回路設計

LEDを複数点ける回路|直列・並列・定電流・ドライバICの選び方

ブレッドボードの上でたくさんの赤いLEDが光る写真に、LEDをたくさん点ける・直列・並列・定電流・30個・12V 3個直列×10列の文字

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LEDを複数点けるときは、直列にした列に1本ずつ抵抗を入れ、その列を並列に並べるのが基本です。12V・赤色なら1列3個で、明るさをそろえるなら定電流回路、マイコンで点け消しするならドライバICを使い、選び方は早見表にまとめました。

結論|まず30秒でわかる答え

LEDを複数点ける回路は、まず「直列にした列+1列に1本の抵抗」で考えます。
直列にできる個数は、VFの最大値で計算しても狙いの電流の8割以上流れる個数までが目安です。12Vで赤色LEDなら3個です。
30個なら3個×10列・抵抗620Ωで、合計約97mA。明るさをそろえたいときは定電流回路、マイコンで点け消ししたいときはULN2003AやTLC5940などのドライバICを使います。

この記事に出てくる言葉

わからない言葉が出てきたら、ここに戻ってきてください。本文でも、初めて出たところで言い換えます。

VF(順方向電圧)LEDを光らせたときにLEDにかかる電圧。赤は約2.0V、白・青は約3.3V
直列1本道につなぐこと。同じ電流が全部を通り、電圧は足し算
並列枝分かれさせてつなぐこと。電圧は同じで、電流は足し算
列(ストリング)直列にしたLEDと抵抗のひとまとまり。この記事では「列」と呼ぶ
定電流回路電圧が少し変わっても、同じ電流を流し続ける回路
ドライバICLEDなどに電流を流す役目を引き受けるIC。マイコンは合図を出すだけになる
トランジスタ小さな電流で大きな電流をON・OFFしたり絞ったりする部品
熱抵抗(℃/W)1Wの熱で何℃温度が上がるかを表す数字

LEDを1個点ける計算ができたら、次は「たくさん点けたい」です。看板やイルミネーション、表示パネル、機械の状態ランプなど、LEDを何個も並べる場面はよくあります。

ところが、1個のときと同じ考えで何個もつなぐと、「一部だけ暗い」「抵抗が熱い」「マイコンが不安定」といった失敗が出ます。この記事では、直列・並列・定電流・ドライバICの4つを、数字つきで順に説明します。

ブレッドボードの上でたくさんの赤いLEDが光る写真に、LEDをたくさん点ける・直列・並列・定電流・30個・12V 3個直列×10列の文字

結論:LEDを複数点ける方法は4つ

LEDを複数点ける方法は、直列・並列・定電流・ドライバICの4つです。最初は「直列にした列に、1本ずつ抵抗」を基本に考えます。

方法どんな形向いているとき
直列LEDを1本道に並べ、列に抵抗1本電源の電圧に余裕がある。数個〜数十個
並列LED1個ずつに抵抗を入れて枝分かれ電源が5V以下で、直列にする電圧がない
定電流トランジスタ2個で電流を一定に明るさをそろえたい。電源の電圧が変わる
ドライバICULN2003A・TLC5940 などマイコンで点け消し・明るさを1個ずつ変えたい

どれか1つを選ぶというより、組み合わせて使います。たとえば「3個の直列の列を10列つなぎ、各列をULN2003Aで点け消しする」という形です。

つまり、まずは直列+抵抗で考え、足りないところを定電流やドライバICで補う、という順番です。

直列・並列・定電流・ドライバICの4つの方法の一覧。直列は1本道に並べる、並列は1個ずつに抵抗、定電流はトランジスタ2個、ドライバICはULN2003・TLC5940

この記事で作るもの:12Vで赤色LEDを30個点ける回路

例として、12Vの電源で赤色LEDを30個点ける回路を作ります。3個を直列にした列を10列並べ、1列ごとに620Ωの抵抗を入れます。合計の電流は約97mAです。

1列の計算は、前の記事のLED1個の計算と同じ式です。違うのは、VFを直列にした個数ぶん足すところだけです。

1列の抵抗
R=(電源電圧−VF×個数)÷電流

12Vで赤色LED(VF約2.0V)を3個、10mAなら、(12−2.0×3)÷0.010=600Ωです。売っている抵抗の値(E24系列)の大きい側に丸めて620Ω。実際の電流は 6.0÷620=約9.7mA です。

30個ぜんぶでは、9.7mA×10列=約97mA。電源から出る電力は 12V×0.097A=約1.16W です。

つまり、何個つなぐときも「1列ぶんを計算して、列の数を掛ける」が基本です。

12Vから抵抗620ΩとLED3個の列を並べた回路図。1列約9.7mA、30個で約97mA・約1.16W、うち抵抗の熱約0.58W

直列と並列の違い:直列は電圧、並列は電流が足し算

直列にすると、同じ電流が全部のLEDを通り、VFが足し算になります。並列にすると、どの列にも同じ電圧がかかり、電流が足し算になります。

直列で赤色LEDを3個つなぐと、VFは 2.0+2.0+2.0=6.0V。電源12Vの残り6.0Vが抵抗にかかります。電流は1本道なので、どこも同じ約9.7mAです。

並列で5Vの電源にLEDを3列つなぐと、どの列にも5Vがかかります。1列 (5−2.0)÷300=10mA なので、電源から出る電流は 10+10+10=30mA。個数に比例して増えます。

たとえると

直列は「1本の道を何人もが順番に歩く」形、並列は「同じ高さから何本もの滑り台をすべる」形です。直列は高さ(電圧)を分け合い、並列は人数(電流)が増えます。

直列と並列の違い|電池はどっちが長持ち?電圧・電流・合成抵抗を図解(計算ツール付き)

つまり、直列は電源の電圧をたくさん使い、並列は電源の電流をたくさん使います。

左は12Vで620ΩとLED3個の直列(どこも9.7mA、VFは2.0V×3=6.0V)、右は5Vで300ΩとLEDの列を3つ並列(10mAずつ、合計30mA)

直列にできる個数の決め方:VFの最大値で確かめる

直列にできる個数は、VFの最大値で計算しても、狙いの電流の8割以上流れる個数までが目安です。12Vで赤色LED・10mAなら3個です。

LEDのVFには個体差があります。赤色LEDのデータシートでは、代表値1.9V・最大値2.3V(10mAのとき)という例があります。直列にする個数が増えるほど、この差が積み重なります。

12Vで赤色LEDを1〜5個直列にしたときの電流を、ふつうの個体(VF 2.0V)と、VFが最大の個体(2.3V)で比べると、次のようになります。

個数抵抗(E24)ふつうの個体VFが最大割合
1個1000Ω10.0mA9.7mA97%
2個820Ω9.8mA9.0mA93%
3個620Ω9.7mA8.2mA85%
4個430Ω9.3mA6.5mA70%
5個200Ω10.0mA2.5mA25%

3個なら、VFが最大の個体でも8.2mA(85%)流れます。4個では6.5mA(70%)、5個では2.5mA(25%)まで下がり、明るさが目に見えてばらつきます。

POINT|抵抗に電圧を残すほど、ばらつきに強い

抵抗にかかる電圧が大きいほど、VFが少し変わっても電流はあまり変わりません。5個直列では抵抗に2Vしか残らず、VFが0.3Vずつ増えるだけで電流が4分の1になります。

つまり、直列の個数は「VFの代表値で電源ぎりぎり」まで詰めず、VFの最大値で計算して余裕を残します。

12Vで赤色LEDを1〜5個直列にしたときの表。抵抗1000・820・620・430・200Ω、VFが最大の個体の電流9.7・9.0・8.2・6.5・2.5mA

直列を増やすほど、ばらつきに弱くなる

同じ12Vでも、直列を5個にすると、VFが大きい個体では2.5mAしか流れません。3個までなら8割以上流れます。

グラフの青い棒がふつうの個体、オレンジの棒がVFが最大の個体です。1〜3個では差が小さく、4個から急に開きます。

実物では、全部が最大値の個体ということはまれです。ただ、買った袋の中にVFの大きいものが混ざると、その列だけ暗くなります。最大値で確かめておけば、どの個体が来ても明るさの差が小さく済みます。

手順1

電源の電圧と、流したい電流を決める(例:12V・10mA)

手順2

データシートでVFの代表値と最大値を読む(例:2.0V・2.3V)

手順3

個数を1つずつ増やし、VFの最大値で電流を計算する。8割を切る手前の個数にする

つまり、個数は「最大値で8割」で決める。この3ステップで、どの電源でも個数が決まります。

直列の個数ごとの電流の棒グラフ。ふつうの個体はほぼ10mA、VFが最大の個体は4個で6.5mA、5個で2.5mAまで下がる

10個を点けるなら:電源の電圧で形が変わる

赤色LEDを10個点けるとき、5Vなら1個ずつ10列(合計100mA)、12Vなら2個直列×5列(49mA)、24Vなら5個直列×2列(19mA)です。

電源形抵抗1列の電流合計の電流電源の電力
5V1個ずつ×10列300Ω×10本10.0mA100mA0.50W
12V2個直列×5列820Ω×5本9.8mA49mA0.59W
24V5個直列×2列1500Ω×2本9.3mA19mA0.45W

5Vでは、赤色LEDを2個直列にすると抵抗に1.0Vしか残らず、VFが最大の個体で電流が4mAまで下がります。そのため1個ずつに抵抗を入れて並列にします。

12Vなら3個まで直列にできますが、10個は3で割り切れないので、2個×5列にしました(3個×3列+1個でもかまいません)。24Vなら5個直列でも、VFが最大の個体で8.3mA流れます。

電源の電圧が高いほど、直列にできる個数が増え、合計の電流が減ります。電流が減ると、電線やコネクタ、電源の負担が軽くなります。

つまり、LEDの個数が多いときは、電源の電圧を上げて直列を増やすと、電流を小さくできます。

5Vは1個ずつ×10列で合計100mA、12Vは2個直列×5列で49mA、24Vは5個直列×2列で19mA

電流と発熱の合計:光らない電力は抵抗の熱になる

電源から出た電力のうち、LEDで使われなかった分は抵抗の熱になります。30個・12Vの例では、約1.16Wのうち約0.58Wが抵抗の熱です。

LEDの電力は VF×電流、抵抗の電力は 電流×電流×抵抗値 で計算します。合計すると、電源の電圧×合計の電流と同じになります。

形電源の電力うちLEDうち抵抗抵抗1本選ぶ定格
10個・5V0.50W0.20W0.30W30mW1/8W以上
10個・12V0.59W0.20W0.39W78mW1/4W以上
10個・24V0.45W0.19W0.26W131mW1/2W以上
30個・12V1.16W0.58W0.58W58mW1/8W以上
注意|直列を増やすと、抵抗1本の電力は増える

24V・5個直列では、抵抗1本に131mWかかります。定格は「電力の2倍以上」なので、1/4W(250mW)では足りず、1/2Wが要ります。合計の電力だけでなく、抵抗1本ずつの電力も確かめます。

電源の容量は、合計の電流に余裕を持たせて選びます。目安として、合計の1.5〜2倍の電流を出せる電源にしておくと安心です。30個・12Vの例なら、約0.2A 以上出せる12Vの電源です。

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LED以外の部品も足し合わせて、電源の容量を決める手順がわかる

つまり、LEDをたくさん点けるときは「合計の電流→電源の容量」と「抵抗1本の電力→定格」の2つを確かめます。

LEDと抵抗の電力の横棒グラフと、抵抗1本の電力と定格の表。10個・24Vは1本131mWで1/2W

なぜ定電流回路が要る?抵抗だとVFで電流が大きく変わる

抵抗で電流を決めると、VFの合計が電源に近いほど、電流が大きく変わります。12Vで白色LED3個・抵抗110Ωなら、VFが代表値で約19mA、少し大きい個体(3.6V)ばかりだと約11mAです。

白色LEDはVFが約3.3V(最大4.0V)と大きいので、3個直列で9.9V。12Vの電源では、抵抗に2.1Vしか残りません。抵抗の電圧が小さいほど、VFの差がそのまま電流の差になります。

このようなときは、抵抗の代わりに定電流回路を使います。定電流回路は、VFの合計が変わっても、電圧に余裕がある間は同じ電流(ここでは20mA)を流し続けます。

ただし、定電流回路も魔法ではありません。電源の電圧からVFの合計を引いた残りが小さくなりすぎると、電流を保てなくなります。グラフで、右端の電流が急に下がっているところです(線は形をわかりやすくしたイメージです)。

つまり、VFの大きいLEDを電源ぎりぎりまで直列にするときや、明るさをそろえたいときは、定電流回路が効きます。

LED3個のVFの合計と電流のグラフ。抵抗110Ωは9.9Vで19.1mA、10.8Vで10.9mA。定電流回路は20mAのまま(イメージ)

トランジスタ2個の定電流回路:電流≒0.6V÷Rs

トランジスタ2個と抵抗2本で、定電流回路が作れます。電流は、0.6V÷Rs で決まります。Rs=30Ωなら約20mAです。

Q1はLEDの電流の通り道で、蛇口の役目です。Q1の下に入れたRsに電流が流れると、Rsに電圧が出ます。もう1つのトランジスタQ2は、そのRsの電圧を見張っています。

Rsの電圧が約0.6V(トランジスタのベースとエミッタの間の電圧)に近づくと、Q2が電流を流し始めます。Q2は、R1からQ1のベースへ行くはずの電流を横取りするので、Q1が絞られます。こうして、Rsの電圧が約0.6Vで落ち着き、電流は 0.6V÷Rs になります。

部品この記事の値役目
Q1・Q22N3904(小信号のNPNトランジスタ)Q1は電流の通り道、Q2は見張り役
Rs30Ω電流を電圧に変える。0.6V÷30Ω=20mA
R14.7kΩQ1のベースに電流を送る

0.6Vは目安の値です。トランジスタの種類や温度で0.55〜0.7Vほど変わるので、電流も±1割ほど変わります。抵抗で決めるより、VFの影響をずっと受けにくいのが利点です。

つまり、定電流回路は「Rsの電圧を約0.6Vに保つ」しくみです。電流を変えたいときは、Rsを変えます。

12Vから白色LED3個、Q1、Rs30Ωの回路図。Q2のベースはRsの上、コレクタはQ1のベース、R1 4.7kΩは12VからQ1のベースへ。Q1・Q2は2N3904

定電流のしくみ:増えたら絞る、を自動でくり返す

定電流回路は、電流が増えようとすると自動で絞り、減ろうとすると開く、をくり返して電流を一定にします。

①

VFが低い・電源の電圧が上がるなどで、電流が増えようとする

②

Rsの電圧が上がり、0.6Vを超えようとする

③

Q2がオンに近づき、R1からの電流をQ2が吸う

④

Q1のベースの電流が減り、Q1が絞られて電流が元に戻る

たとえると

水そうの水位(Rsの電圧)を見張る係(Q2)がいて、水位が上がると蛇口(Q1)を締め、下がると緩めます。見張り係がいるので、水道の圧(電源の電圧)が多少変わっても、流れる水の量はほぼ同じです。

電流が減ろうとしたときは逆で、Rsの電圧が下がるとQ2が電流を吸わなくなり、Q1のベースの電流が増えてQ1が開きます。

つまり、Q2がRsの電圧を見張っているので、電流が自動でそろいます。

4つの箱の輪。電流が増えようとする、Rsの電圧が上がる、Q2がオンに近づく、Q1のベースの電流が減り電流が戻る

定電流回路の部品を決める3ステップ

12Vで白色LED3個に20mA流すなら、Rs=30Ω、Q1にかかる電圧は1.5V(熱は30mW)、R1=4.7kΩです。

STEP 1:Rsを決める

Rs=0.6V÷電流=0.6÷0.020=30Ω。Rsの電力は 0.6V×0.020A=12mW なので、1/8Wで足ります。

STEP 2:Q1の余裕と熱を確かめる

Q1にかかる電圧=12−9.9(LED)−0.6(Rs)=1.5V。Q1の熱は 1.5V×20mA=30mW で、2N3904の許容損失625mW(25℃)より十分小さい値です。

STEP 3:R1を決める

Q1のベースは、Q1とQ2のベースとエミッタの電圧を足した約1.3Vです。R1=4.7kΩなら(12−1.3)÷4.7kΩ≒2.3mA。Q1のベースに要る電流は 20mA÷60(hFEの最小値)≒0.33mA なので足ります。残りはQ2が吸います。

Q1に残る電圧が0.3V(目安)より小さくなると、Q1が飽和して、電流を絞る余地がなくなります。VFが3.6Vの個体ばかりでも 12−10.8−0.6=0.6V 残るので、この例はまだ定電流のままです。

温度にも注意します。Q2のベースとエミッタの電圧は、温度が1℃上がるごとに約2mV下がる(目安)ので、30℃上がると電流は約1割減ります。明るさが少し落ちる方向なので、LEDを傷める心配はありません。

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つまり、Rs(電流)→Q1の余裕と熱→R1、の順に決めれば、定電流回路の部品がそろいます。

Rs=0.6÷0.020=30Ω、Q1にかかる電圧1.5Vで熱30mW、R1 4.7kΩで約2.3mA。12VはLED9.9V・Q1 1.5V・Rs0.6Vに分かれる

ドライバIC①ULN2003A:マイコンでLEDの列を点け消しする

ULN2003Aは、トランジスタ(ダーリントン)のスイッチが7回路入ったICです。マイコンの端子は約1mAの合図を出すだけで、12VのLEDの列を点け消しできます。12V・赤3個・10mAなら、抵抗は510Ωです。

マイコンの端子から直接LEDに電流を流すと、1本で数mA〜20mAほど、全部の端子の合計にも上限があります(品種で違うのでデータシートで確かめます)。LEDの列が多いときや、12Vの列を点け消ししたいときは、間にドライバICを入れます。

ピン名前つなぐ先
1〜71B〜7B(入力)マイコンの端子(各回路に2.7kΩが入っている)
8E(GND)GND
9COMモーター・リレーのときに電源へ。LEDだけならつながなくてよい
10〜167C〜1C(出力)LEDの列の下側(カソード側)

出力(C)はGND側のスイッチなので、LEDの列は「+12V → 抵抗 → LED → 出力」の向きにつなぎます。ICのスイッチがオンのときも、出力とGNDの間に約0.9V残る(100mAのときの代表値)ので、計算に入れます。(12−2.0×3−0.9)÷0.010=510Ω、電流は10.0mAです。

7回路すべてで10mA流しても、ICの熱は 7×0.9V×10mA=約63mW(多めの見積もり)。DIPの熱抵抗66.7℃/Wを掛けると、温度上昇は約4℃です。1回路の上限(ピークで500mA)にも、まだ十分な余裕があります。

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つまり、ULN2003Aは「マイコンの小さな合図で、LEDの列のGND側をON・OFFするスイッチ7つ」です。

ULN2003Aのピン配置。1〜7が入力1B〜7B、8がE(GND)、9がCOM、10〜16が出力7C〜1C。12Vから510ΩとLED3個を1C(16番)へ、10.0mA

ドライバIC②TLC5940:16個の明るさを1個ずつ変える

TLC5940は、定電流の出力が16回路入ったICです。電流は抵抗1本(R(IREF))で決まり、2.0kΩなら約19.5mA。明るさは1個ずつ4096段階で変えられます。

TLC5940の電流(データシートの式)
Imax=1.24V÷R(IREF)×31.5

2.0kΩなら 1.24÷2000×31.5=約19.5mA です。16回路とも同じ電流の上限になり、そこから各LEDの明るさを、マイコンからのシリアル通信で4096段階に変えます。

注意したいのは熱です。定電流ICは、LEDの電源の電圧からVFを引いた残りを、IC自身の熱にします。赤色LEDを1個ずつ16回路、LEDの電源を5Vにすると、ICに 5−2.0=3.0V かかり、3.0V×19.5mA×16=約0.94W。熱抵抗36.7℃/W(HTSSOPを基板にはんだ付けした値)を掛けると、約34℃上がります。

LEDの電源を3.3Vにすると、ICにかかるのは1.3Vで、熱は約0.41W(約15℃)に減ります。データシートの電流の値は出力の電圧1Vで規定されているので、「VFの最大値(2.3V)+1V=3.3V」なら足ります。白・青のLED(VF最大4.0V)なら、LEDの電源は5Vにします。

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つまり、定電流ICは「LEDの電源を、VFの最大値+1Vほど」にすると熱が小さく済みます。

Imax=1.24V÷R(IREF)×31.5、2.0kΩで19.5mA。赤色LED16個でLEDの電源5VならICの熱0.94W(約34℃上昇)、3.3Vなら0.41W(約15℃)

どの方法を選ぶ?早見表

迷ったら直列+抵抗。明るさのばらつき、点け消し、1個ずつの明るさ、の必要に応じて、定電流やドライバICへ進みます。

こんなとき選ぶ方法理由
数個〜10個・明るさは固定直列+抵抗(足りなければ並列)抵抗1本で簡単。部品が少ない
電源が5V以下1個ずつに抵抗(並列)直列にする電圧がない
明るさをそろえたい定電流(トランジスタ2個)VFのばらつき・電源の変化に強い
マイコンで列ごとに点け消しULN2003A などマイコンの端子は約1mAで済む
1個ずつ明るさを変えたいTLC5940 など定電流IC16回路・4096段階
数十個以上・電池で長く使うLED用の昇圧DC-DC効率がよい(この記事では扱わない)

電池で動かす場合や、LEDが数十個を超える照明では、抵抗や定電流回路の熱がもったいなくなります。そのときはLED用のDC-DCコンバータ(スイッチングで電圧を変える電源)を検討します。

つまり、方法は「個数・電源の電圧・点け消しや明るさの必要」の3つで選びます。

こんなとき・選ぶ方法・理由の表。数個〜10個は直列+抵抗、5V以下は並列、明るさをそろえるなら定電流、点け消しはULN2003A、1個ずつの明るさはTLC5940

ブレッドボードで1列を組んで、電流を確かめる

まずは1列(12V・620Ω・赤3個)をブレッドボードで組み、抵抗の両端の電圧をテスターで測ります。6.0V÷620Ω≒9.7mAなら計算どおりです。

ブレッドボードは、縦に並んだ5つの穴が中でつながっています。抵抗は中央の溝をまたいで挿し、LEDは「長い足が左」で、となりの列へ1個ずつずらして挿していきます。

手順1

+12Vのレールから5列の上へ線をつなぎ、5列の上と下に溝をまたいで620Ωを挿す

手順2

LEDを5列→8列→11列→14列とずらして3個挿す(長い足が左、つまり電源側)

手順3

14列からGNDのレールへ線をつなぎ、電源を入れて3個とも光るかを見る

手順4

テスターを直流電圧(DCV)にして、赤を5列の上、黒を5列の下に当てる。6.0V前後なら約9.7mA

1個だけ光らないときは、その LED の向きか、足が同じ列に入っていないかを見ます。全部光らないときは、どこか1か所が切れています(直列は1本道なので、1か所切れると全部消えます)。

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つまり、1列を組んで電流が計算どおりなら、あとは同じ列を増やすだけです。

ブレッドボードの配線図。+12Vレールから5列、620Ωが溝をまたぎ、LEDが5・8・11・14列にずれて3個、14列からGND。テスターの赤を5列の上、黒を5列の下に当てて6.00V

よくある失敗3つ:並列に抵抗1本・直列にしすぎ・マイコンから直接

LEDを複数点けるときの失敗は、並列に抵抗1本で済ませる、直列にしすぎる、マイコンの端子から直接たくさん点ける、の3つが代表です。

失敗1:並列のLEDに抵抗1本

LEDを並列にして抵抗を1本で済ませると、VFの少し低いLEDに電流が集まります。そのLEDだけが明るく熱くなり、先に傷みます。並列にするときは、1個ずつ(1列ずつ)に抵抗を入れます。

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失敗2:直列にしすぎる

12Vに赤色LEDを5個直列にすると、VFが最大の個体では約2.5mAしか流れません。点かない・暗い列が出ます。VFの最大値で計算して、8割以上流れる個数までにします。

失敗3:マイコンの端子から直接たくさん点ける

マイコンの端子1本ずつには電流の上限があり、全部の端子の合計にも上限があります。上限を超えると、マイコンが熱くなったり動きが不安定になったりします。LEDの列が多いときは、ULN2003Aのようなドライバやトランジスタを間に入れます。

つまり、光らない・明るさがばらつく・熱いときは、この3つをまず疑います。

3つの失敗。並列のLEDに抵抗150Ωが1本、12Vに200Ωと赤5個の直列、マイコンの端子から直接LEDを4個

よくある質問(FAQ)

Q. LEDを複数つなぐとき、直列と並列どちらがいい?

A. 電源の電圧に余裕があれば直列が基本です。5V以下で直列にする電圧がないときは、1個ずつに抵抗を入れて並列にします。

Q. LEDは何個まで直列にできる?

A. VFの最大値で計算しても、狙いの電流の8割以上流れる個数までが目安です。12Vで赤色LED・10mAなら3個です。

Q. 並列にしたLEDに抵抗1本ではだめ?

A. だめです。VFの低いLEDに電流が集まり、明るさがばらつき、そのLEDが先に傷みます。1個ずつに抵抗を入れます。

Q. 定電流回路はいつ使う?

A. 明るさをそろえたいとき、VFの大きいLEDを電源ぎりぎりまで直列にするとき、電源の電圧が変わるときに使います。

Q. ULN2003AでLEDを点けるときの抵抗は?

A. (電源−VFの合計−約0.9V)÷電流で計算します。12Vで赤3個・10mAなら510Ωです。

Q. TLC5940が熱くなるのはなぜ?

A. LEDの電源からVFを引いた残りがICの熱になるからです。LEDの電源をVFの最大値+1Vほどに下げると、熱が減ります。

まとめ
  • LEDを複数点けるときは「直列にした列+1列に1本の抵抗」が基本
  • 直列の個数は、VFの最大値でも狙いの8割以上流れる個数まで(12V・赤なら3個)
  • 30個なら3個×10列・620Ω、合計約97mA・約1.16W
  • 合計の電流で電源の容量を、抵抗1本の電力で定格を確かめる
  • 明るさをそろえるならトランジスタ2個の定電流(電流≒0.6V÷Rs)
  • マイコンで点け消しならULN2003A、1個ずつの明るさならTLC5940。定電流ICは熱に注意

次の一歩として、手元のLEDのデータシートでVFの最大値を確かめ、使う電源で何個まで直列にできるかを計算してみてください。1列を組んでテスターで電流を確かめたら、同じ列を増やしていけば完成です。

参考にした資料

法令・規格・資料は改訂されることがあります。実務で使うときは、発行元の最新版で確かめてください。

この記事の理解を深める本と道具
おすすめの道具

回路の電圧や導通を自分の手で確かめるなら、手元にテスターが1台あると便利です。三和電気計器のデジタルマルチメータ(テスター)CD772です。電圧や抵抗などを測れます。

おすすめの道具

回路を実際に組んで、電流や電圧を確かめてみたいときに向いています。400穴のブレッドボードと、ジャンパーワイヤーのセットです。はんだ付けをせずに、部品を差し込んで回路を組めます。

S
シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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