回路設計

電子部品が壊れる原因5つと設計で防ぐ方法|過電圧・熱・静電気

焦げてひびの入ったICチップから細い煙が上がる緑の基板の写真に、電子部品が壊れる原因と防ぎ方5つ・過電圧・熱・静電気・逆接続・はんだの文字

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電子部品が壊れる原因は、過電圧・サージ、熱、静電気(ESD)、逆接続、はんだ・機械の5つで、どれも部品の限界(定格)を超えたときに起きます。原因ごとの防ぎ方は一覧の節にまとめました。

結論|まず30秒でわかる答え

①過電圧・サージ ②熱 ③静電気(ESD) ④逆接続 ⑤はんだ・機械
どれも「部品の限界(定格)を超える」と壊れます。設計では、定格に余裕を持たせ(電圧は80%以下が目安)、ダイオード・TVS・抵抗で入口を守り、温度を計算し、割れやすい所に部品を置かないことで防ぎます。

この記事に出てくる言葉

わからない言葉が出てきたら、ここに戻ってきてください。本文でも、初めて出たところで言い換えます。

定格部品にかけてよい電圧・電流・温度の上限。データシートに書いてある
絶対最大定格一瞬でも超えると壊れることがある限界の値
サージ一瞬だけ出る、ふだんよりずっと高い電圧(電圧のとげ)
ESD(静電気放電)人や物にたまった静電気が、部品に一気に流れること
TVS ダイオード高い電圧が来たときだけ電流を流し、GND へ逃がす保護の部品
熱抵抗(℃/W)1W の熱で温度が何℃上がるかの値
逆接続電源の+と−を逆につなぐこと
ディレーティング定格より低い値で使い、余裕を残すこと

電子部品が壊れると、「運が悪かった」で片づけたくなります。でも多くの場合、どの限界を超えたかを順に考えると、原因と防ぎ方が見えてきます。

この記事では、壊れる原因を5つに分け、それぞれ「何が起きるか」と「設計でどう防ぐか」を、データシートの数字を使って説明します。

焦げてひびの入ったICチップから細い煙が上がる緑の基板の写真に、電子部品が壊れる原因と防ぎ方5つ・過電圧・熱・静電気・逆接続・はんだの文字

電子部品が壊れる原因は5つ:どれも限界を超えると壊れる

電子部品が壊れる原因は、過電圧・サージ、熱、静電気、逆接続、はんだ・機械の5つにまとめられます。どれも、部品が耐えられる限界を超えたときに壊れます。

部品には、データシートに「ここまでなら大丈夫」という限界の値が書いてあります。電圧・電流・温度・機械の力のどれかが、その値を超えると壊れます。

原因何が起きる設計で防ぐ
1 過電圧・サージ電圧が耐圧を一瞬でも超える定格の余裕・ダイオード・TVS
2 熱温度が上限を超える・寿命が縮む電力と熱抵抗で温度を計算
3 静電気数kV がピンに飛び込む入口に TVS と抵抗・扱い方
4 逆接続逆向きに大きな電流が流れるダイオード・FET・挿し間違えない形
5 はんだ・機械温度の上下と曲げで割れる置き場所・固定・温度差
POINT|5つは「よく起きる順」ではない

この記事の5つは、原因の種類で分けたものです。どれが多いかは、製品や使い方で変わります。設計では5つすべてを確かめます。

つまり、壊れる原因は「どの限界を超えたか」で5つに分けられる。この順に1つずつ見ていきます。

5枚のカード。1過電圧・サージ(耐圧を超える・一瞬の高い電圧)、2熱(温度が上限を超える・寿命が縮む)、3静電気、4逆接続、5はんだ・機械(温度の上下や基板の曲げで割れる)

その場で壊れるもの・使ううちに壊れるもの

過電圧・静電気・逆接続は、その場で壊れることが多い原因です。熱とはんだの割れは、使ううちに少しずつ進み、あとで壊れます。

その場で壊れる原因は、一瞬でも限界を超えると起きます。たとえば、電源にとげのような高い電圧が乗った瞬間や、+と−を逆に挿した瞬間です。

あとで壊れる原因は、「疲れ」がたまって起きます。温度の高い所で使い続けると部品の寿命が縮み、温度の上下をくり返すと、はんだに少しずつひびが入ります。

たとえると

その場で壊れるのは「ガラスのコップを落とす」こと、あとで壊れるのは「針金を何度も曲げて折れる」ことに似ています。防ぎ方も、前者は「落とさない工夫」、後者は「曲げる回数と角度を減らす工夫」です。

つまり、その場で壊れるものは「一瞬も超えない」、あとで壊れるものは「余裕を持って疲れをためない」で防ぐ。

その場で壊れる(過電圧・サージ、静電気、逆接続→一瞬でも定格を超えない)と、使ううちに壊れる(熱、はんだの割れ→余裕を持たせて疲れをためない)の2枚のカード

原因1 過電圧:絶対最大定格を一瞬でも超えない

データシートの絶対最大定格は「一瞬でも超えると壊れることがある値」です。たとえば TI の 74HC04 は、電源電圧の推奨が2〜6V、絶対最大定格が7V です。

データシートには、電圧の値が2種類書いてあります。「推奨動作条件」は、性能を約束する範囲です。「絶対最大定格」は、超えると壊れることがある限界です。

TI のデータシートには「絶対最大定格を超えるストレスは、部品に永久的な損傷を与えることがある」と書かれています。推奨の範囲で使い、絶対最大定格との間は、とげのような電圧のための余裕として残します。

74HC04 の電源電圧値意味
推奨動作条件2〜6Vこの範囲なら性能を約束
絶対最大定格7V一瞬でも超えると壊れることがある
5V で使うと余裕2V電源にとげが乗っても7V 未満に収める
データシートの読み方|読む順番6ステップとmin・typ・maxの意味

つまり、設計の電圧は「推奨の範囲」で決め、絶対最大定格は「絶対に触れない線」として扱う。

0〜8Vの目盛り。推奨2〜6V(緑)、6〜7V動作の保証なし(黄)、7V以上壊れることがある(赤)、5Vで使う矢印と絶対最大定格7Vの線

サージ:一瞬だけ出る高い電圧の出どころ

サージは、ふだんの電圧が定格の中でも、一瞬だけ高い電圧が出ることです。リレーやモータを切った瞬間、ケーブルの抜き差し、雷や電源の入切が代表です。

いちばん身近なのは、リレーやモータのコイルです。コイルは、流れている電流を急に止められると、高い電圧を出します(逆起電力)。この電圧が、コイルを動かしているトランジスタにかかります。

長いケーブルも、抜き差しの瞬間に電圧が跳ねることがあります。外から入る雷のとげは、家庭の機器でも起きる問題です。

注意|テスターではサージは見えない

サージは数マイクロ秒より短いことが多く、テスターの表示には出ません。確かめるときは、オシロスコープで波形を見ます。図の波形はイメージです。

つまり、サージは「どこでとげが出るか」を先に探す。コイル・ケーブル・外の電源の3つが出どころです。

3枚のカードと波形のイメージ。リレー・モータを切った瞬間(コイルの逆起電力)、ケーブルの抜き差し(電圧の跳ね)、雷・電源の入切(外から入るとげ)

サージを防ぐ3つの部品:ダイオード・TVS・直列の抵抗

コイルには逆向きのダイオード、外の端子には TVS ダイオード、IC の入力には直列の抵抗を入れて、とげを逃がす・小さくします。

コイル:逆向きのダイオード

コイルと並べて、カソード(線の側)を電源の+側に向けたダイオードを入れます。切った瞬間の電流が、ダイオードを通ってコイルに戻るので、高い電圧が出ません。

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外の端子:TVS ダイオード

TVS ダイオードは、ふだんは電流を流さず、高い電圧が来たときだけ電流を GND へ逃がします。コネクタのすぐ近くに置きます。

IC の入力:直列の抵抗

IC の入力ピンの手前に抵抗を入れると、とげが来たときに流れ込む電流が小さくなります。次の節で、どれくらいの抵抗が要るかを計算します。

つまり、とげは「逃がす(ダイオード・TVS)」と「絞る(抵抗)」の2つで防ぐ。

3つの回路図。+12Vのコイルと並べたダイオード(カソードが+12V側)、外の端子からGNDへのTVSダイオード、外の信号からICの入力への直列の抵抗

計算:入力に12Vが来たら、抵抗で電流を絞る

5V で動く IC の入力に12V の信号が来ると、IC の中のダイオードを通って VCC へ電流が流れます。74HC04 はこの電流の限界が±20mA なので、抵抗は315Ω 以上、余裕を見て数kΩ 以上にします。

多くの IC の入力ピンには、中に保護のダイオードがあります。入力が VCC より高くなると、このダイオードを通って VCC へ電流が流れます。

流れる電流
(12V − 5V − 0.7V)÷ R
抵抗 R流れる電流判定(限界±20mA)
0Ω(直結)抵抗がないので制限なしNG
330Ω19.1mA限界ぎりぎり
1kΩ6.3mA限界の内側
10kΩ0.63mA十分に余裕

0.7V はダイオードの電圧の目安です。流れ込んだ電流で VCC の電圧が持ち上がることもあるので、抵抗はあくまで「もしもの守り」です。電圧の違う信号をつなぐときは、レベル変換や分圧で、IC の電源電圧以下にするのが基本です。

つまり、入力の抵抗は「(入ってくる電圧 − VCC − 0.7)÷ 限界の電流」より大きくする。限界ぎりぎりではなく、余裕を持って選びます。

12Vの信号から抵抗RでICの入力へ、中のダイオードを通ってVCCへ流れる図と表。0Ωは制限なしNG、330Ωは19.1mAぎりぎり、1kΩは6.3mA、10kΩは0.63mA。最小のRは315Ω

原因2 熱:チップの温度=まわりの温度+熱抵抗×電力

部品の温度は、まわりの温度+熱抵抗×電力で計算します。LM1117 で12V から3.3V に下げて0.2A 流すと、チップは約147℃になり、上限の125℃を超えます。

チップの温度
まわりの温度 + 熱抵抗(℃/W)× 電力(W)

リニアレギュレータの電力は(入力 − 出力)× 電流です。12V → 3.3V・0.2A なら(12 − 3.3)× 0.2 = 1.74W。SOT-223 の LM1117 の熱抵抗は61.6℃/W なので、1.74 × 61.6 ≒ 107℃上がります。まわりが40℃ なら約147℃です。

同じ電流でも、5V → 3.3V なら(5 − 3.3)× 0.2 = 0.34W、約61℃で済みます。電圧の差を小さくするのが、いちばん効く対策です。計算を簡単にするため、レギュレータ自身の電流の分は省きました。

注意|熱抵抗は基板で変わる

61.6℃/W は、規格で決められた試験用の基板での値です。小さな基板や銅箔の少ない基板では、温度はもっと上がります。

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つまり、熱は「電力 × 熱抵抗」で温度に直し、上限と比べる。電圧の差が大きいなら、DC-DC コンバータを考えます。

横棒グラフ。LM1117(SOT-223、61.6℃/W)・0.2A・まわり40℃で、12V→3.3Vは1.74W・+107℃で147℃(上限125℃超え)、5V→3.3Vは0.34W・+21℃で61℃

熱と寿命:電解コンデンサは10℃下がると寿命が約2倍

電解コンデンサの寿命は、温度で大きく変わります。10℃下がるごとに寿命が約2倍になる「10℃2倍則」で見積もると、105℃・2000時間の品でも、65℃で使えば約32,000時間です。

電解コンデンサは、中の液が少しずつ抜けて寿命を迎えます。温度が高いほど、液が早く抜けます。日本ケミコンの資料では、60〜95℃の範囲で、温度が10℃下がると寿命がほぼ2倍になるとしています。

使う温度寿命の目安年に直すと
105℃2,000時間約0.2年
95℃4,000時間約0.5年
85℃8,000時間約0.9年
75℃16,000時間約1.8年
65℃32,000時間約3.7年

これは目安の計算です。リプル電流(コンデンサに流れる交流の電流)による発熱は、この表では入れていません。日本ケミコンの資料は、推定寿命の上限を15年としています。

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つまり、熱は「その場で壊す」だけでなく「寿命を縮める」。電解コンデンサは、熱い部品から離して置きます。

棒グラフ。105℃で2,000時間、95℃で4,000、85℃で8,000、75℃で16,000、65℃で32,000時間。10℃2倍則は60〜95℃で使える近似(日本ケミコン)

原因3 静電気:人の体は数kVにもなり、ピンに一気に流れ込む

人の体にたまる静電気は、数kV になることがあります。部品の静電気への強さは「人体モデル(HBM)」で書かれ、74HC04 は±2000V です。

床を歩いたり、服がこすれたりすると、人の体に静電気がたまります。絶縁性のよい靴をはいていると、簡単な動作でも体の電圧が数kV になることがあります。

部品の強さを試す人体モデルは、100pF にためた電気を1.5kΩ を通して部品に流す試験です。2000V なら、ピークの電流は 2000 ÷ 1500 ≒ 1.3A。時定数は 1.5kΩ × 100pF = 150ns なので、ほんの一瞬ですが、IC の中の細い配線には大きな電流です。

TI のデータシートの注記には、人体モデル500V なら、ふつうの静電気対策をした工場で安全に作れる、という JEDEC の資料の考え方が書かれています。裏を返すと、対策なしで素手で扱うのは危ないということです。

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つまり、静電気は「人が感じない電圧でも部品には高い」。部品の強さはデータシートの ESD 定格で確かめます。

人体モデルの回路図(100pFのコンデンサからスイッチと1.5kΩを通って部品のピンへ)と、数字の目安(人の体は数kV、74HC04は±2000V、2000V÷1.5kΩ≒1.3Aが約150ns)

静電気を防ぐ:入口で止める・近くで逃がす・扱いで減らす

静電気は、コネクタのすぐ近くの TVS ダイオードで逃がし、IC の手前の抵抗で絞り、作るときはリストストラップなどで体の静電気を逃がして防ぎます。

保護の部品は、静電気が入ってくる場所(コネクタ)のすぐ近くに置きます。TVS が IC より遠いと、静電気が先に IC に届いてしまうからです。

作るとき・直すときは、リストストラップで体を GND につなぎ、部品は静電気を逃がす袋やトレーで運びます。空気が乾いた日は、特に静電気がたまりやすくなります。

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つまり、静電気は「入口で逃がす」設計と「たまらないように扱う」作業の両方で防ぐ。

基板の絵。コネクタのすぐ近くにTVS(GNDへ)、その先に直列の抵抗、ICの順。扱いで減らす(リストストラップ・導電性の袋・乾いた日に注意)のカード

原因4 逆接続:+と−を逆につなぐと何が起きるか

電源の+と−を逆につなぐと、IC の中のダイオードを通って大きな電流が流れます。電解コンデンサは、逆向きの電圧で漏れ電流が増え、ふくらんだり壊れたりします。

IC の VCC に−、GND に+がかかると、IC の中の保護のダイオードが順方向になり、電流を止めるものがなくなります。電源の能力いっぱいまで電流が流れ、IC が焼けることがあります。

電解コンデンサは、向きが決まった部品です。日本ケミコンの資料では、逆向きの電圧が1V 程度でも容量が減り、2〜3V で寿命が短くなり、さらに高いと圧力弁が開く・壊れることがあるとしています。

つまり、逆接続は「電流を止めるものがない」状態を作る。電源の入口で止めるのが、いちばん確実です。

VCCに−・GNDに+がかかったICの中をダイオードを通って流れる電流の矢印と、逆向きにつないだ電解コンデンサ(漏れ電流が増え、ふくらむ・壊れることがある)

逆接続を防ぐ3つの方法:ダイオード・FET・挿し間違えない形

いちばん簡単なのは、電源の入口に直列のダイオードを入れることです。1N4001 なら、0.2A で失う電力は1.0V × 0.2A = 0.2W 以下です。

ダイオードは、正しい向きの電流だけを通します。逆に挿すと、電流が止まります。代わりに、ダイオードの分だけ電圧が下がり(1N4001 は1A で最大1.0V)、その分が熱になります。

電流が大きい・電圧に余裕がないときは、P チャネル MOSFET を使う方法があります。電圧の下がりが小さい代わりに、部品と考えることが増えます。どちらの場合も、コネクタを挿し間違えない形にすると、そもそも逆になりにくくなります。

方法よい所気をつける所
直列のダイオード簡単・安い電圧が約1V 下がり、熱になる
P チャネル MOSFET電圧の下がりが小さい部品と考えることが増える
挿し間違えない形そもそも逆にならない形だけでは防げないこともある
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つまり、まずはダイオード1本。電流が大きくなったら FET を考え、コネクタの形でも防ぐ。

+12Vから1N4001を通って回路への回路図(損失1.0V×0.2A=0.2W以下)、選び方の目安、ダイオード・PチャネルFET・挿し間違えない形の比較表

原因5 はんだ・機械:温度の上下と基板の曲げで割れる

はんだは、温度の上下をくり返すと少しずつひびが入ります。積層セラミックコンデンサは、基板が曲がると割れることがあります。

部品と基板は、温度で伸びる量が違います。温度が上がり下がりするたびに、そのずれがはんだにかかり、少しずつひびが広がります。これを、はんだクラックと呼びます。

積層セラミックコンデンサ(チップの小さなコンデンサ)は、硬くて曲げに弱い部品です。村田製作所は、割れの主な原因として、実装のときの力と熱、実装したあとの基板のたわみを挙げています。基板を割る・ねじで締める・落とす、のような場面で曲がります。

どちらも、割れ始めはまだつながっていることがあり、「ときどき動かない」という見つけにくい不具合になります。

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つまり、はんだと機械の故障は「使ううちに割れる」。温度の差と曲げの力を、置き場所で小さくします。

部品と基板の伸び縮みの違いではんだにひびが入る図と、曲がった基板の上でセラミックコンデンサにひびが入る図

はんだ・機械の故障を防ぐ:置き場所と固定

割れやすい部品を、曲がりやすい所に置かないのが基本です。基板を割る線(分割線)の近くは避け、大きな部品の影に入るように置きます。

1. 分割線・ねじ穴から離す

基板を割る所・ねじで締める所は曲がりやすい。チップ部品を近づけない

2. 大きな部品の影に置く

大きな部品の近くは曲がりにくい。コンデンサのメーカーの注意書きにもある

3. 重い部品は固定する

コイルや大きなコンデンサは、接着やバンドで振動を止める

4. 温度差を小さくする

熱い部品の近くに置かない。発熱そのものを減らす(原因2)

ねじ穴と重い部品の固定は、一般的な設計の工夫です。部品ごとの細かい決まりは、メーカーの注意書き(使用上の注意)で確かめます。

5つのほかに:湿気で起きる故障

湿気の多い所で電圧がかかり続けると、基板の上で金属が少しずつ伸びて、隣の線とつながる故障もあります(イオンマイグレーション)。高い電圧の線どうしの間隔や、基板の表面を守るコーティングで防ぎます。

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つまり、機械の故障は「どこに置くか」で大きく変わる。基板の形を決めるときに、部品の置き場所まで一緒に考えます。

4枚のカード。1分割線・ねじ穴から離す、2大きな部品の影に置く、3重い部品は固定する、4温度差を小さくする

電子部品が壊れる原因5つと防ぎ方の一覧

5つの原因は、どれも「限界の手前で使う」ことで防げます。原因ごとに、設計で使う手当てを1枚の表にまとめました。

過電圧と静電気と逆接続は「入口で守る」、熱は「計算して余裕を持つ」、はんだと機械は「置き場所で力と温度差を減らす」が、それぞれの考え方の中心です。

つまり、原因がわかれば、手当ては選べる。壊れたときも、この表を逆にたどれば原因の候補がしぼれます。

表。過電圧・サージ(耐圧を一瞬でも超える→余裕80%・ダイオード・TVS)、熱(上限を超える・寿命が縮む→電力×熱抵抗で計算)、静電気(数kV→TVS・抵抗・扱い方)、逆接続(逆向きの大きな電流→ダイオード・FET・形)、はんだ・機械(割れる→置き場所・固定・温度差)

設計レビューで確かめる5つの問い

設計レビューでは、5つの問いに数字で答えられるかを確かめます。1つでも答えられなければ、そこが壊れる場所の候補です。

問い確かめること
1 一番高い電圧は、耐圧の80%以下?サージも入れて考える
2 一番熱い部品は、上限の何℃手前?まわりの温度は高めに見る
3 外につながる端子に、保護はある?コネクタのすぐ近くに
4 電源を逆に挿したら、何が起きる?止める部品はあるか
5 割れやすい所に、チップ部品はない?分割線・ねじ穴・重い部品

1つでも「わからない」があれば、そこが壊れる場所の候補です。回路図のレビューでは、この5つの問いを、チェックリストの「定格」「保護」の項目と合わせて確かめます。

つまり、壊れない設計は「限界を知る → 余裕を持つ → 入口で守る」の3つ。数字で答えられる設計にしておけば、壊れたときも原因を早く見つけられます。

5つの問い。一番高い電圧は耐圧の80%以下か、一番熱い部品は上限の何℃手前か、外の端子に保護はあるか、電源を逆に挿したら何が起きるか、割れやすい所にチップ部品はないか

よくある質問(FAQ)

Q. 電子部品が壊れる原因は何?

A. 過電圧・サージ、熱、静電気、逆接続、はんだ・機械の5つにまとめられます。どれも部品の限界(定格)を超えたときに壊れます。

Q. 絶対最大定格はどう使う?

A. 一瞬でも超えると壊れることがある限界です。設計は推奨の範囲で行い、絶対最大定格との間は余裕として残します。

Q. 静電気で部品は壊れる?

A. 壊れることがあります。人の体は数kVになることがあり、部品の強さは人体モデルの電圧で書かれています。

Q. リレーのコイルにダイオードが要るのはなぜ?

A. コイルの電流を切った瞬間に高い電圧が出て、トランジスタを壊すことがあるからです。ダイオードで電流をコイルに戻します。

Q. 逆接続はどう防ぐ?

A. 電源の入口に直列のダイオードを入れるのが簡単です。電流が大きいときはPチャネルMOSFETを使い、コネクタの形でも防ぎます。

Q. 部品の寿命を延ばすには?

A. 温度を下げるのが効きます。電解コンデンサは10℃下がると寿命が約2倍になるので、熱い部品から離して置きます。

まとめ
  • 電子部品が壊れる原因は、過電圧・サージ、熱、静電気、逆接続、はんだ・機械の5つ
  • 絶対最大定格は一瞬でも超えない。設計は推奨の範囲で、電圧は耐圧の80%以下が目安
  • とげはダイオード・TVS で逃がし、抵抗で絞る。12V の入力なら315Ω 以上(余裕を見て数kΩ)
  • 熱は「まわりの温度+熱抵抗×電力」。12V→3.3V・0.2A の LM1117 は約147℃で上限超え
  • 静電気は入口の TVS と扱い方、逆接続は入口のダイオードで防ぐ
  • はんだと機械は、分割線・ねじ穴から離し、重い部品を固定して防ぐ

次の一歩として、手元の回路図で「一番高い電圧」「一番熱い部品」「外につながる端子」の3つを探し、それぞれの数字をデータシートと比べてみてください。数字で答えられれば、その部品は壊れにくい設計になっています。

参考にした資料

法令・規格・資料は改訂されることがあります。実務で使うときは、発行元の最新版で確かめてください。

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S
シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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ツェナーダイオードの使い方|定電圧・サージ吸収の回路と抵抗値の計算例
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ツェナーダイオードの使い方|定電圧・サージ吸収の回路と抵抗値の計算例

ツェナーダイオードでサージを吸収する回路の抵抗値の計算

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抵抗値の決め方|電流・電圧・時間の3つの型で迷わない
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抵抗値の決め方|電流・電圧・時間の3つの型で迷わない

電流を絞る抵抗を、電流・電圧・時間の3つの型で決められる

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