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LEDを複数点けるときは、直列にした列に1本ずつ抵抗を入れ、その列を並列に並べるのが基本です。12V・赤色なら1列3個で、明るさをそろえるなら定電流回路、マイコンで点け消しするならドライバICを使い、選び方は早見表にまとめました。
LEDを1個点ける計算ができたら、次は「たくさん点けたい」です。看板やイルミネーション、表示パネル、機械の状態ランプなど、LEDを何個も並べる場面はよくあります。
ところが、1個のときと同じ考えで何個もつなぐと、「一部だけ暗い」「抵抗が熱い」「マイコンが不安定」といった失敗が出ます。この記事では、直列・並列・定電流・ドライバICの4つを、数字つきで順に説明します。

結論:LEDを複数点ける方法は4つ
LEDを複数点ける方法は、直列・並列・定電流・ドライバICの4つです。最初は「直列にした列に、1本ずつ抵抗」を基本に考えます。
| 方法 | どんな形 | 向いているとき |
|---|---|---|
| 直列 | LEDを1本道に並べ、列に抵抗1本 | 電源の電圧に余裕がある。数個〜数十個 |
| 並列 | LED1個ずつに抵抗を入れて枝分かれ | 電源が5V以下で、直列にする電圧がない |
| 定電流 | トランジスタ2個で電流を一定に | 明るさをそろえたい。電源の電圧が変わる |
| ドライバIC | ULN2003A・TLC5940 など | マイコンで点け消し・明るさを1個ずつ変えたい |
どれか1つを選ぶというより、組み合わせて使います。たとえば「3個の直列の列を10列つなぎ、各列をULN2003Aで点け消しする」という形です。
つまり、まずは直列+抵抗で考え、足りないところを定電流やドライバICで補う、という順番です。

この記事で作るもの:12Vで赤色LEDを30個点ける回路
例として、12Vの電源で赤色LEDを30個点ける回路を作ります。3個を直列にした列を10列並べ、1列ごとに620Ωの抵抗を入れます。合計の電流は約97mAです。
1列の計算は、前の記事のLED1個の計算と同じ式です。違うのは、VFを直列にした個数ぶん足すところだけです。
12Vで赤色LED(VF約2.0V)を3個、10mAなら、(12−2.0×3)÷0.010=600Ωです。売っている抵抗の値(E24系列)の大きい側に丸めて620Ω。実際の電流は 6.0÷620=約9.7mA です。
30個ぜんぶでは、9.7mA×10列=約97mA。電源から出る電力は 12V×0.097A=約1.16W です。
つまり、何個つなぐときも「1列ぶんを計算して、列の数を掛ける」が基本です。

直列と並列の違い:直列は電圧、並列は電流が足し算
直列にすると、同じ電流が全部のLEDを通り、VFが足し算になります。並列にすると、どの列にも同じ電圧がかかり、電流が足し算になります。
直列で赤色LEDを3個つなぐと、VFは 2.0+2.0+2.0=6.0V。電源12Vの残り6.0Vが抵抗にかかります。電流は1本道なので、どこも同じ約9.7mAです。
並列で5Vの電源にLEDを3列つなぐと、どの列にも5Vがかかります。1列 (5−2.0)÷300=10mA なので、電源から出る電流は 10+10+10=30mA。個数に比例して増えます。
直列と並列で電圧・電流がどう分かれるかを、電池と抵抗の例でじっくり確かめられる
つまり、直列は電源の電圧をたくさん使い、並列は電源の電流をたくさん使います。

直列にできる個数の決め方:VFの最大値で確かめる
直列にできる個数は、VFの最大値で計算しても、狙いの電流の8割以上流れる個数までが目安です。12Vで赤色LED・10mAなら3個です。
LEDのVFには個体差があります。赤色LEDのデータシートでは、代表値1.9V・最大値2.3V(10mAのとき)という例があります。直列にする個数が増えるほど、この差が積み重なります。
12Vで赤色LEDを1〜5個直列にしたときの電流を、ふつうの個体(VF 2.0V)と、VFが最大の個体(2.3V)で比べると、次のようになります。
| 個数 | 抵抗(E24) | ふつうの個体 | VFが最大 | 割合 |
|---|---|---|---|---|
| 1個 | 1000Ω | 10.0mA | 9.7mA | 97% |
| 2個 | 820Ω | 9.8mA | 9.0mA | 93% |
| 3個 | 620Ω | 9.7mA | 8.2mA | 85% |
| 4個 | 430Ω | 9.3mA | 6.5mA | 70% |
| 5個 | 200Ω | 10.0mA | 2.5mA | 25% |
3個なら、VFが最大の個体でも8.2mA(85%)流れます。4個では6.5mA(70%)、5個では2.5mA(25%)まで下がり、明るさが目に見えてばらつきます。
つまり、直列の個数は「VFの代表値で電源ぎりぎり」まで詰めず、VFの最大値で計算して余裕を残します。

直列を増やすほど、ばらつきに弱くなる
同じ12Vでも、直列を5個にすると、VFが大きい個体では2.5mAしか流れません。3個までなら8割以上流れます。
グラフの青い棒がふつうの個体、オレンジの棒がVFが最大の個体です。1〜3個では差が小さく、4個から急に開きます。
実物では、全部が最大値の個体ということはまれです。ただ、買った袋の中にVFの大きいものが混ざると、その列だけ暗くなります。最大値で確かめておけば、どの個体が来ても明るさの差が小さく済みます。
つまり、個数は「最大値で8割」で決める。この3ステップで、どの電源でも個数が決まります。

10個を点けるなら:電源の電圧で形が変わる
赤色LEDを10個点けるとき、5Vなら1個ずつ10列(合計100mA)、12Vなら2個直列×5列(49mA)、24Vなら5個直列×2列(19mA)です。
| 電源 | 形 | 抵抗 | 1列の電流 | 合計の電流 | 電源の電力 |
|---|---|---|---|---|---|
| 5V | 1個ずつ×10列 | 300Ω×10本 | 10.0mA | 100mA | 0.50W |
| 12V | 2個直列×5列 | 820Ω×5本 | 9.8mA | 49mA | 0.59W |
| 24V | 5個直列×2列 | 1500Ω×2本 | 9.3mA | 19mA | 0.45W |
5Vでは、赤色LEDを2個直列にすると抵抗に1.0Vしか残らず、VFが最大の個体で電流が4mAまで下がります。そのため1個ずつに抵抗を入れて並列にします。
12Vなら3個まで直列にできますが、10個は3で割り切れないので、2個×5列にしました(3個×3列+1個でもかまいません)。24Vなら5個直列でも、VFが最大の個体で8.3mA流れます。
電源の電圧が高いほど、直列にできる個数が増え、合計の電流が減ります。電流が減ると、電線やコネクタ、電源の負担が軽くなります。
つまり、LEDの個数が多いときは、電源の電圧を上げて直列を増やすと、電流を小さくできます。

電流と発熱の合計:光らない電力は抵抗の熱になる
電源から出た電力のうち、LEDで使われなかった分は抵抗の熱になります。30個・12Vの例では、約1.16Wのうち約0.58Wが抵抗の熱です。
LEDの電力は VF×電流、抵抗の電力は 電流×電流×抵抗値 で計算します。合計すると、電源の電圧×合計の電流と同じになります。
| 形 | 電源の電力 | うちLED | うち抵抗 | 抵抗1本 | 選ぶ定格 |
|---|---|---|---|---|---|
| 10個・5V | 0.50W | 0.20W | 0.30W | 30mW | 1/8W以上 |
| 10個・12V | 0.59W | 0.20W | 0.39W | 78mW | 1/4W以上 |
| 10個・24V | 0.45W | 0.19W | 0.26W | 131mW | 1/2W以上 |
| 30個・12V | 1.16W | 0.58W | 0.58W | 58mW | 1/8W以上 |
電源の容量は、合計の電流に余裕を持たせて選びます。目安として、合計の1.5〜2倍の電流を出せる電源にしておくと安心です。30個・12Vの例なら、約0.2A 以上出せる12Vの電源です。
LED以外の部品も足し合わせて、電源の容量を決める手順がわかる
つまり、LEDをたくさん点けるときは「合計の電流→電源の容量」と「抵抗1本の電力→定格」の2つを確かめます。

なぜ定電流回路が要る?抵抗だとVFで電流が大きく変わる
抵抗で電流を決めると、VFの合計が電源に近いほど、電流が大きく変わります。12Vで白色LED3個・抵抗110Ωなら、VFが代表値で約19mA、少し大きい個体(3.6V)ばかりだと約11mAです。
白色LEDはVFが約3.3V(最大4.0V)と大きいので、3個直列で9.9V。12Vの電源では、抵抗に2.1Vしか残りません。抵抗の電圧が小さいほど、VFの差がそのまま電流の差になります。
このようなときは、抵抗の代わりに定電流回路を使います。定電流回路は、VFの合計が変わっても、電圧に余裕がある間は同じ電流(ここでは20mA)を流し続けます。
ただし、定電流回路も魔法ではありません。電源の電圧からVFの合計を引いた残りが小さくなりすぎると、電流を保てなくなります。グラフで、右端の電流が急に下がっているところです(線は形をわかりやすくしたイメージです)。
つまり、VFの大きいLEDを電源ぎりぎりまで直列にするときや、明るさをそろえたいときは、定電流回路が効きます。

トランジスタ2個の定電流回路:電流≒0.6V÷Rs
トランジスタ2個と抵抗2本で、定電流回路が作れます。電流は、0.6V÷Rs で決まります。Rs=30Ωなら約20mAです。
Q1はLEDの電流の通り道で、蛇口の役目です。Q1の下に入れたRsに電流が流れると、Rsに電圧が出ます。もう1つのトランジスタQ2は、そのRsの電圧を見張っています。
Rsの電圧が約0.6V(トランジスタのベースとエミッタの間の電圧)に近づくと、Q2が電流を流し始めます。Q2は、R1からQ1のベースへ行くはずの電流を横取りするので、Q1が絞られます。こうして、Rsの電圧が約0.6Vで落ち着き、電流は 0.6V÷Rs になります。
| 部品 | この記事の値 | 役目 |
|---|---|---|
| Q1・Q2 | 2N3904(小信号のNPNトランジスタ) | Q1は電流の通り道、Q2は見張り役 |
| Rs | 30Ω | 電流を電圧に変える。0.6V÷30Ω=20mA |
| R1 | 4.7kΩ | Q1のベースに電流を送る |
0.6Vは目安の値です。トランジスタの種類や温度で0.55〜0.7Vほど変わるので、電流も±1割ほど変わります。抵抗で決めるより、VFの影響をずっと受けにくいのが利点です。
つまり、定電流回路は「Rsの電圧を約0.6Vに保つ」しくみです。電流を変えたいときは、Rsを変えます。

定電流のしくみ:増えたら絞る、を自動でくり返す
定電流回路は、電流が増えようとすると自動で絞り、減ろうとすると開く、をくり返して電流を一定にします。
電流が減ろうとしたときは逆で、Rsの電圧が下がるとQ2が電流を吸わなくなり、Q1のベースの電流が増えてQ1が開きます。
つまり、Q2がRsの電圧を見張っているので、電流が自動でそろいます。

定電流回路の部品を決める3ステップ
12Vで白色LED3個に20mA流すなら、Rs=30Ω、Q1にかかる電圧は1.5V(熱は30mW)、R1=4.7kΩです。
Q1に残る電圧が0.3V(目安)より小さくなると、Q1が飽和して、電流を絞る余地がなくなります。VFが3.6Vの個体ばかりでも 12−10.8−0.6=0.6V 残るので、この例はまだ定電流のままです。
温度にも注意します。Q2のベースとエミッタの電圧は、温度が1℃上がるごとに約2mV下がる(目安)ので、30℃上がると電流は約1割減ります。明るさが少し落ちる方向なので、LEDを傷める心配はありません。
R1 のように、トランジスタのベースへ送る電流を決める計算を、ていねいに練習できる
つまり、Rs(電流)→Q1の余裕と熱→R1、の順に決めれば、定電流回路の部品がそろいます。

ドライバIC①ULN2003A:マイコンでLEDの列を点け消しする
ULN2003Aは、トランジスタ(ダーリントン)のスイッチが7回路入ったICです。マイコンの端子は約1mAの合図を出すだけで、12VのLEDの列を点け消しできます。12V・赤3個・10mAなら、抵抗は510Ωです。
マイコンの端子から直接LEDに電流を流すと、1本で数mA〜20mAほど、全部の端子の合計にも上限があります(品種で違うのでデータシートで確かめます)。LEDの列が多いときや、12Vの列を点け消ししたいときは、間にドライバICを入れます。
| ピン | 名前 | つなぐ先 |
|---|---|---|
| 1〜7 | 1B〜7B(入力) | マイコンの端子(各回路に2.7kΩが入っている) |
| 8 | E(GND) | GND |
| 9 | COM | モーター・リレーのときに電源へ。LEDだけならつながなくてよい |
| 10〜16 | 7C〜1C(出力) | LEDの列の下側(カソード側) |
出力(C)はGND側のスイッチなので、LEDの列は「+12V → 抵抗 → LED → 出力」の向きにつなぎます。ICのスイッチがオンのときも、出力とGNDの間に約0.9V残る(100mAのときの代表値)ので、計算に入れます。(12−2.0×3−0.9)÷0.010=510Ω、電流は10.0mAです。
7回路すべてで10mA流しても、ICの熱は 7×0.9V×10mA=約63mW(多めの見積もり)。DIPの熱抵抗66.7℃/Wを掛けると、温度上昇は約4℃です。1回路の上限(ピークで500mA)にも、まだ十分な余裕があります。
ULN2003A の中身と同じトランジスタと、MOSFET のどちらでスイッチするかの選び方がわかる
つまり、ULN2003Aは「マイコンの小さな合図で、LEDの列のGND側をON・OFFするスイッチ7つ」です。

ドライバIC②TLC5940:16個の明るさを1個ずつ変える
TLC5940は、定電流の出力が16回路入ったICです。電流は抵抗1本(R(IREF))で決まり、2.0kΩなら約19.5mA。明るさは1個ずつ4096段階で変えられます。
2.0kΩなら 1.24÷2000×31.5=約19.5mA です。16回路とも同じ電流の上限になり、そこから各LEDの明るさを、マイコンからのシリアル通信で4096段階に変えます。
注意したいのは熱です。定電流ICは、LEDの電源の電圧からVFを引いた残りを、IC自身の熱にします。赤色LEDを1個ずつ16回路、LEDの電源を5Vにすると、ICに 5−2.0=3.0V かかり、3.0V×19.5mA×16=約0.94W。熱抵抗36.7℃/W(HTSSOPを基板にはんだ付けした値)を掛けると、約34℃上がります。
LEDの電源を3.3Vにすると、ICにかかるのは1.3Vで、熱は約0.41W(約15℃)に減ります。データシートの電流の値は出力の電圧1Vで規定されているので、「VFの最大値(2.3V)+1V=3.3V」なら足ります。白・青のLED(VF最大4.0V)なら、LEDの電源は5Vにします。
ICの熱(W)が何℃の温度上昇になるかを、熱抵抗の式で計算できる
ULN2003A・TLC5940 のようなICのデータシートで、どこから読めばいいかがわかる
つまり、定電流ICは「LEDの電源を、VFの最大値+1Vほど」にすると熱が小さく済みます。

どの方法を選ぶ?早見表
迷ったら直列+抵抗。明るさのばらつき、点け消し、1個ずつの明るさ、の必要に応じて、定電流やドライバICへ進みます。
| こんなとき | 選ぶ方法 | 理由 |
|---|---|---|
| 数個〜10個・明るさは固定 | 直列+抵抗(足りなければ並列) | 抵抗1本で簡単。部品が少ない |
| 電源が5V以下 | 1個ずつに抵抗(並列) | 直列にする電圧がない |
| 明るさをそろえたい | 定電流(トランジスタ2個) | VFのばらつき・電源の変化に強い |
| マイコンで列ごとに点け消し | ULN2003A など | マイコンの端子は約1mAで済む |
| 1個ずつ明るさを変えたい | TLC5940 など定電流IC | 16回路・4096段階 |
| 数十個以上・電池で長く使う | LED用の昇圧DC-DC | 効率がよい(この記事では扱わない) |
電池で動かす場合や、LEDが数十個を超える照明では、抵抗や定電流回路の熱がもったいなくなります。そのときはLED用のDC-DCコンバータ(スイッチングで電圧を変える電源)を検討します。
つまり、方法は「個数・電源の電圧・点け消しや明るさの必要」の3つで選びます。

ブレッドボードで1列を組んで、電流を確かめる
まずは1列(12V・620Ω・赤3個)をブレッドボードで組み、抵抗の両端の電圧をテスターで測ります。6.0V÷620Ω≒9.7mAなら計算どおりです。
ブレッドボードは、縦に並んだ5つの穴が中でつながっています。抵抗は中央の溝をまたいで挿し、LEDは「長い足が左」で、となりの列へ1個ずつずらして挿していきます。
1個だけ光らないときは、その LED の向きか、足が同じ列に入っていないかを見ます。全部光らないときは、どこか1か所が切れています(直列は1本道なので、1か所切れると全部消えます)。
ブレッドボードで動いた回路を基板にしたとき、動かなくなる原因と確かめ方がわかる
つまり、1列を組んで電流が計算どおりなら、あとは同じ列を増やすだけです。

よくある失敗3つ:並列に抵抗1本・直列にしすぎ・マイコンから直接
LEDを複数点けるときの失敗は、並列に抵抗1本で済ませる、直列にしすぎる、マイコンの端子から直接たくさん点ける、の3つが代表です。
失敗1:並列のLEDに抵抗1本
LEDを並列にして抵抗を1本で済ませると、VFの少し低いLEDに電流が集まります。そのLEDだけが明るく熱くなり、先に傷みます。並列にするときは、1個ずつ(1列ずつ)に抵抗を入れます。
並列にすると電流が片寄る理由を、ダイオードの特性から確かめられる
失敗2:直列にしすぎる
12Vに赤色LEDを5個直列にすると、VFが最大の個体では約2.5mAしか流れません。点かない・暗い列が出ます。VFの最大値で計算して、8割以上流れる個数までにします。
失敗3:マイコンの端子から直接たくさん点ける
マイコンの端子1本ずつには電流の上限があり、全部の端子の合計にも上限があります。上限を超えると、マイコンが熱くなったり動きが不安定になったりします。LEDの列が多いときは、ULN2003Aのようなドライバやトランジスタを間に入れます。
つまり、光らない・明るさがばらつく・熱いときは、この3つをまず疑います。


