回路設計

DCモーターをマイコンで回す|MOSFETとダイオードとパスコンの役目

暗い背景でオレンジのプロペラを付けた銀色の小型DCモーターと端子間の黄色いセラミックコンデンサ、ブレッドボードの写真に、マイコンで回す・DCモーター・2.1Aの文字

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれています。

DCモーターをマイコンで回すときは、端子で MOSFET に合図だけを出し、モーターの電流は電池から流します。要る部品は MOSFET・ダイオード・0.1µF・100µF の4つで、役目は4つの部品の節、選び方は早見表へ。

結論|まず30秒でわかる答え

DCモーターをマイコンで回すときは、マイコンの端子は MOSFET に合図を出すだけにして、モーターの電流は電池から流します。
部品は4つです。MOSFET(スイッチ)、モーターと逆向きのダイオード(OFF の瞬間の逃げ道)、モーターの足に 0.1µF(ノイズ)、電源の近くに 100µF(一瞬の電流)。
小さな模型用のモーター(FA-130、3V)でも、回りはじめの瞬間は 2.1A 流れます。部品はこの電流で選びます。

この記事に出てくる言葉

わからない言葉が出てきたら、ここに戻ってきてください。本文でも、初めて出たところで言い換えます。

DC モーター電池のような直流で回るモーター。この記事はマブチ FA-130(模型用)
起動の電流止まっているモーターに電圧をかけた瞬間の電流。いちばん大きい
逆起電力回っているモーターが自分で出す、電源と逆向きの電圧
MOSFETゲートに電圧をかけると ON になる部品。ここではスイッチの役
還流ダイオードOFF の瞬間のモーターの電流を逃がすダイオード(フリーホイールダイオード)
パスコン部品の足元に置く小さなコンデンサ。ノイズを吸ったり、一瞬の電流を出したりする
電解コンデンサ容量の大きなコンデンサ。+と−の向きがある
PWMON と OFF を速くくり返し、ON の割合で平均の電圧を変える方法
GND回路の電圧の基準(0V)。電池なら−の側

DCモーターをマイコンで回す。LED の次に作りたくなる回路ですが、LED と同じつなぎ方では動きません。動いても、マイコンが急にリセットしたり、部品が壊れたりします。

この記事では、模型でおなじみのマブチ FA-130 を例に、モーターの「くせ」と、それぞれに効く部品を、データシートの数字で順番に見ていきます。

暗い背景でオレンジのプロペラを付けた銀色の小型DCモーターと端子間の黄色いセラミックコンデンサ、ブレッドボードの写真に、マイコンで回す・DCモーター・2.1Aの文字

この記事で作るもの:マイコンで DC モーターを回す回路

3.3V のマイコンの合図で、単3電池2本(3V)のモーターを ON/OFF する回路です。部品は MOSFET・ダイオード・コンデンサ2つと、ゲートの抵抗2本です。

マイコンの端子は、MOSFET のゲートに 3.3V か 0V の合図を出すだけです。モーターに流れる電流は、電池の+から、モーター、MOSFET を通って、電池の−へ戻ります。

部品この記事の例役目
MOSFETAO3400A(N チャネル)電池→モーター→GND の道をつなぐ・切る
ダイオード1N5819(ショットキー)OFF の瞬間のモーターの電流を逃がす
小さなコンデンサ0.1µF(セラミック)モーターのノイズを足元で吸う
大きなコンデンサ100µF(電解)起動の一瞬の電流を近くから出す
ゲートの抵抗220Ω と 100kΩ切り替えの電流を抑える・OFF を保つ

MOSFET のまわり(ゲート抵抗 220Ω とプルダウン 100kΩ)は、トランジスタと MOSFET を比べた記事で LED を点けた回路と同じです。負荷が LED からモーターに変わっただけ、と考えると入りやすくなります。

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3.3V のマイコンで ON できる MOSFET の見分け方と、ゲートの2本の抵抗

つまり、LED の回路にモーター用の「ダイオード1本とコンデンサ2つ」を足したものが、この記事の回路です。

マイコン3.3Vから220ΩでAO3400Aのゲート、100kΩのプルダウン、モーターFA-130と逆向きの1N5819と0.1µF、電源の100µFと単3電池2本の回路図

なぜマイコンの端子で直接回せないのか:起動の瞬間は 2.1A

FA-130RA-18100(3V)は、回っているだけで 0.15A、回りはじめの瞬間は 2.1A 流れます。マイコンの端子が出せるのは数mA〜十数mA ほどなので、起動の電流はその約140倍です。

マブチのデータシートには、モーターの電流が3つ書かれています。何も回さないとき(無負荷)、いちばん効率よく回るとき(最高効率)、軸を止められたとき(停動)です。

状態電流(3V)回転の速さ
無負荷(何もつけずに回す)0.15A12,300回/分
最高効率(ほどよい重さを回す)0.56A9,710回/分
停動(止まっている・回りはじめ)2.10A0

マイコンの端子(GPIO)が出せる電流は、品種にもよりますが数mA〜十数mA ほどです。無負荷の 0.15A でも約10倍、起動の 2.1A なら約140倍です(15mA を目安にした場合)。端子につなぐと、端子もマイコンも壊れるおそれがあります。

注意

マイコンの「3.3V」や「5V」のピンからモーターの電源を取るのも避けます。起動の電流で電圧が落ち、マイコンがリセットすることがあります。モーターは電池など別の電源から回します。

つまり、マイコンは合図だけ、モーターの電流は MOSFET を通して電池から、と役割を分けます。

マイコンの端子15mA(目安)とFA-130RA-18100の無負荷150mA・最高効率560mA・起動2100mAの棒グラフ(10倍ずつの目盛り)

モーターは回りはじめが一番電流を食う:起動の電流の正体

止まっているモーターは、ただのコイル(巻いた線)の抵抗です。FA-130RA-18100 では 3V÷2.10A≒1.43Ω と見積もれ、電流は 3V÷1.43Ω=2.1A になります。回りだすとモーターが逆向きの電圧(逆起電力)を出し、電流は減ります。

モーターの中には、細い銅の線を巻いたコイルがあります。止まっているときは、この線の抵抗(とブラシの接触)だけで電流が決まります。

止まっているときの電流(オームの法則)
I = V ÷ R = 3.0V ÷ 1.43Ω = 2.1A

抵抗の 1.43Ω は、データシートの停動電流 2.10A から逆算した見積もりです。回りだすと、モーターは発電機のように電源と逆向きの電圧(逆起電力)を出します。その分だけコイルにかかる電圧が減り、電流は 0.15〜0.56A まで下がります。

たとえると

自転車のこぎ出しです。止まっているところから動かすときがいちばん重く、走りだすと軽くなります。モーターも、回りはじめに一番力(電流)を使います。

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つまり、部品を選ぶときは「回っているときの電流」ではなく「起動の電流」で選びます。

ONの瞬間に2.1A流れ、回りだすと0.15Aまで下がる電流のグラフ(イメージ)と、I=3.0÷1.43=2.1Aの説明

4つの部品の役目:MOSFET・ダイオード・0.1µF・100µF

MOSFET は電流の道をつなぐスイッチです。残りの3つは、モーターの「くせ」への対策です。ダイオードは OFF の瞬間の電流、0.1µF はブラシのノイズ、100µF は起動の一瞬の電流を受け持ちます。

MOSFET:スイッチ

マイコンの 3.3V でゲートを ON にすると、ドレインとソースの間がつながり、電池→モーター→GND の道ができます。モーターの下(GND 側)に置くので「ローサイド」のスイッチと呼びます。

ダイオード:OFF の瞬間の逃げ道

モーターはコイルなので、電流を急に止められるのをきらい、OFF にした瞬間も同じ向きに流しつづけようとします。行き場がないと、MOSFET のドレインに高い電圧がかかります。モーターと逆向きにダイオードを付けると、その電流がダイオードを回って静かに消えます。

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0.1µF:ブラシのノイズを足元で吸う

FA-130 のようなブラシ付きのモーターは、回るたびにブラシと整流子の接点で小さな火花が出て、細かいノイズを出します。モーターの2本の端子の間に 0.1µF のセラミックコンデンサを付けると、ノイズを出どころで吸い取れます。ロボット部品の通販会社 Pololu の資料も、0.1µF をモーターのケースのできるだけ近くに付ける方法を紹介しています。

100µF:一瞬の電流を近くから出す

起動の瞬間、電池から長い線を通って電流が来るまでのわずかな時間、電圧がストンと下がります。電源の入口や MOSFET の近くに 100µF の電解コンデンサを置くと、その一瞬の電流を近くから出せます。

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つまり、MOSFET で「つなぐ」、ダイオードで「OFF を守る」、コンデンサ2つで「ノイズと一瞬の電流を受け止める」です。

MOSFET・ダイオード・0.1µFセラミック・100µF電解の役目を説明した4枚のカード

電流の道:ON のときと、OFF にした瞬間

ON のときは、電池→モーター→MOSFET→電池と流れます。OFF にした瞬間は、MOSFET の道が切れるので、モーターの電流はダイオードを通ってモーターに戻る輪を回り、だんだん消えます。

回路図の上で、電流の道を指でたどってみます。ON のとき、ダイオードは向きが逆なので電流は流れません。電池の+から出た電流は、モーターを通り、MOSFET のドレインからソースへ抜け、電池の−へ戻ります。

OFF にした瞬間、MOSFET の道は切れます。でもモーターの中の電流は、急には止まれません。モーターの下の端子から出た電流は、ダイオードを下から上へ通り、モーターの上の端子へ戻ります。この輪を回るあいだに、電流はモーターの抵抗とダイオードで熱になって消えます。

このとき MOSFET のドレインの電圧は、電池の 3V にダイオードの電圧(1N5819 は 1A で最大 0.60V)を足した約3.6V までしか上がりません。AO3400A の VDS の最大 30V に対して十分に低く、MOSFET を守れます。

注意

ダイオードを逆向きに付けると、ON にした瞬間に電池→ダイオード→MOSFET の道ができ、電池をショートさせます。ダイオードの帯(カソード)を、電池の+側(モーターの上の端子)に向けます。

つまり、ダイオードは ON のあいだは休み、OFF の瞬間だけ働く「逃げ道」です。

ONのとき電池からモーターとMOSFETを通る電流の道と、OFFの瞬間にモーターとダイオードを回る電流の道を色で示した2つの回路図

部品を選ぶ3ステップ:起動の電流から決める

STEP 1 でモーターの起動の電流(2.1A)を調べ、STEP 2 でその電流でも熱くならない MOSFET、STEP 3 で電源の2倍以上の電圧に耐えるダイオードとコンデンサを選びます。

STEP 1 モーターの電流を調べる

データシートの無負荷・最高効率・停動の3つの電流を見ます。FA-130RA-18100 は 3V で 0.15A・0.56A・2.10A。部品は一番大きい停動(起動)の 2.1A で選びます。

STEP 2 MOSFET を選ぶ

RDS(on) が VGS=2.5V の条件で書かれた品番(3.3V のマイコンで ON できる)を選び、起動の電流で損失 I²×RDS(on) を出します。AO3400A なら 2.03²×0.048=0.20W で、許される損失 1.4W より小さく、VDS の最大 30V も 3V の10倍あります。

STEP 3 ダイオードとコンデンサを選ぶ

ダイオードは速く動くショットキーで、逆向きの電圧が電源の2倍以上・電流がモーターの電流以上(1N5819:40V・1A)。0.1µF はセラミック、100µF は電解で、耐圧は電源より高いもの(この記事は 6.3V 以上を目安)にします。

「2倍以上」は、この記事の目安です。モーターの電源の電圧が上がっても、ダイオードやコンデンサが耐えられるよう、余裕を持たせます。

つまり、モーターのデータシートの「停動」の行を見つければ、残りの部品はそこから順に決まります。

STEP1モーターの電流0.15A・0.56A・2.10A、STEP2 AO3400Aで損失0.20W、STEP3 1N5819 40V・1Aと0.1µF・100µFの3枚のカード

計算例:AO3400A の損失と、ドレインの電圧

MOSFET の損失は、無負荷 1.1mW、最高効率 15mW、起動 0.20W です。起動の電流のまま止められても、温度の上がりは 0.20W×125℃/W≒25℃ です。

まず、MOSFET を入れたときの起動の電流を出します。モーターの抵抗に MOSFET の RDS(on) が足されるので、少しだけ減ります。

起動の電流(MOSFET あり)
I = 3.0V ÷(1.43Ω + 0.048Ω)= 2.03A
状態電流 IVDS=I×RDS(on)損失 P=I²×RDS(on)
無負荷0.15A7mV1.1mW
最高効率0.56A27mV15mW
起動2.03A98mV0.20W

RDS(on) は、AO3400A の VGS=2.5V の最大 48mΩ を使いました。マイコンの 3.3V はそれより高いので、実際の損失はもう少し小さくなります(安全側の計算)。

起動の電流は、ふつうは回りだすまでの短い時間だけ流れます。それでも、軸が何かに引っかかって止まったまま 2.03A が流れつづけた場合を考えておきます。AO3400A の熱抵抗は 125℃/W なので、温度の上がりは約25℃です。MOSFET は持ちこたえますが、モーターの巻線は熱くなるので、止まったら電源を切るようにします。

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つまり、AO3400A なら起動の 2.0A でも余裕があり、ふだんの損失は 15mW ほどで熱くなりません。

無負荷・最高効率・起動の電流と、VDS 7mV・27mV・98mV、損失1.1mW・15.1mW・0.20Wの表と温度上昇約25℃の計算

電源の分け方:モーターは電池、マイコンは別の電源、GND はつなぐ

モーターとマイコンの電源は分けます。ただし GND(−の側)は1本でつなぎます。GND がつながっていないと、マイコンの 3.3V が MOSFET にとって何Vなのかが決まらず、モーターは回りません。

マイコンとモーターを同じ電源から取ると、起動の 2.1A が流れた瞬間に電源の電圧が下がります。マイコンは電圧が下がるとリセットするので、「モーターを回そうとするたびにマイコンが再起動する」ことになります。

そこで、マイコンは USB などから、モーターは単3電池2本から、と電源を分けます。このとき、マイコンの GND と電池の−は、必ず線でつなぎます。

POINT

MOSFET が見ているのは、ゲートとソースの間の電圧(VGS)です。ソースは電池の−につながっています。マイコンの GND と電池の−がつながっていて初めて、マイコンの「3.3V」が VGS=3.3V としてゲートに届きます。

配線は、モーターに大きな電流が流れる線(電池・モーター・MOSFET・GND)を太く短くし、マイコンの GND は MOSFET のソースの近くでつなぐと、モーターの電流がマイコンの GND の線を通らずに済みます。

つまり、「電源は分ける・GND は1本でつなぐ」が、モーターとマイコンを一緒に使うときの基本です。

同じ電源から取ると起動の瞬間に電圧が下がりマイコンがリセットする図(イメージ)と、電源を分けてGNDを1本でつなぐ配線の図

100µF はどれだけ助けになる? ΔV=I×t÷C で計算する

コンデンサだけで 2.1A を出すと、10µs なら電圧は 0.21V しか下がりませんが、1ms では 21V も下がる計算になります。100µF は「一瞬」の穴埋めで、起動の電流そのものは電池が出します。

コンデンサが電流を出すと、ためていた電気が減り、電圧が下がります。下がる電圧は、次の式で見積もれます。

コンデンサの電圧の下がり
ΔV = I × t ÷ C (I:出す電流、t:時間、C:容量)
コンデンサだけで出す時間計算電圧の下がり
10µs(ノイズのような一瞬)2.1 × 0.00001 ÷ 0.00010.21V
1ms2.1 × 0.001 ÷ 0.000121V

1ms で 21V は、電池の 3V より大きいので、実際にはコンデンサは空になってしまいます。モーターが回りだすまでの時間はモーターと回すものによって変わりますが、1ms よりずっと長いことが多いです。起動の電流は、結局は電池と配線が出すしかありません。

では 100µF は要らないのかというと、そうではありません。電池から MOSFET までの線には、わずかな抵抗とインダクタンス(電流の変化をきらう性質)があります。電流が急に増えた最初の一瞬は、線の向こうの電池より、すぐそばのコンデンサのほうが早く電流を出せます。

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つまり、太く短い線と元気な電池が「本命」、100µF は線の遅れを埋める「つなぎ役」です。

2.1Aを10µs出すと0.21V、1ms出すと21V下がる計算の表

速さを変えるなら PWM:ON の割合で平均の電圧が変わる

MOSFET を速く ON/OFF し、ON の時間の割合(デューティ比)を変えると、モーターにかかる平均の電圧が変わり、速さが変わります。3V でデューティ 50% なら平均 1.5V です。

ここまでの回路は ON か OFF かだけでした。マイコンの PWM の機能を使って、ゲートの合図を速く ON/OFF すると、同じ回路のまま速さを変えられます。

平均の電圧
平均の電圧 = デューティ比 × 電源の電圧 (例:0.5 × 3V = 1.5V)
デューティ比平均の電圧(3V のとき)
25%0.75V
50%1.50V
75%2.25V

モーターはコイルと回る軸の重さがあるので、速い ON/OFF にはついてこられず、平均の電圧で回っているようにふるまいます。

PWM では OFF が何度もくり返されるので、そのたびにダイオードが電流を逃がします。ダイオードを付け忘れると、OFF のたびに MOSFET に高い電圧がかかります。速く切り替わるショットキーダイオードを選ぶのは、このためです。

PWM の周波数をいくつにするか(低すぎるとモーターが「ジー」と鳴る、高すぎると MOSFET の切り替えの損失が増える)は、連載の「PWM 制御とは」の記事でくわしく扱います。

つまり、速さを変えたいときも回路は同じで、マイコンの合図を PWM にするだけです。

デューティ25%・50%・75%のPWMの波形と平均の電圧0.75V・1.50V・2.25V

早見表:小さな DC モーターの部品の選び方

どの部品も「起動の電流」と「電源の電圧」で決めます。MOSFET は 2.5V の RDS(on) の行と I²R、ダイオードはショットキーで電源の2倍以上、0.1µF はモーターの足、100µF は電源の入口です。

部品種類電圧電流・置き場所
MOSFETRDS(on) に 2.5V の行(3.3V のマイコン)VDS が電源の2倍以上起動の電流で I²×RDS(on) を計算
ダイオードショットキー逆向きの電圧が電源の2倍以上モーターの電流以上
0.1µFセラミック(向きなし)耐圧が電源の2倍以上モーターの端子に直接
100µF電解(向きあり)耐圧が電源より高く電源の入口・MOSFET の近く
ゲートの抵抗220Ω+100kΩ3.3V で約15mA・33µAプルダウンで OFF を保つ

「2倍以上」「220Ω・100kΩ」はこの記事の目安です。モーターの電圧や大きさが変わったら、STEP 1 からやり直して、データシートの保証値(最大・最小)で確かめます。

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つまり、迷ったらこの表の5行を上から確かめれば、小さな DC モーターの回路はそろいます。

MOSFET・ダイオード・0.1µF・100µF・ゲートの抵抗の種類、電圧、電流と置き場所の早見表

ブレッドボードで組む:電池と GND の線を先に

先に電池の+と−をレールにつなぎ、マイコンの GND も同じ GND のレールへつなぎます。MOSFET(変換基板)の S を GND、D をモーターの−側、ダイオードの帯をモーターの+側に向けます。

1. 電源のレール

電池の+を上の+レール、−を下の GND レールへ。マイコンの GND も GND レールへつなぎます。

2. MOSFET とゲート

AO3400A は小さい(SOT-23)ので変換基板にのせて差します。マイコンの出力 → 220Ω → G、G から 100kΩ を GND レールへ、S を GND レールへ。

3. モーターとダイオード・0.1µF

D の列を、ジャンパ線で上の段の列へのばし、モーターの線の片方をそこへ。モーターのもう片方は別の列から+レールへ。2つの列の間に、ダイオード(帯を+レール側)と 0.1µF を差します。

4. 100µF

電解コンデンサの+の足を+レール側、−(帯)の足を GND レール側へ。電池の線の入口の近くに置きます。

0.1µF は、本当はモーターの端子に直接はんだ付けするのがいちばん効きます。ブレッドボードで試すときは、モーターの線のすぐそばの列に差します。

注意

ブレッドボードの接点は、2A のような大きな電流には向きません。試すときは短い時間にし、熱くなる所がないか確かめます。長く使う回路は基板にはんだ付けします。

つまり、レール → MOSFET → モーターまわり → 100µF の順に差すと、迷わず組めます。

マイコン・AO3400Aの変換基板・220Ω・100kΩ・1N5819・0.1µF・100µF・モーター・単3電池2本をつないだブレッドボードの配線図

テスターで確かめる:VGS・VDS・電池の3か所

回っているとき、① VGS(ゲートとソース)が約3.3V、② VDS(ドレインとソース)が 0.1V 以下(計算では約27mV)、③ 電池が 2.5V 以上なら、回路はうまく動いています。

最低限ここだけ

① VGS を測る

黒をソース(GND)、赤をゲートに当てます。マイコンが ON の合図のとき約3.3V、OFF で 0V なら、合図は届いています。

② VDS を測る

黒をソース、赤をドレインに当てます。回っているとき、0.56A なら 0.56×0.048≒27mV です。0.1V 以下ならしっかり ON しています(この記事の目安)。

余裕があれば

③ 電池の+と−を、モーターが回っているあいだに測ります。止まっているときの約3V から大きく下がる(この記事では 2.5V を目安)なら、電池が弱っているか、線が細く長すぎます。テスターは速い落ち込みは見られないので、起動の瞬間の落ち込みが気になるときは、オシロスコープで電源の電圧を見ます。

つまり、①で合図、②でスイッチ、③で電源を確かめれば、どこが悪いかを切り分けられます。

回路図の①VGS・②VDS・③電池の測る場所と、回転中と停止の目安の表

よくある失敗4つ:DC モーターをマイコンで回すとき

ダイオードを逆向きに付ける・GND をつながない・マイコンの電源からモーターの電源を取る・電解コンデンサを逆に付ける、の4つがよくある失敗です。

1. ダイオードが逆向き

ON にした瞬間、電池→ダイオード→MOSFET→電池の道ができ、モーターを通らずにショートします。帯(カソード)は電池の+側に向けます。

2. GND をつながない

マイコンの GND と電池の−がつながっていないと、マイコンの 3.3V がゲートとソースの間にかかりません。回らない、ときどきしか回らない、といった動きになります。

3. マイコンの電源からモーターの電源を取る

起動の 2.1A で電源の電圧が下がり、マイコンがリセットをくり返します。モーターは電池など別の電源から回します。

4. 電解コンデンサが逆

電解コンデンサは+と−が決まっています。逆につなぐと、ふくらんだり壊れたりします。帯(−)の足を GND 側へ向けます。

つまり、向き(ダイオード・電解)と、電源(GND・分ける)の2種類を、電源を入れる前に確かめます。

ダイオードが逆向き、GNDをつながない、マイコンの電源から取る、電解コンデンサが逆の4つの失敗と対策のカード

よくある質問(FAQ)

Q. DCモーターをマイコンの端子に直接つないでいい?

A. だめです。小さなモーターでも起動の瞬間は 2.1A 流れ、端子が出せる数mA〜十数mA をはるかに超えます。

Q. モーターのダイオードはどっち向きに付ける?

A. 帯(カソード)を電池の+側に向け、モーターと逆向きに付けます。逆に付けると電池をショートさせます。

Q. モーターのノイズ対策のコンデンサは何µF?

A. 0.1µF のセラミックコンデンサが定番です。モーターの2本の端子の間に、できるだけ近くで付けます。

Q. モーターを回すとマイコンがリセットするのはなぜ?

A. 起動の大きな電流で電源の電圧が下がるからです。モーターの電源を分け、GND だけをつなぎます。

Q. MOSFETとトランジスタ、モーターにはどっち?

A. 数百mA を超えるモーターには、3.3V で ON できるロジックレベルの MOSFET が向いています。

Q. DCモーターの速さをマイコンで変えるには?

A. PWM で MOSFET を速く ON/OFF し、ON の割合を変えます。50% なら平均の電圧は半分になります。

まとめ
  • マイコンの端子は合図だけ。モーターの電流は MOSFET を通して電池から流す
  • 小さな FA-130(3V)でも起動の瞬間は 2.1A。部品は起動の電流で選ぶ
  • MOSFET は RDS(on) に 2.5V の行がある品番。AO3400A なら起動でも 0.20W
  • ダイオードはモーターと逆向き(帯を+側)。OFF の瞬間の電流の逃げ道
  • 0.1µF はモーターの足でノイズを吸い、100µF は電源の近くで一瞬の電流を出す
  • 電源は分けて GND は1本でつなぐ。速さを変えるなら PWM

まずは ON/OFF だけの回路を組み、テスターで VGS・VDS・電池の3か所を測ってみてください。数字が計算と合えば、次は PWM で速さを変えてみましょう。

参考にした資料

法令・規格・資料は改訂されることがあります。実務で使うときは、発行元の最新版で確かめてください。

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回路の電圧や導通を自分の手で確かめるなら、手元にテスターが1台あると便利です。三和電気計器のデジタルマルチメータ(テスター)CD772です。電圧や抵抗などを測れます。

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シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

テーマ別に、もっと深く学ぶ

気になるところから読んでも大丈夫です。どの記事も、はじめて学ぶ人向けにやさしく書いています。

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