回路設計

3端子レギュレータの発熱計算|LM7805の損失と放熱の早見表

放熱板にねじで止めたTO-220の3端子レギュレータとコンデンサの写真に、3端子レギュレータの発熱計算・2.2Wが熱に・(12V−5V)×0.3A≒2.2Wの文字

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3端子レギュレータ(三端子レギュレータ)の発熱は、損失=(入力−出力)×電流で計算します。LM7805 で 12V→5V・0.3A なら約2.2W で、放熱板なし・周囲40℃では熱保護で止まる温度になります。計算はSTEP1、損失と放熱の目安は早見表にあります。

結論|まず30秒でわかる答え

3端子レギュレータの発熱計算は、損失 P=(入力−出力)×電流+入力×静止電流 を出し、TJ=周囲の温度+P×θJA が上限を超えないかで判断します。
LM7805 で 12V→5V・0.3A なら損失は約2.2W。放熱板なしでは周囲40℃ で TJ 約159℃ になり、熱保護で止まります。入力を 8V に下げるか、20℃/W の放熱板をつけると、約92〜95℃ に下がります。

この記事に出てくる言葉

わからない言葉が出てきたら、ここに戻ってきてください。本文でも、初めて出たところで言い換えます。

3端子レギュレータ入力・GND・出力の3本の足で、決まった電圧(例:5V)を作る部品。LDO の仲間
損失部品の中で熱になる電力。単位は W(ワット)
静止電流レギュレータ自身が動くために使い、GND へ流れる電流
TJ(接合温度)部品の中のチップの温度。表面より高い
θJA(シータ ジェイエー)1W の熱で、中の温度が周りより何℃上がるか。℃/W
θJC・θSA中→ケース、放熱板→空気の熱の通りにくさ。足し算で θJA になる
ψJT(プサイ ジェイティー)表面の温度から中の温度を見積もるための数字
熱保護(サーマルシャットダウン)中が熱くなりすぎると、自分で出力を止める仕組み

3端子レギュレータ(三端子レギュレータ)は、足が3本だけで、決まった電圧を作れる便利な部品です。代表は 7805(5V)で、多くのメーカーが同じ名前の系列を作っています。

ところが、使ってみると「触れないほど熱い」ことがよくあります。この記事では、TI の現行品 LM7805 のデータシートの数字を使い、熱の計算と、熱すぎるときの対策を順に説明します。

放熱板にねじで止めたTO-220の3端子レギュレータとコンデンサの写真に、3端子レギュレータの発熱計算・2.2Wが熱に・(12V−5V)×0.3A≒2.2Wの文字

なぜ熱くなる? 入力の電力の約6割が熱になる

3端子レギュレータは、入力と出力の電圧の差を熱にして捨てます。12V→5V・0.3A では、入ってくる約3.7W のうち約2.2W が熱になります。

3端子レギュレータの中には、電流の通り道をしぼる部品があります。出力が 5V になるように、しぼり具合を自動で調整します。12V を 5V にするなら、差の 7V 分はしぼる部品の中で熱になります。

入ってくる電力は、12V×(0.3A+0.008A)≒3.7W です。0.008A は、レギュレータ自身が使う電流(静止電流)です。出力へ届くのは 5V×0.3A=1.5W だけで、残りの約2.2W は熱になります。

たとえると

3端子レギュレータは、高い水圧の水道に取りつけた「しぼり弁」です。下流の水圧を一定にするため、弁がしぼった分の勢いはすべて熱になります。上流の水圧(入力の電圧)が高いほど、熱が増えます。

つまり、3端子レギュレータが熱いのは、こわれているからではなく、仕組みどおりに電圧の差を熱にしているからです。

入力約3.7Wの帯を、負荷へ1.5W・電圧の差の熱2.1W・IC自身の電流の分約0.1Wに分けた図

STEP1 損失を計算する:P=(入力−出力)×電流+入力×静止電流

3端子レギュレータの損失は、電圧の差×電流 に、IC 自身が使う電流の分(入力×静止電流)を足して計算します。

3端子レギュレータの損失
P〔W〕=(Vin − Vout)× I + Vin × IQ

例の条件:入力 Vin=12V(いちばん高いとき)、出力 Vout=5V、電流 I=0.3A(いちばん多いとき)、静止電流 IQ=8mA(LM7805 のデータシートの最大の値、25℃)。

電圧の差の分:(12−5)×0.3=7×0.3=2.1W。

IC 自身の分:12×0.008=0.096W。

合計:P=2.1+0.096=2.196W≒2.2W。

POINT|いちばん厳しい条件で計算する

熱がいちばん多くなるのは、入力の電圧がいちばん高く、電流がいちばん多いときです。ふだんの値ではなく、この組み合わせで計算します。

つまり、損失はほとんどが「電圧の差×電流」で、静止電流の分は小さな上乗せです。

損失P=(入力−出力)×電流+入力×静止電流。入力12V・出力5V・電流0.3A・静止電流8mAで、P=2.1+0.096≒2.2W

熱のオームの法則:温度の上がり=熱×熱抵抗

熱の計算は、電気のオームの法則(V=I×R)と同じ形です。熱 P が電流、熱抵抗 θ が抵抗、温度の差 ΔT が電圧にあたります。

熱抵抗(θ、シータ)は「熱の通りにくさ」です。1W の熱が流れたとき、両はしで何℃の差ができるかを ℃/W で表します。

部品の中(チップ)から周りの空気までの熱抵抗が θJA です。中の温度 TJ は、周りの温度に「熱×θJA」の分だけ上乗せした温度になります。

中の温度(接合温度)の式
TJ〔℃〕= 周囲の温度 TA + P〔W〕× θJA〔℃/W〕

たとえば θJA が 54℃/W なら、1W で 54℃、2.2W で約119℃ 上がります。

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つまり、損失(W)がわかれば、θJA をかけるだけで温度の上がり方がわかります。

電気の回路(電流・抵抗・電圧の差、V=I×R)と熱の回路(熱・熱抵抗・温度の差、ΔT=P×θ)の比べ。TJ=周囲の温度+P×θJA

θJA はデータシートのどこを見る? 条件に注意

LM7805 の TO-220 では、放熱板なしで立てて使うときの θJA は 54℃/W(絶対最大定格の注)です。熱の情報の表の 23.9℃/W は、決まった基板にのせたときの値で、条件がちがいます。

名前TO-220 の値条件・使い方
θJA(放熱板なし)54℃/W絶対最大定格の注。空中に立てたときの計算に使う
θJC(中→ケース)4℃/W同じ注。放熱板をつけるときの計算に使う
RθJA(熱の情報の表)23.9℃/WJEDEC という規格の決まった基板で測った値
ψJT(中→表面)3.2℃/W表面の温度から中の温度を見積もるときに使う

同じ TO-220 でも、θJA が 54℃/W と 23.9℃/W の2つあります。足を基板にさしこんで空中に立てて使うなら、54℃/W で計算するのが安全です。小さい値を使うと、温度を低く見積もってしまいます。

注意|表の値が自分の使い方と同じとは限らない

データシートの熱の値には、必ず「どんな基板で・どう置いて測ったか」の条件があります。表の下の注を読み、自分の使い方に近い値を選びます。

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つまり、θJA は「条件つきの数字」です。値を選ぶときは、条件を自分の使い方と照らし合わせます。

LM7805のTO-220の熱の値の表。θJA放熱板なし54℃/W、θJC4℃/W、表のRθJA23.9℃/W(JEDECの基板)、ψJT3.2℃/W

STEP2 中の温度 TJ を計算する

放熱板なし(θJA 54℃/W)で 2.2W を出すと、周囲25℃ でも TJ は約144℃、周囲40℃ では約159℃ になり、熱保護(150℃)で止まります。

周囲25℃:TJ=25+2.196×54=25+118.6≒144℃。

周囲40℃(箱の中を想定):TJ=40+2.196×54=40+118.6≒159℃。

LM7805 の電気的な特性(出力の電圧の正確さなど)は、TJ が 0〜125℃ の範囲で決まっています。TJ が 150℃ に達すると、熱保護が働いて出力を止めます。冷えると戻るので、出力が切れたりついたりをくり返します。

TJ の目安どうなるか
100℃ 以下余裕あり(この記事の目標。筆者の目安)
100〜125℃特性の範囲内だが余裕が少ない。対策を考える
125〜150℃特性が保証されない。対策が必要
150℃熱保護で出力が止まる

つまり、例の条件は放熱板なしでは使えません。次の節から、熱いときの判断と対策を説明します。

周囲25℃でTJ約144℃、周囲40℃でTJ約159℃の棒グラフ。100℃目標・125℃特性の上限・150℃熱保護の線

触れないほど熱いときの判断:4つの手順

触れないほど熱いときは、①温度計で表面を測る、②損失を計算する、③中の温度を見積もる、④100℃・125℃ を目安に判断する、の順に進めます。

手順 1

触らずに、温度計(熱電対や放射温度計)で表面の温度を測ります。指で触ると、60℃ でも 100℃ でも「熱くて触れない」としかわかりません。

手順 2

そのときの入力の電圧・出力の電圧・電流を測り、損失 P=(入力−出力)×電流+入力×静止電流 を計算します。

手順 3

中の温度を TJ≒表面の温度+ψJT×P で見積もります。LM7805 の TO-220 の ψJT は 3.2℃/W です(表の条件での値なので目安)。

手順 4

TJ が 100℃ 以下なら、熱くても設計の範囲です。100〜125℃ なら対策を考え、125℃ を超えるなら対策が必要です。

例:表面が 120℃、損失が 2.2W なら、TJ≒120+3.2×2.2=120+7.0≒127℃。125℃ を超えているので、対策が必要です。

出力が切れたりついたりするなら、熱保護が働いている可能性が高いです。こわれたのではなく、中が 150℃ に達して自分を守っている状態です。

注意|やけどに気をつける

TJ が 100℃ を超えるような使い方では、表面も 100℃ 近くになります。電源を入れている間と、切った直後は触らないでください。

つまり、「熱い」は感覚ではなく数字で判断します。熱くても、中の温度が目標以下なら問題ありません。

4つの手順。触らず温度計で表面を測る、損失を計算する、TJ≒表面の温度+ψJT×Pで見積もる、100℃以下OK・100〜125℃対策を考える・125℃超対策が必要

熱すぎるときの対策4つ:同じ条件で比べる

12V→5V・0.3A・周囲40℃ では、入力を 8V に下げる(約92℃)か、20℃/W の放熱板をつける(約95℃)と、目標の 100℃ 以下になります。基板の銅だけでは足りません。

対策損失TJ(周囲40℃)判定
何もしない(立てて使う)2.2W約159℃×(熱保護で止まる)
入力を 8V に下げる0.96W約92℃○
放熱板(θSA 20℃/W)をつける2.2W約95℃○
表面実装の形(TO-263)にして基板の銅 6.5cm²2.2W約121℃△(足りない)
DC-DC に替える(効率90% と仮定)約0.17W—○(熱がほとんど出ない)

どれを選ぶかは、入力の電圧を変えられるか、放熱板を置く場所があるか、基板を作り直せるか、で決まります。次の節から1つずつ説明します。

つまり、熱を減らすには「損失そのものを減らす(入力を下げる・DC-DC)」か「熱を逃がす(放熱板・基板)」の2つの方向があります。

対策の表。何もしない約159℃、入力8Vで約92℃、放熱板20℃/Wで約95℃、基板の銅6.5cm²で約121℃、DC-DCで損失約0.17W

対策1:入力の電圧を下げる

損失は電圧の差に比例するので、入力を 12V から 8V に下げると、損失は 2.2W から 0.96W に減り、放熱板なしでも TJ は約92℃ になります。

入力 9V:P=(9−5)×0.3+9×0.008=1.2+0.072=1.27W。TJ=40+1.27×54≒109℃。

入力 8V:P=(8−5)×0.3+8×0.008=0.9+0.064=0.96W。TJ=40+0.96×54≒92℃。

注意|入力を下げすぎると、出力を保てない

LM7805 は、出力の 5V を保つために、入力が 7.5V 以上必要です(データシートの値、TJ 25℃・1A 以下)。入力がいちばん低くなるとき(電源のばらつき・線での電圧降下)でも 7.5V を下回らないようにします。

入力を下げる方法には、電源の電圧そのものを変える、レギュレータの前に抵抗を入れて熱を分ける、などがあります。抵抗を入れる場合は、電流が変わると入力の電圧も変わるので、いちばん電流が多いときに 7.5V 以上あるかを確かめます。

つまり、入力の電圧は「出力を保てる範囲で、できるだけ低く」が熱には有利です。

入力12V・9V・8Vの損失の棒グラフ。2.20W・TJ約159℃、1.27W・約109℃、0.96W・約92℃

対策2:放熱板をつける(熱抵抗を足し算する)

放熱板をつけたときの θJA は、θJC(中→ケース)+θCS(ケース→放熱板)+θSA(放熱板→空気)の足し算です。例の条件では、θSA が 22℃/W 以下の放熱板を選びます。

放熱板をつけたときの熱抵抗
θJA = θJC + θCS + θSA

STEP 1:TJ を 100℃ にしたいので、全体の θJA は(100−40)÷2.196≒27.3℃/W 以下にします。

STEP 2:θJC は LM7805 の TO-220 で 4℃/W。θCS は、放熱板との間に入れるシートやグリスの熱抵抗で、ここでは例として 1℃/W とします。放熱板に許せる θSA は 27.3−4−1=22.3℃/W 以下です。

STEP 3:カタログの θSA が 20℃/W の放熱板を選ぶと、TJ=40+2.196×(4+1+20)=40+54.9≒95℃。目標の 100℃ 以下に入ります。

POINT|タブは GND につながっている

LM7805 の TO-220 は、タブ(金属の板)が GND の足とつながっています。放熱板が GND と同じ電位なら、そのままねじで止められます。放熱板が金属のケースなどほかの電位につながるなら、絶縁シートを入れます。

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つまり、放熱板は「許せる θSA」を計算してから、カタログでそれより小さい品を選びます。

TJからθJC4℃/W、θCS1℃/W(例)、θSA20℃/Wを通って空気へ。θJA合計27.3℃/W以下、θSA22.3℃/W以下、TJ約95℃の計算

対策3:基板のベタ(銅)で逃がす

表面実装の形(TO-263・SOT-223)は、基板の銅を放熱板の代わりに使います。ただし、銅を 1 平方インチ(約6.5cm²)より広げても、θJA はあまり下がりません。

LM7805 のデータシートには、TO-263 の形で、タブをはんだ付けした銅の面積と θJA の関係が載っています。0.5 平方インチ(約3.2cm²)で 50℃/W、1 平方インチ(約6.5cm²)で 37℃/W、1.6 平方インチ(約10cm²)以上で 32℃/W です。

周囲40℃ で TJ を 100℃ 以下にできる損失は、(100−40)÷θJA で、3.2cm² で 1.2W、6.5cm² で 1.6W、10cm² で 1.9W です。例の 2.2W にはどれも足りません。

SOT-223 の形では、データシートの図は銅 1oz(厚さ約35µm)で 74℃/W、2oz で 51℃/W として計算しています。100℃ 以下にできるのは 0.8W・1.2W までです。

POINT|基板の銅は 1〜2W までが目安

この例の数字では、基板の銅だけで逃がせるのはおよそ 1〜2W までです。それより大きいなら、放熱板か、損失そのものを減らす方法を選びます。

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つまり、基板のベタは小さな損失には有効ですが、銅を広げるだけでは限界があります。

TO-263の銅の面積とθJAのグラフ(3.2cm²で50、6.5cm²で37、10cm²で32℃/W)と、TJ100℃までの損失(TO-263 1.2〜1.9W、SOT-223 0.8・1.2W)

入力・出力のコンデンサと保護ダイオード

LM7805 のデータシートでは、入力に 0.22µF(電源のコンデンサから離れているとき)、出力に 0.1µF を、足のすぐ近くにつける例が示されています。

入力のコンデンサは、レギュレータが電源の大きなコンデンサから離れているときに、動きを安定させるためのものです。データシートは、6インチ(約15cm)以上離れるなら入力に 0.1µF 以上が必要としています。

出力のコンデンサは、電流が急に変わったときの電圧の落ちこみを小さくするためのものです。LM7805 は出力のコンデンサがなくても安定して動く品ですが、0.1µF をつけることがすすめられています。

入力が GND に短絡(ショート)するおそれがある回路では、出力から入力へ電流を流すダイオードをつけます。出力のコンデンサにたまった電気が、レギュレータの中を逆に流れるのを防ぐためです。

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つまり、コンデンサは「値」より「足のすぐ近く」が大切です。使う品のデータシートの推奨の値を守ります。

LM7805の回路図。入力12Vに0.22µF、出力5Vに0.1µF、出力から入力へ向けた保護ダイオード

足の並び:同じ TO-220 でも品番で変わる

LM7805 の TO-220 は、文字の面から見て左から 1 入力・2 GND・3 出力で、タブは GND です。同じ形の LM1117 は 1 ADJ/GND・2 出力・3 入力で、タブは出力です。

3端子レギュレータは、同じ TO-220 の形でも、品番によって足の並びとタブのつながりがちがいます。LM7805 の場所に LM1117 をそのまま差しかえると、入力と出力が入れかわってしまいます。

また、タブがどの足につながっているかで、放熱板の扱いも変わります。タブが出力につながる品を、GND の金属の板にそのままねじで止めると、出力が GND とショートします。

注意|「7805」でもメーカーで確かめる

7805 という名前の品は多くのメーカーが作っています。足の並びは同じことが多いですが、形(TO-220・TO-263・SOT-223 など)や品で変わることがあるので、使う品のデータシートの足の図で必ず確かめます。

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つまり、差しかえや放熱板の取りつけの前に、データシートの足の図とタブのつながりを確かめます。

TO-220の足の並び。LM7805は1入力・2GND・3出力でタブはGND、LM1117は1ADJ/GND・2出力・3入力でタブは出力

早見表:LM7805 の損失と放熱の目安(周囲40℃)

LM7805 で放熱板なしでよいのは、損失が約1.1W までです。9V・12V 入力なら 0.1A まで。15V 以上の入力では、0.1A でも放熱板が要ります。

入力\電流0.1A0.3A0.5A1A
9V0.47W
放熱板なしで可
1.27W
放熱板 42℃/W 以下
2.07W
放熱板 24℃/W 以下
4.07W
放熱板 10℃/W 以下
12V0.80W
放熱板なしで可
2.20W
放熱板 22℃/W 以下
3.60W
放熱板 12℃/W 以下
7.10W
DC-DC を考える
15V1.12W
放熱板 49℃/W 以下
3.12W
放熱板 14℃/W 以下
5.12W
DC-DC を考える
10.12W
DC-DC を考える
24V2.09W
放熱板 24℃/W 以下
5.89W
DC-DC を考える
9.69W
DC-DC を考える
19.19W
DC-DC を考える

損失は P=(入力−5)×電流+入力×0.008 で計算しました。「放熱板なしで可」は TJ=40+P×54 が 100℃ 以下のものです。放熱板の値は、TJ を 100℃ にするのに許せる θSA(θJC 4℃/W・θCS 1℃/W として)です。

必要な θSA が 8℃/W より小さいもの(大きな放熱板が要るもの)は、「DC-DC を考える」としました。この 8℃/W は、手に入りやすい TO-220 用の放熱板を念頭に置いた筆者の目安です。

つまり、表で自分の条件のマスを見れば、放熱板が要るか・どのくらいの放熱板か・DC-DC にすべきかの見当がつきます。

入力9・12・15・24V×電流0.1・0.3・0.5・1Aの損失の表を、放熱板なし・放熱板・DC-DCを考えるで色分け

実物で確かめる:4か所を測る

試作の基板で、最大の電流を流しながら、入力の電圧・出力の電圧・電流・表面の温度の4つを測ります。

入力と出力の電圧は、レギュレータの足の根元でテスターで測ります。電流は、出力の線にテスターを直列に入れるか、電源装置の表示で読みます。表面の温度は、熱電対をケースの表面に耐熱テープで貼って測ります。

測った値で損失を計算し、TJ≒表面の温度+3.2×損失 で中の温度を見積もります。箱に入れて使う機器なら、ふたを閉めて動かし続け、温度が上がりきって落ち着いてから測ります(目安として30分ほど)。

POINT|出力の電圧も一緒に見る

入力を下げる対策をしたときは、出力が 5V を保てているかも測ります。いちばん電流が多く、入力がいちばん低いときに、出力が下がっていないかを確かめます。

つまり、計算は見当、測定が答え合わせです。特に TJ が 100℃ に近い設計は、必ず実物で確かめます。

放熱板につけたLM7805の図に、入力の電圧・出力の電圧・電流・表面の温度の4か所。TJ≒表面の温度+3.2×損失

よくある失敗4つ

3端子レギュレータの発熱計算で多い失敗は、表の θJA で計算する・周囲を 25℃ にする・ふだんの入力で計算する・足の並びを確かめない、の4つです。

失敗1:表の θJA(23.9℃/W)で計算する

立てて使うのに 23.9℃/W で計算すると、TJ=40+2.196×23.9≒93℃ となり、「大丈夫」に見えます。実際は 54℃/W に近く、約159℃ です。

失敗2:周囲の温度を 25℃ にする

箱の中は、ほかの部品の熱で外より暑くなります。周囲が 40℃ なら、TJ も 25℃ のときより 15℃ 高くなります。

失敗3:ふだんの入力の電圧で計算する

入力の電圧は、電源の種類やばらつきで高めになることがあります。損失は電圧の差に比例するので、いちばん高い値で計算します。

失敗4:足の並びを確かめずに差しかえる

同じ TO-220 でも、LM1117 は 1・2・3 が ADJ/GND・出力・入力です。品番を変えるときは、足の図を必ず確かめます。

つまり、計算は「立てて使う θJA」「箱の中の温度」「いちばん高い入力」で行い、品番を変えたら足の図を見ます。

よくある失敗4つ。表のθJAで計算する、周囲を25℃にする、ふだんの入力で計算する、足の並びを確かめない

よくある質問(FAQ)

Q. 3端子レギュレータの発熱はどう計算する?

A. 損失P=(入力−出力)×電流+入力×静止電流で計算し、TJ=周囲の温度+P×θJAで中の温度を確かめます。

Q. 7805が触れないほど熱いのは故障?

A. 故障とは限りません。電圧の差を熱にする仕組みなので熱くなります。中の温度を計算して判断します。

Q. 三端子レギュレータに放熱板は必要?

A. 損失が約1Wを超えるなら必要なことが多いです。LM7805の放熱板なしのθJAは54℃/Wで計算します。

Q. 放熱板の熱抵抗はどう選ぶ?

A. TJの目標から全体のθJAを出し、θJCとシートの熱抵抗を引いた値より小さいθSAの放熱板を選びます。

Q. 7805の入力電圧は何Vにすればいい?

A. LM7805は出力を保つのに7.5V以上が必要です。熱を減らすには、その範囲でできるだけ低くします。

Q. 7805の出力が切れたりついたりするのはなぜ?

A. 中の温度が150℃に達し、熱保護が働いている可能性が高いです。冷えると戻るため、切れたりついたりします。

まとめ
  • 3端子レギュレータは、入力と出力の電圧の差を熱にする
  • 損失 P=(入力−出力)×電流+入力×静止電流。12V→5V・0.3A で約2.2W
  • 中の温度 TJ=周囲の温度+P×θJA。LM7805 の TO-220 を立てて使うなら θJA 54℃/W
  • 触れないほど熱いときは、表面を測り TJ≒表面+ψJT×P で判断する
  • 対策は、入力を下げる・放熱板(θJA=θJC+θCS+θSA)・基板の銅・DC-DC
  • コンデンサは足のすぐ近くに。品番を変えたら足の並びを確かめる

次の一歩として、手元の 3端子レギュレータの「入力の電圧・出力の電圧・最大の電流」を書き出し、損失と TJ を計算してみてください。損失が 1W を超えていたら、放熱板か入力の見直しを考えるタイミングです。

参考にした資料

法令・規格・資料は改訂されることがあります。実務で使うときは、発行元の最新版で確かめてください。

この記事の理解を深める本と道具
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シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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