回路設計

ダイオードブリッジとは?全波整流の仕組みと半波・センタタップとの違い、出力電圧を図解|計算ツール付き

ダイオードブリッジとは何かを表すアイキャッチ。交流の波がブリッジダイオードを通って、すべて上向きの山の波になる

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お悩み
こんなふうに思っていませんか?
  • なぜダイオードが4個も必要なの?
  • 半波整流・センタタップ・ブリッジの違いがわからない
  • ブリッジの出力電圧や、ダイオードの選び方を知りたい
この記事でわかること
  • ダイオードブリッジの電流の通り道
  • 3つの整流方式の違い(比較表)
  • 出力電圧・逆電圧・電圧降下の求め方
  • 交流電圧を入れるだけの計算ツール
結論|まず30秒でわかる答え

ダイオードブリッジとは、4個のダイオードを橋の形に組んで、交流のプラス側もマイナス側も同じ向きの電流にそろえる全波整流回路です。半波整流のように波の半分を捨てず、センタタップ方式のような特別なトランスもいらないので、電源回路でいちばん使われています。電流はいつもダイオードを2個通るので、電圧降下は約1.4V(2×Vf)になるのが弱点です。

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整流とは?交流の向きをそろえて直流にする

コンセントの交流は、電流の向きが1秒間に50回(東日本)か60回(西日本)入れかわります。スマホやパソコンの中の回路は向きが一定の直流で動くので、交流の向きをそろえる整流が必要です。

整流の主役はダイオードです。ダイオードは電流を一方向にしか通さない「逆止弁」です。水車でいえば、左右から流れが変わる川の水を、逆止弁の組み合わせで、水車にいつも同じ側から当てるしくみです。

方式ダイオード使う波ひとことで
半波整流1個プラス側だけ波の半分を捨てる
センタタップ方式(全波)2個両方中点つきのトランスで両方使う
ブリッジ方式(全波)4個両方ふつうのトランスで両方使う
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ダイオードが一方向にしか流さない理由

3つの整流方式の図。半波整流はダイオード1個で波の半分を捨てる。センタタップは2個と中点つきトランス、ブリッジは4個とふつうのトランスで、どちらも両方の向きを使う

ダイオードブリッジの仕組み|電流は2個ずつ交代で流れる

4個のダイオードをD1〜D4とします。交流の向きによって、オンになる2個が入れかわり、負荷にはいつも同じ向きに電流が流れます。

交流の向きオンになるダイオードオフのダイオード負荷の電流
プラスの半周期D1とD2D3とD4上から下へ
マイナスの半周期D3とD4D1とD2上から下へ(同じ向き)

どちらの半周期でも、電流は「行き」に1個、「帰り」に1個のダイオードを通ります。向きごとに行きと帰りが要るので、2×2で4個になります。2個のダイオードを通るので、電圧降下はVfの2倍(シリコンダイオードで約1.4V)です。

ダイオードブリッジの電流の通り道の図。プラスの半周期はD1とD2、マイナスの半周期はD3とD4がオンになり、負荷にはどちらでも同じ下向きに電流が流れる

半波・センタタップ・ブリッジの違い(比較表)

半波整流センタタップ方式ブリッジ方式
ダイオードの数1個2個4個
トランスふつうのもの中点つき(巻線を半分ずつ使う)ふつうのもの(なくてもよい)
出力の山の回数(50Hz)50回/秒100回/秒100回/秒
平均電圧(Vfを無視)0.45V0.9V0.9V
電圧降下Vf×1Vf×1Vf×2
ダイオードにかかる逆電圧Vm(平滑コンデンサありは約2Vm)2VmVm
使われる場所ごく小さな電流の回路低い電圧・大きな電流の回路ほとんどの電源回路

Vは交流の実効値、Vmはピーク(Vm=√2×V)です。センタタップ方式は、電圧降下がダイオード1個ぶんですむので、5Vなど低い電圧で大きな電流を取り出すときに有利です。ブリッジは逆電圧がVmですみ、トランスを選ばないので、もっとも広く使われます。

半波整流に平滑コンデンサをつけると、コンデンサがピーク電圧を保ったまま、交流がマイナスのピークになるので、ダイオードには約2Vmの逆電圧がかかります。比較表の「1倍」をそのまま使わないよう注意しましょう。

3つの整流方式の比較表の図。ダイオードは1個・2個・4個、平均電圧は0.45V・0.9V・0.9V、電圧降下はVf×1・Vf×1・Vf×2、逆電圧はVm(コンデンサありは2Vm)・2Vm・Vm

ブリッジの出力電圧と、ダイオードの選び方

例題:トランスの出力12V(実効値)をブリッジで整流し、0.5Aを流す(Vf=0.7V)。

求めるもの計算答え
ピーク電圧Vm12×√2約17.0V
出力のピーク17.0−0.7×2約15.6V
平均電圧(コンデンサなし)0.9×12約10.8V(Vfぶん少し下がる)
平滑コンデンサありピーク近くに保たれる約15V前後(リップルの分だけ下がる)
ダイオード1個の逆電圧Vm約17V
ダイオードの損失2×0.7×0.5約0.7W
選ぶときの項目目安
逆耐圧(VRRM)逆電圧に、電源電圧の変動とサージを見こんだ余裕をもたせる
平均電流(IO)負荷電流より余裕のあるもの。温度が上がると流せる電流は減る
サージ電流(IFSM)電源を入れた瞬間に平滑コンデンサへ流れる大きな電流に耐えられるか
放熱損失≒2×Vf×電流。大きいときはヒートシンクが要る

4個のダイオードを1つのパッケージにまとめた「ブリッジダイオード」を使うと、部品の数と配線が減ります。

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整流回路の計算ツール

交流電圧と整流方式を選んでください。ピーク電圧・平均電圧・逆電圧・ダイオードの損失を出します。最初は例題の数字が入っています。

入力すると、その場で計算し直します。入力した数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。Vfは一定とみなした目安です。コンデンサありの出力電圧は、平滑コンデンサの記事のツールでリップルまで計算できます。

整流回路のよくある間違い

よくある間違い正しい考え方
ブリッジの電圧降下はVf1個ぶん電流はいつも2個を通るので Vf×2
全波整流の出力の山は50Hz山の回数は2倍の100Hz(60Hz地域は120Hz)
半波整流の逆電圧はいつもVm平滑コンデンサがあると約2Vm
センタタップの逆電圧はVm2Vm。ブリッジより高い耐圧が要る
整流すればすぐ直流整流後は脈流。平滑コンデンサで直流に近づける
整流回路のよくある間違いの図。ブリッジの電圧降下はVf×2、全波整流の山は100Hz、平滑コンデンサありの半波の逆電圧は2Vm、整流しただけでは脈流
キャリア
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よくある質問

Q. ダイオードブリッジとは?

A. 4個のダイオードを橋の形に組んで、交流のプラス側もマイナス側も同じ向きの電流にそろえる全波整流回路です。

Q. なぜダイオードは4個必要?

A. 交流の向きごとに、電流の行きと帰りに1個ずつダイオードが要るからです。向きが2つで、2×2の4個になります。

Q. ブリッジの電圧降下はいくつ?

A. 電流はいつもダイオード2個を通るので、Vfの2倍です。シリコンダイオードなら約1.4Vです。

Q. センタタップ方式との違いは?

A. センタタップは中点つきトランスとダイオード2個で、降下は1個ぶんですが逆電圧が2Vmになります。ブリッジは降下が2個ぶんで、逆電圧はVmです。

Q. 全波整流の平均電圧は?

A. コンデンサなしでダイオードの降下を無視すると、交流の実効値Vの0.9倍です。半波整流は0.45倍です。

まとめ
  • ダイオードブリッジ=4個で交流の両方の向きを使う全波整流
  • 電流はいつも2個を通り、降下はVf×2(約1.4V)
  • 平均電圧は0.9V(半波は0.45V)、山は100Hz
  • 逆電圧はブリッジVm、センタタップ2Vm
  • 半波+平滑コンデンサの逆電圧は約2Vm
ダイオードブリッジのまとめの図。4個で交流の両方の向きを使う、2個ずつ交代でオンになる、電圧降下はVf×2、平均電圧は交流の実効値の0.9倍
この記事の理解を深める本と道具
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S
シラス
電験三種 / QC検定1級 / パワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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