電験三種 法規 公式を全部並べると、計算で使う式は何本になるのか。
このブログには、理論と機械の公式一覧はあるのに、法規だけ計算の式が十数本の記事にばらばらに散っていました。試験の前に見返す1枚がない。そこで、条文の番号と出題した年度をそえて1ページにまとめました。
式は1〜3行と短い例題までにしています。解き方を詳しく知りたい式は、各節のカードから個別の記事へ進んでください。例題の数字はすべてこの記事で作ったもので、過去問の数値は使っていません。

電験三種 法規の計算の公式一覧(早見表)
法規の計算で使う式は、下の20本でほぼ足ります。条文の番号は、問題文で「電技解釈第◯条に基づき」と出たときに、どの式を使えばよいかの目印になります。
| 分野 | 公式(1行) | 根拠の条文 | 出題の例 |
|---|---|---|---|
| 接地 | B種接地抵抗 RB ≦ 150/Ig(300/Ig・600/Ig) | 解釈 第17条 | 令和元年度 問13・令和5年度上期 問12 |
| 接地 | 1線地絡電流 Ig = 1 + (V’/3・L − 100)/150 + (V’/3・L’ − 1)/2 | 解釈 第17条(17-2表) | 平成24年度 問10 |
| 接地 | 外箱の対地電圧 = V × RD/(RB + RD) | 解釈 第17条・第29条 | 平成25年度 問13・令和8年度上期 問12 |
| 絶縁 | 絶縁抵抗 0.1/0.2/0.4 MΩ以上 | 省令 第58条 | 平成26年度 問6・令和6年度上期 問8 |
| 絶縁 | 漏えい電流 1 mA以下(使用中に測るとき) | 解釈 第14条 | — |
| 絶縁 | 低圧電線路の漏えい電流 ≦ 最大供給電流 × 1/2000 | 省令 第22条 | — |
| 絶縁 | 最大使用電圧 = 公称電圧 × 1.15/1.1 | 解釈 第1条 | 絶縁耐力の問題で毎回使う |
| 絶縁 | 試験電圧 = 最大使用電圧 × 1.5(7,000V以下)・× 1.25(7,000V超60,000V以下)、10分間 | 解釈 第15条・第16条 | 平成22年度 問8・令和8年度上期 問4 |
| 絶縁 | 試験装置の容量 S = V × 2πf × 3C × V | 解釈 第15条 | 平成28年度 問12・令和3年度 問12 |
| 幹線 | 許容電流 IA ≧ 1.25 IM + IH(IM ≦ 50A)・1.1 IM + IH(IM > 50A) | 解釈 第148条 | 平成19年度 問9・令和元年度 問11 |
| 幹線 | 過電流遮断器 IB ≦ 3 IM + IH(2.5 IA を超えるなら 2.5 IA) | 解釈 第148条 | 令和元年度 問11 |
| 幹線 | 遮断器の省略 55%以上(長さ制限なし)・35%以上(8m以下)・3m以下 | 解釈 第148条・第149条 | 平成22年度 問6・平成29年度 問7 |
| 力学 | 甲種の風圧荷重 = 980 Pa × 外径 d × 径間 L(電線) | 解釈 第58条 | 平成22年度 問13・令和5年度上期 問13 |
| 力学 | 乙種 = 490 × (d + 0.012) × L/丙種 = 490 × d × L | 解釈 第58条 | 平成26年度 問11・平成30年度 問11 |
| 力学 | 支線 T・h = Ts・sinθ・H、素線 n × (1本の引張荷重) ≧ 安全率 × Ts | 解釈 第61条・第62条 | 令和3年度 問11・令和7年度下期 問13 |
| 力学 | たるみ D = WS²/8T、実長 L = S + 8D²/3S | (電力科目と共通) | — |
| 施設管理 | 需要率 = 最大需要電力/設備容量、負荷率 = 平均電力/最大電力、不等率 = 各最大の和/合成最大 | — | 電気施設管理の B問題 |
| 施設管理 | コンデンサ容量 QC = P (tanθ1 − tanθ2) | — | 令和元年度 問12・平成24年度 問12 |
| 施設管理 | 全日効率 = 1日の出力電力量/(出力電力量 + 鉄損 × 24h + 1日の銅損) | — | 平成23年度 問11 |
| 施設管理 | 電圧の維持 100V → 101 ± 6V、200V → 202 ± 20V | 電気事業法施行規則 第38条 | 平成21年度 問10・平成26年度 問5 |
解釈=電気設備の技術基準の解釈、省令=電気設備に関する技術基準を定める省令。出題の例は、このブログの法規の記事で電験王の問題ページと照らした年度から1〜2つ。—は年度を確かめられなかったもの。
表を作るときに、このブログの法規の記事に載せた出題の記録を分野ごとに数えました。多かったのは、絶縁耐力(7回)と、B種接地・外箱の電圧(あわせて7回)、低圧幹線(5回)です。全部の年度を調べ上げた数ではない。それでも、どこから手をつけるかの目安にはなります。

接地の公式|B種接地抵抗・1線地絡電流・外箱の対地電圧
B種接地抵抗の上限は 150/Ig[Ω]で、Ig は高圧側の1線地絡電流です。混触したときに高圧側を自動で切る装置があれば、2秒以内で 300/Ig、1秒以内で 600/Ig まで緩められます。低圧機器で地絡したときの外箱の電圧は、B種とD種の接地抵抗の分圧で決まります。
V’ は公称電圧を1.1で割った値[kV]、L は架空電線の電線延長(こう長 × 電線の本数)、L’ はケーブルの線路延長(こう長そのまま)です。第2項・第3項が負なら0、答えは小数点以下を切り上げ、2A未満なら2Aにします。
例題:6.6kV、架空40km・ケーブル2kmの配電線
たとえば対地電圧100Vの電線が外箱にふれ、RB = 20Ω、RD = 80Ω なら、地絡電流は 100 ÷ (20 + 80) = 1A、外箱の電圧は 100 × 80 ÷ 100 = 80V。外箱を25V以下にしたいなら、RD ≦ 25 × 20 ÷ (100 − 25) ≒ 6.67Ω まで下げる必要があります。D種の上限100Ωで足りる、とは限らない。ここが出題のねらいです。
出題:B種接地の計算は令和元年度 問13・令和5年度上期 問12・令和6年度下期 問4・平成24年度 問10、外箱の電圧とのセットは平成25年度 問13・平成21年度 問11(令和8年度上期 問12で再出題)。
A種〜D種の接地抵抗値と、B種の150/Igを例題で。外箱の電圧の求め方も

絶縁の公式|絶縁抵抗・漏えい電流・絶縁耐力試験
低圧の絶縁抵抗は、使用電圧で 0.1・0.2・0.4MΩ以上の3段です(省令第58条)。高圧の絶縁耐力試験は、最大使用電圧(公称電圧 × 1.15/1.1)に 1.5倍(7,000V以下)か 1.25倍(7,000V超60,000V以下)を掛けた電圧を10分間加えます。
| 電路の使用電圧 | 絶縁抵抗の値 |
|---|---|
| 300V以下で、対地電圧150V以下(単相100V など) | 0.1 MΩ以上 |
| 300V以下で、上記以外(三相200V など) | 0.2 MΩ以上 |
| 300Vを超える低圧(400V など) | 0.4 MΩ以上 |
出典:電技省令 第58条。停電できず絶縁抵抗を測れないときは、漏えい電流1mA以下でよい(電技解釈 第14条)。
最大供給電流が150Aの低圧電線路なら、許される漏えい電流は 150 ÷ 2000 = 0.075A = 75mA。第58条(電気を使う場所の電路)と第22条(電線路)で、対象が違う点に気をつけてください。なお、1/2000 の計算が出た年度は確かめられなかったので、ここには書いていません。
| 公称電圧 | 最大使用電圧 | 倍率 | 試験電圧(10分間) |
|---|---|---|---|
| 3,300V | 3,300 × 1.15 ÷ 1.1 = 3,450V | 1.5倍 | 5,175V(ケーブルは直流 10,350V でも可) |
| 11,000V | 11,000 × 1.15 ÷ 1.1 = 11,500V | 1.25倍 | 14,375V(10,500V以上なのでこのまま) |
出典:電技解釈 第1条・第15条・第16条。ケーブルを使う交流の電路は、試験電圧の2倍の直流電圧で試験してもよい。
3,300Vのケーブルで1線の対地静電容量が0.1μF、60Hz なら、I = 2π × 60 × 0.3×10⁻⁶ × 5,175 ≒ 0.585A、S = 5,175 × 0.585 ≒ 3.03kV·A。3線をまとめて大地との間に電圧をかけるので、C は1線分の3倍になります。
出題:絶縁抵抗は平成26年度 問6・令和6年度上期 問8。絶縁耐力は平成22年度 問8・平成24年度 問11・平成28年度 問12・令和3年度 問12・令和6年度下期 問13・令和7年度下期 問12・令和8年度上期 問4。
試験電圧の表(第15条・第16条)と、試験用変圧器・補償リアクトルの計算

低圧幹線と過電流遮断器の公式|1.25倍・1.1倍・3倍・2.5倍
幹線の電線の許容電流は、電動機等の合計 IM がそれ以外の IH より大きいとき、IM が50A以下なら 1.25 IM + IH、50Aを超えるなら 1.1 IM + IH 以上にします。過電流遮断器は 3 IM + IH と 2.5 IA の小さいほうが上限です(解釈 第148条)。
例題:電動機等30A、電熱器・照明10A
細い幹線や分岐回路の遮断器を省略できる条件は、太い幹線を守る遮断器の定格電流に対する割合で決まります。100Aの遮断器なら、許容電流55A以上の電線は長さの制限なし、35A以上なら8m以下、それより細ければ3m以下です(第148条・第149条)。
出題:平成19年度 問9・平成22年度 問6・平成24年度 問9・平成29年度 問7・令和元年度 問11。
架空電線路の力学の公式|風圧荷重・支線・たるみ
電線の甲種風圧荷重は 980Pa × 外径 × 径間、乙種は厚さ6mmの氷雪で外径に12mm足して甲種の半分(490Pa)、丙種は甲種の半分です(解釈 第58条)。支線の張力は、電柱の根元のまわりの力のモーメントのつり合いで求めます。
| 種類 | 電線の式 | 外径15mm・径間40m | 外径8mm・径間40m |
|---|---|---|---|
| 甲種 | 980 × d × L | 588.0 N | 313.6 N |
| 乙種 | 490 × (d + 0.012) × L | 529.2 N | 392.0 N(甲種より大きい) |
| 丙種 | 490 × d × L | 294.0 N | 156.8 N |
出典:電技解釈 第58条(58-1表の電線「その他」980Pa)。d・L は m で入れる。多導体は880Pa。
外径12mmで甲種と乙種がちょうど等しくなります(980d = 490(d + 0.012) を解くと d = 0.012m)。12mmより細い電線は氷雪の分が効いて乙種が大きく、太い電線は甲種が大きい。8mmの行で逆転しているのはこのためです。
例題:電線の水平張力6kN、高さ8m、支線の根元は柱から4m
W は電線1mあたりの荷重[N/m]、S は径間[m]、T は水平張力[N]です。たるみは電力科目でも同じ式を使います。この式を法規と電力のどちらの範囲として扱うかは、参考書や解説サイトで分かれていた。この記事では式だけを載せ、出題の年度は書いていません。
出題:風圧荷重は平成22年度 問13・平成26年度 問11・平成30年度 問11・令和5年度上期 問13、支線は平成21年度 問12・令和3年度 問11・令和7年度下期 問13(3問とも安全率1.5)。
電気施設管理の公式|需要率・負荷率・不等率・力率改善・全日効率
需要率は最大需要電力÷設備容量、負荷率は平均電力÷最大電力、不等率は各需要家の最大需要電力の和÷合成最大需要電力で、不等率は必ず1以上です。力率改善に要るコンデンサの容量は、有効電力 P を変えずに Q = P × tanθ の差を取ります。
| 指標 | 式 | 例(自作) |
|---|---|---|
| 需要率 | 最大需要電力 ÷ 設備容量 × 100% | 設備容量200kW、最大需要電力120kW → 60% |
| 負荷率 | 平均電力 ÷ 最大需要電力 × 100% | 平均72kW、最大120kW → 60% |
| 不等率 | 各最大需要電力の和 ÷ 合成最大需要電力 | 60+50+40=150kW、合成120kW → 1.25 |
200kW の負荷の力率を0.7から0.95へ上げるなら、tanθ1 = √(1 − 0.49) ÷ 0.7 ≒ 1.020、tanθ2 = √(1 − 0.9025) ÷ 0.95 ≒ 0.329。QC = 200 × (1.020 − 0.329) ≒ 138.3kvar です。
tanθ の差で考える力率改善。直列リアクトル付きのコンデンサの過去問も
鉄損は電圧がかかっている限り24時間出て、銅損は負荷の2乗に比例します。負荷は皮相電力(kV·A)で定格と比べる。ここがいちばんの落とし穴です。最大需要電力(デマンド)の30分平均、流況曲線からの年間発電電力量、太陽光の自家消費の計算は、全日効率とあわせて下の「次に読むべき記事」の1本目で解き方を説明しています。
| 式 | 出題の例 |
|---|---|
| コンデンサの容量・直列リアクトル付き | 令和元年度 問12(令和5年度下期・令和6年度上期の問12で再出題) |
| コンデンサを入れたあとの電圧降下 | 平成24年度 問12・令和6年度上期 問11 |
| 全日効率 | 平成23年度 問11 |
| 最大需要電力の30分平均 | 令和5年度上期 問10 |
| 変圧器の更新で減る損失 | 令和4年度下期 問12・令和8年度上期 問11 |
| 流況曲線と年間発電電力量 | 令和6年度下期 問11・令和7年度上期 問11 |
| 高調波の流出電流(6%直列リアクトル) | 平成18年度 問13・平成22年度 問10・令和2年度 問13・令和7年度上期 問12 |
| 電圧の維持(101±6V・202±20V) | 平成21年度 問10・平成26年度 問5 |
電圧の維持は電気事業法施行規則 第38条。計算というより数字の穴埋めで出ます。
法規の公式を覚える順番と、よくある間違い
覚える順番は、式が短くて出題の記録が多い「絶縁耐力 → 低圧幹線 → B種接地 → 風圧荷重・支線 → 電気施設管理」が効率的です。間違いの多くは、1.15/1.1 の掛け忘れや、電線延長と線路延長の取り違えのような「式の前の一手」で起きます。
筆者なら、絶縁耐力と低圧幹線から覚えます。理由は2つ。どちらも式が2〜3本で済み、このブログの記事に載せた出題の記録でも上位だったからです。B種接地は 17-2表の式が長いぶん、2つを固めてから取りかかるほうが手が止まりにくい。電気施設管理は理論の力率や機械の変圧器の知識とつながるので、最後でも追いつけます。
| よくある間違い | 正しくは |
|---|---|
| 試験電圧を公称電圧に掛ける | 最大使用電圧(× 1.15/1.1)に掛けてから 1.5倍・1.25倍 |
| ケーブルの L’ にも本数を掛ける | 架空は電線延長(× 本数)、ケーブルは線路延長(そのまま) |
| Ig を四捨五入する | 小数点以下は切り上げ。2A未満は2A |
| 遮断器を 3 IM + IH で決めて終わる | 2.5 IA と比べて小さいほう |
| 支線の安全率をいつも2.5にする | 試験に多い第62条の支線(高圧の木柱の引留めなど)は1.5 |
| 乙種はいつも甲種より大きいと思う | 外径12mmより太い電線は甲種のほうが大きい |
| 不等率を1より小さく出す | 分子は各最大の和、分母は合成最大。必ず1以上 |
試験の前に見返すときは、早見表の「根拠の条文」の列を隠して、式から条文の番号を言えるか試してみてください。番号まで出てくれば、問題文の言い回しが変わっても式を選べます。

