回路設計

回路が動かない時の切り分け|電源→GND→リセット→信号の7ステップ

ブレッドボードの上の8ピンIC・抵抗・LEDとテスターの棒の写真に、回路が動かない時の切り分け・7ステップ・電源→GND→リセット→信号の文字

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お悩み
こんなふうに思っていませんか?
  • 回路が動かないけれど、どこから調べればいいかわからない
  • テスターやオシロを持っていても、どこに当てればいいか迷う
  • あちこち触っているうちに、何を確かめたかわからなくなる
この記事でわかること
  • 回路が動かないときの切り分け7ステップ(フローチャート)
  • 電源→GND→リセット→信号の順に確かめる理由
  • テスターとオシロで測る場所と、本来の値
  • 症状からすぐに引ける早見表
結論|まず30秒でわかる答え

回路が動かないときは、上流から順に確かめます。
①電源を入れる前に目で見る ②電流制限をかけて電源を入れる ③IC のピンで電源電圧を測る ④GND のつながり ⑤リセット・イネーブル ⑥発振・クロック ⑦信号を入口から出口へ追う
NG が出たところで止まり、そこを直してから次へ進みます。電源→GND→リセット→信号の順が基本です。

この記事に出てくる言葉

わからない言葉が出てきたら、ここに戻ってきてください。本文でも、初めて出たところで言い換えます。

切り分け原因がありそうな範囲を、測りながら半分ずつせまくしていくこと
GND(グランド)電源のマイナス側。電流が電源へ戻る「帰り道」で、電圧の基準(0V)
リセット・イネーブルIC を止めたり動かしたりする端子。止める側になっていると動かない
発振・クロック決まった速さで H と L をくり返す信号。マイコンや 555 の動きの元
テスター(マルチメーター)電圧・電流・抵抗・導通を数字で測る道具
オシロスコープ(オシロ)電圧が時間でどう変わるかを、波の形で見る道具
電流制限電源が流す電流の上限を決める機能。ショートしても大きな電流が流れない
H・L信号の高い電圧(High)と低い電圧(Low)。L はほぼ0V

回路が動かないとき、いきなり出力の波形を見たり、部品を交換したりしたくなります。ところが、原因が電源にあると、どれだけ出力を調べても見つかりません。

この記事では、タイマー IC「NE555」で LED を点滅させる回路を例に、どこを・どの順番で・何で測ればいいかを7ステップで説明します。体験談ではなく、どの回路にも使える一般的な手順です。

ブレッドボードの上の8ピンIC・抵抗・LEDとテスターの棒の写真に、回路が動かない時の切り分け・7ステップ・電源→GND→リセット→信号の文字

回路が動かない時の切り分け:7ステップのフローチャート

回路が動かない時の切り分けは、上から順に7つのステップを確かめ、NG が出たところで止まって直す、のくり返しです。上のステップほど、ほかのすべてに効く「上流」です。

STEP 1

電源を入れる前に目で見る(向き・ショート・抜け)

STEP 2

電流制限をかけて電源を入れ、電流を見る

STEP 3

IC のピンの根元で電源電圧を測る

STEP 4

GND がつながっているかを確かめる

STEP 5

リセット・イネーブルの端子を確かめる

STEP 6 は発振・クロックの確認、STEP 7 は信号を入口から出口へ追う作業です。STEP 1〜5 で「IC が動ける状態か」を確かめ、STEP 6・7 で「IC が正しく動いているか」を確かめます。

POINT|NG が出たら、そこで止まる

STEP 3 で電源電圧が0V なのに STEP 6 に進んでも、波形は出ません。NG を直してから次のステップへ進むと、遠回りになりません。

つまり、切り分けは「上から順に、1つずつ OK を積み上げる」作業です。

7ステップのフローチャート。目で見る、電流制限で電源を入れる、ICのピンで電源電圧、GND、リセット・イネーブル、発振・クロック、信号を入口から出口へ。各ステップでNGならそこを直す

この記事で使う例:NE555 で LED を点滅させる回路

例に使うのは、タイマー IC の NE555 で、LED を約1秒に1回点滅させる回路です。動かないときに比べるため、先に「本来どう動くか」を知っておきます。

部品値役目
NE5558本足のタイマー IC決まった時間で H と L をくり返す
RA・RB10kΩ・68kΩC と組んで、点滅の時間を決める
C10µF電気をためたり出したりして時間を作る
CONT のコンデンサ0.01µF5番ピンを安定させる
1kΩ と LED赤色 LED出力が H のとき光る
パスコン0.1µF電源の電圧のゆれを吸収する

TI のデータシートでは、H の時間は tH≒0.693×(RA+RB)×C、L の時間は tL≒0.693×RB×C です。

tH=0.693×(10kΩ+68kΩ)×10µF=0.693×78000×0.00001≒0.54秒。tL=0.693×68000×0.00001≒0.47秒。合わせて約1.0秒で1回点滅します。

たとえると

迷子を探すときの「地図」です。本来の道(正しい動き)を知らないと、どこで道をそれたかがわかりません。

つまり、切り分けを始める前に「本来の値」を用意しておく。この記事の正常値の表が、その地図です。

NE555の無安定発振の回路図。+5VからRA10kΩ・RB68kΩ・C10µF、CONTに0.01µF、出力3番から1kΩとLEDをGNDへ、パスコン0.1µF。LEDは約0.54秒点いて約0.47秒消える

なぜ「電源→GND→リセット→信号」の順に確かめるのか

電源・GND・リセットのどれかが NG だと、その先の信号はすべて止まります。下流の信号から調べると、原因が上流にあっても気づけないので、上流から確かめます。

IC は、電源が来て、GND(電流の帰り道)があって、リセットで止められていないときに、はじめて動きます。この3つは、回路のすべての部分の土台です。

出力に波形が出ないとき、原因は出力の部分だけとは限りません。電源の線が1本抜けているだけでも、同じ「波形が出ない」になります。

たとえると

水道の蛇口から水が出ないとき、いきなり蛇口を分解する人はいません。まず元栓(電源)が開いているか、排水(GND)が詰まっていないかを見ます。

上流から1つずつ「ここまでは OK」と確かめると、原因のある範囲がどんどんせまくなります。これが切り分けです。

つまり、上流の確認は短い時間でできて、外れても損がない。だから最初に確かめます。

電源・GND・リセット・信号の4つの箱を上流から下流へ並べた図と、信号から測る場合と上流から測る場合の比べ

STEP1 電源を入れる前に、目で見て確かめる

電源を入れる前に、IC の向き・向きのある部品・ショート・抜けの4つを目で確かめます。電源を入れてからでは、部品が壊れてしまうことがあります。

見る所確かめること
IC の向き切り欠き・丸印の左が1番ピン。回路図のピン番号と合っているか
向きのある部品LED・ダイオード・電解コンデンサの+と−が、回路図と同じ向きか
ショートはんだが隣の足とつながっていないか。むき出しの線どうしが触れていないか
抜け・ずれ足が穴に入っているか。ブレッドボードで1列ずれていないか

IC を逆向きに挿すと、電源が本来と別のピンに入ります。NE555 なら、8番(VCC)に入るはずの5V が4番に、1番(GND)に入るはずの0V が5番に入り、壊れることがあります。

ブレッドボードでは、縦に並んだ5つの穴が中でつながっています。部品の足が1列ずれると、つながるはずの部品とつながりません。

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つまり、STEP1 は「電源を入れる前の最後の確認」。ここで見つかる失敗が、実はいちばん多いです。

電源を入れる前に見る4つ。ICの向き、向きのある部品の+と−、はんだのブリッジなどのショート、足の抜けや列のずれ

STEP2 電流制限をかけて電源を入れ、電流を見る

電源装置の電流制限を、正常な電流より少し上に決めてから電源を入れます。電流が多すぎればショートや部品の逆向き、ほぼ0なら断線です。

電流制限つきの電源装置は、決めた電流より多く流れないようにする機能があります。ショートしていても、大きな電流が流れ続けないので、部品を守れます。

例の回路の正常な電流を見積もる

NE555 の電源電流(出力 L・無負荷)は、データシートで typ 3mA・max 6mA です。

LED の電流は、多くても(5V−2V)÷1kΩ=3mA です。RA に流れる電流は、多くても5V÷10kΩ=0.5mA です。

合わせて、6+3+0.5=9.5mA 以下。電流制限は、少し上の50mA にしておきます。

電源の表示考えられること次にすること
約10mA 以下正常STEP3 へ
制限値に張り付く・電圧が下がるショート・部品が逆向きすぐ電源を切り、STEP1 に戻る
ほぼ0mA電源の線が切れている・抜けているSTEP3 で、どこまで電圧が来ているか測る
注意|熱くなっている部品にさわらない

電流が多いときは、どこかの部品が熱を出しています。電源を切ってから、時間をおいて確かめます。

つまり、STEP2 は「電流で健康診断」。数字1つで、ショートと断線のどちらかがわかります。

電源装置の電圧5.00V・電流制限0.050Aの表示と、約10mA以下は正常、制限値に張り付くならショート、ほぼ0mAなら断線。IC6mA+LED3mA+RA0.5mA=9.5mA以下の見積もり

STEP3 IC のピンの根元で電源電圧を測る

テスターを直流電圧(DCV)のレンジにして、黒を IC の GND ピン、赤を VCC ピンに当てます。NE555 なら1番と8番の間が、推奨の4.5〜16V に入っていれば OK です。

手順1

テスターを直流電圧(DCV)のレンジにする

手順2

黒い棒を IC の1番(GND)、赤い棒を8番(VCC)の足の根元に当てる

手順3

例の回路なら約5V。推奨の4.5〜16V に入っているかを見る

大事なのは、電源装置の端子ではなく、IC の足の根元で測ることです。電源の端子で5V でも、途中の線が切れていれば、IC の足では0V になります。

電圧が低いときは、電源から IC までの線のどこかで電圧が下がっています。電源の端子、線の途中、IC の足と、順に測ると、どこで下がったかがわかります。

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つまり、電源電圧は「IC の足で」測る。部品が受け取っている電圧が、本当の電源電圧です。

テスターの赤をNE555の8番VCC、黒を1番GNDに当てて4.98Vを表示している図。4.5〜16VならOK、0Vなら途中で断線

STEP4 GND がつながっているかを確かめる

GND は電流の帰り道です。電源を入れたまま電源の−と IC の GND の間の電圧が0V に近いか、電源を切って導通(ブザー)が鳴るかで確かめます。

GND が切れていると、電流が電源へ戻れず、IC は動けません。STEP3 で VCC と GND の間を測ったのに、なぜもう一度確かめるのかというと、GND の線が別の場所で切れていることがあるからです。

方法当て方OK の目安
A:電源を入れたまま(DCV)黒→電源の−、赤→IC の1番0V に近い(0.1V 未満が目安)
B:電源を切って(導通)電源の−の線と、IC の1番ピーと鳴る

基板やブレッドボードでは、GND の線が何本にも分かれています。IC だけでなく、LED や C の GND 側も同じように確かめます。

注意|導通は必ず電源を切ってから

導通や抵抗のレンジは、テスターの中の電池で小さな電流を流して測ります。電源を入れたまま当てると、正しく測れず、テスターを傷めることがあります。

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つまり、GND は「電圧0V」と「導通」の2つで確かめる。帰り道が切れていれば、どれだけ電源が正しくても動きません。

GNDの確かめ方2つ。電源を入れたまま電源の−とICの1番の電圧が0Vに近いか、電源を切って導通のブザーが鳴るか

STEP5 リセット・イネーブルの端子を確かめる

IC には、動きを止める端子(リセット・イネーブル)があります。NE555 の4番 RESET は、0V 付近だと出力がずっと L のままになるので、5V につながっているかを測ります。

NE555 のデータシートでは、RESET の電圧は min 0.3V・typ 0.7V・max 1V です。0.3V より低ければ必ず止まり、1V より高ければ必ず動く、という意味です。

4番の電圧どうなるか直し方
約5V動く(例の回路は VCC につないでいる)STEP6 へ
約0V出力がずっと L のままGND 側につながっていないか配線を見る
決まらない(つながっていない)動いたり止まったりするVCC につなぐ

TI のデータシートには「使わない入力は、誤動作を防ぐために適切な電圧につなぐ」と書かれています。どこにもつながっていない入力は、電圧が決まらず、さわっただけで動きが変わることがあります。

マイコンのリセット端子や、電源 IC のイネーブル(EN)端子も同じ考え方です。止める電圧が H 側か L 側かは IC ごとに違うので、データシートで確かめます。

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つまり、STEP5 は「止められていないか」の確認。電源が正しくても、リセットが効いていれば IC は動きません。

RESETの電圧の帯。0〜0.3Vは止まる、0.3〜1Vは決まらない、それより上は動く。4番が5VならOK、0Vなら配線を見る、つながっていないならVCCへ

STEP6 発振・クロックをオシロで確かめる

オシロで、時間を作る部分と出力の波形を見ます。例の回路なら、コンデンサ(2番・6番)が1.67V と3.33V の間を上がり下がりし、出力(3番)が約0.54秒 H・約0.47秒 L をくり返せば正常です。

テスターは、1つの数字しか表示できません。電圧が時間で変わる信号は、テスターでは「なんとなく真ん中の値」に見えてしまいます。

NE555 の無安定発振では、コンデンサが電源電圧の約3分の1(5V なら約1.67V)と約3分の2(約3.33V)の間で、ためたり出したりをくり返します。

見る所本来の波形出ていないとき
CH1:2番・6番(コンデンサ)1.67V〜3.33V を往復C・RA・RB の配線を見る
CH2:3番(出力)H 約0.54秒・L 約0.47秒CH1 が正常なら出力より後ろ

コンデンサの波形が止まっているなら、時間を作る部分(C・RA・RB・7番 DISCH)の配線を疑います。コンデンサは動いているのに出力が変わらないなら、IC の出力より後ろか、IC そのものです。

マイコンなら、ここで見るのは水晶発振子のクロックです。クロックが出ていないと、プログラムは1行も動きません。

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つまり、発振は「波形で」確かめる。動きの元が止まっていれば、その先は全部止まります。

オシロの画面。CH1のコンデンサの電圧が1.67Vと3.33Vの間を上がり下がりし、CH2の出力がH約0.54秒・L約0.47秒をくり返す

STEP7 信号を入口から出口へ追う:半分ずつ確かめる

信号の通り道を入口から出口へ順にたどり、OK から NG に変わる場所を探します。部品が多いときは、真ん中から測って範囲を半分ずつせまくすると早く見つかります。

例の回路では、3番の出力 → 1kΩ → LED → GND が信号の通り道です。3番で波形が出ているのに LED が点かないなら、原因は1kΩ か LED か、その配線にあります。

1回目

通り道の真ん中を測る。NG なら原因は入口側、OK なら出口側

2回目

残った範囲の真ん中を測る

3回目

OK と NG の境目に挟まれた部品と配線を調べる

部品が6つ並んでいても、真ん中から測れば3回ほどで原因の場所がわかります。入口から1つずつ測るより、測る回数が少なくてすみます。

LED の場合は、向きが逆になっていないか、抵抗の値が大きすぎて暗すぎないかを確かめます。

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つまり、信号を追うときは「OK と NG の境目」を探す。原因は、必ずその間にあります。

入口・A・B・C・D・出口の6つの箱でBまでOK、CからNG。真ん中のCから測り、A、Bの順で3回で原因はBとCの間とわかる

テスターとオシロで測る場所:例の回路の①〜⑦

例の回路で測る場所は、①8番 VCC・②1番 GND・③4番 RESET・④5番 CONT・⑤2番と6番・⑥3番 OUT・⑦LED の+側の7か所です。番号の順に測ると、上流から下流へ自然に進めます。

番号場所道具本来の値
①8番 VCC(1番との間)テスター DCV約5V
②1番 GND(電源の−との間)テスター DCV約0V
③4番 RESETテスター DCV約5V
④5番 CONTテスター DCV約3.3V
⑤2番・6番(コンデンサ)オシロ1.67V〜3.33V を往復
⑥3番 OUTオシロH と L をくり返す
⑦LED の+側オシロ・目で見る約1秒ごとに点滅

①〜④はテスターで測れる「止まった電圧」、⑤⑥はオシロで見る「動く電圧」です。⑦は、LED が点滅していれば目で見るだけでもかまいません。

つまり、測る場所は「電源・GND・止める端子・動きの元・出力」の順。どの IC でも、この並びは同じです。

例の回路図に測る場所の番号。1は8番VCC約5V、2は1番GND約0V、3は4番RESET約5V、4は5番CONT約3.3V、5は2番・6番で1.67〜3.33V、6は3番OUTでHとL、7はLEDの+側で点滅

正常値の表:例の回路で、本来はどうなるか

切り分けでは、測った値を「本来の値」と比べます。本来の値は、データシートの表と計算で、測る前に作っておきます。

場所本来の値根拠
① 8番 VCC約5V(4.5〜16V なら動く)データシートの推奨動作条件
② 1番 GND約0V電源の−と同じ
③ 4番 RESET約5VVCC につないでいる
④ 5番 CONT約3.3V(2.6〜4.0V)電気的特性(VCC=5V)
⑤ 2番・6番1.67V〜3.33V を往復しきい値 約1/3・2/3 VCC
⑥ 3番 OUTH 0.54秒・L 0.47秒tH・tL の式
電源の電流9.5mA 以下電源電流 max+LED+RA

CONT の2.6〜4.0V は、データシートの min〜max です。手元の1個が3.0V でも3.6V でも、この範囲なら正常です。

本来の値を知らないまま測ると、3.0V が正しいのかどうか判断できません。新しい回路を組むときは、組む前にこの表を作っておくと、動かないときにすぐ使えます。

つまり、正常値の表は切り分けの「答え合わせの紙」。データシートの min・max から作ります。

正常値の表。8番約5V、1番約0V、4番約5V、5番約3.3V(2.6〜4.0V)、2・6番は1.67V〜3.33Vを往復、3番はH0.54秒・L0.47秒、電源の電流は約10mA以下と、測る道具

テスターとオシロの使い分け:止まった値か、動く値か

変わらない電圧(電源・GND・リセット)はテスター、時間で変わる信号(発振・出力・ノイズ)はオシロで測ります。

測りたいもの道具理由
電源電圧・GND・リセットテスター数字1つで判定できる
断線・ショート(電源を切って)テスター(導通)鳴るか鳴らないかでわかる
発振・クロック・出力の時間オシロ時間の変化が見える
ノイズ・電源のゆれ・一瞬の信号オシロテスターでは平均の値になる

テスターは安く、電池で動き、どこへでも持っていけます。STEP1〜5 はテスターだけでできます。オシロが必要なのは、STEP6・7 の「動き」を見るときです。

POINT|オシロのプローブの GND は短く

オシロのプローブの GND のクリップは、測る場所の近くの GND につなぎます。長い線で遠くの GND につなぐと、本当はない波形のゆれが見えることがあります。

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つまり、テスターで土台(電源・GND・リセット)を固め、オシロで動きを見る。2つを順番に使います。

テスターは電源電圧・GND・リセット・断線・抵抗、オシロは発振・出力のHとLの時間・ノイズ・一瞬の信号・電源を入れた直後の動き

症状別の早見表:まず疑う場所

症状がはっきりしているときは、早見表で疑う場所を決め、そのステップから測り始めてもかまいません。

症状まず疑う所戻る STEP
電源の電流が制限値に張り付くショート・部品が逆STEP1・2
電流がほぼ0mA電源の線の断線・スイッチSTEP2・3
電源は正常でも動かないGND・リセットSTEP4・5
触ると動く・ときどき止まる接触不良・つながっていない入力STEP1・5
出力がずっと H か L のまま発振していない・リセットSTEP5・6
波形は出るが LED が点かない出力より後ろ(抵抗・LED)STEP7
波形がギザギザ・ゆれるパスコン・プローブの当て方STEP6

「触ると動く」ときは、接触不良か、どこにもつながっていない入力を疑います。手を近づけただけで動きが変わるなら、つながっていない入力の可能性が高くなります。

早見表で見当がつかないときは、フローチャートの STEP1 に戻って、上から順に確かめます。

つまり、症状から近道をしてもよい。ただし、迷ったら必ず上流に戻ります。

症状別の早見表。電流が制限値に張り付く、電流がほぼ0mA、電源は正常でも動かない、触ると動く、出力がHかLのまま、LEDが点かない、波形がゆれる、のそれぞれに疑う所と戻るSTEP

よくある失敗4つ:測り方で、かえって壊す・見誤る

切り分けで多い失敗は、電流レンジのまま電圧を測る・電源を入れたまま導通を測る・棒が隣の足に触れる・一度に何か所も変える、の4つです。

失敗1:電流レンジのまま電圧を測る

テスターの電流レンジは、中がほぼつながった状態です。そのまま電源の+と−に当てると、テスターの中で電源がショートします。測る前に、レンジと棒の差し込み口を確かめます。

失敗2:電源を入れたまま導通・抵抗を測る

導通と抵抗のレンジは、電源を切って測ります。電源を入れたままでは正しく測れず、テスターを傷めることもあります。

失敗3:当てた棒が隣の足に触れる

IC の足は2.54mm おきに並んでいます。棒が隣の足に触れると、測っている最中にショートさせてしまいます。細い棒先を使い、足の根元に当てます。

失敗4:一度に何か所も変える

何か所も同時に直すと、動いたとしても、どれが原因だったかわかりません。1か所直したら、そのつど確かめます。直したことをメモしておくと、あとで同じ失敗を防げます。

つまり、測る前に「レンジ・電源の入切・当てる場所」を確かめる。切り分けの道具で回路を壊さないことが、いちばん大事です。

よくある失敗4つ。電流レンジのまま電圧を測る、電源を入れたまま導通、当てた棒が隣の足に触れる、一度に何か所も変える、と防ぎ方

よくある質問(FAQ)

Q. 回路が動かない時は何から確かめる?

A. 電源→GND→リセット→信号の順に、上流から確かめます。まず電源を入れる前に、向きとショートを目で見ます。

Q. 電源電圧はどこで測ればいい?

A. 電源装置の端子ではなく、IC の VCC と GND の足の根元で測ります。途中の断線に気づけます。

Q. GNDが切れているかはどう確かめる?

A. 電源を入れたまま電源の−と IC の GND の電圧が0V に近いか、電源を切って導通で確かめます。

Q. テスターとオシロはどう使い分ける?

A. 電源やリセットのように変わらない電圧はテスター、発振や出力のように変わる信号はオシロで測ります。

Q. 触ると動く回路は何が原因?

A. 接触不良か、どこにもつながっていない入力が多い原因です。使わない入力は電源か GND につなぎます。

Q. 電流制限はいくつにすればいい?

A. 正常な電流の見積もりより少し上にします。例の NE555 の回路なら、約10mA に対して50mA です。

まとめ
  • 回路が動かない時は、電源→GND→リセット→信号の順に、上流から確かめる
  • STEP1 電源を入れる前に、向き・ショート・抜けを目で見る
  • STEP2 電流制限をかけて電源を入れる。多すぎはショート、ほぼ0は断線
  • STEP3〜5 IC の足で電源電圧・GND・リセットをテスターで測る
  • STEP6・7 発振と出力をオシロで見て、OK と NG の境目を探す
  • 測る前に、データシートと計算で「本来の値」の表を作っておく

次の一歩として、手元の回路で「本来の値」の表を1枚作ってみてください。電源・GND・リセット・動きの元・出力の5か所に、データシートの値を書き込むだけで、動かないときにどこから測ればいいかが決まります。

参考にした資料

法令・規格・資料は改訂されることがあります。実務で使うときは、発行元の最新版で確かめてください。

この記事の理解を深める本と道具
おすすめの道具

回路の電圧や導通を自分の手で確かめるなら、手元にテスターが1台あると便利です。三和電気計器のデジタルマルチメータ(テスター)CD772です。電圧や抵抗などを測れます。

おすすめの道具

波形を自分の目で確かめるなら、手元にオシロスコープが1台あると便利です。RIGOLのデジタル・オシロスコープ DHO804です。周波数帯域70MHz・4チャンネルで、12ビットの垂直分解能をもちます。

S
シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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オームの法則 V=IR とは?電圧・電流・抵抗の関係を「水道管」で図解|例題つき
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オームの法則 V=IR とは?電圧・電流・抵抗の関係を「水道管」で図解|例題つき

測った電圧と抵抗から電流を出す、オームの法則の例題

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抵抗値の決め方|電流・電圧・時間の3つの型で迷わない
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抵抗値の決め方|電流・電圧・時間の3つの型で迷わない

RA・RB のような抵抗の値を、電流・電圧・時間の型で決められる

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抵抗値Ω(オーム)とは?1Ωの意味とkΩ・MΩ、オームの法則の計算例
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抵抗値Ω(オーム)とは?1Ωの意味とkΩ・MΩ、オームの法則の計算例

10kΩ や68kΩ がどれくらいの大きさか、例題で確かめる

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