の求め方|根元のまわりの力のモーメント
電柱の根元を回転の中心と考えます。電線は電柱を倒す向きに、支線は引き戻す向きに回そうとします。この2つの力のモーメント(力×腕の長さ)がつり合う、と考えます。
T × h = Tₛ × sinθ × H
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| T | 電線の水平張力[kN] |
| h | 電線の取付高さ[m] |
| Tₛ | 支線の張力[kN](求めたいもの) |
| H | 支線の取付高さ[m] |
| θ | 支線と電柱のなす角。sinθ = a ÷ √(a²+H²)(aは根元から支線の地面の点までの距離) |
支線の張力Tₛのうち、電線と逆向きに引き戻すのは水平分力 Tₛ×sinθだけです。だから支線は、電線の張力より大きな力で引っぱられます。電線と支線の高さが同じ(h=H)なら、式は Tₛ = T ÷ sinθ になります。
三角関数(sin・cos・tan)の超入門
電線が2本あるとき
高さのちがう電線が2本あるときは、それぞれのモーメントを足します。T₁×h₁ + T₂×h₂ = Tₛ×sinθ×H です。

素線の条数と直径の求め方
支線は細い鋼線(素線)をより合わせたより線です。素線1本が耐えられる力は、断面積×引張強さです。
素線1本の引張荷重 = π × (d/2)² × σ
n × π × (d/2)² × σ × k ≧ 安全率 × Tₛ
dは素線の直径[mm]、σは引張強さ[kN/mm²]、nは条数、kはより合わせによる引張荷重の減少係数です。問題に「減少係数は無視する」とあればk=1にします。条数は小数になったら切り上げます。
例題:電線の水平張力8kN、高さ10m
電線と支線の取付高さはどちらも10m、根元から支線の地面の点までは5m。素線は直径2.6mm、引張強さ1.23kN/mm²(減少係数は無視)。
sinθ = 5 ÷ √(5²+10²) = 5 ÷ √125 ≒ 0.4472
高さが同じなので Tₛ = 8 ÷ 0.4472 ≒ 17.9 kN
素線1本 = π × 1.3² × 1.23 ≒ 6.53 kN
安全率1.5(第62条の支線):n ≧ 1.5 × 17.9 ÷ 6.53 ≒ 4.11 → 5条
安全率2.5(第62条・第70条第3項以外の支線):n ≧ 2.5 × 17.9 ÷ 6.53 ≒ 6.85 → 7条
同じ支線でも、安全率で必要な条数が変わります。問題文の「安全率」の数字を必ず確かめましょう。

電験三種の過去問で確かめる
支線の計算は、法規のB問題でくり返し出ています(平成21年度 問12、令和3年度 問11、令和7年度下期 問13)。3問とも安全率は1.5です。
令和3年度 問11:高さが同じ引留め
電線と支線の高さは8m、根元から支線の地面の点まで4m、水平張力15kN
sinθ = 4 ÷ √(4²+8²) = 4 ÷ √80 ≒ 0.4472
Tₛ = 15 ÷ 0.4472 ≒ 33.5 kN(選択肢は34kN)
素線(直径2.9mm・1.23kN/mm²)1本 = π × 1.45² × 1.23 ≒ 8.12 kN
n ≧ 1.5 × 33.5 ÷ 8.12 ≒ 6.19 → 7条
令和7年度下期 問13:高圧と低圧の2本
高圧は高さ10m・9kN、低圧は高さ8m・4kN。支線は高さ8m、根元から6m
sinθ = 6 ÷ √(6²+8²) = 6 ÷ 10 = 0.6
9 × 10 + 4 × 8 = Tₛ × 0.6 × 8 → Tₛ = 122 ÷ 4.8 ≒ 25.4 kN
7条・安全率1.5:1本あたり 1.5 × 25.4 ÷ 7 ≒ 5.45 kN
π × (d/2)² × 1.23 ≧ 5.45 → d ≧ 2.37mm → 選択肢から 2.6mm
平成21年度 問12:水平角60°の曲がり角
電線の想定最大張力9.8kNが、水平角60°で2方向に引く。合成した水平横分力は 2 × 9.8 × sin30° = 9.8 kN
電線は高さ10m、支線は高さ8m・根元から6m(sinθ = 0.6)
9.8 × 10 = Tₛ × 0.6 × 8 → Tₛ ≒ 20.4 kN
素線(2.6mm・1.23kN/mm²)1本 ≒ 6.53 kN、減少係数0.92
n > 1.5 × 20.4 ÷ (6.53 × 0.92) ≒ 5.10 → 計算上は6条以上。選択肢のうち条件を満たす最小の7条が答え
架空電線の高さと離隔距離
支線の張力と条数の計算ツール
電線の張力と高さ、支線の寸法、素線の条件を入れてください。支線の張力、必要な条数、指定した条数で必要な素線の直径を出します。電線が1本なら、電線2の張力を0にします。
入れた数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。初期値は令和3年度 問11の数値です。
支線の計算のよくある間違い
| よくある間違い | 正しい考え方 |
|---|---|
| Tₛ = T × sinθ と掛けてしまう | 引き戻すのは水平分力 Tₛ×sinθ。Tₛ = T ÷ sinθ(高さが同じとき) |
| θを支線と地面のなす角にする | 式のθは支線と電柱のなす角。sinθ = 根元からの距離 ÷ 支線の長さ |
| 高さがちがうのに力だけでつり合わせる | 根元のまわりの力のモーメント(力×高さ)でつり合わせる |
| 安全率をいつも2.5にする | 第62条・第70条第3項の支線は1.5 |
| 条数を四捨五入する | 必ず切り上げる。選択肢にないときは条件を満たす最小のもの |
| 直径をそのまま2乗する | 断面積は π × (d/2)²。半径を2乗する |

よくある質問
- 支線の安全率は2.5以上、第62条の支線は1.5以上
- 素線は3条以上・直径2mm以上・0.69kN/mm²以上
- 張力は根元のまわりのモーメントでつり合わせる
- T×h=Tₛ×sinθ×H(θは支線と電柱の角)
- 条数は n ≧ 安全率×Tₛ ÷ 素線1本の荷重、切り上げ

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