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第一種の技能試験は、第二種と何が違うのか。
この記事では、令和8年度の候補問題10問を1枚の表にし、第二種との違い、合格率の推移、上期(7/4)に実際に出た10問の試験問題から分かる「端子台で代用する器具」、10問を5つの組にまとめた練習の順番を、順に見ていきます。
第二種の連載を書くために試験センターの資料を読むうち、第一種の技能は候補問題だけでなく、上期に出た10問すべての問題用紙と解答が公表されていると分かりました。下期に向けて練習する人がそのまま使える形に並べたくて、この1本にまとめています。

第一種電気工事士の技能試験とは:候補問題10問から出て、60分で作る
第一種電気工事士の技能試験は、配線図と施工条件のとおりに電線と器具をつなぎ、作品を仕上げる試験です。令和8年度は1/6(令和8年)に候補問題 No.1〜No.10 が公表され、試験時間はすべて60分の予定。下期の試験日は11/21(土)です。
電気技術者試験センター「令和8年度第一種電気工事士技能試験候補問題の公表について」と、第一種電気工事士試験のページから。
合否の決め方は第二種と同じです。試験センターの「欠陥の判断基準」は第一種と第二種で共通の1枚で、作品に欠陥が1つでもあれば不合格になります。第一種にだけ関係する基準もあり、たとえば端子台の高圧側では、心線が20mm 以上見えると欠陥です(判断基準 8-3 イ)。低圧側は5mm 以上なので、同じ端子台でも数字が違います。
候補問題の図は単線図(電線の本数にかかわらず1本の線で描く図)で、寸法や電線の色、どの器具を端子台で代用するかは書かれていません。それは当日の問題用紙の施工条件で示されます。
第一種と第二種の技能試験の違い:高圧の受電側と、60分
第一種の技能試験は、第二種より問題が3問少なく(10問)、時間は20分長い(60分)。中身の違いは、6,600V で受電する変圧器・遮断器・計器用変成器の結線が入ることです。合格率は第二種より低く、令和8年度上期で第一種 56.1%・第二種 73.4%、差は 17.3ポイントでした。
候補問題の公表文書(第一種・第二種)、令和8年度上期の第一種技能試験の問題用紙(材料表)、試験結果と推移から。合格率は受験者と合格者から計算。
第二種の作品は「家の中の配線」でしたが、第一種の作品は「受電した高圧を変圧器で下げ、その先の低圧の回路へつなぐ」形になります。低圧側のスイッチ・コンセント・ランプレセプタクルの作業は第二種と同じで、その手前に変圧器の端子台と KIP の結線が足される、という見方ができます。足し算の形です。
電験三種の勉強で高圧受電設備の単線結線図を読んできた目で見ると、No.7 と No.10 は受電設備の計器と保護の回路そのものです。CT(変流器)・VT(計器用変圧器)・過電流継電器・VCB(真空遮断器)の役目が分かっていると、施工条件の端子の番号が意味のある並びに見えてきます。
CT と VT の役目。CT の二次側を開放してはいけない理由

第一種電気工事士の技能試験の合格率:55〜62%
第一種の技能試験の合格率は、令和6年度上期から令和8年度上期までの5回で 55.1〜61.9%。上期より下期の方が高い年が続いています(令和6年度 57.0→61.9%、令和7年度 55.1→60.3%)。
電気技術者試験センター「第一種電気工事士試験の試験結果と推移」の技能試験(学科免除者+学科合格者)。合格率は受験者と合格者から計算した。
下期の方が合格率が高い理由は、資料には書かれていません。受験者の顔ぶれ(学科を下期に受けた人が多いかなど)で変わる可能性があり、ここでは数字だけを示します。推測はしません。どちらの期でも、受けた人の4割前後は不合格。欠陥が1つでもあれば落ちる試験なので、10問のどれが出ても欠陥0で仕上げる練習が要ります。

第一種の候補問題10問の一覧:変圧器の台数と低圧側の器具
10問は、高圧側の形で見ると、単相変圧器1台(No.1・2・4・9)、2台(No.3・5)、3台(No.6)、三相の1台(No.8)、VCB と計器用変成器の回路(No.7・10)に分かれます。低圧側には、3路スイッチ・自動点滅器・タイムスイッチ・電動機・進相コンデンサなどが問題ごとに付きます。
電源と器具は公表の配線図(P_R08P.pdf)の文字と記号を筆者が読み取った要旨。変圧器の台数は、令和8年度上期の試験問題の材料表にある「端子台(変圧器の代用)」の数。下期の問題で材料や代用が変わる場合がある。
変圧器の台数は、配線図の記号だけでは分かりにくいところです。上期の問題用紙では、No.5 に「端子台(変圧器の代用)2P」が2個、No.6 に3個と書かれていて、No.5 が2台の V 結線、No.6 が3台の結線だと材料からも確かめられます。図だけでは迷う所です。
V 結線・Δ-Δ 結線の特徴。2台と3台で何が変わるか

上期の試験問題で分かる「端子台で代用する器具」
令和8年度上期(7/4)は、候補問題10問すべてが試験問題として出され、問題用紙と解答が公表されています。材料表を読むと、変圧器は 9 問で端子台の代用、No.10 は VT を端子台で代用。ほかに自動点滅器・タイムスイッチ・開閉器・CT・過電流継電器・電磁開閉器・VCB 補助接点なども端子台になっていました。
令和8年度上期 第一種電気工事士技能試験の問題用紙(20260704_co_first_q01〜q10.pdf)の「なお、1.」の文と材料表から。下期の施工条件が同じとは限らない。
上期の10問の問題用紙を1問ずつ開き、材料表と施工条件の1行目を読み比べました。端子台で代用する器具は、問題ごとに「端子台説明図」で端子の番号と内部の結線が示されます。本物の器具がない分、この説明図を正しく読めるかが作品の出来を左右します。読む力の試験でもある。
上期の問題用紙の材料表から。
第一種の候補問題の公表文には、配線図に明示していないが、出題される工事にケーブル工事・金属管工事・合成樹脂管工事がある、と書かれています。上期では No.5 に金属管、No.6 に可とう電線管が付きましたが、下期にどの問題へ付くかは当日まで分かりません。管の作業は、どの番号でも出られるように1回は手を通しておくのが安全です。

第一種の候補問題を練習する順番:高圧側の形で5つの組に
10問は、高圧側の形が同じ問題を続けて作ると覚えることが減ります。単相変圧器1台の4問から始め、V 結線の2問、3台の No.6、電磁開閉器の No.8、最後に VCB と CT・VT の No.7・No.10 という順が一つの案です。
この記事の案(試験センターの手順ではない)。10問がちょうど1回ずつ入るように組んだ(build.py で確かめた)。
筆者なら、変圧器1台の4問から始めます。理由は、電験三種で学ぶ受電設備の順(変圧器1台 → 2台・3台の結線 → 遮断器と計器用変成器と継電器)と同じ流れになり、新しく出てくる部品が1回に1種類で済むからです。No.7 と No.10 を最後に回すのは、端子台が3〜4種類並び、説明図の読み取りがいちばん多い問題だからです。
V 結線の No.3・No.5 では、上期の施工条件に「変圧器代用の端子台の二次側端子のわたり線は、太さ2.0mm(白色)」と書かれていました。No.6 では「IV5.5mm²(黒色)」。わたり線の太さと色は問題ごとに違うので、施工条件の文を先に読んでから切る順番を決めます。
三相の回路を1相分で計算する方法。Δ-Δ と Y-Δ
過去問(上期の試験問題)の使い方:候補問題の図 → 問題用紙 → 解答
上期の試験問題は、候補問題と同じ番号の配線図に、寸法・電線の色・材料・端子台の説明図が足された「本番の形」です。候補問題の図で複線図を描き、上期の問題用紙の施工条件で作り、公表の解答と見比べる3段で使えます。
この記事の案。試験センターは過去の試験問題を、教育目的などでは許諾・使用料なしで使えるとしている(出典の明記が条件)。
下期の問題用紙は、上期と同じ番号でも寸法や施工条件が変わる可能性があります。上期の問題で作るのは「本番の形の練習」で、答えを覚えるためではありません。施工条件の文を読んでから手を動かす、その流れを10回くり返せるのが、上期の問題を使ういちばんの利点です。
第二種の作業(リングスリーブの圧着・差込形コネクタ・ねじへの輪作り)と欠陥の数字は、第一種でもそのまま使います。基準は共通。端子台の高圧側の20mm だけが第一種の数字です。
11/21の技能試験までの練習量:3週間で2周なら週7問
10問を2周すると20問ぶんの練習です。残りが3週間なら、20 ÷ 3 ≒ 6.7 で、1週間に6〜7問。1周目は組の順、2周目はくじで番号を選ぶと、当日どの問題が出ても施工条件の読み始めから練習できます。
10問 × 2周 ÷ 週の数。KIP や端子台は使い回せるが、ケーブルは切って使うので、何周できるかは材料の量でも変わる。
筆者は電工の試験を受けていないので、60分のうち複線図と端子台の結線に何分、見直しに何分、という配分の目安は書けません。作るたびに、複線図を描き終えた時刻・作り終えた時刻をメモしておくと、2周目には自分の数字で決められます。

