回路設計

USBから電源を取る回路|電流の上限とType-CのCC抵抗5.1kΩ

USB Type-Cケーブルが挿さった小さな基板で赤いLEDが光る写真に、USBから電源を取る・Type-Cは5.1kΩ×2・CC1・CC2を5.1kΩでGNDへの文字

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USB Type-C から 5V を取るときは、CC1・CC2 をそれぞれ 5.1kΩ で GND につなぎます。この抵抗がないと C-C ケーブルでは充電器が 5V を出さず、理由はCC の抵抗の節、使う電流ごとにやることは早見表にあります。

結論|まず30秒でわかる答え

USBから電源を取るときは、使える電流の上限(USB 2.0 なら 500mA)を守り、Type-C の差し込み口なら CC1・CC2 をそれぞれ 5.1kΩ で GND につなぎます。
この抵抗がないと、C-C ケーブルでは充電器が 5V を出しません。
あわせて、ケーブルで下がる電圧(細い 1m のケーブルで 0.5A なら約0.24V)を計算し、基板に届く電圧を確かめます。

この記事に出てくる言葉

わからない言葉が出てきたら、ここに戻ってきてください。本文でも、初めて出たところで言い換えます。

VBUS(ブイバス)USB の電源の線。ふつうは 5V が来る
GND(グランド)電圧の基準になる 0V の線。電流の帰り道
Type-C(タイプシー)裏表どちらでも挿せる、小さな楕円形の USB の差し込み口
CC(シーシー)Type-C で、相手を見分けたり、使える電流を知らせたりする線。CC1・CC2 の2本
Rp・RdRp は充電器側で CC を 5V へつなぐ抵抗、Rd は基板側で CC を GND へつなぐ抵抗(5.1kΩ)
ソース・シンク電力を出す側(充電器・パソコン)と、もらう側(自分の基板)
電圧降下電線の抵抗に電流が流れて、電圧が下がること
AWG(エーダブリュージー)電線の太さの表し方。数字が大きいほど細い(28AWG は細く、20AWG は太い)
逆流自分の基板の電源から、USB の側へ電流が逆に流れ込むこと

マイコンの基板を作るとき、電源を USB から取る場面はとても多くあります。パソコンにつなげば動き、スマホの充電器でも動くので便利です。

ただし、USB には「何 mA まで使ってよいか」の決まりがあり、Type-C には「抵抗をつけないと 5V が来ない」というしくみがあります。この記事では、USB から電源を取る回路の設計を、例の基板で順に説明します。

USB Type-Cケーブルが挿さった小さな基板で赤いLEDが光る写真に、USBから電源を取る・Type-Cは5.1kΩ×2・CC1・CC2を5.1kΩでGNDへの文字

この記事の例:USB Type-C の 5V で動く 3.3V の基板

Type-C の差し込み口から 5V をもらい、LDO で 3.3V にしてマイコンを動かす基板を例にします。使う電流は最大 500mA とします。

差し込み口から来る線は、5V の VBUS、0V の GND、相手を見分ける CC1・CC2、通信の D+・D− です。この記事では、このうち電源に関わる VBUS・GND・CC を扱います。

VBUS のあとに入口の保護(ヒューズ・逆流を防ぐダイオード)を置き、LDO(電圧を下げて一定にする部品)で 3.3V を作ります。CC1・CC2 には、5.1kΩ の抵抗を1本ずつつないで GND へ落とします。

POINT|この記事で決めること3つ

①何 mA まで使ってよいか(電流の上限)、②Type-C で 5V をもらう方法(5.1kΩ×2)、③ケーブルを通ったあと何 V 届くか(電圧降下)。この3つが決まれば、USB の電源の設計はほぼ終わりです。

つまり、USB の電源は「電流」「CC の抵抗」「届く電圧」の3つを押さえれば設計できます。

Type-Cの差し込み口からVBUS・CC1・CC2・D+・D−・GND。入口の保護→LDO 3.3V→マイコン、CCは5.1kΩ×2でGNDへ。500mAまで、届く電圧4.75−0.24−0.5≒4.0V

USB の電源は VBUS と GND。Type-C には CC がある

どの USB も、電源は VBUS(5V)と GND(0V)の2本です。Type-C だけは、さらに CC という線で「5V を出してよい相手か」を見分けます。

昔からある四角い Type-A の差し込み口には、VBUS・D−・D+・GND の4本の線があります。パソコンの Type-A の差し込み口は、つないだ瞬間から VBUS に 5V が出ています。

Type-C は、裏表どちらでも挿せるように、VBUS と GND がそれぞれ4本ずつあります。そして CC1・CC2 という2本の線があり、ここにつながった抵抗の値で、つながった相手が何かを見分けます。

たとえると

Type-A は「蛇口がいつも開いている」水道、Type-C は「人が来たのを確かめてから水を出す」自動水栓です。Type-C の充電器は、相手の 5.1kΩ が見えるまで、VBUS に 5V を出しません。

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つまり、Type-C で電源を取るなら、VBUS と GND に加えて CC の扱いが必要です。

Type-AはVBUS・D−・D+・GND、Type-CはVBUS(4本)・GND(4本)・CC1・CC2・D+・D−

USB の 5V から取れる電流の目安

USB 2.0 のポートは 500mA、USB 3.x は 900mA、Type-C は相手が知らせれば 1.5A・3A まで使えます。相手が何を出せるかわからないときは、500mA までと考えます。

ポートの種類5V で使える電流電力
USB 2.0(Type-A など)500mA2.5W
USB 3.x(Type-A など)900mA4.5W
BC1.2 の充電用ポート1.5A7.5W
Type-C(1.5A を知らせる相手)1.5A7.5W
Type-C(3A を知らせる相手)3A15W
USB PD(話し合い)相手と決める電圧も上げられる

USB 2.0 の 500mA は、パソコンとやり取り(enumeration:機器の登録)をして許可をもらった後の値です。やり取りの前は 100mA 未満にする決まりがあります。マイコンの基板で通信をしないなら、500mA を超えない設計にしておくのが安全です。

USB のポートの電圧は 5V±5%(4.75〜5.25V)です。電圧の下限 4.75V は、後で電圧降下を計算するときに使います。

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基板の部品の電流を足して、500mA に収まるかを確かめる手順がわかる

つまり、まずは 500mA を上限に設計し、それを超えるなら Type-C の相手が 1.5A・3A を出せるかを CC で確かめます。

USB 2.0 0.5A 2.5W、USB 3.x 0.9A 4.5W、BC1.2 1.5A 7.5W、Type-C 1.5A 7.5W、3A 15W、USB PDは相手と決める

CC のしくみ:充電器の Rp と、基板の 5.1kΩ で電圧ができる

充電器は CC を抵抗 Rp で 5V へ、基板は CC を抵抗 Rd(5.1kΩ)で GND へつなぎます。2本の抵抗で CC に電圧ができ、充電器はそれを見て 5V を出します。

充電器やパソコン(電力を出す側=ソース)の CC は、抵抗 Rp で 5V につながっています。基板(電力をもらう側=シンク)の CC は、抵抗 Rd で GND につながっています。ケーブルの CC の線でこの2つがつながると、Rp と Rd で 5V を分けた電圧が CC にできます。

CC の電圧
CC の電圧 = 5V × 5.1kΩ ÷(Rp + 5.1kΩ)

充電器は、CC の電圧が下がったのを見て「Rd のついた相手がつながった」と判断し、VBUS に 5V を出します。何もつながっていなければ、VBUS は 0V のままです。

Rp の値は、充電器が出せる電流で決まっています。ふつう(500mA・900mA)なら 56kΩ、1.5A なら 22kΩ、3A なら 10kΩ です。

POINT|分圧の回路と同じ

CC の電圧は、抵抗2本で電圧を分ける「分圧の回路」と同じ計算です。Rp が 56kΩ なら、5×5.1÷(56+5.1)=5×0.0835≒0.42V になります。

つまり、CC は「抵抗2本の分圧」で、相手がいるか・何 A 出せるかを伝え合う線です。

充電器の5VとRp(56k・22k・10k)、CCの線、基板のRd 5.1kΩとGND。CCの電圧=5V×5.1k÷(Rp+5.1k)、56kなら約0.42V

5.1kΩ は CC1 と CC2 に1本ずつ。1本にまとめない

5.1kΩ は CC1 と CC2 に1本ずつ、合わせて2本つけます。2本の CC をつないで1本の抵抗にまとめるのは、まちがいです。

ケーブルの中で CC の線は1本だけで、挿した向きによって、基板の CC1 か CC2 のどちらかにつながります。だから、両方に 5.1kΩ をつけておけば、裏表どちらで挿しても充電器から 5.1kΩ が見えます。

「どうせ片方しかつながらないなら、まとめて1本でいい」と考えたくなりますが、これは失敗のもとです。中に小さな部品(e-marker:ケーブルの性能を伝えるチップ)の入ったケーブルでは、その部品がもう片方の CC からも見えてしまい、充電器が「つながったのは別の種類の機器だ」と判断して 5V を出さないことがあります。

注意|実際の製品でも起きた

有名な小型コンピュータの基板で、CC1・CC2 の抵抗を1本にまとめていたため、ノートパソコン用の充電器とケーブルの組み合わせで電源が入らない問題が実際に起きました。抵抗を1本減らしても、得になることはありません。

つまり、5.1kΩ は CC1 用と CC2 用で必ず2本です。

正しい:CC1とCC2にそれぞれ5.1kΩ。まちがい:CC1とCC2をつないで5.1kΩ1本

CC の電圧を測れば、使ってよい電流が分かる

CC の電圧が約0.42V ならふつう(500mA・900mA)、約0.94V なら 1.5A、約1.69V なら 3A まで使えます。500mA を超えて使いたいときは、この電圧を読みます。

充電器が出せる電流RpCC の電圧(計算)見分ける範囲
ふつう(500mA/900mA)56kΩ0.42V0.25〜0.61V
1.5A22kΩ0.94V0.70〜1.16V
3.0A10kΩ1.69V1.31〜2.04V

見分ける範囲は、TI の Type-C の IC「TUSB321AI」のデータシートの値です。計算した電圧は、どれも範囲のまん中あたりに入ります。5.1kΩ のばらつき(4.6〜5.6kΩ)を入れても、範囲の外には出ません。

CC の電圧を読むには、マイコンの A/D 変換(電圧を数字に変える機能)につなぐか、専用の IC を使います。読まない設計なら、相手が何を出せるかわからないので、500mA までにします。

注意|USB 3.x の 900mA は CC だけでは分からない

ふつう(0.42V 付近)の電圧は、USB 2.0 の 500mA と USB 3.x の 900mA の両方を表します。900mA を使えるかは、パソコンとのやり取りで決まるので、CC の電圧だけでは区別できません。

つまり、5.1kΩ をつけるだけなら 500mA まで。もっと使うなら CC の電圧を読んで、相手が 1.5A・3A を出せるときだけにします。

CCの電圧。ふつう(56k)0.42V(範囲0.25〜0.61V)、1.5A(22k)0.94V(0.70〜1.16V)、3A(10k)1.69V(1.31〜2.04V)

CC の抵抗がないと、C-C ケーブルでは 5V が来ない

5.1kΩ をつけ忘れると、Type-C の充電器と C-C ケーブルでは 5V が来ません。A-C ケーブルではケーブルの中の 56kΩ が 5V を出すので動いてしまい、まちがいに気づきにくいのが落とし穴です。

Type-C の充電器+C-C ケーブル

Type-C の充電器は、相手の 5.1kΩ が見えてから VBUS に 5V を出します。5.1kΩ のない基板をつなぐと、充電器は「何もつながっていない」と判断し、5V を出しません。

Type-A の充電器+A-C ケーブル

Type-A の差し込み口は、いつも 5V が出ています。さらに、Type-A と Type-C をつなぐケーブルの中には、56kΩ の Rp が入っています。だから、5.1kΩ のない基板でも 5V が来て動きます。

注意|「A-C ケーブルで動いたから OK」にしない

試作のときに A-C ケーブルしか使わないと、5.1kΩ のつけ忘れに気づきません。確かめるときは、Type-C の充電器と C-C ケーブルの組み合わせでも、必ず電源が入るかを見ます。

つまり、Type-C の差し込み口をつけたら、5.1kΩ×2 は必ず入れます。確かめは C-C ケーブルで行います。

Type-C充電器+C-Cケーブルで5.1kΩありは5Vが来る、なしは来ない。Type-A充電器+A-Cケーブルは5.1kΩなしでもケーブルの56kΩで5Vが来る

ケーブルの電圧降下:行きと帰りの2本分で下がる

ケーブルの電線にも抵抗があるので、電流が流れると電圧が下がります。VBUS の線と GND の線の2本分で計算します。

ケーブルで下がる電圧
下がる電圧〔V〕= 電流〔A〕× 1m あたりの抵抗〔Ω/m〕× 長さ〔m〕× 2本

電流は、充電器から VBUS の線を通って基板に行き、GND の線を通って帰ってきます。だから、長さは片道ではなく2本分です。

USB ケーブルの細い電線(28AWG)の抵抗は、1m あたり最大 0.237Ω です(L-com の USB ケーブルの仕様書)。1m のケーブルで 0.5A 流すと、0.5×0.237×1×2=0.237V 下がります。5V の充電器なら、基板に届くのは約4.76V です。

太い電線(20AWG、1m あたり 0.0346Ω)なら、0.5×0.0346×1×2=約0.035V しか下がりません。同じ 1m でも、太さで約7倍ちがいます。

POINT|電源の線の太さはケーブルで違う

USB ケーブルには、電源の線が太いものと、通信の線と同じ細さのものがあります。ケーブルの被覆の印字(例:28AWG/2C+20AWG/2C)で、電源の線の太さがわかることがあります。

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つまり、ケーブルは「小さな抵抗」です。電流×抵抗×2本で、下がる電圧を見積もります。

充電器5.0VからVBUSの線0.237ΩとGNDの線0.237Ωを通って基板0.5Aへ。0.5A×0.237×1m×2=0.237Vで約4.76V

ケーブルの太さと長さで、基板に届く電圧が変わる

細いケーブルを長くして大きな電流を流すと、基板に届く電圧が大きく下がります。28AWG・2m で 1.5A なら、5V が約3.6V まで下がります。

充電器の出口を 5.0V として、電流ごとに基板に届く電圧を計算しました(コネクタの接触の分は入れていません)。

ケーブル0.5A1A1.5A
20AWG・1m4.97V4.93V4.90V
28AWG・1m4.76V4.53V4.29V
28AWG・2m4.53V4.05V3.58V

500mA までなら、細い 1m のケーブルでも 4.76V で、USB の下限 4.75V とほぼ同じです。1A を超えると、細いケーブルでははっきり下がります。

つまり、1A を超えて使うなら、太く短いケーブルを指定するか、電圧が下がっても動く設計にします。

電流0〜1.5Aで基板に届く電圧。20AWG・1mはほぼ平ら、28AWG・1mと2mは大きく下がる。4.75Vの線

届く電圧の見積もり:いちばん低い条件で足し引きする

ポートの下限 4.75V から、ケーブルの 0.24V と、ダイオードの 0.5V を引くと約4.0V。3.3V の LDO に要る約3.54V より上なので、例の基板は動きます。

電圧の見積もりは、いちばん不利な条件で行います。ポートの電圧は下限の 4.75V、ケーブルは細い 28AWG の 1m、電流は最大の 0.5A です。

4.75V −(ケーブル)0.237V −(逆流防止のダイオード SS34)0.5V = 約4.01V。

LDO(TLV755P)で 3.3V を作るには、3.3V+ドロップアウト電圧(最大 0.238V)=約3.54V 以上が要ります。4.01V なら約0.47V の余裕があります。

注意|5V のまま使う部品は要注意

5V で動かすリレーやモーター、5V の LED テープなどは、4V まで下がると動かなかったり暗くなったりします。5V のまま使う部品があるなら、ダイオードを抵抗の小さな部品(ロードスイッチなど)にするか、ケーブルを太く短くします。

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つまり、「下限 − ケーブル − ダイオード」が、使う部品の必要な電圧より上かを確かめます。

ポートの下限4.75V、ケーブルの後4.51V、ダイオード(SS34)の後4.01V。LDOに要る3.54Vの線

逆流:自分の電源から USB へ電流を押し込まない

基板に USB 以外の電源(AC アダプタや電池)もあるなら、ダイオードで「出る向き」だけにして、USB の VBUS へ電流が逆に流れないようにします。

USB と AC アダプタの両方から電源を取れる基板で、2つを線でつないだだけだと、電圧の高いほうから低いほうへ電流が流れます。アダプタの電圧が少し高いと、USB の VBUS へ電流が逆に流れ込み、パソコンや充電器に負担をかけます。

それぞれの電源のあとにダイオードを1本ずつ入れると、電流は電圧の高い電源からだけ回路へ流れ、反対の電源へは戻りません。電圧の下がりが小さいショットキーダイオード(例:SS34、最大 0.5V)がよく使われます。

ダイオードでは電圧が下がる分、熱も出ます。0.5A なら 0.5V×0.5A=最大0.25W です。もっと損失を減らしたいときは、MOSFET を使う方法もあります。

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つまり、電源が2つあるなら、それぞれにダイオードを入れて、電流の向きを決めます。

ダイオードなしではAC アダプタ5.2VからUSBのVBUSへ逆に流れる。SS34を1本ずつ入れると高い方からだけ回路へ流れる

USB の入口に置く部品:ヒューズ・TVS・ダイオード・コンデンサ

差し込み口のすぐ後ろにヒューズと TVS で守りを置き、ダイオードとコンデンサのあとで LDO が電圧を作る、という並びが一例です。

ヒューズ:ショートからポートを守る

基板の中でショートが起きたとき、USB のポートに大きな電流が流れないように、ヒューズを入れます。何度でも元に戻る PTC(ポリスイッチ)がよく使われます。

TVS:差し込むときの静電気を逃がす

USB は、人が手で抜き差しする差し込み口です。差し込むときの静電気が回路に入らないように、TVS ダイオード(大きな電圧を GND へ逃がす部品)を VBUS や CC・D+・D− に入れます。

コンデンサ:電圧を安定させる

LDO の手前に、電圧を安定させるコンデンサを置きます。大きすぎると、差し込んだ瞬間に大きな電流(突入電流)が流れるので、容量は控えめにします。

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つまり、USB の入口は「守る(ヒューズ・TVS)→ 向きを決める(ダイオード)→ ためる(コンデンサ)→ 作る(LDO)」の順で考えます。

Type-C→ヒューズ(PTC)→TVS→ダイオード→コンデンサ→LDO 3.3Vの並び(例)

早見表:何 mA 使うかで、USB 側でやること

500mA までなら 5.1kΩ×2 だけで足ります。500mA を超えるなら CC の電圧を読み、相手が出せるときだけ使います。

使う電流基板に入れるもの相手の条件
〜100mA5.1kΩ×2 だけどのポートでも余裕あり
〜500mA5.1kΩ×2 だけUSB 2.0 の上限まで
〜1.5A5.1kΩ×2+CC の電圧を読む1.5A・3A を知らせる相手だけ
〜3A5.1kΩ×2+CC の電圧を読む3A を知らせる相手だけ。太いケーブル
3A 超・9V などUSB PD の IC相手との話し合いが要る

USB 3.x の 900mA は、パソコンとのやり取りのあとで使える値なので、CC の電圧だけでは 500mA と区別できません。

つまり、迷ったら「500mA まで・5.1kΩ×2」で設計し、足りなければ CC の電圧を読む設計に進みます。

使う電流ごとの早見表。〜500mAは5.1kΩ×2だけ、〜1.5A・〜3AはCCの電圧を読む、3A超・9VはUSB PDのIC

確かめ:基板の入口で電圧を測り、いちばん重い動きをさせる

USB チェッカーで電流を、テスターで基板の入口の電圧を測ります。いちばん電流の多い動きをさせたときに、届く電圧が足りているかを見ます。

最低限ここだけ(2つ)

1つ目は、Type-C の充電器と C-C ケーブルで電源が入るかです。A-C ケーブルだけで確かめると、5.1kΩ のつけ忘れに気づけません。

2つ目は、基板の入口の電圧です。無線の送信やモーターなど、いちばん電流の多い動きをさせながら、テスターで基板の VBUS と GND の間を測ります。USB チェッカー(差し込み口にはさんで電圧と電流を表示する道具)は充電器の出口の電圧なので、基板に届く電圧はケーブルの分だけ低くなります。

余裕があれば

いちばん細く長いケーブルでも試します。パソコンの差し込み口・スマホの充電器・モバイルバッテリーなど、つなぐ相手を変えても電源が入るかを確かめます。

つまり、「C-C ケーブルで電源が入るか」と「重い動きのときに入口で何 V か」の2つを、実物で確かめます。

充電器→USBチェッカー(4.98V・0.45A)→ケーブル→基板。テスターで基板の入口を4.70Vと測る(イメージ)

USB から電源を取るときのよくある失敗4つ

多い失敗は、CC の抵抗の入れ忘れ・抵抗を1本にまとめる・500mA を超えて使う・ケーブルの電圧降下を見ない、の4つです。

失敗1:CC の抵抗を入れ忘れる

A-C ケーブルでは動くのに、Type-C の充電器と C-C ケーブルでは 5V が来ません。CC1・CC2 に 5.1kΩ を入れます。

失敗2:5.1kΩ を1本にまとめる

CC1 と CC2 をつないで抵抗を1本にすると、中に部品の入ったケーブルで給電されないことがあります。1本ずつ入れます。

失敗3:500mA を超えて使う

相手が出せる電流を確かめずに 1A 流すと、電圧が落ちたり、パソコンのポートが止まったりします。超えるなら CC の電圧を読みます。

失敗4:ケーブルの電圧降下を見ない

細く長いケーブルで電流が大きいと、基板に届く電圧が 4.75V を大きく下回ります。届く電圧を計算し、入口で測って確かめます。

つまり、「5.1kΩ×2」「500mA」「届く電圧」の3つを守れば、USB の電源で大きく外しません。

よくある失敗4つ。CCの抵抗を入れ忘れる、5.1kΩを1本にまとめる、500mAを超えて使う、ケーブルの分を見ない

よくある質問(FAQ)

Q. USBから電源を取るとき、何mAまで使える?

A. USB 2.0なら500mAが目安です。Type-Cで相手が1.5A・3Aを知らせていれば、その電流まで使えます。

Q. Type-CのCC抵抗5.1kΩは何のため?

A. 充電器に「電力をもらう機器がつながった」と知らせるためです。これがないと充電器は5Vを出しません。

Q. 5.1kΩはCC1とCC2の両方に必要?

A. 必要です。1本ずつ、合わせて2本入れます。1本にまとめると、ケーブルによって給電されないことがあります。

Q. A-Cケーブルなら動くのにC-Cケーブルで動かないのはなぜ?

A. CCの5.1kΩがないためです。A-Cケーブルは中の56kΩで5Vが来ますが、C-Cでは来ません。

Q. USBケーブルで電圧はどれくらい下がる?

A. 細い28AWGの1mで0.5Aなら約0.24V下がります。電流×1mの抵抗×長さ×2本で計算します。

Q. USBの電源にダイオードを入れるのはなぜ?

A. 別の電源があるとき、USBのVBUSへ電流が逆に流れるのを防ぐためです。下がる電圧の分を見込みます。

まとめ
  • USB の電源は VBUS(5V)と GND。電圧は 4.75〜5.25V
  • 使える電流は USB 2.0 で 500mA。迷ったら 500mA までで設計する
  • Type-C は CC1・CC2 にそれぞれ 5.1kΩ を入れて GND へ(2本)
  • 5.1kΩ がないと、Type-C の充電器と C-C ケーブルでは 5V が来ない
  • ケーブルで下がる電圧=電流×1m の抵抗×長さ×2本
  • 届く電圧=下限 4.75V − ケーブル − ダイオード で見積もる
  • 電源が2つあるならダイオードで逆流を防ぐ。入口にヒューズと TVS

次の一歩として、手元の基板の最大の電流を書き出し、500mA に収まるか、ケーブルを通ったあと何 V 届くかを計算してみてください。Type-C の差し込み口なら、CC1・CC2 の 5.1kΩ も確かめます。

参考にした資料

法令・規格・資料は改訂されることがあります。実務で使うときは、発行元の最新版で確かめてください。

この記事の理解を深める本と道具
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シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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気になるところから読んでも大丈夫です。どの記事も、はじめて学ぶ人向けにやさしく書いています。

つまずきやすい「違い」を一気に解決
ダイオードのVf(順方向電圧降下)とは?|0.7Vの正体と損失計算
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ダイオードのVf(順方向電圧降下)とは?|0.7Vの正体と損失計算

ダイオードで電圧が下がる「Vf」の正体と、損失の計算がわかる

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ヒューズとブレーカーの違い|どっちも電気の見張り番だった
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ヒューズとブレーカーの違い|どっちも電気の見張り番だった

一度切れたら替えるヒューズと、戻せるブレーカーのちがいがわかる

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オシロスコープとは?仕組みと使い方の基本・テスターとの違い
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オシロスコープとは?仕組みと使い方の基本・テスターとの違い

電圧の変化を見るオシロスコープと、テスターのちがいと使い分けがわかる

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ダイオードの特徴と特性|整流作用・順方向電圧0.7V・種類を図解
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ダイオードの特徴と特性|整流作用・順方向電圧0.7V・種類を図解

電流を一方向にだけ流すダイオードの特性と、種類のちがいがわかる

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計算力アップ・資格対策
電力と電力量の違い|P=VIとW=Ptを完全マスター
計算力アップ
電力と電力量の違い|P=VIとW=Ptを完全マスター

5V×0.5A=2.5W のような電力と、電力量の計算を例題で確かめられる

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3端子レギュレータの発熱計算|触れないほど熱い時の判断と放熱
計算力アップ
3端子レギュレータの発熱計算|触れないほど熱い時の判断と放熱

5V から 3.3V を作るレギュレータが何℃になるかを計算できる

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ツェナーダイオードの使い方|定電圧・サージ吸収の回路と抵抗値の計算例
計算力アップ
ツェナーダイオードの使い方|定電圧・サージ吸収の回路と抵抗値の計算例

ツェナーダイオードで電圧を作る回路の、抵抗の値を計算できる

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寄生インダクタンスとは?配線1cmで何nHかとサージの計算を図解
計算力アップ
寄生インダクタンスとは?配線1cmで何nHかとサージの計算を図解

配線の長さでできるインダクタンスと、抜き差しのときのサージを計算できる

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