回路設計

ブレッドボードで動いて基板で動かない理由5つ|配線・GND・パスコン

ブレッドボードの上で赤いLEDが光り、手前の緑の基板のLEDは消えている写真に、ブレッドボードで動いて基板で動かない・5つの理由・配線・抵抗・GND・パスコン・足の文字

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ブレッドボードで動いた回路が基板で動かない理由は、線の長さ・GND の帰り道・パスコンの距離・部品の向きなど、回路図に出ない「形」が変わるからです。確かめる順は目 → テスター → オシロ、発注前の点検はチェック5つへ。

結論|まず30秒でわかる答え

ブレッドボードで動いたのに基板で動かない理由は、回路図は同じでも線の長さ・道すじ・つなぎ目・足の向きが変わるからです。代表は次の5つです。
①配線の寄生成分(線は小さなコイルとコンデンサ)
②抵抗(はんだ不良・細いパターン)
③GND の帰り道(大きな電流と道を共有)
④パスコンの距離(IC から遠いと効かない)
⑤部品の向き・フットプリント(足の番号の取り違え)
確かめるときは、まず目で足の向きとはんだ、次にテスターで IC の電源ピンの根元の電圧から見ます。

この記事に出てくる言葉

わからない言葉が出てきたら、ここに戻ってきてください。本文でも、初めて出たところで言い換えます。

ブレッドボード穴に部品や線を差すだけで回路を組める板。中のばねの金具が列ごとにつながっている
基板(プリント基板)板の上の銅の線(パターン)で部品どうしをつなぎ、はんだで固定したもの
パターン基板の上の銅の線。ブレッドボードのジャンパー線の代わり
寄生成分(きせいせいぶん)回路図にない、線やすき間が持つ小さなコイルやコンデンサの性質
インダクタンス電流の変化をじゃまする性質。単位は H(ヘンリー)。nH は10億分の1
GND の帰り道電流が電源の − に帰るまでの道。リターンパスとも呼ぶ
パスコンIC の電源ピンのすぐ近くに置くコンデンサ。電源のゆれを吸う
フットプリント基板の上で、部品の足をはんだ付けする場所の形と並び

ブレッドボードで動いた回路は、基板にしても動くと思いがちです。回路図が同じなら、部品のつながりは同じだからです。

ところが基板では、線の長さや道すじ、つなぎ目の作り方、部品の足の位置が変わります。この記事では、その違いを5つの理由に分け、数字の目安と確かめ方を、はじめての人向けに順に説明します。

ブレッドボードの上で赤いLEDが光り、手前の緑の基板のLEDは消えている写真に、ブレッドボードで動いて基板で動かない・5つの理由・配線・抵抗・GND・パスコン・足の文字

結論:基板で動かない理由は5つ。回路図は同じでも「形」が変わる

ブレッドボードで動いて基板で動かない理由は、配線の寄生成分・抵抗・GND の帰り道・パスコンの距離・部品の向きとフットプリントの5つに分けられます。

理由何が起きるまず見る所
① 配線の寄生成分長い線がコイルになり、急な電流でスパイク(とがった電圧)が出る速い信号・電源の線の長さ
② 抵抗はんだ不良でつながったり切れたり、細いパターンで電圧が下がるはんだの形・パターンの太さ
③ GND の帰り道大きな電流と GND を共有して、0V が浮くモーターや LED の GND の道
④ パスコンの距離IC から遠くて、電源のゆれを吸えない電源ピンとパスコンの距離
⑤ 部品の向き・フットプリント足の番号が違い、つながりが変わるデータシートのピンの表

このうち、はじめての基板で一番多いのは⑤(足の取り違え)と②(はんだ)です。目で見てわかるので、最初に確かめます。①③④は、速い信号や大きな電流を使う回路で効いてきます。

つまり、「回路図が同じだから大丈夫」ではなく、「形が変わったところ」を順に疑います。

5つの理由の一覧。配線の寄生成分、抵抗(つなぎ目・パターン)、GNDの帰り道、パスコンの距離、部品の向き・フットプリント

ブレッドボードと基板では、何が変わるのか

ブレッドボードは、ジャンパー線とばねの接点で部品をつなぎます。基板は、銅のパターンとはんだでつなぎます。つながる相手は同じでも、線の長さ・太さ・道すじ・つなぎ目・足の位置が変わります。

ブレッドボード基板
線ジャンパー線(直径0.4〜0.7mm)銅のパターン(幅も長さも設計しだい)
つなぎ目ばねの接点ではさむはんだで固定する
GNDレール(長い金具)に各自つなぐパターンやベタGND の引き方しだい
部品の足挿すときに目で見て向きを決めるフットプリントの位置に決まる

ブレッドボードで動いたのは、その「形」でたまたま条件がそろっていたから、ということもあります。基板で形が変わると、そろっていた条件がくずれます。

POINT|ブレッドボードで動いた=基板でも動く、ではない

ブレッドボードは、となりの列の間に数pF のコンデンサがあるなど、速い信号には向きません。DigiKey の測定では、ブレッドボードで扱える周波数の目安は100kHz〜1MHz とされています。ブレッドボードの確認は「つながりと、ゆっくりした動き」の確認だと考えます。

左はブレッドボードにICとジャンパー線、右は緑の基板にICと銅のパターン。ジャンパー線とばねの接点、パターンとはんだ、足の位置はフットプリントで決まる

理由① 配線の寄生成分:線は小さなコイルとコンデンサ

線は、ただの導線ではなく「小さなコイル」でもあります。直径0.5mm の線なら、10cm で約119nH(1mm あたり約1nH が目安)。となりの線との間には、小さなコンデンサもできます。

回路図にはない、この小さなコイルやコンデンサを「寄生成分」と呼びます。ゆっくり変わる信号ではほとんど効きませんが、電流が急に変わると、コイルの性質が電圧を生みます。

コイルに生まれる電圧
V = L × di ÷ dt(例:119nH × 0.1A ÷ 10ns ≒ 1.2V)

0.1A の電流が10ns(1億分の1秒)で切り替わると、10cm の線だけで約1.2V のスパイクが立つ計算です(イメージ)。5V や 3.3V の回路では、マイコンのリセットや、クロックの数え間違いの原因になります。

線の長さ(直径0.5mm)インダクタンスの目安
3mm約1.5nH
3cm約28nH
10cm約119nH

ブレッドボードでは、となりの列の金具どうしの間にも約2〜5pF のコンデンサがあります(DigiKey の測定)。5pF は1MHz で約32kΩ の通り道になるので、抵抗の大きい所や速い信号では無視できません。

基板では、この大きさと場所が変わります。基板で線が長くなった所や、行きと帰りの線が離れて輪が大きくなった所で、ブレッドボードでは出なかったスパイクやリンギング(波のゆれ)が出ることがあります。

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つまり、速い信号・電源・大きな電流を切り替える線は「短く・行きと帰りを近く」が基本です。

線1本は小さなコイル(直径0.5mmで3mm約1.5nH、3cm約28nH、10cm約119nH)、ブレッドボードのとなりの列の間は2〜5pFの小さなコンデンサ

線の長さとインダクタンス:長いほど、スパイクが大きくなる

線のインダクタンスは、長さにほぼ比例して大きくなります。電流の変わり方が同じなら、スパイクの大きさもインダクタンスに比例します。

どこで効く? 1

IC の電源と GND の線。IC が動くたびに電流が急に変わる

どこで効く? 2

クロック・リセットの線。スパイクを「信号」と取り違える

どこで効く? 3

モーター・LED・リレーを切り替える線。電流が大きいほどスパイクも大きい

オシロスコープで波を見ると、角のところで上下にゆれる「リンギング」として見えます。プローブの GND の線が長いと、測る側でもリンギングが出るので注意します。

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線の長さとインダクタンスのグラフ(直径0.5mm、3mm 1.5nH・3cm 28nH・10cm 119nH)と、V=L×di÷dt=119nH×0.1A÷10ns≒1.2Vの計算

理由② 抵抗:細いパターンは、ジャンパー線より抵抗が大きい

基板の細いパターンは、ブレッドボードのジャンパー線より抵抗が大きくなりがちです。幅0.3mm・長さ10cm のパターンは約164mΩ で、1A 流すと約0.16V 下がります。

線(長さ10cm)抵抗1A のときの電圧の下がり
ジャンパー線(直径0.64mm)約5.3mΩ約5.3mV
パターン 幅1mm約49mΩ約49mV
パターン 幅0.3mm約164mΩ約164mV

パターンの銅の厚さは、よくある基板で35μm(0.035mm)です。ジャンパー線より断面がずっと小さいので、同じ長さでも抵抗が大きくなります(銅の抵抗率から計算した目安)。

モーターや LED をたくさん光らせる回路では、電流の大きい線が細いと、IC に届く電圧が下がって止まることがあります。電流の大きい線は、太く・短くします。

長さ10cmの抵抗の棒グラフ。ジャンパー線(直径0.64mm)5.3mΩ、パターン幅1mm 49mΩ、幅0.3mm 164mΩ。銅の厚さ35μm

はんだ付けの不良も「つなぎ目の抵抗」

つなぎ目にも抵抗があります。ブレッドボードではばねの接点、基板でははんだです。はんだがうまくのっていないと、つながったり切れたりして、動いたり止まったりします。

はんだの形見分け方起きること
よいはんだ山のすそが広がり、ランド(銅の丸)と足をぬらしているしっかりつながる
イモはんだ丸く盛り上がるだけで、すそが広がらないつながったり切れたりする
ブリッジとなりのランドとはんだでつながっているつながってはいけない所がつながる

ブレッドボードの接点も、抜き差しをくり返すとゆるみます。BB830 というブレッドボードのデータシートでは、定格は 36V・2A です。大きな電流を流す回路は、ブレッドボードの段階から無理をさせないようにします。

はんだを見たら、テスターの導通(音が鳴るモード)で、足とパターンの先がつながっているかを確かめます。

はんだの断面の3つの絵。よいはんだは山のすそが広がる、イモはんだは丸く盛り上がるだけ、ブリッジはとなりのランドとつながる

理由③ GNDの帰り道:大きな電流と同じ線を使っていないか

電流は、必ず GND を通って電源の − に帰ります。モーターのような大きな電流と、センサーやマイコンが GND の線を共有すると、その線の抵抗で GND が浮き、0V が 0V でなくなります。

ブレッドボードでは、部品ごとに GND の線を太いレールにつなぐことが多く、帰り道が自然に分かれています。基板で GND を1本の細いパターンで「数珠つなぎ」にすると、モーターの電流がセンサーの GND の道を通るようになります。

GND が浮く大きさ
共通の GND の線の抵抗 × 流れる電流(例:0.1Ω × 1A = 0.1V)

0.1V は小さく見えますが、10ビット・5V の A/D 変換では1目盛りが 5V÷1024≒4.9mV なので、約20目盛りのずれです(例の数字)。モーターが回るたびに、センサーの値がゆれます。

モーター停止モーター回転
共通の線で下がる電圧0V0.1V
センサーの GND(電源から見て)0V0.1V 浮く
A/D の値のずれ(10ビット・5V)0約20目盛り
対策 1

大きな電流の GND は、別の道で電源の GND へ帰す

対策 2

ベタGND(銅で広く塗った GND)で、道を太く・短くする

対策 3

センサーの GND は、A/D を読むマイコンの GND の近くでつなぐ

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つまり、GND は「線」ではなく「電流の帰り道」。大きな電流の帰り道と、小さな信号の基準を同じ道にしないことが大事です。

左はマイコン・センサー・モーターがそれぞれ太いGNDレールへ、右はGNDを1本の線でつなぎ、モーターの1Aがセンサーの GND の道を通って浮く

GNDが浮くと何が起きる? センサーの値・通信・リセット

GND が浮くと、センサーの値がゆれるだけでなく、マイコンどうしの通信の「0」と「1」の判定がずれたり、リセットの端子が一瞬「押された」と取り違えられたりします。

テスターで確かめるなら、モーターを回した状態で、電源の GND とセンサーの GND の間の電圧を測ります。0V から離れていたら、GND の道を共有しているサインです。

共通のGNDの線0.1Ωの回路図と表。モーター1Aで0.1V浮き、10ビット・5VのA/Dで約20目盛りずれる。対策は大きな電流を別の道で、ベタGND、センサーのGNDをA/Dの近くで

理由④ パスコンの距離:ICから遠いと、間の線がじゃまをする

パスコンは、IC の電源ピンのすぐ横に置きます。10MHz では、3cm の線は約1.8Ω になり、0.1μF のコンデンサ(約0.16Ω)より大きくなります。線がじゃまをして、パスコンが効かなくなります。

パスコンまでの線(10MHz)線の通りにくさ0.1μF の通りにくさ効き目
3mm約0.09Ω約0.16Ω効く
3cm約1.8Ω約0.16Ω線がじゃまをする

パスコンは、IC が急に電流を使ったときに、近くから電流を出してあげる「小さな電池」の役目です。間の線が長いと、線のインダクタンスが電流の急な変化をじゃまするので、電池が遠くにあるのと同じになります。

MCP6002 というオペアンプのデータシートでは、0.01〜0.1μF のパスコンを電源ピンから2mm 以内に置くように書かれています。電源ピンだけでなく、GND ピンまでの帰りの線も短くします。

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つまり、パスコンは「容量」より先に「距離」。電源ピンと GND ピンの両方のすぐ横に置きます。

ICの電源ピンの3mm横と3cm先に置いた0.1μFのパスコン。線のインダクタンス約1.5nHと約28nH、10MHzで約0.09Ωと約1.78Ω

パスコンの効き目は、線のインダクタンスで決まる

コンデンサと線のインダクタンスを合わせた「通りにくさ(インピーダンス)」を周波数で描くと、遠いパスコンは数MHz から上で通りにくさが大きくなり、ただのコイルのようになります(グラフはイメージ)。

近いパスコンは、もっと高い周波数まで通りにくさが小さいままです。IC が出す速いノイズを吸えるかどうかは、この差で決まります。

周波数とインピーダンスのグラフ。0.1μFに線1.5nH(近い)と28nH(遠い)。遠い方は数MHzから上でインピーダンスが大きくなる

見落としやすい:モジュール基板に載っていた部品の写し忘れ

ブレッドボードでは、センサーなどを小さな基板に載せた「モジュール」を使うことがよくあります。モジュールには、パスコン・プルアップ抵抗・レギュレータ・レベル変換などの小さな部品が、最初から載っていることがあります(どれが載っているかは商品ごとに違います)。

自分の基板にセンサーの IC だけを載せると、これらの部品がなくなります。プルアップ抵抗がないと通信が止まり、パスコンがないと動きが不安定になります。モジュールの回路図を見て、載っていた部品を全部写します。

左はセンサーのモジュールにパスコン・プルアップ抵抗・レギュレータ・レベル変換が載っている絵、右は自分の基板にセンサーだけで部品の場所が空いている絵

理由⑤ 部品の向き・フットプリント:同じ形でも、足の並びが違う

基板では、部品の足の位置がフットプリント(はんだ付けする場所の並び)で決まります。同じ形の部品でも、品番によって足の並びが違います。ブレッドボードでは挿すときに目で見て直せますが、基板では直せません。

よくある例が、3本足のレギュレータです。TI のデータシートでは、LM7805 は 1番が入力・2番が GND・3番が出力ですが、LM1117 は 1番が GND(可変の品種は ADJ)・2番が出力・3番が入力です。

品番1番2番3番
LM7805入力GND出力
LM1117GND(ADJ)出力入力

7805 用に作ったフットプリントに LM1117 を付けると、入力と出力が逆になります。どちらも同じ TO-220 という形なので、見た目では気づきません。

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つまり、フットプリントは「形」でなく「品番」で選び、データシートのピンの表と1本ずつ照らし合わせます。

TO-220のレギュレータ2つ。LM7805は1入力・2 GND・3出力、LM1117は1 GND(ADJ)・2出力・3入力

フットプリントの取り違え3つ:足の順番・極性・裏から見た図

取り違え例防ぎ方
足の順番同じ TO-92 のトランジスタでも E-B-C・E-C-B・C-B-E がある品番のデータシートのピンの表で確かめる
極性LED・ダイオード・電解コンデンサの向きシルク(基板の白い印)の印と、部品の印をそろえる
裏から見た図コネクタのピン配置が「裏から見た図」で描かれている表から見た図か、裏から見た図かを確かめる(左右が反対)

データシートのピン配置の図には、「Top View(上から見た図)」「Bottom View(下から見た図)」のような書き添えがあります。フットプリントを作るときは、この書き添えを必ず読みます。

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基板で動かないときに確かめる順:目 → テスター → オシロ

基板で動かないときは、電源を入れる前に目で見て、次にテスター、最後にオシロスコープの順で確かめます。電源を入れたら、IC の電源ピンの根元の電圧から見ます。

1 目で見る(電源を入れる前)

部品の向き・足の番号・はんだのブリッジ・付け忘れ

2 テスター(電源を入れる前)

電源と GND の間がショートしていないか。GND どうしがつながっているか

3 テスター(電源を入れて)

IC の電源ピンの根元の電圧。パターンの先ではなく、足で測る

4 テスター(大きな電流を流して)

電源の GND とセンサーの GND の電位差(浮いていないか)

5 オシロ

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基板を発注する前のチェック5つ

基板を作り直すと、お金も日数もかかります。発注する前に、ブレッドボードとの違い(線の長さ・太さ・GND・パスコン・足)を先につぶしておきます。

確かめること目安・見る所
①速い信号・大きな電流の線は短いかクロック・電源・モーターの線
②電流の大きい線は太いか1A なら幅を広く(計算で確かめる)
③大きな電流の GND は別の道かセンサー・A/D と共有しない
④パスコンは電源ピンのすぐ横か電源ピンと GND ピンの両方が近いか
⑤フットプリントの足の番号は正しいかデータシートの表と1本ずつ照合

回路図そのものの見落とし(電源・GND・未接続のピン・定格)は、回路図レビューのチェックリストで確かめます。このページの5つは、その「基板の形」版です。

発注前のチェック表。速い信号と大きな電流の線は短いか、電流の大きい線は太いか、大きな電流のGNDは別の道か、パスコンは電源ピンのすぐ横か、フットプリントの足の番号は正しいか

よくある質問(FAQ)

Q. ブレッドボードで動いたのに基板で動かないのはなぜ?

A. 回路図は同じでも、線の長さ・道すじ・はんだ・足の位置が変わるからです。まず足の向きとはんだを確かめます。

Q. 基板で動かないとき最初に確かめることは?

A. 電源を入れる前に、部品の向き・足の番号・はんだのブリッジを目で見ます。次にICの電源ピンの電圧を測ります。

Q. 配線1cmのインダクタンスはどれくらい?

A. 直径0.5mmの線なら、1mmあたり約1nHが目安です。3cmで約28nH、10cmで約119nHになります。

Q. パスコンはICからどれくらい離してよい?

A. 電源ピンのすぐ横が基本です。MCP6002のデータシートでは、0.1μF程度を電源ピンから2mm以内としています。

Q. ブレッドボードは何MHzまで使える?

A. となりの列の間に約2〜5pFの容量があり、DigiKeyの測定では1MHz前後までが目安とされています。

Q. GNDはなぜ太く・分けて引くの?

A. 大きな電流と同じGNDの道を通ると、線の抵抗で0Vが浮き、センサーの値や通信がずれるからです。

まとめ
  • ブレッドボードで動いて基板で動かないのは、回路図は同じでも「線の長さ・道すじ・つなぎ目・足の向き」が変わるから
  • ① 寄生成分:線は1mm で約1nH のコイル。10cm で約119nH。速い信号・電源の線は短く
  • ② 抵抗:幅0.3mm・10cm のパターンは約164mΩ。はんだ不良も「つなぎ目の抵抗」
  • ③ GND の帰り道:大きな電流と道を共有すると 0V が浮く(0.1Ω×1A=0.1V)
  • ④ パスコン:容量より距離。電源ピンと GND ピンのすぐ横に
  • ⑤ 部品の向き・フットプリント:形でなく品番で選び、ピンの表と1本ずつ照合

次の一歩として、手元の基板の電源ピンとパスコンの距離、モーターや LED の GND の道を、基板の図の上で指でたどってみてください。どこで「道の共有」や「遠回り」が起きているかが見えてきます。

参考にした資料

法令・規格・資料は改訂されることがあります。実務で使うときは、発行元の最新版で確かめてください。

この記事の理解を深める本と道具
おすすめの道具

回路の電圧や導通を自分の手で確かめるなら、手元にテスターが1台あると便利です。三和電気計器のデジタルマルチメータ(テスター)CD772です。電圧や抵抗などを測れます。

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波形を自分の目で確かめるなら、手元にオシロスコープが1台あると便利です。RIGOLのデジタル・オシロスコープ DHO804です。周波数帯域70MHz・4チャンネルで、12ビットの垂直分解能をもちます。

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回路を実際に組んで、電流や電圧を確かめてみたいときに向いています。サンハヤトのブレッドボード SAD-101です。408個の穴に部品を差し込むだけで、はんだ付けをせずに回路を組めます。

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シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに執筆しています。むずかしい専門用語をできるだけ使わず、はじめて学ぶ人がつまずかないように、図とたとえで説明することを大切にしています。

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