回路設計

回路の試作の進め方|ブレッドボード→ユニバーサル基板→プリント基板

ブレッドボード・ユニバーサル基板・緑のプリント基板の上でそれぞれ赤いLEDが光る写真に、回路の試作の進め方・ブレッドボード→基板・3段階の文字

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回路の試作は、ブレッドボードで動くかを確かめ、ユニバーサル基板で使えるかを確かめ、必要なときにプリント基板へ進む3段階です。ユニバーサル基板の配線は配置図を先に描く節、発注前の点検はチェック8つへ。

結論|まず30秒でわかる答え

回路の試作の進め方は、3段階です。
①ブレッドボードで「動くか」を確かめる
②ユニバーサル基板で「使えるか(しばらく動かす・持ち運ぶ)」を確かめる
③同じものを何枚も作る・速い信号を通す・小さくしたいときにプリント基板へ進む
ユニバーサル基板は、先に配置図を描き、裏から見た図(左右が反対)を作ってから配線します。プリント基板は、回路図レビューと部品の形の確認をしてから発注します。

この記事に出てくる言葉

わからない言葉が出てきたら、ここに戻ってきてください。本文でも、初めて出たところで言い換えます。

試作本番の前に、回路が思ったとおり動くかを確かめるために作ってみること
ブレッドボード穴に部品を差すだけで回路が組める板。はんだ付けは要らない
ユニバーサル基板穴が一定の間隔で並んだ基板。部品をはんだ付けし、線で自由につなぐ
プリント基板銅のパターン(線)で、最初から部品どうしがつながっている基板。メーカーに発注して作る
ランド穴の周りの銅の丸。ここに部品の足や線をはんだ付けする
2.54mmピッチ穴と穴の間隔が2.54mm(0.1インチ)。多くの部品の足の間隔と同じ
フットプリントプリント基板の上の、部品を付けるための穴やランドの形
ガーバープリント基板を作るためにメーカーへ渡す製造データ

回路を考えたら、次は「形にする」です。ところが、ブレッドボードで動いた回路を、そのままの感覚でユニバーサル基板やプリント基板にすると、配線の間違いや部品の向きの間違いが起きやすくなります。

この記事では、マイコンの信号でLEDを点ける小さな回路を例に、3つの段階で「何を確かめるか」「どう作るか」を順に説明します。

ブレッドボード・ユニバーサル基板・緑のプリント基板の上でそれぞれ赤いLEDが光る写真に、回路の試作の進め方・ブレッドボード→基板・3段階の文字

結論:試作は3段階、段階ごとに確かめることが違う

試作は、ブレッドボード(動くか)→ユニバーサル基板(使えるか)→プリント基板(何枚も作れるか)の3段階で進めます。前の段階で答えが出てから、次へ進みます。

段階確かめることかかる時間(目安)
1 ブレッドボード回路が動くか。抵抗などの値を決める数分〜
2 ユニバーサル基板しばらく動かし続けても・持ち運んでも大丈夫か半日〜1日
3 プリント基板同じものを何枚も作れるか。小さく・じょうぶにできるか数日〜2週間ほど

いきなりプリント基板を作ると、回路の間違いが見つかったときに作り直しになります。ブレッドボードなら差し替えるだけ、ユニバーサル基板なら線を1本直すだけで済みます。

反対に、ブレッドボードのままずっと使うと、部品が抜けたり、接点が緩んだりして、動いたり止まったりします。段階ごとに得意なことが違うので、順に進めるのが近道です。

つまり、試作は「直しやすい形で確かめてから、じょうぶな形にする」順番で進めます。

3段階のカード。ブレッドボードは動くか、ユニバーサル基板は使えるか、プリント基板は何枚も作れるか。目安の日数は数分〜、半日〜1日、数日〜2週間ほど

3つの試作の形:差す・線をはんだ付け・銅のパターン

同じ回路でも、ブレッドボードは部品を差してつなぎ、ユニバーサル基板は線をはんだ付けしてつなぎ、プリント基板は最初から銅のパターンでつながっています。

ブレッドボードは、穴の中のばねの金具が部品の足をはさみます。はんだごては要りません。

ユニバーサル基板は、2.54mmごとに穴があいた板です。穴の周りに銅の丸(ランド)があり、部品の足や線をはんだ付けしてつなぎます。となりの穴とはつながっていないので、つなぎ方は自分で決めます。

プリント基板は、回路図から作った銅のパターンで、部品どうしが最初からつながっています。自分で作ることもできますが、今はデータを作ってメーカーに発注するのがふつうです。

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つまり、3つは「つなぎ方」が違います。つなぎ方が変わると、変更のしやすさとじょうぶさが変わります。

ブレッドボードにジャンパー線、ユニバーサル基板のランドとスズめっき線、緑のプリント基板の銅のパターンの3つの絵

ブレッドボードの中:縦5つの穴が1枚の金属の板でつながる

ブレッドボードは、縦に並んだ5つの穴が中の金属の板でつながっています。手軽な代わりに、つなぎ目が多く、となりの列どうしが近いのが弱点です。

中央の溝をはさんだ上と下は、別の板です。抵抗やICは、溝をまたいで差すと、それぞれの足が別の列になります。

となりの列の金属の板どうしは、すき間をはさんで向かい合っているので、小さなコンデンサになります。DigiKey の測定では、となりの列の間で約2pF、回路によっては約5pFという例があり、100kHz〜1MHz あたりから影響が出始めるとされています。

流せる電流にも上限があります。BusBoard の BB830 のデータシートでは、36V・2A、差せる線は直径0.4〜0.7mm です。商品ごとに違うので、使う品のデータシートで確かめます。

注意|ブレッドボードで「動いた」は、速い信号では当てにならないことがある

1MHz を超えるような速い信号や、大きな電流がオン・オフする回路では、ブレッドボードの線とつなぎ目が回路の一部のように効いてきます。動き方が基板と違うことがあります。

つまり、ブレッドボードは「動くか・値は合っているか」を手早く確かめる道具です。そのまま長く使う道具ではありません。

ブレッドボードの縦5つの穴が1つの金属の板でつながる図。溝の上と下は別。となりの列の間は約2〜5pF、BB830の定格は36V・2A

3つの試作の向き・不向き:電流・速い信号・振動

変更のしやすさはブレッドボードが一番、じょうぶさ・速い信号・電流の扱いはプリント基板が一番です。ユニバーサル基板はその中間です。

ブレッドボードユニバーサル基板プリント基板
変更のしやすさ抜いて差すだけはんだを外す作り直し
電流接点で決まる(例 2A)線の太さで決まるパターンの幅で設計する
速い信号1MHz 前後から苦手線を短くすれば扱えるGNDの面を作れて強い
振動・持ち運び部品が抜けやすいはんだで固定いちばん強い
何台作るか1台(その場で)1〜数台数枚〜(同じもの)

ユニバーサル基板の電流は、使う線の太さで決まります。細いスズめっき線で大きな電流を流すと、線が熱くなります。電流の大きい所だけ太い線にするか、線を2本並べます。

速い信号に強いかどうかは、線の長さとGNDの取り方で決まります。プリント基板では、一面を銅で覆ったGND(ベタGND)を作れるので、信号の帰り道が短くなり、ノイズにも強くなります。

つまり、「電流が大きい」「信号が速い」「振動がある」ほど、早めにプリント基板へ進む理由になります。

変更のしやすさ・電流・速い信号・振動・何台作るか・かかる時間を、ブレッドボード・ユニバーサル基板・プリント基板で比べた表

この記事で試作する回路:マイコンの信号でLEDを点ける

例は、マイコンの3.3Vの信号でトランジスタ(2N3904)をON・OFFし、5VでLEDを点ける回路です。部品は5つです。

入力(IN)に3.3Vが来ると、2.4kΩを通ってトランジスタのベースに電流が流れ、トランジスタがONになります。すると、5V→150Ω→LED→トランジスタ→GND の道に約19mAが流れ、LEDが光ります。

記号部品役目
J1ピンヘッダ 3本5V・IN・GND をつなぐ口
R12.4kΩベースに流す電流を決める
R2150ΩLEDの電流を約19mAに決める
Q12N3904LEDをON・OFFするスイッチ
LED赤 5mm光れば成功

値の決め方は、前の記事で説明しています。この記事では、値が決まった回路を「どう形にするか」に集中します。

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この回路の 2.4kΩ と 150Ω を、3ステップで計算した手順がわかる

つまり、ブレッドボードでこの回路が動き、値が決まったら、ユニバーサル基板に進む準備ができています。

入力3.3VからR1 2.4kΩで2N3904のベースへ、+5VからR2 150ΩとLEDを通ってコレクタへ、エミッタはGNDの回路図と部品表

ユニバーサル基板の基本:2.54mmの穴と、銅の丸(ランド)

ユニバーサル基板は、2.54mmごとに穴があき、穴の周りに銅の丸(ランド)がある板です。部品は表から差し、裏でランドと線をはんだ付けしてつなぎます。

一番よく使うのは、片面だけにランドがあり、ランドどうしが1つずつ離れている形です。となりの穴とはつながっていないので、つなぎたい所に自分で線を引きます。

つなぐ線は3種類を使い分けます。

線使う所
スズめっき線(裸の線)まっすぐ短い所。5V・GNDの外周の線(バス)
被覆線(ビニールで覆った線)線どうしが交わる所、長く引く所
部品の足切る前に曲げて、となりのランドまでそのまま使う

例として、秋月電子通商の「片面ガラス・ユニバーサル基板 Cタイプ」は 72×47.5mm・ガラスエポキシで、税込140円です(執筆時の販売ページ。価格は変わることがあります)。

つまり、ユニバーサル基板は「穴は並んでいるが、つながりは自分で作る」板です。だから配線の前の計画が大事になります。

2.54mmピッチの穴とランドの拡大図。スズめっき線・被覆線・部品の足の3種類のつなぎ方と、秋月電子のCタイプ72×47.5mm・税込140円の例

配置図を先に描く:部品面から見た穴の位置

はんだ付けを始める前に、方眼に部品の位置を全部描きます。例の回路なら、14×9 の穴に収まります。

STEP 1

上の行を5V、下の行をGNDに決める(外周の線=バス)

STEP 2

回路図と同じ並びで、左から 入力(J1)→ R1 → トランジスタ → LED と置く

STEP 3

部品の足の位置を、穴の番号(列・行)で書き込む。LED の向き・トランジスタの平らな面の向きも書く

STEP 4

線を引く所を決め、交わる所は被覆線にする

例では、J1 を1列目の3〜5行、R1 を4行目の4〜8列、トランジスタを6行目の7〜9列(左から E・B・C、平らな面が下)、R2 を12列目の1〜5行、LED を12列目の6〜7行(長い足が上)に置きました。

POINT|回路図と同じ並びにすると、間違いを見つけやすい

回路図で左から右へ流れる信号を、基板でも左から右へ並べると、組んだあとに回路図と見比べやすくなります。テスターで測る所も探しやすくなります。

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つまり、配置図は「部品の位置・向き・線の道すじ」を全部決めてから描き終えます。はんだごてを持つのはそのあとです。

14×9穴のユニバーサル基板の部品面。J1(5V・IN・GND)が左、R1 2.4kΩ、トランジスタ(左からE・B・C、平らな面が下)、R2 150Ω、LED(長い足が上)

裏(はんだ面)から見ると、左右が反対になる

配線は裏で作業するので、表の図を左右反転した「裏から見た図」を作ってから配線します。そうしないと、左右が逆につながります。

基板をひっくり返すと、表で左にあった J1 は右に来ます。トランジスタの足も、表から見て E・B・C だったものが、裏から見ると C・B・E の順に並びます。

表の図を見ながら裏で配線すると、頭の中で左右を入れ替え続けることになり、どこかで間違えます。紙に描いた配置図を裏から透かして写すか、ソフトで左右反転した図を印刷しておきます。

注意|トランジスタやICの足は、裏から見ると順番が逆

トランジスタの E と C を逆につなぐと、ほとんど動きません。ICも、表から見て左上が1番ピンなら、裏から見ると右上が1番ピンです。

つまり、配線するときは必ず「裏から見た図」を手元に置きます。

表から見た図ではJ1が左でトランジスタはE・B・C、裏から見た図ではJ1が右でC・B・Eの順になる比較

裏の配線のコツ:5VとGNDは外周の線(バス)にまとめる

裏の配線は、5V と GND を外周の線(バス)にまとめ、信号の線は短くまっすぐ引きます。線が交わる所だけ被覆線にします。

コツ1

5V を上の行、GND を下の行に、スズめっき線で1本ずつ引く。どの部品からも近くなる

コツ2

信号の線(入力→R1→ベース)は、できるだけ短く、まっすぐ引く

コツ3

線どうしが交わる所は、被覆線で上を越える。裸の線どうしを交差させない

コツ4

となりのランドとの間は、はんだを盛りすぎない(ブリッジ=となりとつながる失敗)

コツ5

電流の大きい線は太くするか2本並べ、GND は特に太く短く

例の回路の裏の配線は、赤が5V、青がGND、緑が入力からベースまで、橙が R2→LED→コレクタ です(色は説明のため。実物はスズめっき線)。裏から見ているので、列の番号は右から1です。

つまり、配線は「電源とGNDを先に、信号は短く、交わる所は被覆線」の順で考えます。

裏から見た配線図。上の行が5V、下の行がGNDのバス、緑は入力からR1とベース、橙はR2からLEDとコレクタ。列の番号は右から1

はんだ付けの順と、テスターでの確かめ

はんだ付けは、背の低い部品から順に付けます。電源を入れる前に、5V と GND の間がつながっていない(ショートしていない)ことをテスターで確かめます。

①

線(バス・ジャンパー):いちばん背が低い

②

抵抗:基板に寝かせて付ける

③

LED・トランジスタ:向きを配置図と照らし合わせてから付ける

④

ピンヘッダ:いちばん背が高い

⑤

電源を入れる前に、テスターの導通(ブザー)で 5V と GND の間を確かめる

背の低い部品から付けると、基板を裏返したときに部品が浮かず、押さえやすくなります。

テスターの導通のレンジで 5V と GND の間を当て、鳴らなければ大丈夫です。鳴ったら、どこかでショートしています(大きなコンデンサがある回路では、一瞬鳴ってから止まることがあります)。電源を入れずに、となりのランドどうしがはんだでつながっていないかを探します。

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つまり、「低い部品から付ける」「電源の前に導通を確かめる」の2つで、失敗の多くを防げます。

はんだ付けの順(線、抵抗、LEDとトランジスタ、ピンヘッダ)と、電源を入れる前にテスターの導通で5VとGNDの間を確かめる図

プリント基板を作る流れ:回路図から発注まで7ステップ

プリント基板は、回路図→部品の形(フットプリント)→配置・配線→ルールの確認→ガーバー→発注→届いたら確かめる、の流れで作ります。

回路図を描くソフト(基板設計のソフト)で、部品ごとにフットプリント(穴やランドの形)を選びます。ここで足の番号や穴の大きさを間違えると、回路図が正しくても部品が付きません。

配置・配線をしたら、ソフトのルールの確認(DRC)で、線の太さや線どうしの間隔が、メーカーで作れる範囲に入っているかを確かめます。最後に、製造データ(ガーバー)を出力し、ビューアで開いて見てから発注します。

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つまり、プリント基板は「回路図が正しい」だけでは足りず、「部品の形が正しい」まで確かめて初めて使えます。

回路図、部品の形、配置・配線、ルールの確認(DRC)、ガーバー、発注、届いたら確かめるの7ステップ

プリント基板を発注する前のチェック8つ

発注の前に、回路図レビューと、基板の形の確認をセットで行います。直すのが一番安いのは発注の前です。

確かめること
1回路図レビュー(電源・GND・未接続ピン)
2フットプリントの足の番号と、部品の向きの印(シルク)
3穴の大きさ(部品の足が入るか)
4電流の大きい線の太さ
5パスコンが IC の電源ピンのすぐ横にあるか
6基板の大きさ・取り付け穴・コネクタの位置
7テストポイント(テスターやオシロを当てる所)を残したか
8ガーバーをビューアで開いて、層と穴を見る

1つ目の回路図レビューは、項目が多いので、チェックリストを使うと漏れが減ります。2〜8は基板ならではの確認です。

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つまり、発注前は「回路図」と「基板の形」の2つを確かめます。どちらか片方では足りません。

8つのチェック。回路図レビュー、フットプリントの足の番号と向き、穴の大きさ、線の太さ、パスコンの位置、大きさと取り付け穴、テストポイント、ガーバーをビューアで見る

届く前にできる確かめ:原寸で印刷して部品を当てる

基板の図を原寸(100%)で紙に印刷し、手元の部品を当てると、足の間隔・並び・向きの間違いを発注前に見つけられます。

たとえば、抵抗の穴の間隔を 7.62mm(2.54mm×3)にしたのに、手元の抵抗の足を 10.16mm(2.54mm×4)で曲げるつもりなら、紙の上で合わないことがすぐわかります。トランジスタの E・B・C の並びや、LED の平らな側(カソード)の向きも、紙の上で確かめられます。

注意|印刷の倍率は100%

印刷の設定で「ページに合わせる」にすると、図が縮んだり伸びたりして、大きさの確認になりません。倍率は100%にします。

つまり、紙1枚で「付けられない基板」を防げます。費用はほぼかかりません。

原寸で印刷した紙にトランジスタを当ててE・B・Cが合う例、抵抗の足10.16mmが穴7.62mmに合わない例、LEDのシルクの平らな側

費用と日数の目安

基板の費用は、ブレッドボードは本体が数百円から(目安)、ユニバーサル基板は小さいもので百数十円、プリント基板は注文画面の見積もりで確かめます。日数は、数分〜・半日〜1日・数日〜2週間ほどが目安です。

段階基板の費用日数
ブレッドボード本体 数百円〜(目安。部品は使い回せる)数分〜
ユニバーサル基板140円(秋月 Cタイプ)+線・はんだ半日〜1日(目安)
プリント基板基板代+送料(注文画面の見積もりで確かめる)製造24時間〜+輸送(目安で数日〜2週間ほど)

プリント基板の製造日数の例として、JLCPCB のヘルプでは、1〜2層・10cm角以内・5枚なら製造24時間、50枚未満なら1〜2日、4層なら2〜5日とされています。届くまでには輸送の日数が足され、配送方法で変わります。

回路図からガーバーを作るまでにも、慣れないうちは数日かかります(目安)。急ぐときほど、ブレッドボードとユニバーサル基板で回路を固めてから発注すると、作り直しの日数を減らせます。

つまり、プリント基板は「製造は早いが、届くまでと作り直しに日数がかかる」と考えて計画します。

ブレッドボード本体数百円〜で数分〜、ユニバーサル基板140円で半日〜1日、プリント基板は見積もりで製造24時間〜と輸送の表

次の段階へ進む合図

「回路の値が決まって差し替えなくなった」ら、ユニバーサル基板へ。「同じものを2台以上作る・速い信号や大きな電流で配線が苦しい」ら、プリント基板へ進みます。

ブレッドボード → ユニバーサル基板

回路の値が決まり、もう差し替えない。持ち運んだり、しばらく動かし続けたりしたい。接触不良で動いたり止まったりする。どれか1つでも当てはまれば、ユニバーサル基板に進む合図です。

ユニバーサル基板 → プリント基板

同じものを2台以上作る。速い信号や大きな電流で、ユニバーサル基板の配線では苦しい。小さく、じょうぶにしたい。このどれかに当てはまれば、プリント基板に進みます。

逆に、1台だけで、信号も遅く、電流も小さいなら、ユニバーサル基板のまま完成にしてもかまいません。

つまり、次へ進むかどうかは「何を確かめたいか・何台いるか」で決めます。

ブレッドボードからユニバーサル基板へ進む合図3つと、ユニバーサル基板からプリント基板へ進む合図3つ

よくある失敗3つ:裏表の取り違え・線のまま・部品を当てずに発注

試作の失敗は、裏表の左右を取り違える、ブレッドボードの長い線をそのまま写す、部品を当てずに発注する、の3つが代表です。

失敗1:裏表の左右を取り違える

表の配置図を見ながら裏で配線すると、左右が逆につながります。トランジスタでは E と C が入れ替わり、ほとんど動きません。裏から見た図を作ってから配線します。

失敗2:ブレッドボードの線のまま写す

ブレッドボードでは長いジャンパー線で遠回りしていても、そのまま基板に写すと、線が長いぶんノイズを拾いやすくなります。基板にするときは、線を短く、GND を太く引き直します。

失敗3:部品を当てずに発注する

フットプリントの足の間隔や並びが、手元の部品と合わないと、届いた基板に部品が付きません。原寸で印刷して、部品を当ててから発注します。

つまり、失敗の多くは「確かめる前に次の段階へ進んだ」ことから起きます。

3つの失敗。裏表の左右の取り違え(表からE・B・C、裏からC・B・E)、遠回りの長い線、抵抗の足の間隔が穴に合わない

よくある質問(FAQ)

Q. 回路の試作はブレッドボードから始めるべき?

A. はい。差すだけで組めて、値の変更もすぐできます。動くことと値を確かめてから、ユニバーサル基板やプリント基板へ進みます。

Q. ユニバーサル基板とプリント基板はどう使い分ける?

A. 1〜数台で信号が遅いならユニバーサル基板、同じものを何枚も作る・速い信号・小さくしたいときはプリント基板です。

Q. ユニバーサル基板の配線のコツは?

A. 配置図を先に描き、裏から見た図(左右反転)を作ってから配線します。5VとGNDは外周の線にまとめます。

Q. ブレッドボードで動いたのに基板で動かないのはなぜ?

A. 線の長さ・GNDの道すじ・つなぎ目・部品の向きが変わるからです。配線を短くし、部品の向きを確かめます。

Q. プリント基板を発注する前に何を確かめる?

A. 回路図レビューに加え、フットプリントの足の番号と向き、穴の大きさ、線の太さ、ガーバーの見た目を確かめます。

Q. プリント基板は届くまで何日かかる?

A. 製造は1〜2層・5枚なら24時間の例がありますが、輸送の日数が足されます。数日〜2週間ほどを目安に計画します。

まとめ
  • 試作は、ブレッドボード(動くか)→ユニバーサル基板(使えるか)→プリント基板(何枚も作れるか)の3段階
  • ブレッドボードは手軽だが、となりの列の間 2〜5pF・定格の例 2A。速い信号と大きな電流は苦手
  • ユニバーサル基板は、配置図を先に描き、裏から見た図(左右が反対)で配線する
  • 5V・GND は外周の線にまとめ、信号は短く、交わる所は被覆線
  • プリント基板は、回路図レビューとフットプリントの確認、原寸の印刷で部品を当ててから発注
  • 費用と日数は目安で計画し、プリント基板の代金と送料は見積もりで確かめる

次の一歩として、手元のブレッドボードで動いた回路を1つ選び、14×9 ほどの方眼に配置図を描いてみてください。裏から見た図まで描けたら、ユニバーサル基板にする準備は完了です。

参考にした資料

法令・規格・資料は改訂されることがあります。実務で使うときは、発行元の最新版で確かめてください。

この記事の理解を深める本と道具
おすすめの道具

回路を実際に組んで、電流や電圧を確かめてみたいときに向いています。サンハヤトのブレッドボード SAD-101です。408個の穴に部品を差し込むだけで、はんだ付けをせずに回路を組めます。

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シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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寄生インダクタンスとは?配線1cmで何nHかとサージの計算を図解

ブレッドボードの長い線が何nH のコイルになるかを計算できる

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電力の公式が混乱する人へ|P=VI・I²R・V²/Rの使い分け完全整理
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細い線に電流を流すと熱くなる理由を、電力の式で確かめる

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抵抗値Ω(オーム)とは?1Ωの意味とkΩ・MΩ、オームの法則の計算例
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はんだ不良の「つなぎ目の抵抗」が何Ωで問題になるか、オームの法則で考える

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