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- なぜダイオードが4個も必要なの?
- 半波整流・センタタップ・ブリッジの違いがわからない
- ブリッジの出力電圧や、ダイオードの選び方を知りたい
- ダイオードブリッジの電流の通り道
- 3つの整流方式の違い(比較表)
- 出力電圧・逆電圧・電圧降下の求め方
- 交流電圧を入れるだけの計算ツール
ダイオードブリッジとは、4個のダイオードを橋の形に組んで、交流のプラス側もマイナス側も同じ向きの電流にそろえる全波整流回路です。半波整流のように波の半分を捨てず、センタタップ方式のような特別なトランスもいらないので、電源回路でいちばん使われています。電流はいつもダイオードを2個通るので、電圧降下は約1.4V(2×Vf)になるのが弱点です。

整流とは?交流の向きをそろえて直流にする
コンセントの交流は、電流の向きが1秒間に50回(東日本)か60回(西日本)入れかわります。スマホやパソコンの中の回路は向きが一定の直流で動くので、交流の向きをそろえる整流が必要です。
整流の主役はダイオードです。ダイオードは電流を一方向にしか通さない「逆止弁」です。水車でいえば、左右から流れが変わる川の水を、逆止弁の組み合わせで、水車にいつも同じ側から当てるしくみです。
| 方式 | ダイオード | 使う波 | ひとことで |
|---|---|---|---|
| 半波整流 | 1個 | プラス側だけ | 波の半分を捨てる |
| センタタップ方式(全波) | 2個 | 両方 | 中点つきのトランスで両方使う |
| ブリッジ方式(全波) | 4個 | 両方 | ふつうのトランスで両方使う |
ダイオードが一方向にしか流さない理由

ダイオードブリッジの仕組み|電流は2個ずつ交代で流れる
4個のダイオードをD1〜D4とします。交流の向きによって、オンになる2個が入れかわり、負荷にはいつも同じ向きに電流が流れます。
| 交流の向き | オンになるダイオード | オフのダイオード | 負荷の電流 |
|---|---|---|---|
| プラスの半周期 | D1とD2 | D3とD4 | 上から下へ |
| マイナスの半周期 | D3とD4 | D1とD2 | 上から下へ(同じ向き) |
どちらの半周期でも、電流は「行き」に1個、「帰り」に1個のダイオードを通ります。向きごとに行きと帰りが要るので、2×2で4個になります。2個のダイオードを通るので、電圧降下はVfの2倍(シリコンダイオードで約1.4V)です。

半波・センタタップ・ブリッジの違い(比較表)
| 半波整流 | センタタップ方式 | ブリッジ方式 | |
|---|---|---|---|
| ダイオードの数 | 1個 | 2個 | 4個 |
| トランス | ふつうのもの | 中点つき(巻線を半分ずつ使う) | ふつうのもの(なくてもよい) |
| 出力の山の回数(50Hz) | 50回/秒 | 100回/秒 | 100回/秒 |
| 平均電圧(Vfを無視) | 0.45V | 0.9V | 0.9V |
| 電圧降下 | Vf×1 | Vf×1 | Vf×2 |
| ダイオードにかかる逆電圧 | Vm(平滑コンデンサありは約2Vm) | 2Vm | Vm |
| 使われる場所 | ごく小さな電流の回路 | 低い電圧・大きな電流の回路 | ほとんどの電源回路 |
Vは交流の実効値、Vmはピーク(Vm=√2×V)です。センタタップ方式は、電圧降下がダイオード1個ぶんですむので、5Vなど低い電圧で大きな電流を取り出すときに有利です。ブリッジは逆電圧がVmですみ、トランスを選ばないので、もっとも広く使われます。
半波整流に平滑コンデンサをつけると、コンデンサがピーク電圧を保ったまま、交流がマイナスのピークになるので、ダイオードには約2Vmの逆電圧がかかります。比較表の「1倍」をそのまま使わないよう注意しましょう。

ブリッジの出力電圧と、ダイオードの選び方
例題:トランスの出力12V(実効値)をブリッジで整流し、0.5Aを流す(Vf=0.7V)。
| 求めるもの | 計算 | 答え |
|---|---|---|
| ピーク電圧Vm | 12×√2 | 約17.0V |
| 出力のピーク | 17.0−0.7×2 | 約15.6V |
| 平均電圧(コンデンサなし) | 0.9×12 | 約10.8V(Vfぶん少し下がる) |
| 平滑コンデンサあり | ピーク近くに保たれる | 約15V前後(リップルの分だけ下がる) |
| ダイオード1個の逆電圧 | Vm | 約17V |
| ダイオードの損失 | 2×0.7×0.5 | 約0.7W |
| 選ぶときの項目 | 目安 |
|---|---|
| 逆耐圧(VRRM) | 逆電圧に、電源電圧の変動とサージを見こんだ余裕をもたせる |
| 平均電流(IO) | 負荷電流より余裕のあるもの。温度が上がると流せる電流は減る |
| サージ電流(IFSM) | 電源を入れた瞬間に平滑コンデンサへ流れる大きな電流に耐えられるか |
| 放熱 | 損失≒2×Vf×電流。大きいときはヒートシンクが要る |
4個のダイオードを1つのパッケージにまとめた「ブリッジダイオード」を使うと、部品の数と配線が減ります。
整流ダイオードのVf・trrの読み方
整流回路の計算ツール
交流電圧と整流方式を選んでください。ピーク電圧・平均電圧・逆電圧・ダイオードの損失を出します。最初は例題の数字が入っています。
入力すると、その場で計算し直します。入力した数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。Vfは一定とみなした目安です。コンデンサありの出力電圧は、平滑コンデンサの記事のツールでリップルまで計算できます。
整流回路のよくある間違い
| よくある間違い | 正しい考え方 |
|---|---|
| ブリッジの電圧降下はVf1個ぶん | 電流はいつも2個を通るので Vf×2 |
| 全波整流の出力の山は50Hz | 山の回数は2倍の100Hz(60Hz地域は120Hz) |
| 半波整流の逆電圧はいつもVm | 平滑コンデンサがあると約2Vm |
| センタタップの逆電圧はVm | 2Vm。ブリッジより高い耐圧が要る |
| 整流すればすぐ直流 | 整流後は脈流。平滑コンデンサで直流に近づける |

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よくある質問
- ダイオードブリッジ=4個で交流の両方の向きを使う全波整流
- 電流はいつも2個を通り、降下はVf×2(約1.4V)
- 平均電圧は0.9V(半波は0.45V)、山は100Hz
- 逆電圧はブリッジVm、センタタップ2Vm
- 半波+平滑コンデンサの逆電圧は約2Vm

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メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。
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ダイオードブリッジがわかったら、パワーエレクトロニクスの全体像で、整流のあとに続く電源回路の流れをつかみましょう。
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気になるところから読んでも大丈夫です。どの記事も、はじめて学ぶ人向けにやさしく書いています。