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全日効率は、1日の出力電力量÷(出力電力量+損失電力量)で求め、鉄損は24時間、銅損は(負荷率)²×時間でかけます。例題は全日効率の節、デマンド・流況曲線・自給率の計算は早見表から各節へ移れます。
結論|まず30秒でわかる答え
法規の電気施設管理の計算は、5つの型でほぼ解けます。全日効率は1日の出力電力量÷(出力電力量+損失電力量)で、鉄損は24時間、銅損は負荷の2乗×時間でかけます。変圧器の損失は W=Wi+α²Wc、最大需要電力は30分ごとの平均使用電力の最大値、水力の年間発電電力量は流況曲線の面積から、設備利用率は年間発電電力量÷(最大出力×8,760時間)、太陽光の自給率は自家消費した電力量÷消費した電力量×100%です。
この記事で整理する決まり(早見表)
項目名を押すと、その節へ移ります。
全日効率とは?1日をとおした変圧器の効率
ふつうの効率は「ある瞬間」の効率、全日効率は「1日分」の効率です。配電用の変圧器は、昼は重く夜は軽いというように、1日の中で負荷が大きく変わります。そこで、1日の電力量(kWh)で効率を比べます。
公式
全日効率 ηd = 1日の出力電力量 ÷(1日の出力電力量 + 1日の損失電力量)× 100 [%]
| 損失 | どんなときに出るか | 1日の電力量 |
| 鉄損 pi | 電圧がかかっていれば、負荷がなくても一定 | pi × 24 h |
| 銅損 pc | 負荷電流の2乗に比例。負荷があるときだけ | Σ(α² × pc × その時間) |
α は負荷の割合(そのときの皮相電力 ÷ 定格容量)です。負荷が半分なら、銅損は(1/2)²=1/4 になります。
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いちばんの落とし穴:負荷は皮相電力(kV·A)で比べる
変圧器の容量はkV·A(皮相電力)で表します。銅損は電流で決まるので、負荷の割合αも皮相電力で比べます。問題文の負荷がkWで書かれていたら、力率で割ってkV·Aにしてからαを求めます。
公式
皮相電力 S = P ÷ cosθ α = S ÷ 定格容量
| 負荷 | 力率 | 皮相電力 | α(定格50kV·A) |
| 40kW | 0.8 | 40 ÷ 0.8 = 50kV·A | 1.0 |
| 20kW | 1.0 | 20 ÷ 1.0 = 20kV·A | 0.4 |
一方、効率の分子と分母の出力電力量はkWh(有効電力)で数えます。「銅損はkV·Aで、出力はkWで」と覚えておきましょう。
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例題:50kV·Aの変圧器の全日効率を求める
問題:定格容量50kV·A、鉄損200W、全負荷銅損800Wの単相変圧器があります。1日の負荷は、40kW(力率0.8)が6時間、20kW(力率1.0)が10時間、残り8時間は無負荷です。全日効率と日負荷率を求めます。
STEP 1
出力電力量:40 × 6 + 20 × 10 = 240 + 200 = 440 kWh
STEP 2
鉄損の電力量:0.2 kW × 24 h = 4.8 kWh(無負荷の8時間も出る)
STEP 3
負荷の割合:40 ÷ 0.8 = 50kV·A → α=1.0。20 ÷ 1.0 = 20kV·A → α=0.4
STEP 4
銅損の電力量:0.8 × 1.0² × 6 + 0.8 × 0.4² × 10 = 4.8 + 1.28 = 6.08 kWh
STEP 5
全日効率:440 ÷ (440 + 4.8 + 6.08) × 100 = 440 ÷ 450.88 × 100 ≒ 97.6 %
日負荷率は、1日の平均電力 ÷ 最大電力で求めます。平均 = 440 ÷ 24 ≒ 18.3 kW、最大 = 40 kW なので、日負荷率 ≒ 18.3 ÷ 40 × 100 ≒ 45.8 %です。
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全日効率を高くするには?鉄損が小さい変圧器が有利
軽い負荷の時間が長い変圧器ほど、鉄損の影響が大きくなります。例題でも、無負荷の8時間に鉄損だけで0.2×8=1.6kWhを失っています。
| 比べる点 | 内容 |
| 最大効率になる負荷 | 銅損=鉄損のとき。例題では α = √(200/800) = 0.5(25kV·A) |
| 配電用変圧器 | 1日の大半は軽い負荷なので、鉄損の小さい変圧器(アモルファス鉄心など)が全日効率で有利 |
| 無負荷の時間 | 電圧がかかっていれば鉄損は出る。使わない変圧器を切り離すと鉄損をへらせる |
全日効率の計算ツール
変圧器の定格容量・鉄損・全負荷銅損と、時間帯ごとの負荷(kW・力率・時間)を入れてください。使わない行は時間を0にします。残りの時間は無負荷として計算します。
入れた数字は画面の中で計算するだけで、どこにも送信されません。電圧は一定、鉄損は24時間一定として計算します。
電験三種での出題と、よくある間違い
法規の電気施設管理で、変圧器の全日効率と日負荷率をあわせて求める計算が出ています(平成23年度 問11)。
| よくある間違い | 正しい考え方 |
| 鉄損に負荷の時間だけ掛ける | 鉄損は24時間ずっと出る |
| 銅損をkWの比で求める | 負荷の割合は皮相電力(kV·A)で比べる |
| 銅損は負荷に比例 | 銅損は負荷の2乗に比例する |
| 出力もkV·Aで数える | 出力電力量は有効電力(kWh) |
| 日負荷率を定格容量で割る | 日負荷率は平均電力 ÷ 最大電力 |
ここからは、変圧器の全日効率とあわせて出る決まりを、1つずつ節にまとめます。どの節も、条文の数字・図・過去問の順に読めます。
変圧器の更新による損失の削減|無負荷損・負荷損と省エネ基準達成率
要点変圧器の損失は、負荷に関係なく一定の無負荷損(主に鉄損)と、負荷率の2乗に比例する負荷損(主に銅損)の和です。負荷率 α のときの全損失は W = Wi + α²Wc(Wcは定格電流での負荷損)。トップランナー変圧器の省エネ基準達成率は、基準エネルギー消費効率 ÷ (Wi + 負荷率40%の負荷損) × 100 で、ここから更新後の負荷損を逆算できます。
変圧器の2つの損失
変圧器はつないでいるだけで電気を消費し、負荷が増えるとさらに損失が増えます。古い変圧器を新しい高効率の変圧器(トップランナー変圧器)に取り替えると、この損失を減らせます。
| 無負荷損 Wi | 負荷損 |
| 主な中身 | 鉄損(ヒステリシス損・渦電流損) | 銅損(巻線の抵抗による損失) |
| 負荷との関係 | 負荷に関係なく一定 | 負荷電流の2乗(負荷率の2乗)に比例 |
| 負荷率αのとき | Wi | α²Wc(Wcは定格電流での負荷損) |
公式
全損失 W = Wi + α²Wc (α = 負荷の皮相電力 ÷ 定格容量)
負荷率は皮相電力(kV·A)で比べます。負荷が kW で与えられたら、力率で割って kV·A にしてから定格容量で割ります。
省エネ基準達成率から負荷損を逆算する
トップランナー変圧器の性能は、負荷率40%のときの全損失を基準と比べた省エネ基準達成率で表されます(式は問題文で与えられます)。
公式
省エネ基準達成率[%]= 基準エネルギー消費効率 ÷ (Wi + Wc40) × 100
Wc40 は負荷率40%のときの負荷損で、0.4² = 0.16 倍して Wc40 = 0.16Wc です。
逆算の手順
STEP 1
Wi + 0.16Wc = 基準エネルギー消費効率 ÷ (達成率/100)
STEP 3
Wc = (右辺 − Wi) ÷ 0.16
達成率が100%より大きいほど、基準より損失が少ない(効率がよい)変圧器です。
電験三種の過去問で確かめる
定格容量500kV·A、更新前は無負荷損500W・負荷損6,700W。更新後は無負荷損150W・省エネ基準達成率140%。負荷は300kW・遅れ力率0.8。
令和8年度上期 問11(基準エネルギー消費効率 1,080W)
STEP 1
(a) 150 + 0.16Wc2 = 1,080 ÷ 1.4 ≒ 771.4 → Wc2 ≒ (771.4 − 150) ÷ 0.16 ≒ 3,880 W
STEP 2
負荷の皮相電力 = 300 ÷ 0.8 = 375 kV·A、負荷率 α = 375 ÷ 500 = 0.75、α² = 0.5625
STEP 3
更新前 W1 = 500 + 0.5625 × 6,700 ≒ 4,269 W
STEP 4
更新後 W2 = 150 + 0.5625 × 3,884 ≒ 2,335 W
STEP 5
(b) W2 ÷ W1 ≒ 2,335 ÷ 4,269 ≒ 55%
令和4年度下期 問12(基準エネルギー消費効率 1,250W)
STEP 1
(a) 150 + 0.16Wc2 = 1,250 ÷ 1.4 ≒ 892.9 → Wc2 ≒ 4,640 W
STEP 2
更新後 W2 = 150 + 0.5625 × 4,643 ≒ 2,762 W
STEP 3
(b) 2,762 ÷ 4,269 ≒ 65%
2つは同じ形で、基準エネルギー消費効率の数字だけがちがいます。手順を覚えれば確実に取れる問題です。
1年でどれだけ電力量が減るか(参考)
令和8年度上期の条件で、375kV·Aの負荷が1年中(8,760時間)続くとすると、(4,269 − 2,335) × 8,760 ≒ 約16,900kWh の損失が減る計算です。
最大需要電力(デマンド)の計算|30分平均と、負荷を止める台数
要点最大需要電力(デマンド)とは、正時から30分ごとに区切った平均使用電力(デマンド値)のうち、最も大きい値のことです。30分の平均を目標の値未満に抑えるには、すでに使った分を引いて「残りの時間に使える電力」を逆算し、超えそうなら負荷を止めます。高圧で受電する需要家の多くは、この値で契約電力が決まるので、工場ではデマンド監視装置で見張ります。
最大需要電力(デマンド)とは?30分ごとの平均の最大値
工場の使用電力は、機械が動いたり止まったりして、時間とともに上下します。そこで、0分〜30分、30分〜60分のように30分ごとに区切って平均の電力を出し、これをデマンド値と呼びます。1か月や1年のうちで最も大きいデマンド値が、最大需要電力です。
| 用語 | 意味 |
| デマンド値 | 30分間に使った電力量を、30分間の平均の電力(kW)に直した値 |
| 最大需要電力 | ある期間のデマンド値のうち、最も大きい値 |
| 目標デマンド | 超えないように管理する値(契約電力などをもとに決める) |
たとえると
30分間のテストの平均点のようなものです。途中で一瞬だけ高い点(瞬間的に大きな電力)をとっても、30分の平均で見れば大きくは響きません。逆に、平均が高い時間帯が1回でもあると、それが記録として残ります。
高圧で受電し、契約電力500kW未満の需要家の多くは、その月と過去11か月の最大需要電力のうち最も大きい値が契約電力になります(実量制)。一度大きなデマンドを出すと、その後1年近く基本料金に響くため、工場ではデマンドの管理が設備管理の仕事になります。料金のしくみは電力会社や契約で違うので、契約先の資料で確かめてください。
30分の平均を「面積」で考える
30分の平均電力は、「電力×時間」の合計(電力量)を30分で割ったものです。グラフにすると、電力の線の下の面積を、30分の幅の長方形にならしたものになります。
公式
30分の平均電力 =(P₁×t₁ + P₂×t₂ + …)÷ 30分
例題:20分間350kW使った。30分の平均を330kW未満にしたい
STEP 1
30分で使ってよい量(上限):330kW×30分=9,900kW·分
STEP 2
最初の20分で使った量:350kW×20分=7,000kW·分
STEP 3
残り10分で使える量:9,900−7,000=2,900kW·分
STEP 4
残り10分の電力の上限:2,900÷10=290kW
STEP 5
止める電力:350−290=60kW(「未満」にするには60kWより少し多く止める)
注意|ここで間違えやすい
問題文が「未満」のときは、上限の値ちょうどでは条件を満たしません。台数で止める計算では、割り算の答えを切り上げて、止めたあとの平均が本当に目標を下回るかを確かめましょう。
令和5年度上期 問10の解き方
9時00分から20分間、工場は310kWを使っていました。最大需要電力を300kW未満にするため、9時20分〜9時30分の間に、換気ファン(1台5.5kW)を何台かと、その他の負荷10kWを止めます。ファンは最低何台止める必要があるか、という問題です。
STEP 1
9時20分〜30分の電力の上限Pを求める:310×20+P×10=300×30
STEP 2
6,200+10P=9,000 → 10P=2,800 → P=280kW
STEP 4
ファンX台とその他10kW:5.5X+10=30 → 5.5X=20 → X≒3.64
| 止めるファン | 9時20分〜30分の電力 | 30分の平均 | 判定 |
| 3台(16.5kW) | 310−16.5−10=283.5kW | (6,200+2,835)÷30≒301.2kW | 300kW以上(だめ) |
| 4台(22kW) | 310−22−10=278kW | (6,200+2,780)÷30≒299.3kW | 300kW未満(よい) |
POINT
計算で出た3.64台を「4台」に切り上げたら、3台と4台の両方で平均を出して確かめると、まちがいがありません。
現場では「デマンド監視装置」で見張る
実際の工場では、デマンド監視装置が30分の途中で「このままだと目標を超える」と予測して警報を出し、空調や換気など止めても影響の小さい負荷から順に止めます(または止めるよう知らせます)。止める順番と、止めてよい台数(この問題の「最大8台」)は、あらかじめ決めておきます。
| 止める候補の例 | 止めやすさ | 注意 |
| 空調・換気ファン | 短時間なら止めやすい | 室温や換気の基準を守れる範囲で |
| 電気炉・ヒーター | 保温できれば止めやすい | 品質(温度)への影響を確かめる |
| 生産設備 | 止めにくい | 生産計画と相談して決める |
流況曲線から水力発電の年間発電電力量と設備利用率を求める
要点流込式水力発電所の年間発電電力量は、流況曲線(流量を多い順に並べたグラフ)から求めます。川の流量が最大使用水量より多い日は最大出力で発電し(あふれた分は溢水)、少ない日は川の流量で発電します。流量が直線で減る区間は、平均流量(両端の中点)で出力を出して日数と24時間を掛けます。設備利用率は、年間発電電力量 ÷(最大出力 × 8,760時間)です。
流況曲線とは?渇水量と溢水
川の流量は、雨の多い季節と少ない季節で大きく変わります。1年間(365日)の毎日の流量を、多い順に並べ替えてグラフにしたものが流況曲線です。横軸は日数、縦軸は流量で、右へ行くほど下がります。
| 用語 | 意味 |
| 渇水量 | 1年のうち355日はこれを下回らない流量(流況曲線の355日目) |
| 最大使用水量 Qm | 発電所が使える最大の流量(水車の大きさで決まる) |
| 溢水(いっすい) | 川の流量が最大使用水量を超えた分。発電に使えず、そのまま流す |
流込式(調整池がない)発電所では、ためておけないので、その日の川の流量で発電します。
年間発電電力量の求め方
出力は P = 9.8QHη[kW]です。流況曲線を、最大使用水量 Qm と同じ流量になる日 d1 で2つに分けます。
| 区間 | 使う流量 | 発電電力量 |
| 1日目〜d1日目(川の流量 ≧ Qm) | Qm(超えた分は溢水) | 9.8QmHη × 24 × d1 |
| d1日目〜365日目(川の流量 < Qm) | 平均流量 = (Qm + 365日目の流量) ÷ 2 | 9.8Q平均Hη × 24 × (365 − d1) |
公式
W = 9.8Hη × 24 × {Qm × d1 + Q平均 × (365 − d1)} [kWh]
流況曲線が直線で下がる区間は、台形の面積と同じなので、両端の流量の中点を平均流量にできます。
設備利用率
公式
設備利用率 = 年間発電電力量 ÷ (最大出力 × 8,760 h) × 100 [%]
最大出力は、最大使用水量で発電したときの 9.8QmHη です。1年中最大出力で発電したら100%になります。
電験三種の過去問で確かめる
令和7年度上期 問11
有効落差90m、最大使用水量は渇水量の2倍、総合効率80%、流況曲線は Q = −0.05d + 25.5(d ≧ 90)。
STEP 1
渇水量(355日目):−0.05 × 355 + 25.5 = 7.75 m³/s → Qm = 2 × 7.75 = 15.5 m³/s
STEP 2
15.5 = −0.05d1 + 25.5 → d1 = 200日
STEP 3
365日目:−0.05 × 365 + 25.5 = 7.25 m³/s、平均 = (15.5 + 7.25) ÷ 2 = 11.375 m³/s
STEP 4
(a) W = 9.8 × 90 × 0.8 × 24 × (15.5 × 200 + 11.375 × 165) ≒ 84.3 GWh
STEP 5
最大出力 = 9.8 × 15.5 × 90 × 0.8 ≒ 10,937 kW
STEP 6
(b) 設備利用率 = 84.3×10⁶ ÷ (10,937 × 8,760) ≒ 88.0%
令和6年度下期 問11
最大使用水量15m³/s、有効落差20m、水車効率90%・発電機効率95%、流況曲線は Q = −0.05d + 25(d ≧ 100)。
STEP 1
(a) 溢水の日数:15 = −0.05d1 + 25 → d1 = 200日
STEP 2
最大出力 P1 = 9.8 × 15 × 20 × 0.90 × 0.95 ≒ 2,514 kW
STEP 3
365日目:6.75 m³/s、平均 = (15 + 6.75) ÷ 2 ≒ 10.88 m³/s → P2 ≒ 1,823 kW
STEP 4
(b) W = 2,514 × 24 × 200 + 1,823 × 24 × 165 ≒ 19.3 GWh
効率が水車と発電機に分かれていたら、掛け合わせた総合効率を使います。
太陽光の自家消費と自給率の計算|発電と負荷のグラフの面積
要点太陽光の自家消費の計算は、発電電力と消費電力のグラフを1枚に重ね、面積で電力量を求めます。発電した電力量は発電のグラフの面積、系統へ送電した電力量は発電が消費を上回る部分の面積、自家消費した電力量はその差です。自給率は「自家消費した電力量÷消費した電力量×100[%]」で求めます。
発電・送電・自家消費・消費の4つの電力量
太陽光発電を置いた工場や店舗では、発電した電気をまず自分で使い(自家消費)、使いきれない分を電力会社の系統へ送ります(送電、逆潮流)。足りない時間は、系統から買います。
| 電力量 | グラフのどこか | 求め方 |
| 発電した電力量 | 発電のグラフの下の面積 | 太陽光のグラフの面積 |
| 送電した電力量 | 発電が消費を上回っている部分の面積 | 発電の面積のうち、消費の線より上の部分 |
| 自家消費した電力量 | 発電と消費が重なっている部分の面積 | 発電した電力量−送電した電力量 |
| 消費した電力量 | 消費のグラフの下の面積 | 消費電力×時間の合計 |
公式
自給率[%]= 自家消費した電力量 ÷ 消費した電力量 × 100
たとえると
お弁当づくりにたとえると、作った量(発電)のうち、自分で食べた量(自家消費)と、おすそわけした量(送電)に分かれます。自給率は「その日食べた全部の量(消費)のうち、自分で作ったものの割合」です。
注意|ここで間違えやすい
自給率の分母は消費した電力量です。発電した電力量で割ると、「発電のうち自分で使った割合(自家消費率)」という別の値になります。
例題:三角形の面積だけで解く
太陽光の出力が6時に0、12時に300kW、18時に0と直線的に変わり、消費電力は一日中150kWの工場を考えます(自作の例題です)。
STEP 1
発電した電力量:底辺12時間・高さ300kWの三角形 → 12×300÷2=1,800kWh
STEP 2
発電が150kWを超える時間:上り坂で150kWになるのは9時、下り坂で150kWになるのは15時
STEP 3
送電した電力量:150kWの線より上の三角形(底辺6時間・高さ300−150=150kW)→ 6×150÷2=450kWh
STEP 4
自家消費した電力量:1,800−450=1,350kWh
STEP 5
消費した電力量:150×24=3,600kWh
STEP 6
自給率:1,350÷3,600×100=37.5%
POINT
面積を求めるときは、まず「発電と消費の線が交わる時刻」を出します。直線のグラフなら、比例で時刻が決まります(0から300kWまで6時間で増えるので、150kWになるのは3時間後の9時)。
電験三種の過去問で確かめる
令和7年度上期 問13は、平成25年度 問12とまったく同じ問題です。出力600kWの太陽電池発電所を置いたショッピングセンターで、消費電力が時間帯で変わります。
| 時間帯 | 消費電力 | 発電 |
| 0〜10時 | 100kW | 6時から12時まで直線的に600kWまで増える |
| 10〜17時 | 300kW | 12時から18時まで直線的に0まで減る |
| 17〜21時 | 400kW | 0 |
| 21〜24時 | 100kW | 0 |
(a)系統へ送電した電力量
STEP 1
発電が消費を上回るのは7時(100kWを超える)から15時(300kWを下回る)まで
STEP 2
考え方:消費がずっと100kWだったとしたときの「100kWの線より上の三角形」から、10時以降に消費が300kWに増えた分(台形)を引く
STEP 3
100kWの線より上の三角形:底辺10時間(7〜17時)・高さ500kW → 10×500÷2=2,500kWh
STEP 4
差し引く台形:上底5時間(10〜15時)・下底7時間(10〜17時)・高さ200kW → (5+7)×200÷2=1,200kWh
STEP 5
送電した電力量:2,500−1,200=1,300kWh
(b)自給率
STEP 1
発電した電力量:12×600÷2=3,600kWh
STEP 2
自家消費した電力量:3,600−1,300=2,300kWh
STEP 3
消費した電力量:10×100+7×300+4×400+3×100=5,000kWh
STEP 4
自給率:2,300÷5,000×100=46%
注意|ここで間違えやすい
「100kWの線より上の三角形」は、発電の線と100kWの線が交わる7時と17時を底辺にした三角形です(17時は、仮に消費が100kWのままだったら発電が100kWまで下がる時刻)。台形を引くことで、10時〜17時に消費が300kWに増えた分を取り除いています。
よくある質問
Q. 全日効率とは簡単にいうと?
A. 変圧器の1日の出力電力量を、出力電力量と1日の損失電力量の和で割った効率です。
Q. 全日効率で鉄損に24を掛けるのはなぜ?
A. 鉄損は電圧がかかっていれば負荷に関係なく出るので、無負荷の時間も含めて24時間分になるからです。
Q. 銅損はどう求める?
A. 負荷の割合αの2乗に全負荷銅損を掛け、その負荷の時間を掛けます。αは皮相電力÷定格容量です。
Q. 全日効率と最大効率の違いは?
A. 最大効率はある負荷での効率の最大値で、銅損=鉄損のときです。全日効率は1日をとおした効率です。
Q. 日負荷率とは?
A. 1日の平均電力を最大電力で割った割合です。負荷がどれだけ平らかを表します。
Q. 変圧器の無負荷損と負荷損の違いは?
A. 無負荷損は主に鉄損で負荷に関係なく一定、負荷損は主に銅損で負荷率の2乗に比例して増えます。
Q. 最大需要電力とは?
A. 正時から30分ごとの平均使用電力(デマンド値)のうち、最も大きい値のことです。
Q. 流況曲線とは?
A. 1年間の毎日の河川流量を、多い順に並べ替えてグラフにしたものです。横軸が日数、縦軸が流量です。
Q. 太陽光の自家消費の計算方法は?
A. 発電と消費のグラフを重ね、重なった部分の面積を求めます。発電した電力量から送電した電力量を引いても求まります。
まとめ
- 全日効率=1日の出力電力量÷(出力電力量+損失電力量)
- 鉄損は負荷に関係なく24時間
- 銅損はα²×全負荷銅損×時間(αは皮相電力で)
- 出力はkWh、負荷の割合はkV·Aで数える
- 軽い負荷が長いほど、鉄損の小さい変圧器が有利
- 変圧器の損失は W=Wi+α²Wc。省エネ基準達成率から更新後の負荷損を逆算できる
- デマンドは30分ごとの平均使用電力の最大値。残りの時間に使える電力を逆算する
- 流況曲線で、最大使用水量より多い日は最大出力。設備利用率は8,760時間で割る
- 太陽光の送電した電力量は発電が消費を上回る部分の面積。自給率は自家消費÷消費×100%
参考にした資料
法令・規格・資料は改訂されることがあります。実務で使うときは、発行元の最新版で確かめてください。
この記事の理解を深める本と道具
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シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年
メーカーで電気設計と品質保証に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。
テーマ別に、もっと深く学ぶ
気になるところから読んでも大丈夫です。どの記事も、はじめて学ぶ人向けにやさしく書いています。
つまずきやすい「違い」を一気に解決
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