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コネクタの選び方は、流す電流 → ピッチと大きさ → 抜け止めと挿す回数 → 逆挿しを防げるか、の順です。JST の XH コネクタ(エックスエイチ)は AWG22 で 3A、PH は AWG24 で 2A で、定番5種類の値は比較表、つなぐ所ごとのおすすめは早見表にあります。
回路を基板にすると、電源・センサ・モーターなど、外とつなぐ所に必ずコネクタが要ります。コネクタは小さな部品ですが、選び方をまちがえると、抜ける・熱くなる・逆に挿して壊す、といった失敗につながります。
この記事では、マイコン基板の例で、定番のコネクタの選び方を順に説明します。数字は、メーカーのデータシートの値を使います。

この記事の例:マイコン基板の4つのコネクタ
12V で動くマイコン基板に、電源の入口・モーター・センサ・書き込み用の4つのコネクタをつける例で考えます。つなぐ相手と流す電流で、使うコネクタが変わります。
| つなぐ所 | 電流(例) | 選んだコネクタ |
|---|---|---|
| 電源の入口(12V アダプタ) | 1.5A | DCジャック |
| モーターへ | 1A | 端子台 |
| センサへ(5V) | 0.1A | XH 4ピン |
| 書き込み・確認用 | ほぼ流れない | ピンヘッダ 6ピン |
なぜこの組み合わせになるのかを、このあと「電流 → ピッチ → 抜け止め・回数 → 逆挿し → 工具」の順に見ていきます。
つまり、コネクタは「どこを・何 A で・何回つなぐか」で選びます。

定番のコネクタ5種類
電線と基板をつなぐ XH・PH、基板どうしや書き込みに使うピンヘッダ、アダプタの電源を受ける DCジャック、太い電線をねじで留める端子台が定番です。
XH・PH(JST):電線と基板をつなぐ
白いプラスチックの小さなコネクタです。基板には箱形のヘッダをはんだ付けし、電線には金属の端子を圧着してハウジングに入れます。XH はピッチ 2.5mm、PH は 2.0mm で、PH のほうが小さくなります。
ピンヘッダ:基板どうし・書き込み用
金色の四角いピンが 2.54mm(0.1インチ)おきに並んだ部品です。ブレッドボードやユニバーサル基板と同じ間隔なので、試作でよく使います。
DCジャック:アダプタの電源を受ける
AC アダプタの丸いプラグを挿す部品です。電源の入口に使います。
端子台:太い電線をねじで留める
電線の被覆をむいて差しこみ、ねじで締めて留めます。モーターや電源など、太い電線と大きな電流に向いています。
ピンヘッダを使うユニバーサル基板から、プリント基板へ進む試作の流れがわかる
つまり、電線なら XH・PH、基板どうしならピンヘッダ、電源の入口なら DCジャック、太い電線なら端子台が出発点です。

定番5種類の比較:データシートの値
定格電流は、XH 3A・PH 2A・ピンヘッダ 3A・DCジャック 2.5A・端子台 15A(例の品番)です。挿抜回数は、ピンヘッダの例が 25回、DCジャックの例が 5,000回で、XH・PH はカタログに記載がありません。
| 種類 | ピッチ | 定格電流(条件) | 挿抜回数 | 抜け止め |
|---|---|---|---|---|
| XH(JST) | 2.5mm | 3A(AWG22 のとき) | 記載なし | 弱ロック |
| PH(JST) | 2.0mm | 2A(AWG24 のとき) | 記載なし | 弱ロック |
| ピンヘッダ | 2.54mm | 3A(Würth WR-PHD) | 25回 | なし |
| DCジャック | — | 2.5A(PJ-102A) | 5,000回 | なし(摩擦) |
| 端子台 | 5.0mm | 15A(TB001-500・UL) | 記載なし | ねじ |
表の値は、XH・PH は JST のカタログ、ピンヘッダは Würth Elektronik の WR-PHD、DCジャックは Same Sky の PJ-102A、端子台は Same Sky の TB001-500(UL の値)です。同じ種類でも、メーカーや品番で値が変わります。
データシートの定格の表を、条件の注記まで読む順番がわかる
つまり、比べるときは同じ項目(ピッチ・定格・回数・抜け止め)をデータシートで並べます。

コネクタを選ぶ5つの順番
①流す電流 → ②電線の太さ → ③ピッチと大きさ → ④抜け止めと挿す回数 → ⑤逆挿し防止、の順に決めます。形や好みは最後です。
つまり、電流から順に決めていけば、候補は自然にしぼれます。

定格電流は「電線の太さ」とセットで書いてある
JST の XH は「AWG22 のとき 3A」、PH は「AWG24 のとき 2A」です。どちらも、使える電線のうちいちばん太い電線での値です。
XH に使える電線は AWG30〜AWG22、PH は AWG32〜AWG24 です。定格電流は、その中のいちばん太い電線を使ったときの値として書かれています。
細い電線を使えば、電線のほうが先に熱くなります。たとえば XH に AWG28 の細い電線をつないで 3A 流す、という使い方はしません。電線の太さは、電流と長さから先に決めておきます。
温度の条件もあります。XH の使用温度は −25〜+85℃ で、これは電流を流したときの温度上昇を含んだ値です。暑い箱の中で定格いっぱいに流すと、余裕がなくなります。
電線の抵抗で電圧が下がる理由と、計算式の考え方がわかる
部品を定格ぎりぎりで使わず、余裕を持たせる考え方がわかる
つまり、定格電流は「この太さの電線を使ったとき」の値として読み、細い電線なら少なめに考えます。

接点にも小さな抵抗がある:3A で 0.06V・0.09W
コネクタのピンと受け側がふれ合う所には、小さな抵抗(接触抵抗)があります。XH は最大 10mΩ で、3A なら行き帰りの2つの接点で 0.06V 下がり、1つの接点で 0.09W の熱が出ます。
3A×0.010Ω×2つ=0.06V、3A×3A×0.010Ω=0.09W です。小さく見えますが、熱はピン1本の小さな所に集まります。
XH のカタログでは、環境試験の後の接触抵抗は最大 20mΩ です。20mΩ なら 0.12V・0.18W と2倍になります。ゆるみや汚れでも接触抵抗は増えるので、定格ぎりぎりで使わないことが大切です。
つまり、接点は「小さな抵抗」。電流が大きいほど、熱は電流の2乗で増えます。

1ピンで足りなければ、ピンを並べて分ける
4A を XH で送るなら、+を2ピン・−を2ピンにして、1ピンあたり 2A にします。1ピンは定格の 70% 以内にするのが、この記事の目安です。
4A÷(3A×0.7)=1.9 なので、2ピンです。1ピンあたりは 2A(定格の 67%)になります。帰りの線(GND)も同じ数のピンにします。5A なら 5÷2.1=2.4 で3ピンです。
ピンを並べても、電流がぴったり均等に分かれるとは限りません。接触抵抗のわずかなちがいで、1本に多く流れることがあります。だから、ぎりぎりの本数にせず、余裕をとります。
つまり、大きな電流は「ピンを並べる」か「定格の大きなコネクタ(端子台など)に変える」で対応します。

ピッチ:2.5mm と 2.54mm は別物
ピッチは、となりのピンとの間の長さです。XH の 2.5mm と、ピンヘッダの 2.54mm は似ていますが別物で、10ピンなら端で 0.36mm ずれます。
| ピン数 | 2.54mm と 2.5mm の端のずれ |
|---|---|
| 2ピン | 0.04mm |
| 4ピン | 0.12mm |
| 6ピン | 0.20mm |
| 10ピン | 0.36mm |
ピッチが小さいほど、コネクタは小さくなりますが、使える電線は細くなり、手での作業もむずかしくなります。PH(2.0mm)は小さな機器、XH(2.5mm)は少し余裕のある基板、端子台(5.0mm)は太い電線、と使い分けます。
基板の穴の間隔は、コネクタのデータシートの寸法に合わせます。2.54mm のユニバーサル基板に 2.5mm の XH を挿すと、ピンが多いほど穴とずれていきます。
部品の足をのせる基板の形(フットプリント)を、データシートの寸法から作る考え方がわかる
つまり、ピッチは数字を正確に読み、似た数字のコネクタを混ぜないようにします。

抜け止め:振動する・引っぱられる所は留める
XH・PH は「弱ロック」で軽く留まり、ピンヘッダと DCジャックには留める仕組みがありません。端子台はねじで締めて留めます。
JST の製品ページでは、XH・PH のロックは「弱ロック」と書かれています。箱の中で動かない所なら十分ですが、振動する機器や、人が触るケーブルには、もっと強く留まるコネクタや端子台を考えます。
ピンヘッダは、差しこむ力だけで留まっています。DCジャックの PJ-102A は、抜き差しの力が 0.3〜3kg と書かれていて、引っぱれば抜けます。
端子台は、ねじで電線を締めて留めます。TB001-500 では、締める力(トルク)は 0.5N·m です。締め忘れやゆるみは、接触抵抗が増える原因になります。
つまり、動く・引っぱられる所ほど、留める仕組みの強いコネクタを選びます。

挿す回数:何度も抜き差しする所は回数の多い部品を
挿抜回数は部品で大きくちがいます。ピンヘッダの例(WR-PHD)は 25回、DCジャックの例(PJ-102A)は 5,000回です。
何度も抜き差しすると、ピンのめっきがすり減ったり、受け側のばねが弱くなったりして、接触抵抗が増えていきます。挿抜回数は、その回数までは性能が保たれる、という目安です。
ピンヘッダの 25回は、組み立てのときにつなぐ程度の回数です。書き込みのたびに抜き差しする所なら、試作の間にこえてしまうこともあります。毎日つなぎ直す所には、回数が多く書かれたコネクタを選びます。
XH・PH のカタログには、挿抜回数が書かれていません。何度も抜き差しする使い方をするなら、メーカーに確かめます。
つまり、「何回つなぎ直すか」を考えて、データシートの挿抜回数と比べます。

逆挿し・1ピンずれを防ぐ
XH・PH は囲いの形で向きが決まり、逆に挿しにくくなっています。ピンヘッダと DCジャックは、逆挿しやずれを自分で防ぐ工夫がいります。
ピンヘッダ:逆にも、ずらしても挿せる
ピンヘッダは形が左右対称なので、逆向きにも、1ピンずらしても挿せてしまいます。電源と GND が入れかわると、部品が壊れます。1番ピンに印をつける、囲いのあるヘッダに変える、などで防ぎます。
XH・PH:囲いの形で向きが決まる
XH・PH の基板側は箱形の囲いになっていて、ハウジングの形と合う向きで挿します。ただし、電線をどの順にハウジングへ入れるかは自分で決めるので、1番ピンと電線の色をそろえておきます。
DCジャック:極性を確かめる
DCジャックは、中心のピンが+か−かが機器ごとに決まっています。アダプタと機器の極性の記号で確かめます。プラグの中心の穴の太さ(PJ-102A は中心ピン 2.0mm)が合わないと、ゆるくて接触が悪くなります。
逆に挿されても壊れないように、電源の入口に入れる保護の3方式がわかる
つまり、形で向きが決まるコネクタを選び、それでも残る「並び」と「極性」は自分で確かめます。

工具が要るか:圧着・はんだ付け・ねじ
XH・PH は、金属の端子を電線に圧着してからハウジングに入れます。端子台は、被覆を 5〜6mm むいてねじで締めるだけです。
圧着が要る:XH・PH など
XH・PH の電線側は、端子を電線にかしめて留めます。JST のカタログでは、量産用の圧着機と、端子ごとの圧着型が案内されています。試作で手で作るときも、その端子に合った圧着工具を使います。
工具をそろえるのが大変なら、端子を圧着ずみの電線を買う方法もあります。JST の製品ページには、圧着加工の依頼の窓口もあります。
工具が少ない:端子台
端子台は、ドライバーがあれば使えます。TB001-500 では、被覆をむく長さは 5〜6mm、使える電線は 22〜12AWG です。
基板にはんだ付け:ピンヘッダ・DCジャック
ピンヘッダと DCジャックは、基板にはんだ付けします。DCジャックは、プラグのついた完成品のアダプタを挿すだけなので、電線側の工具は要りません。
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つまり、工具をそろえられるかも、コネクタを選ぶ理由の1つです。

早見表:つなぐ所ごとのおすすめ
電源の入口は DCジャック、モーターや太い電線は端子台、センサは XH・PH、書き込みはピンヘッダが出発点です。
| つなぐ所 | おすすめ | 気をつけること |
|---|---|---|
| 電源の入口(2A 程度まで) | DCジャック | 定格と極性を確かめる |
| モーター・太い電線 | 端子台 | 電線の太さに合う物 |
| センサ・小さな電流 | XH・PH | 向きが決まる・弱ロック |
| 2〜3A をケーブルで | XH(ピンを並べる) | AWG22・1ピン 70% 以内 |
| 書き込み・確認用 | ピンヘッダ | 逆挿しに注意 |
| 毎日つなぎ直す所 | 回数の書いてある物 | データシートで確かめる |
表は、この記事の例と目安です。実際の品番を決めるときは、データシートの定格・ピッチ・回数で確かめます。
選んだコネクタの品番を、ハウジング・端子・ヘッダまで部品表に書く方法がわかる
つまり、迷ったら「電流・挿す回数・振動」の3つで表を読みます。

確かめ:導通・1番ピン・引っぱり
挿す前に、テスターで導通と電線の並びを確かめます。挿したあとは、軽く引っぱって抜けないかを見ます。
最低限ここだけ(2つ)
1つ目は、1番ピンです。回路図のピン番号と、コネクタの1番ピン・電線の色が合っているかを確かめます。逆挿しや並びのまちがいは、ここで見つかります。
2つ目は、導通です。テスターで、コネクタの両端がつながっているか、となりのピンとはつながっていないかを確かめます。
余裕があれば
圧着した電線を軽く引いて、抜けないかを見ます。端子台は、ねじの締め忘れがないかを見ます。いちばん大きな電流で動かしたあと、コネクタが熱くなっていないかも確かめます。
USB の差し込み口から電源を取るときの、電流の上限と抵抗のつなぎ方がわかる
つまり、「1番ピン」「導通」「引っぱり」の3つを、実物で確かめます。

コネクタでよくある失敗4つ
多い失敗は、細い電線で定格まで流す・2.5mm と 2.54mm を混ぜる・ピンヘッダの逆挿し・ペンチで圧着する、の4つです。
失敗1:細い電線で定格まで流す
定格電流は、使える中でいちばん太い電線のときの値です。細い電線なら、電流を少なめに考えます。
失敗2:2.5mm と 2.54mm を混ぜる
似ていても別のピッチです。ピンが多いほどずれて、挿さらなかったり、無理に挿してピンが曲がったりします。
失敗3:ピンヘッダの逆挿し
左右対称なので逆にも挿せます。電源と GND が入れかわると壊れるので、1番ピンに印をつけます。
失敗4:ペンチで圧着する
端子に合わない工具でつぶすと、電線が抜けやすく、接触抵抗が増えて熱くなります。端子に合った圧着工具を使います。
つまり、「電線の太さ」「ピッチ」「向き」「圧着」の4つを守れば、大きく外しません。


