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- 抵抗値の決め方がわからず、回路図の抵抗を見ても値の理由が読めない
- LED・プルアップ・分圧…場面ごとに式が違って、どれを使えばいいか迷う
- 計算はできても、売っている値や W数の選び方で止まる
- 抵抗の使い道を3つの型に分ける見分け方
- 型ごとの式と、小さな例題(LED・ベース抵抗・分圧・プルアップ・RC)
- どの型でも共通の仕上げ(E24 への丸めと W数)
- 型を取り違えたときによくある失敗
抵抗値の決め方は、その抵抗で何を決めたいかで3つの型に分かれます。
①電流を決めたい → R=抵抗にかかる電圧÷電流(LED・ベース抵抗)
②電圧を決めたい → R1 と R2 の比で電圧、大きさで電流(分圧・プルアップ)
③時間を決めたい → R=τ÷C(RC)
どの型でも、最後は E24 系列に丸め、W数(定格電力)を確かめます。
わからない言葉が出てきたら、ここに戻ってきてください。本文でも、初めて出たところで言い換えます。
| 抵抗値 | 電気の流れにくさの大きさ。単位は Ω(オーム)。1kΩ=1000Ω |
| オームの法則 | 電圧=電流×抵抗。抵抗の計算はすべてここから |
| VF・VBE | LED(VF 約2V)や、トランジスタのベースとエミッタの間(VBE 約0.7V)にかかる電圧 |
| 分圧 | 2本の抵抗で、電源の電圧を分けて取り出すこと |
| プルアップ | 入力の端子を、抵抗で電源側に引き上げておくこと |
| 時定数 τ(タウ) | 抵抗とコンデンサで、電圧が63.2%まで変わるのにかかる時間。τ=R×C |
| E24系列 | 売っている抵抗の値の並び(1.0・1.1・1.2・1.3・1.5…) |
| W数(定格電力) | その抵抗が熱で傷まずに使える電力の上限 |
回路図の抵抗には、1本ずつ「その値にした理由」があります。ところが、はじめて回路を読むと、300Ω・10kΩ・100kΩ と値がばらばらで、どの式で決めたのかが見えません。
この記事は、連載「回路設計の入門」の地図です。抵抗値の決め方を3つの型に分け、型ごとに小さな例題を1つずつ解きます。くわしい手順は、型ごとの記事に送ります。

抵抗値の決め方は3つの型:電流から・電圧から・時間から
抵抗の使い道は、電流を決める・電圧を決める・時間を決める、の3つに分けられます。型がわかれば、使う式も決まります。
| 型 | こんなとき | 使う式 | 代表的な場面 |
|---|---|---|---|
| 型1 電流から決める | 流したい電流がある | R=抵抗にかかる電圧÷電流 | LED の抵抗、ベース抵抗 |
| 型2 電圧から決める | 欲しい電圧がある | 比 R1:R2 で電圧、大きさは電流で | 分圧、プルアップ |
| 型3 時間から決める | 欲しい時間がある | R=τ÷C | RC の遅れ、ノイズをならす |
どの型も、元になっているのはオームの法則(電圧=電流×抵抗)です。違うのは「何を先に決めて、何を計算で出すか」だけです。
抵抗は水道管の「細さ」です。細さで、水の量(電流)を決めることも、途中の水圧(電圧)を決めることも、バケツがいっぱいになるまでの時間(時間)を決めることもできます。
つまり、抵抗値は「何を決めたいか」で式が決まる。まず型を言葉にするのが、迷わない近道です。

どの型?「その抵抗で、何を決めたい?」と聞く
型の見分け方は1つの質問だけです。その抵抗で、流れる電流・ある点の電圧・変化にかかる時間のどれを決めたいかを考えます。
LED を光らせる、トランジスタを ON にする。部品に「これだけ流したい」という電流がある
電圧を下げて測る、入力を HIGH に保つ。ある点を「この電圧にしたい」
ゆっくり立ち上げる、細かいガタつきをならす。「これくらいの時間で変化させたい」
型が決まったら、その型の式で値を出します。そのあと、どの型でも同じ2つの仕上げをします。
| 共通の仕上げ | やること |
|---|---|
| ① 丸める | 売っている値(E24 系列)に丸める。向きは「守りたいもの」で決める |
| ② W数を確かめる | 抵抗の電力 P=抵抗の電圧×電流 を計算し、定格はその2倍以上 |
つまり、「型を決める → 式で計算 → 丸める → W数」の4つの順番。これはどの抵抗でも変わりません。

型1 電流から決める:R=抵抗にかかる電圧÷電流
電流から決める型では、まず抵抗にかかる電圧を出し、それを流したい電流で割ります。電源の電圧で割らないことがポイントです。
R = (電源の電圧 − 相手の部品の電圧) ÷ 流したい電流
抵抗は、LED やトランジスタのような「相手の部品」と直列につながっています。電源の電圧は、抵抗と相手の部品で分け合います。
相手の部品の電圧は、部品で決まっています。LED なら VF(赤で約2.0V)、トランジスタのベースなら VBE(約0.7V)です。残りが抵抗にかかる電圧です。
LED の抵抗は、電流を減らして LED を守りたいので大きい側に丸めます。ベース抵抗は、電流を確実に流したいので小さい側に丸めます。
つまり、型1は「引いてから割る」。引く電圧は相手の部品のデータシートで確かめます。

例題1:5Vで赤色LEDに10mA流す
抵抗にかかる電圧は、5V−2.0V=3.0V です。
R=3.0V÷10mA=3.0V÷0.010A=300Ω。300Ω は E24 にある値なので、そのまま使えます。
W数は P=I×I×R=0.010×0.010×300=0.03W。2倍の0.06W 以上なので、1/8W(0.125W)以上の抵抗を選びます。
LED の色ごとの VF や、電源が12V のときに W数が効いてくる理由は、連載の LED の抵抗の記事でくわしく扱います。

例題2:3.3Vのマイコンでトランジスタを ON にする
トランジスタ(2N3904)で LED に約20mA 流します。まず、ベースに流す電流 Ib を決めます。
Ib=Ic÷hFE(データシートの最小値)×余裕の倍率=20mA÷60×3=1.0mA。hFE は「コレクタの電流が、ベースの電流の何倍流せるか」の数字です。
抵抗にかかる電圧は、3.3V−0.7V=2.6V。Rb=2.6V÷1.0mA=2.6kΩ。
2.6kΩ は売っていないので、小さい側の2.4kΩ にします。Ib は 2.6V÷2,400Ω≒1.08mA と少し増え、確実に ON になる側に倒れます。
hFE がなぜ「ベース電流の何倍」になるのかが、トランジスタの中から確かめられる
hFE の選び方からブレッドボードでの確かめ方まで、ベース抵抗の手順を通して

型2 電圧から決める:分圧は「比」と「大きさ」を分けて決める
電圧から決める型では、2本の抵抗の比で電圧を決め、抵抗の大きさで流れる電流を決めます。比と大きさを2段に分けると迷いません。
Vout = Vin × R2 ÷ (R1 + R2)
段1:比を決める
欲しい出力の電圧が、入力の何分の1かを考えます。1/5 にしたいなら、R2 が全体の1/5 になればよいので、R1:R2=4:1 です。
段2:大きさを決める
比が同じでも、4kΩ と1kΩ、40kΩ と10kΩ、400kΩ と100kΩ では、流れる電流が10倍ずつ違います。
| 大きさ | よいこと | 困ること |
|---|---|---|
| 小さくする | つなぐ先の影響を受けにくい | 電流が多く流れ、電力のむだ・発熱 |
| 大きくする | 電流が少なく、電池にやさしい | つなぐ先の抵抗で電圧がずれる |
目安は、出力につなぐ先の抵抗が R2 の10倍以上になる大きさです。分圧の式は、出力から電流を取り出さないときの式だからです。
分圧の式の成り立ちと、負荷をつないだときに電圧が下がる理由を例題で確かめられる
つまり、分圧は「比で電圧、大きさで電流」。どちらか一方だけで決めると、どこかで困ります。

例題3:最大15Vの電圧を、3.3V以下にして測る
12V の電源(充電中などで最大15V まで上がるとします)の電圧を、3.3V で動くマイコンで測りたい場面です。マイコンの測る端子には、3.3V を超える電圧をかけられません。
段1(比):15V を3.3V 以下にするには、1/5 くらいにします。R1:R2=4:1。E24 で R2=10kΩ とすると、R1 は40kΩ ですが、40kΩ は E24 にないので39kΩ にします。
確かめ:15V×10÷(39+10)=150÷49≒3.06V。3.3V 以下なので OK。12V のときは 120÷49≒2.45V です。
段2(大きさ):流れる電流は 15V÷49kΩ≒0.31mA。R1 の電力は約3.7mW で、W数は十分に余裕があります。つなぐ先は、R2 の10倍の100kΩ 以上の抵抗にします。
分圧では、1本ずつ丸めるのではなく、組で丸めます。丸めたあと、出力がいちばん高いとき(ここでは15V のとき)に上限を超えないかを、必ず計算し直します。

型2 電圧から決める:プルアップ抵抗は「迷ったら10kΩ」
プルアップ抵抗は、入力の端子を電源側に引き上げて、HIGH の電圧に決めておく抵抗です。値は10kΩ が出発点で、電流とノイズのかね合いで上下させます。
ボタンとマイコンの入力をつなぐとき、ボタンを押していない間、入力の端子はどこにもつながっていない状態(フローティング)になります。これでは HIGH か LOW か決まりません。
そこで、抵抗で電源につないでおきます。押していないときは入力が3.3V(HIGH)、押すとボタンで GND につながって0V(LOW)になります。
| 値(3.3V のとき) | 押している間に流れる電流 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 1kΩ | 3.3mA | 速い信号・ノイズの多い所(電流は多い) |
| 10kΩ | 0.33mA | まずはここから |
| 100kΩ | 33μA | 電池で動く機器のボタン(ノイズには弱め) |
押している間の電流は、3.3V÷10kΩ=0.33mA。電力は 3.3V×0.33mA≒1.1mW で、W数はまず問題になりません。
浮いている入力がなぜ困るのかと、プルアップ・プルダウンの選び方が計算ツールつきでわかる
つまり、プルアップは「電圧を決める」抵抗で、値は「電流とノイズのかね合い」で決める。迷ったら10kΩ から始めます。

型3 時間から決める:時定数τ=R×C
時間から決める型では、抵抗とコンデンサの時定数 τ=R×C を使います。先にコンデンサの値を決め、R=τ÷C で抵抗を出します。
τ(秒) = R(Ω) × C(F) → R = τ ÷ C
抵抗を通してコンデンサに電気をためると、電圧はすぐには上がらず、じわじわ上がります。最終の電圧の63.2%まで上がるのにかかる時間が、時定数 τ です。
| 時間 | 最終の電圧に対して |
|---|---|
| τ | 63.2% |
| 3τ | 95.0% |
| 5τ | 99.3%(ほぼ終わり) |
コンデンサは「バケツ」、抵抗は「蛇口の細さ」です。細いほど、バケツがいっぱいになるまでの時間が長くなります。
コンデンサは、抵抗に比べて選べる値が少ないのがふつうです。だから、先に C を手に入りやすい値(0.1µF など)に決め、時間に合わせて R を計算します。
なぜ63.2%なのか、なぜ5τで終わるのかが「63.2%ルール」でわかる
つまり、型3は「C を先に、R で合わせる」。τ=R×C の単位は Ω と F で、答えは秒です。

例題4:τ=10ms のRCを作る
入力が0V から3.3V に切り替わったとき、出力が10ms ほどかけて上がるようにしたいとします。
先に C=0.1µF に決めます。0.1µF=0.1÷1,000,000F=0.0000001F です。
R=τ÷C=0.010s÷0.0000001F=100,000Ω=100kΩ。100kΩ は E24 にある値です。
確かめ:10ms で 3.3V×0.632≒2.09V、50ms(5τ)でほぼ3.3V まで上がります。
このような RC は、ゆっくり立ち上がる信号を作るときや、スイッチを押したときの細かいガタつき(チャタリング)をならすときに使います。周波数の目で見たときの使い方(ローパスフィルタ)は、別の記事で扱います。

どの型でも最後に:E24に丸めて、W数を確かめる
型が違っても、最後の仕上げは同じです。売っている値に丸め、抵抗の電力の2倍以上の定格を選びます。丸める向きは「守りたいもの」で決めます。
| 場面 | 型 | 丸める向き | 理由 |
|---|---|---|---|
| LED の抵抗 | 電流 | 大きい側 | 電流を減らし、LED を守る |
| ベース抵抗 | 電流 | 小さい側 | 電流を増やし、確実に ON |
| 分圧 | 電圧 | 比を保つ組 | 出力が上限を超えない組を選ぶ |
| プルアップ | 電圧 | 近い値でよい | 10kΩ 前後なら動きは同じ |
| RC | 時間 | 近い値でよい | C の誤差の方が大きいことが多い |
W数は、P=抵抗の電圧×電流 で計算します。この記事の例題では、LED が0.03W、分圧が約0.004W、プルアップが約0.001W。どれも小さく、1/8W の抵抗で足ります。
ただし、電源の電圧が高いと、抵抗の電力は一気に増えます。12V で LED に20mA 流すと、抵抗の電力は約0.2W になり、1/4W では足りません。
E24 系列の値の一覧と、2.4kΩ や39kΩ のような値になっている理由がわかる
つまり、仕上げは「丸める向き」と「W数」。この2つを確かめたら、部品を買って組めます。

よくある失敗3つ:型の取り違えと単位
抵抗値の決め方の失敗は、分圧で電流を見ない・プルアップが小さすぎる・コンデンサの単位の取り違え、の3つが代表です。
失敗1:分圧で、つなぐ先の電流を見ない
12V を10kΩ と10kΩ で分けて6V を取り出すつもりが、出力に10kΩ の負荷をつなぐと、下の抵抗と負荷の並列は5kΩ になります。出力は 12×5÷(10+5)=4V に下がります。比だけ決めて、大きさ(電流)を考えなかった失敗です。
失敗2:プルアップを小さくしすぎる
「小さい方が確実」と1kΩ にすると、ボタンを押している間ずっと3.3mA 流れます。電池で動く機器では、このむだが効いてきます。
失敗3:µF と nF を取り違える
0.1µF のつもりで0.1nF(100pF)のコンデンサを使うと、C は1000分の1。τ も1000分の1 になり、10ms のつもりが10µs になります。計算するときは、必ず F(ファラド)に直します。
つまり、失敗の多くは「型の一部だけで決めた」か「単位」。型の2段(比と大きさ)と、単位の直しを確かめると防げます。

よくある質問(FAQ)
- 抵抗値は「何を決めたいか」で3つの型に分かれる
- 型1 電流から:R=(電源−相手の部品の電圧)÷電流。LED・ベース抵抗
- 型2 電圧から:比で電圧、大きさで電流。分圧・プルアップ(迷ったら10kΩ)
- 型3 時間から:τ=R×C。C を先に決め、R=τ÷C
- どの型でも、最後は E24 に丸め(向きは守りたいもので決める)、W数を2倍以上で確かめる
次の一歩として、手元の回路図から抵抗を1本選び、「この抵抗は何を決めているか」を言葉にしてみてください。型がわかれば、その値になった理由が式で読めるようになります。
- Kingbright「WP7113ID T-1 3/4 (5mm) Solid State Lamp」データシート:例題1 の赤色LEDの VF(代表1.9V、IF=10mA。計算には約2.0V を使用)
- onsemi「2N3903, 2N3904 General Purpose Transistors NPN Silicon」データシート(Rev. 9):例題2 の hFE の最小値(Ic 10mA で100、50mA で60)と VBE(sat)(Ic 10mA で0.65〜0.85V。計算には約0.7V を使用)
法令・規格・資料は改訂されることがあります。実務で使うときは、発行元の最新版で確かめてください。
回路の電圧や導通を自分の手で確かめるなら、手元にテスターが1台あると便利です。三和電気計器のデジタルマルチメータ(テスター)CD772です。電圧や抵抗などを測れます。
回路を実際に組んで、電流や電圧を確かめてみたいときに向いています。サンハヤトのブレッドボード SAD-101です。408個の穴に部品を差し込むだけで、はんだ付けをせずに回路を組めます。
電気回路の基本があいまいなときは、入門書で土台を固めておくと理解が進みます。電気回路の基本を、つまずいている人向けにやさしく解説した入門書です(オーム社)。
メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。
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ここまでで、抵抗値を3つの型で決められるようになりました。どの型も、元はオームの法則です。式の意味に立ち返ると、型の見分けがもっと速くなります。
テーマ別に、もっと深く学ぶ
気になるところから読んでも大丈夫です。どの記事も、はじめて学ぶ人向けにやさしく書いています。